離婚調停とは?|流れ、期間、やってはいけないことを解説
家庭裁判所のサポートを得ながらお互いに納得できる解決策を見出すための手段として「離婚調停」があります。しかし、離婚調…[続きを読む]
協議による話し合いがまとまらず離婚調停に挑むならば、できる限り自分の言い分を通したいと思うのは当然です。
離婚調停中ということは、気持ちの上では結婚関係が終わっている(既に婚姻関係が破綻している)という感覚の方も多いと思います。
しかし、配偶者とは戸籍上はまだ夫婦関係にあります。軽率な行動してしまうと、その事実が離婚調停で不利に働くことがあります。その一つが「異性と会う(デートをする)」というものです。
この記事では、有利に調停を進めるためにも離婚調停中に避けた方がいい行動、特に調停中に他の異性と付き合ったりデートしたりすることのリスクについて解説します。
目次
夫婦が離婚するとき、まずは「協議離婚」を試みるのが一般的です。協議離婚では夫婦間の話し合いによって離婚の条件を決めていきます。
しかし、協議離婚が平行線をたどるようであれば第三者によって法的に効力のある決定を下してもらう必要があります。それが「離婚調停」です。
離婚調停では、夫婦一緒に行うことはなく、調停委員が双方の意見を交互に聞きながら解決策を探ります。
相手側と会いたくないといった要望にも裁判所は配慮しますので、DVなどで悩んでいる人も安心して離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停で、「離婚するかどうか」という大前提の話から、財産分与、親権、養育費、慰謝料など、離婚にまつわるあらゆることを話し合うことができます。
離婚調停が不成立となった場合、調停に代わる審判、裁判などに移行することになるでしょう。
法務省の調査によると、調停成立までの期間の中央値は約7ヶ月となっています。
つまり、離婚調停には半年程度という長い期間が必要になることが多いのです。
それだけの期間があれば、例えば異性に連絡をとって遊ぶ機会や、交際をスタートさせる状況になることもあるかもしれません。
しかし、離婚調停中の異性との交流は、その過ごし方によっては問題となるケースがあります。
他にも、離婚調停中にやるべきではないことはいくつかありますので、以下の点に注意するようにしましょう。
※既に結婚関係が破綻しているということが明らかである場合などには、異性との交際も不利にならないことがあります。
既にお互いに離婚の意思が固まっている離婚調停中であっても、その期間に異性と付き合い肉体関係を持ってしまうと「不貞行為」とみなされることがあります。
気持ちの上では夫婦関係が終わっているつもりであっても、法律上はまだ夫婦であり、夫婦間に発生する権利などは残っています。
そのため、離婚調停では不貞行為は非常に不利に働き、不倫した側が有責配偶者となり相手にとって有利に話が進んでしまうケースもあるので注意が必要です。
不貞行為があれば慰謝料請求される可能性もあります。
手を繋ぐ、食事をする等だけなら不貞行為にはなりませんが、疑わしいと思われそうな行動は避けましょう。
なお、既に婚姻関係が破綻していると明らかである場合は、異性と恋愛をしたとしても慰謝料の対象とならず不利に働かないケースもあります。
とはいえ、異性と連絡を頻繁に取っているだけでも調停委員からの印象が悪くなる可能性があります。
離婚調停中に相手(今の配偶者)に対する不平・不満があったとしても、連絡をして文句を言うなどといったことは避けた方が良いでしょう。
離婚調停中はお互いに感情的になりやすく、対立が激しくなる可能性があります。
相手方を誹謗中傷をしてしまった場合、調停委員の印象が悪くなります。
冷静な対応を心がけ、不利になることはしないことが賢明です。尊重と礼儀正しい態度を保つよう心がけましょう。
なお、もし相手から連絡がきて誹謗中傷されるようであれば、これは証拠として提出しましょう。
「調停委員の条件を呑まないと面会交流をさせない」など、子どもを利用して相手にプレッシャーをかける、脅迫をすることは絶対にやってはいけないことです。
調停委員は、親権について子どもの幸福と福祉を最優先に考えて判断します。
子どもを利用する悪質な行為をしていることが判明すれば、調停委員は別の親に親権を譲るべきだと考えるかもしれません。
また、離婚調停に際し別居をする場合、相手の同意なく子どもを連れ去ることは法的な問題を引き起こす可能性があります。
離婚調停では、財産分与についても話し合いの対象とすることが多いです。
そんな時、有利になろうと手持ちの資産や収入などの重要な情報を隠蔽したり、偽証を行ったりすることは、犯罪行為にはならないにしても民事上の不法行為または不当利得とされる可能性があります(民法709条、703条)。
後から財産分与のやり直しとされば余計に時間がかかりますので、調停においては正直かつ誠実に行動しましょう。
夫婦には同居義務があるため(民法752条)、勝手に別居をすると相手方から「同居義務違反」の主張をされることがあります。
しかし、この同居義務も絶対ではありません。夫婦関係が悪化していて離婚調停に至るようなケースで同居義務違反に当たることは稀ですし、多くの場合はそれで調停が不利になることもあまりありません。
「別居は調停中にやってはいけないこと」として心配されている方もいらっしゃいますが、余程身勝手な別居でない限り、実際にはあまり問題にはならないでしょう。
むしろ、DVやモラハラ被害があるならば、身の安全のために別居を選択するメリットは大きいです。
しかし、別居して配偶者以外の異性と同棲するとなると、不貞行為が発生しているだろうと疑われるのは当然です。これに限っては問題となる可能性がありますので、別居するにしても1人(あるいは子連れ)暮らしにする方が安全でしょう。
やってはいけないことを理解できたところで、離婚調停を円滑に進めるためにはどうしたらいいのか、調停を有利に進めるためのポイントをご紹介します。
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員と共に離婚について話を進めていきます。
お互いの言い分を主張し、調停委員が介在。離婚の合意に向けて離婚条件なども話し合います。
そのため、調停委員の信頼を得られるよう、次の3つに気をつけましょう。
まず、社会人として常識的な服装を心がけ、身だしなみをきちんとしてください。
また、言葉使いやトーン、話すスピードは相手に与える印象を大きく変えます。例え清楚な服装をしていても、配偶者や調停委員に対し暴力的な言葉を使うようでは、やはり印象はよくありません。
離婚調停ではどうしても感情的になりやすく、相手の言い分に怒りを抑えられないといった方も多いです。
しかし、それは相手も同じと言えます。有利な立場を得るためには、いかに感情をコントロールするかが鍵になります。
難しいことかもしれませんが、冷静になることを意識して調停に臨むようにしましょう。
調停委員に伝えたいことがあれば「陳述書」を作成し提出しましょう。
陳述書とは、これまでの夫婦関係のトラブルや、離婚に至るまでの経緯の説明、希望の条件などを書面でまとめたものです。
離婚調停では陳述書は絶対に用意しなければいけないものではありません。しかし、離婚調停を始めるときに提出した書類だけでは表すことができない問題なども、陳述書に記載することで調停委員に理解を求めることができます。
陳述書には文字制限や形式がないため、今までの夫婦関係について切実に訴えることができるのですが、読むのは調停委員です。書く場合はできるだけ簡素に、分かりやすくまとめるようにしましょう。
離婚調停では、それぞれの言い分を訴える場面があります。
しかし、言いたいことが多いとしても、長々と話すのはやめましょう。調停委員に本当に伝えたいことが伝わらず、理解してもらえなければ意味がありません。
本当に訴えたいことは何なのか、具体的なエピソードを入れ、できるだけわかりやすくまとめて話すようにしましょう。
他にも、相手からの暴言について訴えたいことがある場合などは、感情的にならないようきちんとした文書にして提出することが有効です。
離婚をするときの条件として、譲れないものは誰でもあります。
しかし、その条件に固執しすぎてしまうと、場合によっては条件の折り合いがつかず、調停不成立になってしまうケースも少なくありません。そうすると離婚訴訟となり、離婚するまでさらに時間がかかってしまいます。
そのため、親権や養育費などどうしても譲れないという条件を除いて、できるだけお互いの着地点を探すようにしましょう。
「ここは譲歩するので、どうしてもこの条件は受けてほしい」などといったように、柔軟に条件を相手に掲示し、交渉することが大切です。
裁判での決着もやむを得ずと考えているならば、裁判の準備も意識しつつ調停に臨むようにしてください。
今回は、離婚調停中にやってはいけないことと、離婚調停を有利・円滑に進めるためのポイントを解説しました。
離婚調停中は、感情の揺れ動きも大きく、精神的に疲れ果ててしまう人も少なくありません。そんなときに誰か支えてくれる人がいると、寄りかかってしまうという方も多いです。
しかし、離婚調停中であっても婚姻関係は続いているため、異性との交際や同棲は不利に働くことが多いということを覚えておきましょう。
そして、調停での発言や調停中の過ごし方は、調停が有利に進むのか、それとも不利になるのかの別れ道です。服装や発言、言葉遣いには十分気をつけましょう。
自分の言い分・主張は、調停の前にまとめて確認をすることが大切です。
なお、離婚調停は弁護士を雇いさせすれば絶対に要求が通るとは言い切れません。
しかし、当ポータルサイトとしては弁護士に離婚調停の代理人を依頼するべきとお勧めします。
弁護士は、過去の離婚調停の事例を引き合いに出しながら、どのように対応をすればこちらの条件が認められやすいのかを熟知しています。依頼者の主張が通るための要素を検討し、相手側の主張の隙まで突いてくれるでしょう。