辞めて欲しくない人がなぜ辞めるか?その理由と対処法

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事はを企業顧問・企業法務弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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優秀な人材ほど早く辞めていく…改善策は?

「会社の出来るエース社員と呼ばれるような人がいきなりの退社」

「まともで優秀な人材・優秀な部下が突然やめる」

「出世間違いなしだった若手が辞めることになった」

このようなお悩みを持つ中小企業の管理職、トップの方は少なくありません。なぜ辞めて欲しくない人ほど辞めていってしまうのでしょうか?なぜいい人ほど、出来る人ほど辞めてしまうのでしょうか?

今回は、中小企業で辞めて欲しくない人が辞めるのを防ぐ対処法を解説します。

辞めて欲しくない社員ほど辞めていく理由、辞めて欲しくない人が辞める場合の会社の問題点、優秀な人材を辞めさせないようにする対処法までわかりやすくご説明いたします。

まともで優秀な人材ほど辞めていくのはなぜ?

せっかく育てた優秀な社員が流出するのは避けたいものです。しかし、なぜ辞めて欲しくない社員ほど辞めていくのでしょうか?また辞める社員の特徴などはあるのでしょうか。それぞれご説明いたします。

優秀な社員が退職する理由

優秀な社員ほど、一箇所に止まらないといわれています。しかし、会社としては優秀な人ほど残って欲しいものです。では、なぜできる人や優秀な人、残って欲しい人がやめていってしまうのでしょうか? よくある理由としては以下が挙げられます。

・優秀なのに実力があるのに評価されない
・給与が低い
・仕事量が多すぎる
・成長できない職場
・結婚や出産などのライフスタイルの変化に会社が対応しない

まず、一番多いのは正当な評価を受けていないケースです。本人がどれだけ頑張っても年功序列で自分より出来ない人が昇進していく、などの環境がある場合、他の会社を探そうと思う人は多いでしょう。

また給与が見あっていないと考えるケースも同様です。

できる人は多くの人を任されます。卒なくこなす人ほど、仕事を抱え過ぎ、それに不満を感じているものです。先の理由である「評価されていない」などの理由も重なれば、転職を考えても不思議ではありません。

また優秀な人ほど成長を望みます。キャリアアップが望めない職場では、これ以上の成長はないと感じ辞めていってしまうのです。

さらに最近では自分のライフスタイルを重視する人が多くなっています。女性の場合なら、結婚や出産などで職場がうまく環境を整えてくれない場合に「辞めよう」と考えることはあるでしょう。

男性でも育児にもっと関わりたいと考えた結果、今の職場では忙しすぎると考えるケースもあります。

このように、辞める理由はさまざまですが、多くは現在の職場や環境に対する不満があります。

辞めていく人の特徴

エース社員や優秀な人材がいきなり辞めていってしまうという事例は昔からよくあります。どのようなタイプの人が辞める予備軍になっているのでしょうか?

・仕事ができる人
・コミュニケーション能力が高い人
・真面目だけど器用な人
・中堅の社員
・自分で考えることができる人

仕事ができる人

まず仕事ができる人は常に成長できる場所を求める傾向にあるため、「よくできる人だな」と感じる人は、将来的に辞めてしまう可能性があります。転職でキャリアアップを目指す人も珍しくないでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

またコミュニケーション能力の高い人も転職を考える機会が多いはずです。やはりコミュニケーション能力の高い人は誰とでもうまくやれるため、どこでも重宝されます。仕事の結果だけでなく、社員間や上司・部下の関係でも上手にこなしている人は他から声がかかるケースも多いといえます。

真面目だけど器用な人

真面目だけど器用な人も、辞めていく可能性はあります。真面目なだけでは仕事を上手くこなせないこともあるでしょう。ある程度の器用さも重要です。こういうタイプの人は、どんな状況にでも対応してく能力があるため、「やりたいここがある」と言って突然辞めてしまうパターンがあります。

中堅の社員

中堅の社員は30代が多いでしょう。「人生これでいいのか」と考える時期でもあります。自分の人生を考えた結果、別の会社や職業を目指す人も多い年代です。

自分で考えることができる人

さらに、受動的に仕事をこなすのではなく、自分で考えて行動する人は疑問も感じやすい傾向にあります。今の職場が自分に最適なのかを考えることができるので、「辞める」選択をする可能性は常にあるといえます。

優秀な人が辞めるのは、ただ仕事ができるからではありません。やはり受け身ではなく、能動的に考えて行動するタイプの人は、転職を考えることも多いのでしょう。

辞めて欲しくない人が辞めるのは職場に問題がある?

辞めるのは本人の問題であることもありますが、多くは会社に不満があるケースです。辞めて欲しくない人が辞める職場の問題点についてご説明します。また辞める人を止めるべきかという悩みがちな問題についても解説します。

職場の問題点

現在働いている職場への不満を理由に辞めていく人は、以下のような職場の問題点を挙げています。

・評価体制が悪い
・頑張ってもこれ以上成長できる環境がない
・妊娠、出産に対応した働き方が定着していない

評価体制が悪い

優秀な社員が退職する理由でも指摘しましたが、評価体制が悪いことは辞めていく人が感じている大きなポイントです。自分より結果を出していない人が評価されるような体制がある場合は見直すべきでしょう。また昇給など目に見える形での改革が必要です。

頑張ってもこれ以上成長できる環境がない

優秀な人は成長できる環境を望みます。社員が望めば研修や資格を積極的に取れるような制度、社員の意見を取り入れる環境などが整えられていないなどの問題があるなら、改善していくべきです。

妊娠、出産に対応した働き方が定着していない

育休制度が取りにくい、復帰したときに職場のポジションがなくなっている、などの状況がある場合は問題です。社員のライフスタイルに合わせた職場環境の提供についても考えていくべきでしょう。

このように、辞めて欲しくない社員が辞めるのは会社に問題点があることもあり、それを改善していくことが必要です。

辞めないように説得すべきか?

辞めて欲しくない人が退職を望む場合、上司や管理職の人は辞めないようにどの程度説得すべきが迷うこともあるでしょう。

結論からいうと、辞めて欲しくない場合は退職を踏みとどまるよう「話し合い」を持つべきです。

ただし、「辞めさせない」と断固として退職を拒否すると個人の権利を蔑ろにすることにもなりかねませんので、話をした結果本人の決意が固いようであれば何度も説得せず退職を認めるべきです。

退職をやめさせたい場合は、単に「困る」「良い人材がいない」「会社に迷惑をかけるのか」などと相手のせいにするのではなく、退職を踏みとどまった場合のメリットについて言及するしかないでしょう。

現在の給与に不満があるなら昇給を考えていることや評価体制に不満があるならそれを改善することを約束するなど、建設的な説得に終始するようにしましょう。

優秀な人材を辞めさせないようにする対処法

最後に、今後優秀な人材を流出させないようにするための対処法をお伝えします。

まずは会社の環境を見直すこと

何か他のやりたいことが見つかった場合などを除き、優秀な社員を流出させない方法はたくさんあります。

まず、できることは会社の体制や環境を見直していくことです。具体的には以下の対処法が有効だといえます。

・正当な評価体制を整えること
・若い社員の意見を導入していくこと
・将来性のある会社を作り上げていくこと

昇給や昇進など、できる人が評価される環境を作りましょう。「これだけの仕事量をこなしているのに昇進や昇給もない」と捉えられないようにする必要があります。

たとえ、社員から要求してこずとも、結果を出した人はわかりやすい形で認められるシステムを構築していくことが必要です。

また若い社員の意見も積極的に取り入れていきましょう。優秀な人ほど「自分たちの意見が通らない」「これまで通りのやり方に固執している」という不満を持っていることは多いのです。改善すべき点は抜本的に変えていくなどの意気込みを見せることは重要です。風通しの良い環境を作っていきましょう。

最後に難しいことかもしれませんが、将来性のあるビジョンも社員に見せていくことは重要です。

成長できる環境に身をおきたいと考える人は、会社に将来性があるのかを見極めています。明確なビジョンを見せることで社員の士気を高め、より良い結果を産み出し、会社への忠誠心も育っていくのではないでしょうか。

辞める人に聞いてみるのも1つの方法

「中堅になると辞める人が多い」という場合には、辞める人になぜ辞めるのかを率直に聞いてみるのも1つの方法です。

例えば、以下のような質問が考えられるでしょう。

・うちの会社は何を改善すれば良いと思うか
・将来的に、うちの会社はどのように発展すべきだと思うか
・もしここに残る立場なら、一番最初に何を改革するか
・新しく導入すべき制度などの提案はあるか

質問をする際は、あくまで客観的な観点から質問をすべきです。「何か不満があるの?」と個人ベースで聞くのではなくアンケートを取るように、彼らが考える改善方法などを客観的な意見を求めて聞いていくのです。

「不満があるならいってくれ」といっても、気を遣って本当のことを話せない人は多いと思います。しかし、自分が辞める・辞めないとは関係なく会社を良くしたいという気持ちから尋ねているのだと理解してもらえれば、率直な意見が聞けるはずです。

やめて欲しくない人が辞めていくのには、さまざまな要因が考えられますが、実際に辞めていく人が感じていることを聞くことで、その会社に応じた建設的な解決策を生み出すことができます。

まとめ:連鎖退職・退職ラッシュをとめよう

なぜまともで優秀な人材が辞めてしまうのか、辞めて欲しくない部下が辞めてしまうのかを解説してきました。

会社で連鎖退職・退職ラッシュが起こり、エース社員など辞めて欲しくない人が辞めていってしまう場合、職場に問題があるケースは少なくありません。

有望な中堅や若手が次々と辞めていってしまう場合は、職場の環境や評価体制を見直すべきときかもしれません。

社員や辞めていく人に率直に職場への不満について聞いてみるなどして、職場にある問題点を改善していくことが良い人材が辞めない会社に繋がっていくのではないでしょうか。

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