顧問弁護士に依頼するメリット・役割・必要性

監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事はを企業顧問・企業法務弁護士相談カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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これまで顧問弁護士を依頼したことのない企業でも、顧問弁護士を依頼することを一度は検討したことがあったり、顧問弁護士に興味があるという企業も多いでしょう。

顧問弁護士の依頼に踏み切れなかった理由にはさまざまなものがあるとは思いますが、顧問弁護士がどのような役割を担い、企業にとってどのようなメリットがあるのかが具体的にわからないということもその理由の一つかもしれません。

そこで、今回は、中小企業または大企業の経営者の方に向けて、企業が顧問弁護士を依頼するメリットや顧問弁護士の役割、顧問弁護士と弁護士の違いなどについてわかりやすく説明します。

顧問弁護士とは|中小企業も大企業もメリットあり

顧問弁護士とは、継続的に企業内外で生じるさまざまな法律問題についての相談を受け付けたり、問題解決のサポートをしてくれる企業専属の弁護士のことをいいます。

中小企業であっても大企業であっても、会社を経営していると、顧客からのクレーム対応、従業員との労働問題、取引先との契約書の作成などさまざまな法的問題が生じます。

そのような法的問題が生じた場合に、日常的に相談できるのが顧問弁護士です。

 顧問弁護士と普通の弁護士との違い

企業の経営者の方の中には、①顧問弁護士を依頼することと、②問題が生じた際に個別に弁護士を依頼することは、何が違うのかという疑問を持たれる方も多いと思います。顧問弁護士と普通(単発)の弁護士とでは、以下の点で違いがあります。

気軽な法律相談が可能

会社経営をしていると、日々、さまざまな経営判断が求められます。経営者は、経営の専門家ですが、法律の専門家ではありませんので、ご自身の判断が法的に問題がなかったかという点については常に不安が伴います。

顧問弁護士であれば、日々の業務で少しでも疑問が生じた場合には、気軽に相談をすることができます。

一方で、単発の弁護士への相談の場合には、法律相談の予約をして、面談で相談をしなければならず、相談の際にも企業の概要などを一から説明をしなければならないなど非常に煩雑です。

しかし、顧問弁護士は、その企業の実情を熟知していますので、すぐに本題に入ることができますし、電話やメールなどによる相談にも応じてくれます。

トラブルが生じた際に迅速に対応してもらえる

トラブルが生じたときに弁護士を探そうとしても、すぐに対応してくれる弁護士が見つかるとは限らず、問題が深刻化してしまうこともあります。また、対応してくれる弁護士が見つかったとしても、処理の方針や態度などが気に入らないということもあります。しかし、顧問弁護士であれば、トラブルの都度、弁護士を探すという手間はありませんし、顧問契約に基づいて、優先的に対応してもらうこともできます。

トラブルの未然防止が可能

単発の弁護士の場合には、トラブルが生じた後に相談に行くことになりますので、どうしても事後的な対応が中心となってしまいます。しかし、顧問弁護士であれば、日常的に企業からの相談に対応していますので、トラブルが生じないようにするための事前の対策を講じてくれます。企業では、扱う金額も大きいためトラブルが生じてしまうと、場合によっては莫大な損害を被る可能性があります。そのため、事前にトラブルを回避することができるというのは非常に大きなメリットとなります。

顧問弁護士の5つの役割・仕事内容

顧問弁護士の役割や仕事内容としてはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、顧問弁護士の一般的な役割や仕事内容について説明します。

契約書の作成・リーガルチェック

企業の取引において契約書は、不可欠な文書であり、将来のトラブルを防止するためにも非常に重要なものになります。
顧問弁護士は、取引の内容に応じて最適な契約書の作成をしたり、取引先企業から提示された契約書に自社にとって不利な条項が含まれていなかいどうかをチェックするなどして、企業が不利益を受けることのないようにサポートします。取引先に契約書の内容の変更を求める際にも「顧問弁護士から指摘されました」と説明することで、取引先にも納得してもらえる可能性が高くなります。

人事・労務トラブル対策

従業員を雇用している企業では、従業員から不当解雇、残業代の未払い、セクハラ・パワハラなどを理由に訴えられるというリスクを抱えています。
顧問弁護士は、企業が労働者から訴えられるというリスクを減らすために、解雇や懲戒処分などをする際には、事前に相談を受け付け、法律上の要件を満たしているかどうかを判断することができます。また、労働者から実際に訴えられたしまったという場合でも、企業側の対応の窓口となって交渉や訴訟対応などを進めることができます。

クレームやトラブルに対する対応

顧客から悪質なクレームを受けており対応に苦慮している、取引先との間でトラブルが生じてしまったという場合には、顧問弁護士が実際に生じたトラブルを解決したり、クレームに対応することができます。

会社への被害を最小限に抑えるために、今後の対応方針やマスコミへの発表方法などについても相談することができます。

迅速な債権回収の実現

未回収の売掛金が発生している場合には、迅速に回収を行わなければ、相手の資産状況が悪化するなどして回収が困難になることもあります。金額によっては、業績が好調な企業であっても倒産のリスクが生じる可能性もありますので、迅速な債権回収の実現は、企業にとって非常に重要な問題となります。

顧問弁護士であれば、企業から相談を受けた場合には、すぐに内容証明郵便を利用して支払いを求める通知書を送ることによって迅速な債権回収を行うことができます。それでも支払いがない場合には、訴訟提起や強制執行などの法的手段を講じることによって、債権回収をサポートすることができます。

知的財産分野の対応

企業では、独自の商品やサービスの開発を行っており、それに対して莫大な資金を投入しています。費用をかけて開発した商品やサービスが他社によって模倣されてしまうと、回復困難な損害を被ってしまう可能性もあります。

顧問弁護士は、商標登録や特許権の取得など企業の知的財産分野についても対応することができます。

顧問弁護士に依頼するその他のメリット・デメリット

顧問弁護士に依頼をすることには、その他、以下のメリットとデメリットがあります。

顧問弁護士のメリット

会社の社会的評価が高まる

顧問弁護士を依頼していれば、取引先などに「顧問弁護士に相談したうえで検討します」などと伝えることができます。

それによって、取引先からはコンプライアンス面の意識が高い企業であると評価され、会社の社会的評価が高まることが期待できます。

顧問弁護士の存在を公言することによって、初めての取引先であっても不利な条件を突きつけられるリスクを最小限にすることができます。

有事の際には迅速に対応してもらえる

先述したように、トラブルが生じた場合には、弁護士を探すだけでも時間がかかりますし、相談をした弁護士がトラブルへの対応に応じてくれるかもわかりません。

弁護士を依頼するまでに時間を要するとトラブルが深刻化してしまい、解決が困難になるということも珍しくありません。

顧問弁護士であれば、顧問先企業のトラブルについては、優先的に対応してもらえますし、企業の実情をよく把握していますので適切な対応が期待できます

顧問弁護士のデメリット|費用・料金

顧問弁護士を依頼するデメリットとしては、顧問料という固定費が発生することが挙げられます。

単発の弁護士であれば、法律相談の都度、相談料を支払いますので、相談が何もなければ、費用の支払いはありません。

しかし、顧問弁護士の場合には、相談の有無やトラブル処理の有無にかかわらず、毎月一定の顧問料の支払いが生じてしまいます。

毎月一定の相談案件がある企業であればよいですが、1年間にほとんど相談をすることがないという企業では、毎月支払わなければならない顧問料が負担になることもあります。

まとめ

今回は、中小企業または大企業の経営者の方に向けて、顧問弁護士の役割や内容について解説致しました。

顧問弁護士は、企業の利益を守り法的観点からサポートしてくれる企業のよきパートナーです。

企業経営においては、トラブルへの事後的な対応ではなく、事前の予防が非常に重要になります。

将来のトラブルを未然に回避するためにも、顧問弁護士の導入を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

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