免責不許可事由とは?自己破産できない場合
借金が膨らんで現実的に返済が出来なくなった人は、借金問題を解決するために「債務整理」をすることが有効です。 債務整理…[続きを読む]
自分の収入や資産では返済できない額の借金を背負ってしまった場合、債務整理をすることで借金問題を解決できます。
債務整理は、弁護士などの専門家に手続きを依頼することが一般的です。
しかし、「弁護士に依頼するとお金がかかりそうだから、自分でやってみたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
債務整理は弁護士に依頼しなければ不可能なのでしょうか?
それとも、特に資格のない一般人が自力で行えるものなのでしょうか?
このコラムでは、「債務整理は自分でできるのか?」を解説していきます。
目次
実は、債務整理の手続きを行うために、特別な資格は必要ありません。
自分で自分の債務を整理しても、法律上は問題ないのです。
しかし、現実には、ほとんどの債務者が弁護士などの専門家に依頼して債務整理をしています。
なぜ、自分でもできることを、わざわざ弁護士に頼むのでしょうか?
以降で説明していきます。
任意整理は、債権者と交渉して、将来発生する利息や遅延損害金などを減額してもらう債務整理です。その後、残った借金を毎月分割して返済します。
自分自身で任意整理をするときの問題点を見ていきましょう。
「任意整理をしたい」と債権者に申し出ても、債権者が「そういった交渉には応じられません」と拒否する可能性があります。
拒否されてしまえば任意整理をするどころではありませんし、債務整理の意思を感じ取った債権者が、督促の手を一層強めてくる可能性さえあります。
しかし弁護士に依頼すれば、ほとんどのケースで債権者が交渉に応じてくれます。
交渉の第一歩を踏み出すために弁護士の力を借りる人が大多数なのです。
運良く債権者が交渉に応じてくれたとしても、相手はお金を貸し・回収をするプロでしょう。金融関係の法律にも精通しています。
一方、交渉する債務者は、交渉のプロでも法律の専門家でもありません。
知識の差があるため、債権者が債務者の法的知識の不足を突いて優位に交渉を進め、債務者に不利な条件で交渉がまとまってしまう可能性があります。
弁護士が交渉の場にいれば、豊富な法律知識を活かしながら債務者側のペースで交渉を進めてくれます。
また、債権者が「弁護士相手にうかつなことを言えない」と萎縮する効果も期待できるはずです。
債務者に有利かつ現実的な条件で交渉をまとめるには、弁護士が不可欠と言っても過言ではありません。
任意整理の後は、借金の完済まで分割払いする日々が続きます。
しかし、任意整理の条件によっては、後で支払いが苦しくなることもあるでしょう。それでは任意整理の意味がありません。
弁護士がいれば、客観的な視点から、現実的に支払可能な条件で交渉をまとめてくれます。
任意整理を有意義なものにするためにも、弁護士への依頼は大切です。
個人再生は裁判所に申立てをして、借金の総額を元本含め大幅に減らしてもらう手続きです。減額して残った部分は原則3年程度かけて分割払いします。
任意整理よりも減額率が大きな個人再生ですが、ほとんどの人が弁護士に依頼して手続きを行っています。
弁護士に頼まない場合の問題点を以下に列挙します。
個人再生の難点は、とにかく手続きや必要書類が多く、書類の作成も難しいことです。
一般人が自力で個人再生をするのは困難で、書類の不備を補正できなかったり手続きに不備が多かったりすると、最悪の場合、個人再生手続きが打ち切られてしまいます。
裁判所も個人再生の難易度は理解しているようで、弁護士への依頼を事実上の義務としている裁判所もあるほどです。
素直に弁護士に依頼して、個人再生手続きを進めてもらいましょう。
個人再生で最も作成が難しく、最も重要な書類と言っていいのが「再生計画案」です。
これは個人再生後の支払計画を定める書類ですが、裁判所がこの書類を見て「この計画では債務者が現実的に支払えそうにない」などと判断することがあります。その場合、うまく補正できなければ個人再生に失敗してしまいます。
再生計画案は、基本的に裁判所が示した書式に則って書かなければなりません。しかし、大抵の人は再生計画案など作ったことがないはずです。何をどう書いていいかわからないことも多いでしょう。
一方、弁護士はこういった作業に慣れています。問題のない再生計画案を作ってくれるでしょう。
個人再生に失敗するリスクを避けるために、弁護士への依頼は必要です。
後述する自己破産にも言えることですが、自力で個人再生をしようとすると、何度か裁判所へ行かなければなりません。裁判所は平日の日中しか開いていないため、生活や仕事に影響が出る可能性があります。
また、裁判所は債務者にも債権者にも平等である必要があるため、どちらか一方に有利となる情報を教えてくれることはありません。質問できるのは基本的に手続き面に関することだけだと考えてください。
弁護士に依頼すれば、裁判所とのやりとりは弁護士に一任できます。
さらに、弁護士は依頼人に有利な情報を積極的に教えてくれて、実行までしてくれます。これほど心強い味方はいないでしょう。
自己破産は裁判所に申立てをして、借金をゼロにしてもらう債務整理です。その代わり、不動産や高価な車など、当面の生活に必要ない高価な財産は処分・換価され、債権者に配当されます(一文無しになるということはありません)。
非常に強力な債務整理ですが、こちらも弁護士に依頼して行う人が大半です。個人再生と同様に、弁護士への依頼を前提としている裁判所もあります。
その理由はどこにあるのでしょうか?
自己破産も個人再生と同じく、様々な書類の提出が義務付けられています。
債権者の情報をすべて書く「債権者一覧表」や、自分の財産について記載する「財産目録」などがありますが、これらの書類にはしばしば記載ミスが起こります。
例えば、債権者全員を書いたつもりでも、親族や友人からの借り入れを書き漏らしていることがあります。
また、自分の財産というものは案外わかりづらく、財産目録に記載漏れする例もしばしば見られます。
提出後でも修正はできますが、手間がかかりますし、裁判所側が「記載ミスのフリをしているが、実は財産を隠しているのでは?」と疑いを持つ可能性も0ではありません。
弁護士が介入することで、客観的な調査に基づいた正確な書類を作ることができます。手続きがスムーズに進むようになるでしょう。
破産法には「免責不許可事由」というものが列挙されています。
免責不許可事由とは「こういった事情がある人は借金をゼロにしてあげません」という事柄です。
例えば借金の理由がギャンブル・浪費の人や、破産手続で財産を隠した人、破産手続に非協力的な人などは、免責不許可事由に該当するため、自己破産をしても借金が0になりません。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、裁判官の裁量で免責を認められる「裁量免責」を受けられる可能性があります。
とは言え、この裁量免責は放っておいて必ず受けられるわけではありません。
そこで登場するのが弁護士です。仮に免責不許可事由があっても、弁護士が裁量免責を得られるように対策してくれます。
免責不許可事由がある人や、そもそも免責不許可事由が何かわからない人は、弁護士を頼ることをおすすめします。
一部の裁判所では、弁護士がいることで申立人が有利になる制度が運用されています。
例えば東京地裁などには「少額管財」といって、手続きが迅速で費用も安い制度があります。
また、自己破産の申立てをした当日または数日以内に弁護士と裁判官が面談をすることで、破産手続開始決定が早く出る「即日面接」という制度も存在します。
これらの制度は「法律の専門家である弁護士が破産申立人についており、書類や事前調査の信頼性が高い」などの理由によって、手続きの短縮化や費用の軽減が行われるものです。
弁護士がいないと利用できるものもできなくなるため、様々なデメリットを受けることになるでしょう。
弁護士は、相談者の事情にぴったりな債務整理を教えてくれます。事前にメリットやデメリットも含めて考えてくれるので、後悔のない債務整理ができるはずです。
何より、弁護士に依頼すれば、遅くても数日後には債権者からの督促を止めてくれます。当面は支払いをする必要もないので、債務整理費用を積み立てた上で、ある程度余裕のある日常を送ることが可能となるでしょう。
裏を返せば、弁護士がいないと督促を受けながら債務整理をすることになります。大変な困難を伴うことは想像に難くありません。
債務整理は、どうぞお早めに弁護士までご相談・ご依頼ください。