婚前契約書の書き方と内容を例文つきで解説!【雛形・テンプレートあり】
この記事では浮気や財産などについての婚前契約書の具体的な内容や書き方、メリット・デメリット・効力、公正証書について、…[続きを読む]
離婚時に「財産分与しない方法」や「財産を渡すことを無し」にする方法はあるのでしょうか。
特に離婚の原因が不倫した妻で、「相手が悪い」と感じている人にとっては不公平に感じる人も多いでしょう。
今まで長い間必死に働いて家族を支えてきたのに、離婚で「財産分与」することにどうしても納得できないと感じる夫は決して少なくありません。
「妻は専業主婦で財産形成に何ら貢献していないのに…男が不利だ!」と、不満や憤りを感じる人は多くいます。
ここでは、離婚時に財産分与したくないという夫の立場から離婚時の財産分与について、拒否できるのか、応じないことは可能なのか、男は不利なのか、共働きで別財布にしてる場合はどうなるかなど詳しく解説します。
(なお、夫と妻が逆でも、この記事の内容は同じように当てはまります)
また、婚姻前なら「婚姻契約書」の作成という手もありますので、併せてご参考下さい。
目次
通常、離婚のときに財産分与が行われますが、妻から財産分与を求められたら必ず応じなければならないのでしょうか?財産分与しない方法を考えている方にとっては、非常に重要な問題です。まず初めに、財産分与はどのような場合にしなければならないのかを詳しく説明します。
財産分与の請求権は、民法768条1項「財産分与請求権」で法的に認められています。
しかし、必ずしも離婚で財産分与の取り決めをしなければならないというものではありません。
夫婦のどちらかが「財産はいらないから、一刻も早く離婚したい」というような場合は、財産分与は請求しないという合意をして離婚は可能です。
そもそも分与するほどの財産がなければ、離婚届に署名押印をし、届け出をすれば離婚は成立します。
しかし、財産分与を全員が全員放棄するということはあり得ません。
つまり「財産分与請求権」が存在するゆえに、配偶者から財産分与を請求されたら原則として拒否することはできません。
さらに、配偶者の意思に反して請求権を放棄させることもできません。
つまり完全に財産分与しない方法というのは存在しないのです。
離婚に至るまでにさまざまな葛藤がありますが、最後まで拒否せず配偶者の意思を尊重する必要があります。
「離婚調停」という手続きがあります。
2人で話し合いがまとまらなかった場合、子どもがいれば親権や養育費について、また財産があれば財産分与について、調停委員を交えじっくりと話し合う手続きです。
例えばこのとき、夫婦のどちらかが財産分与に応じない場合、離婚調停は不成立となります。
手続きは裁判へ進み、裁判所がどのように財産分与すべきかを判断することになりますが、現在は、財産の2分の1を分与するケースがほとんどです。これを2分の1ルールといいます。
もし2分の1を超えるか、下回る財産分与額を主張したり拒否する場合、主張する人がその額の妥当性を立証しなければいけないと考えられています。
もちろん、妻側が「私の取り分は3割でいい」といった場合や、共働きだからそれぞれの口座を取り分とするといった場合などは、通常はそのように決まりますが、離婚というプロセスではお互いが感情的になっており、このようなケースは少ないといっていいでしょう。
妻に財産分与したくないと考える夫、財産分与しない方法を探している共働きの妻などは、財産分与の2分の1ルールにはどうしても納得できないというのが本音でしょう。ここからは、このルールに応じない方法があるのか、妻の取り分を減額することはできないのかを説明します。
妻が専業主婦の場合、夫は不公平感を抱きやすくなります。
「1円も稼いでいないのに、半分の財産を渡さないといけないのはおかしい…」と感じる男性も多くいらっしゃるでしょう。
以前であれば、妻が専業主婦の場合、財産分与の割合は20〜30%とされるケースもありました。
しかし、現在では家事も立派な仕事の一つと認識されており、離婚の財産分与は1/2が妥当という考え方が一般的です。
実際に収入を得るのは夫ですが、夫が仕事に専念できるのは妻がサポートしているからであり、専業主婦の妻も同様に財産形成に貢献しているとみなされています。
共働き夫婦の場合、妻も経済的に自立しているのだから半分も渡す必要がないのでは、と考える夫もいることでしょう。
しかし、基本的に結婚してから得た財産は、離婚においては二人の共有財産とみなされるので、2分の1の財産分与となります。
財産の名義が夫である場合も、やはり共有財産になります。
もちろん、二人が共働きで別口座でお金を管理(つまり別財布)しており「自分名義の財産のみをそれぞれ取得する」とお互いが拒否せず納得できれば、財産分与をしないということでも構いません。
つまり原則、共働きで離婚時に財産分与しない方法は、別財布のお互いの口座をそのまま取得するという方法になります。
離婚の原因が妻の浮気であって、相手が悪いというケースがあります。
しかし、この場合、離婚の有責性と財産分与は別のことと考えられています。
浮気して家を出ていった妻から財産分与を請求されれば、納得がいかなくても拒否できず2分の1を分与することになるでしょう。
ただし有責配偶者に対しては、通常、慰謝料を請求できますので、慰謝料と相殺することで実質的に財産分与を減額できることはあります。
以上のように、ほとんどの場合で、財産分与しない方法はなく「2分の1ルールが適用」されることがご理解できたかと思います。
では、減額される可能性はないのかというとそういうわけではありません。
財産分与を考えるとき、財産形成にどれだけ貢献できたのかという「寄与度」(貢献度)が大きなポイントとなります。
もし財産分与者(共働きでない場合は、ほとんどが夫にあたります)が「特殊な技能」で大きく財産を築いた場合は、妻への財産分与を減額できる可能性があります。
たとえば、典型的な例が「夫がもともと医者」で、病院を経営し大きく財産を築いた場合などです。
こういった場合は、財産分与は減額できる可能性があります。
財産分与をしたくない時には、注意すべき点があります。ここでは、財産分与のときにやってはいけないことを説明します。
財産分与したくないと拒否して預金や財産を故意に隠す人も多いです。
しかし、もし離婚が裁判まで進んだ場合、裁判所は金融機関などに対して財産調査(調査嘱託)をすることが可能です。
そのため、財産隠しは賢明とはいえません。
離婚した後2年が経過していても、故意の財産隠しが発覚すると、金銭を請求される可能性があります。
せっかく築いた財産を渡すぐらいならと「別居後に使い込む」人がいます。
しかし、財産分与される金額はあくまで「別居時の金額」です。
そのため、別居後に使い込んで財産が少なくなっていても支払う義務がなくなるわけではありません。
財産分与は法的なプロセスであり、法律に基づいて行われるべきです。離婚に関する法律や財産分与に関する規定をよく理解し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
協議離婚の場合は、二人で決めた内容を文書に残しておくことはとても大事です。
ここでは、離婚協議書と念書について説明します。重要なポイントなので、注意点を抑えておきましょう。
「離婚協議書」とは、離婚する夫婦が親権や財産分与、慰謝料など取り決めた内容を書面に記したものです。
決まった形式はなく、基本的に話し合いで合意できた内容を記載するのが一般的です。
離婚協議書は、夫婦二人が対等の立場で作成することになりますので、二人とも署名押印をすることが多いです。
一方、「念書」とは、一方が当事者の片方に約束した事柄を文書に記し、証拠として差し出すものです。
念書は、念書を差し出す側のみが署名押印することになります。
離婚協議書も念書も、後々「言った、言わない」というトラブルを未然に防ぐのに役立ちます。
念書は上記のとおり、片方のみが署名押印した文書です。ただ、離婚の際は双方が相手に対して何らかの義務を負うことが多いので、やはり離婚する際に決めた内容に関しては、二人の署名押印があるほうがいいでしょう。
また、強制執行を行えるようにしておくには、公正証書の作成が必要です。
「清算条項」とは、「この取り決めにより全ての事柄は解決されたものとし、今後はその他の金銭をお互いに一切請求しない」とした条項のことをいいます。
この一文がないと、後になって、予想外の金銭請求を受けるリスクがあります。
「扶養的財産分与」とは、離婚後に妻が経済的に困窮することがないように、自立して一定の収入が得られるようになるまで経済的に支援するものです。
長年専業主婦だった女性が安定した仕事に就くことは難しく、離婚後に夫婦間で大きな経済格差が生まれるのは不公平、という考え方に基づいています。
妻側が正社員として就職できた場合などは考慮する必要はありませんし、絶対に支払わなければならないというような決まりもありません。
「離婚時」から2年が経つと、時効により、夫婦のどちらも財産分与請求権を行使することはできなくなります(民法768条2項ただし書)。
この場合の離婚時とは、次の時点をいいます。
これらの日から2年が経っていれば、元妻から財産分与の請求があっても応じる必要はありません。