個人再生の最低弁済額|いくら減額される?
民事再生法では、「個人再生をしても、最低でもこれだけの借金は返済しなければならない」という最低弁済額が定められていま…[続きを読む]
個人再生を検討している場合、「個人再生手続きをすると、どのようなメリットやデメリットがあるのか」を最初に調べる方は多いでしょう。
個人再生をすることで、借金を大幅に減らすことができます。これは大きなメリットですが、一方で「個人再生は利用条件が厳しい」「個人再生は必要書類が多く手続きが煩雑」などのデメリットもあります。
今回は、個人再生のメリット&デメリットについて詳しく解説します。
目次
まずは、個人再生で得られる6つのメリットをご説明します。
冒頭でも紹介しましたが、個人再生の最大とも言えるメリットは「借金が大幅に減ること」です。
個人再生手続きは、債務者の借金を最大1/5ほどまで圧縮することができます。借金がいくらあるのか・手持ちの財産はいくらか等によって減額幅は異なりますが、利息しか免除できない任意整理と比べればかなりの減額が望めます。
また、個人再生では減額した金額を3年程度で返済するのが一般的です。
例えば、500万円の借金を100万円まで減額でき、それを3年(36ヶ月)で返済することになれば、月々約2.8万円の返済額となります。
自己破産の場合は、家などの高額な財産は処分し、換価した上で債権者に配当しなければいけません。
もっとも、せっかく建てたマイホームを手放したくないという方も多いでしょう。
この場合に考えるべきが、個人再生手続きです。個人再生では、マイホームを含めた高額な資産を手元に残したまま手続きを進めることができます。
住宅ローンが残っていても、住宅ローン特則を利用できれば、住宅ローンはそのまま返済を続け、他の借金を減額した上で住み続けることも可能です。
マイホームを手放さなくて良いのはメリットの1つですが、マイホームの返済はそのままになるので返済額に注意が必要です。あくまで「返済できる」と判断できる場合にのみ利用できると考えるべきでしょう。
また車のローンを支払い終わっている場合には、マイカーも手元に残すことができます。
しかし、査定額が上がるほど個人再生後の返済額も上がる可能性があることにご注意ください。
自己破産の場合は、手続き中に一定の職業に就けなくなります。
具体的には、以下のような職業です。
個人再生では、手続き中に上記の職業も続けることができます。
自己破産の場合は、借金の理由としてギャンブルや浪費があげられる場合には免責不許可事由にあたるとして免責(借金を0にすること)が認められない可能性があります。
このような理由で借金をした場合に免責を認めるのは債権者に不公平となるためです。
実際には、債務者が心から反省し破産手続きに協力的であれば、裁判官の裁量で免責を受けられるケースが多いです。
とはいえ、悪質な場合には免責不許可となってしまう可能性も0ではありません。
一方、個人再生の場合にはこのような借金の理由について制限がありません。
【再生計画の認可又は不認可の決定】
民事再生法174条には、再生計画不認可の理由が規定されていますが、自己破産の免責不許可事由に当たるような規定はありません。民事再生法 第174条
2 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
一 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
二 再生計画が遂行される見込みがないとき。
三 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
四 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。
借金を返済できない場合、債権者からの取り立てや督促に疲弊してしまう方も多いです。精神的なプレッシャーがかかり、心身に支障をきたしてしまう方もおられます。
個人再生手続きの開始決定が下ると、債権者からの取立てや督促は法律上ストップしなければいけないため、取立て・督促から解放されます。
弁護士に依頼した場合には、受任通知を債権者に送付した段階で、本人への督促が禁止されるため、督促等はさらに早く収まります。
取立てが止むだけでも精神的負担が軽くなるはずです。より早く取立てをストップしたいなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。
借金の返済が長期で滞った場合、給与や預金などを差し押さえられてしまうことがあります。
差し押さえられる給与は原則として手取り額の1/4ですが、給与の減額は生活に直接的な影響を及ぼします。
実は、個人再生手続き開始決定がでれば、このような強制執行(差し押さえ)もストップします。
開始決定手続きよりも早く強制執行をストップしたい場合は、申立後に強制執行の中止命令を申し立てれば、より早く強制執行を中断させることができます。詳しい手続きについては弁護士に相談することをおすすめします。
個人再生にはたくさんのメリットがありますが、残念ながらデメリットもあります。
個人再生手続きのデメリットとして最初に挙げられるのが、ブラックリストに掲載されるということです。
「ブラックリスト」は正式な名称ではありませんが、個人再生をはじめとする債務整理を行うと、個人の信用情報を収集し金融機関に情報提供を行なっている信用情報機関に、債務整理が「事故情報」として登録されてしまうのです。
信用情報に傷がついてしまうと、5~7年程度は信用情報を利用する取引ができなくなってしまいます。例えば、クレジットカードの作成やローンを組むこと、キャッシングを利用することはできません。
子どもの奨学金の保証人にもなれなくなってしまうので、生活面で一定の不便が出てしまうでしょう。
任意整理の場合には、ご自身でどの債務を整理するかを選んでいただくことができます。
しかし、個人再生では任意整理のように一部の債務だけを整理して借金を減らすという方法は取ることができません。対象は、原則としてすべての債務となります。
選べないことの何が一番問題かというと、保証人がいる借金の場合、個人再生の手続きを行なった時点で保証人に一括請求がいってしまうことです。
保証人に迷惑をかけるだけでなく、場合によっては保証人も同様に債務整理をしなければいけなくなってしまいます。
個人再生の場合、住宅ローンを残したまま(マイホームを守りつつ)借金整理ができる点が、自己破産との一番の違いともいえます。
もっとも、住宅以外にも大きな財産を所有していることがあります。例えば、高級な自家用車やバイクなどです。車のローンが残っているという方も少なくないでしょう。
個人再生をした場合には、車のローンについても個人再生手続きの範囲に含まれるので、所有権留保が付されている場合には手放す必要が出てきます。
個人再生手続きを申し立てると、官報に記載されます。
官報とは、国が発行する機関紙のことであり、国の新聞のようなものです。
基本的に官報を読んでいる人は、税務署や信用情報機関、金融機関等ですので、周囲に知られてしまう危険は少ないです。
親しい人の中にこれらに所属する方がいらっしゃれば官報を読むことは可能性としてはあり得ますが、実際に一個人の名前には気づかない可能性が高いため、大きなデメリットとは言えないでしょう。
個人再生手続きは誰もができるわけではありません。申し立てるのには条件があります。
特に、収入に関する条件が厳しいといわれています。
個人再生手続きには、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類がありますが、どちらであっても「債務総額が5,000万円以下であること(マイホームのローンを除く)」「継続・反復して収入を得る見込みがあること」が必要です。
また給与所得者再生手続きの場合は、継続的収入の変動が小さいことが条件となります。
任意整理は裁判手続きではないため、債権者との交渉により進めていきます。期間も3ヶ月程度で済むことが多いでしょう。
自己破産の場合も、同時廃止事件であれば同程度の期間で済みます。
しかし、個人再生は債務整理の中でも特に複雑な手続きであることから、半年から1年程度の期間が必要です。
裁判所での手続きというよりは、債権者との協議等に時間がかかります。再生計画案も債権者が納得できる内容であり、法的要件をおさえたものでなければいけません。
手間も時間もかかってしまうため、少しでもスムーズに事を運ぶために弁護士に依頼する人が多いのが個人再生です。
自己破産をすれば、その後借金に悩むことはなくなります。税金などの一部を除き、借金の支払義務が全て免除されるからです。
しかし、個人再生の場合は手続き後も返済が続きます。大幅に減額した額とはなりますが、約3年で完済するため、毎月きちんと返済しなければならないのです。
また、借金は100万円以下にはすることができません。一定の額の支払いは残ることを想定して手続きを進めていく必要があるでしょう。
このように、個人再生にはいくつかのデメリットがありますので、参考にしてください。
個人再生には、メリットとデメリットが存在します。それぞれを天秤にかけて、個人再生が最適かどうか判断する必要があるでしょう。
ご自身で判断が難しい場合は、ぜひ専門家の弁護士にご相談ください。
個人再生手続きがご自身に適しているかも判断した上で、最適な借金問題解決のプランを提示いたします。