自己破産した会社代表はその後会社を設立できる?
事業を営んでいた方の中には「会社の経営が上手くいかず法人破産・自己破産手続きを進めているが、将来はまた会社を作りたい…[続きを読む]
2020年4月上旬に、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を防ぐために緊急事態宣言が発令され、日本全国で外出自粛が要請されました。
結果として居酒屋などの飲食店から客足が退いたため、大きな打撃を受けて経営難に陥ったお店も少なくありません。
当初は同年5月7日までだった非常事態宣言が延長されたこともあり、「このままではお店が潰れる…」と嘆いている経営者もいるはずです。
そこで、この記事では居酒屋を含めた飲食店経営者が可能な対策を解説していきます。
行政が実施している支援策を列挙するので、利用できそうなものは申請しましょう。
また、倒産に関する情報も載せておきますので、お店を閉めたいと思っている方も参考にしてみてください。
目次
日本政府や地方自治体は、ただ自粛を要請しているわけではありません。
国はコロナの影響を受けている企業や飲み屋のために様々な制度を用意しているので、その中から代表的なものを紹介していきます。
なお、この記事は2020年5月6日に執筆されたものです。
各制度の最新情報は、必ずホームページ等から確認するようにしてください。
日本政策金融公庫が行っている貸付制度です。
「1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方」が対象です。
お店を開いてから3ヶ月~1年1ヶ月未満の方は、最近1ヶ月の売上高が以下の3つのいずれかと比べて5%以上減少している場合に利用できます。
融資限度額は最大6000万円で、設備資金や運転資金に使えます。
担保不要で低利率、条件を満たせば実質無利子化も可能です。
商工組合中央金庫が行っている中小企業や中堅企業向けの融資です。
利用者の条件は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とほぼ同じですが、貸出限度額が最大で累計20億円、中堅企業については限度額なしとなっています。
審査がありますが、経営難の人は相談してみる価値があるでしょう。
全国信用保証協会連合会が行っています。
経営に支障がある中小企業や小規模事業者向けの保証制度で、コロナ対策として従来よりも多くの事業者が対象になるよう条件が緩和されました。
基本的には以下のどちらかに当てはまる事業者が対象です。
保証を受けるには前もって市区町村の担当窓口で認定を受ける必要があります。
保証限度額は普通保証で2億円、無担保保証で8000万円です。
詳しくは各都道府県の信用保証協会へ問い合わせてください。
休業させた従業員の支払いが法律で義務付けられている「休業手当」の一部を助成してもらえる制度です。
コロナの影響で特例が設けられ、従来よりも対象者が拡大され、助成内容も手厚くなっています。
例えば中小企業が都道府県知事から休業等の要請を受けた場合、一定の要件を満たせば休業手当全体の助成率が100%になります。
要請を受けていない場合でも、休業手当を通常の賃金の60%を超えて支給する場合、超過分を全て助成してもらえます。
しかも、これらの措置は2020年4月8日以降の休業等に遡って適用されるので、従業員の雇用安定に役立ちます。
制度は変更される可能性があるため、必ず厚生労働省のホームページ等で確認してください。
経済産業省が行っている給付制度です。
前年同月比で50%以上売上が減少している法人や個人事業主(フリーランス含む)が対象です。
法人は最大200万円、個人事業者は最大100万円の給付金を受けられます。
早ければ申請から2週間程度で振り込まれるとのことなので、即効性が期待できます。
前年度の確定申告書などが必要ですが、他の制度に比べて申請は比較的簡単です。
詳しくは行政のホームページをご確認ください。
行政の支援を受けても事業継続が難しい場合は、債務整理で負債を解決する道を考えてください。
法人の場合はいわゆる「倒産」です。
しかし、倒産とはどういったもので、どのようなメリットがあるのでしょうか?
「お店を潰す」や「倒産する」ことと「法人破産」は、厳密には異なる意味を持っています。
倒産には「再生型」と「清算型」があるので、それぞれ見ていきましょう。
再建を目指して債務を減額するタイプの倒産が「再生型」です。会社更生や民事再生がこれに当てはまります。
ただし、会社更生は経営陣の交代が必須となるので、個人経営の居酒屋などが利用できるケースは少ないでしょう。
民事再生は債務者本人が手続を進め、裁判所から認可されれば債務を減額できる制度ですが、いずれにしろ債権者や裁判所の判断が関わるため、経営難にある小規模飲食店が利用するのは現実的に難しい側面があります。
債務を免除してもらって法人を消滅させるのが「清算型」です。法人破産と特別清算の2つがあります。
このうち特別清算は債権者の同意が必要な場面が多いため、小規模店舗が行うとしたら法人破産が現実的です。事実、倒産の中で圧倒的に多いのが法人破産です。
次の項目では法人破産について言及していきます。
法人破産を選ぶ人が多いのは、それなりのメリットがあるからです。
主なものは以下の3つです。
法人破産をすると、その法人は権利や義務を全て失って完全に消滅します。
会社の財産は処分されて債権者への弁済に充てられますが、会社がなくなるので債務を返済する義務もなくなり、借金から解放されます。
ただし、経営者が法人の保証人になっている場合は経営者が債務を引き継ぐため、経営者自身が自己破産するなど別の対策が必要となります。
弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士が債権者に受任通知を送付します。
これを受け取った債権者は弁護士を通さなければ債務者とやり取りできなくなります。
つまり、電話や郵便での直接的な取り立てが止まるので、弁護士に依頼すると、表面的には穏やかな日常が帰ってくると言えるでしょう。
借金をゼロにできれば新しい道を進むことができます。法人破産をした人が今後二度と事業ができなくなるわけではありません。
破産後に再起した人も多くいますし、例えば国や制度は違いますが、アメリカのトランプ大統領などは4度の破産を乗り越えています。日本国内でも毎日多くの人が破産の申請をしています。
再建の見込みがない事業は切り捨てて、新しく再出発するのも人生には必要です。
今回は、コロナの影響で経営難に陥った居酒屋などの経営者が選択できる方法を紹介していきました。
まずは国の支援策の活用を考えてみてください。それでコロナ禍を乗り切れれば、外出自粛が終わってお客さんがお店に戻ってくるかもしれません。
しかし、自粛の影響が長期化して事業の継続が難しそうな場合は、できるだけ早く弁護士に相談してください。
弁護士が債務状況に応じた対策を考えて、場合によっては法人破産の手続を進めるなど最善の策を考えます。
決断が遅いほど負債は膨らんでしまい、選択肢が狭まってしまうので、迅速な決断を強くおすすめします。