セックスレス離婚で慰謝料請求は可能?金額相場・証拠集めなどを解説!
セックスレスによる苦痛で離婚を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では、セックスレス離婚の際に…[続きを読む]
近年、セックスレスが理由で離婚を考える夫婦が増えています。
特に夫の側が「嫁がやらせてくれない」「妻に拒否される」と悩む一方で、妻の方は「気持ち悪いから旦那としたくない」という、「したい夫としたくない妻」の関係が多いようです(もちろん、旦那に拒否されるという逆のケースもあります)。
このようなプライベートかつデリケートな悩みは周囲の人には相談しづらいため、Twitter(X)やYahoo!知恵袋などで解決策を質問する方も多いのですが、そのような場所では様々な意見が飛び交い、最適な解決方法を見つけられない可能性もあります。
そこで、本記事では「セックスやキスを妻に拒否されて悲しいから、離婚を考えている」「性生活の不一致として離婚できないの?」といった悩みを抱える方に向けて、セックスレスで離婚できるのか?あるいは離婚したくない場合の解決策などを解説していきます。
目次
セックスレス状態と言っても、「他の夫婦は一体どのくらいの頻度しているのか?」「自分達はセックスレスト言えるのか?」と疑問に思っている方は多いと思います。
日本性科学会では、以下のような状態をセックスレスの定義としています。
特別な事情がない中、合意した性交やキスやペッティングなどが1ヶ月以上ない、今後も長期的にないと予測できる状態
1ヶ月と聞いて、「そんなに短い期間でもセックスレスの対象なの?」と驚かれる方も多いでしょう。
実際、お互いの欲求がさほど大きくない場合は、1ヶ月程度ならば夫婦生活上で問題にはなりません。よって、定義上でセックスレス状態の夫婦は想像よりもはるかに多いと思われます。
しかし、どちらか一方がしたいと望んでいるのにも関わらず相手が拒否をし続けるという状態であれば、離婚という大きな問題になってしまいます。実際、嫁がやらせてくれないのが辛い、悲しいと感じ、離婚まで考える人は少なくないのが実情です。
一方がレスを深刻に受け止めているのにも関わらず、もう一方は「離婚をするほどではない」と考えているケースとなると、セックスレスが原因で離婚をしたいと相手方に主張しても揉めてしまうことが多いでしょう。
そもそも、なぜセックスレス(妻の拒否)が起きてしまうのでしょうか。
そもそも性交渉自体が好きではないなどといった理由がない限り、セックスレスになってしまう原因としては主に以下の4つが考えられます。
結婚をすると、日々一緒に生活をすることになります。そのような中で、配偶者と性交渉をしたいという気持ちが薄くなったという理由が考えられます。
例えば、下記のような例です。
特に、歳を取ることでお互いに体形や顔立ちなどが変わってしまい、セクシャルな魅力を感じなくなってしまうケースは多いです。
あるいは、肉体的なつながりよりも精神的につながっていることで満足してしまうといったことも多いです。
中には、セックスレスを解消するために「今夜こそエッチをしよう」と意識するだけでストレスに感じる方もいます。
新婚時代はセックスレスとは程遠かった関係も、子供ができるなどして生活環境が変わったのと同時に「機会が少なくなる」「相手に性欲を感じなくなる」というケースもあります。
特に、子あり夫婦になると妻は「母親」になり、夫は「父親」になります。お互いの立場が変わり意識も変わった結果、性の対象としては見れなくなってしまうのです。
現代では共働き世帯が増加し、夫・妻共に共有する時間も少なくなっています。
日々の生活に時間が取られ、結果として性交渉をする時間を取ることもできず、いつの間にかセックスレスになっているというケースも少なくありません。
つまり、仕事や家事・育児で疲れ、セックス自体が面倒に感じてしまうのです。
妻の場合は、子育てや家事の負担が増えることで時間やエネルギーがセックスに割けなくなることは珍しくありません。
加齢により、自然と性的機能が衰えてしまったためにセックスレスになってしまう夫婦もいます。
また、セックスレスのきっかけの一つとして、女性は産後や生理の前後でホルモンのバランスが崩れてしまい、性交へ意識が向きづらくなるということも考えられます。
あるいは、うつ病などの精神的な健康状態がセックスレスに関連していることがあります。
日々の生活にストレスがあると、セックスレスになってしまうことが多いでしょう。
では、セックスレスを理由として別れたい・離婚したいと考える場合、それは認められるのでしょうか?
結論から言えば、双方が離婚について合意する状況であれば、セックスレスを原因とした離婚も可能です。
協議離婚や調停離婚で双方が納得している状況であれば、セックスレスに限らずどんな理由であっても離婚をすることができるのです。
しかし、どちらかが離婚に納得がいかないという場合となると、話は変わっていきます。
当事者間で合意ができず裁判離婚までもつれ込んだ場合、離婚の原因が「法定離婚事由」に当たらなければ離婚が認められません。
つまり、裁判になってしまうと、法定で定められている離婚事由に該当すると判断されない限り離婚が認められないのです。
セックスレスが原因で離婚したいと訴える場合、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるかどうかが問題になります。
ただ、セックスレスといっても人それぞれ状況が違います。裁判官は、セックスレスの期間やこれまでの性交渉のペース、性交渉を持とうとして拒否された回数・理由などといったものを判断材料として、本件での離婚が認められるかどうか(離婚事由に該当するかどうか)を判断します。
離婚事由に該当すると判断されやすいものとしては、以下のものが挙げられます。
セックスレスが原因で夫婦の雰囲気が悪くなってしまうことは珍しくないですが、その関係を修復しようとしても相手が協力的でない場合や、相手が別の誰かと不貞行為を行なっていた場合は、これ以上の婚姻関係を続けるのは難しいと言えます。
また、セックスレスによる精神的な苦痛が大きいなどと判断された場合も、裁判でも離婚が認められることがあります。
もし裁判で争うことになった場合、セックスレスが夫婦仲に与えた影響や、これ以上婚姻関係を続けるのが難しいと思われる理由を主張をするようにしましょう。
そのため、「いつから性交渉がないのか」「何日に(これまでに何回)拒否されたのか」「セックスレスでどのような喧嘩をしたのか」などを記した日記などを用意し、セックスレスの状況が客観的に分かるようにしておくことが有効です。
逆に、セックスレスによる離婚が認められないケースとしては、以下のものが挙げられます。
セックスレス夫婦の中には、「性交渉がなくても良い」と互いに思っているケースもあります。
このような考え方で長年過ごしてきた夫婦ならば、セックスレスを理由にして離婚することは難しいでしょう。
また、病気や怪我など身体的な理由や、仕事や育児などで性交渉をする時間もなかったという場合などは、セックスレスは離婚事由として認められません。
セックスレスでの離婚が認められた場合、妻から慰謝料をもらいたい!と考える方も少なくありません。
実際、セックスレスが原因での離婚の場合は、相手方に慰謝料は請求できるのでしょうか。
慰謝料を請求できるかどうかは、起因や離婚に至るまでの過程が大きく影響します。
不倫があったなど、夫か妻のどちらかに原因があると明確である場合は、慰謝料の請求はできるでしょう。
しかし、セックスレスは夫婦間の問題であり、どちらに責任があるのか判断するのは難しいケースも多いです。
そのため、慰謝料を考えた場合は、日記など離婚に至るまでの記録や証拠を集める必要があります。
セックスレスが原因で離婚をする場合に慰謝料を請求できるのかについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
夫婦生活を続けていくうちに生活環境が変わったり、性的な興味に関する変化が起きたりした場合、性生活の不一致となりセックスレスに陥ることは珍しくありません。
セックスレスは、夫婦間のデリケートな問題なので、人に相談しにくく抱えこんでしまう方も多いです。
その結果、精神的にも「しんどい」「悲しい」と追い込まれ、離婚を考えてしまう方は少なくありません。
セックスレスで悩んでいる方は、まず素直に相手と話をすることが大切です。セックスレスは、ただ「したくない」のではなく、他に理由がある可能性も考えられます。
話し合うことで相手の気持ちや自分の気持ちを理解できれば、レス生活や夫婦関係は修復に向かうかもしれません。
もし、「セックスレスが原因で夫婦仲が険悪になったが、相手が修復に協力してくれない」「最近セックスを拒否されると思ったら、相手が他の異性と不倫をしているらしい」「セックスレスで悩んでいるが、子供がいるから離婚についてよく検討したい」などと離婚を考えている方は、離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。