離婚してシングルマザーになると後悔?貧困が辛い・生活が苦しい
「シングルマザーは大変」とはよく聞く言葉で、「離婚をしたいのに、子どものことを考えると踏み出せない…」という方は多い…[続きを読む]
子持ち女性が離婚を考える時、一番心配なのは離婚後の生活(経済的な問題)ではないでしょうか。
2019年に内閣府が公表した調査データによると、日本におけるひとり親世帯の子どもの貧困率は過半数と思われます。また、厚生労働省が2022年12月に公表した調査データによると、ひとり親世帯(母子家庭)の平均年収は236万円で、かなり厳しい生活を送っていると言えます。
国民生活基礎調査によると、80%以上のシンママ(シングルマザー)が「生活が苦しい」状況だと回答しているそうです。
離婚後の元夫からの養育費は未払いになるケースも多く、最初から「あてにできない」と考える方も多いことでしょう。
このような実情から、国や自治体は、子持ち離婚あるいは未婚で出産をした1人親世帯の支援に力を入れ始めています。
しかし、このような補助金や助成金の多くは、「自ら申請」しなくては利用できません。
子持ち離婚後の生活を安定させるため、この記事ではあらゆる支援制度をご紹介していきます。1人親世帯の方は積極的に活用しましょう。
目次
離婚したひとり親がもらえるお金の代表であり、真っ先に申請したいのが児童扶養手当です。
児童扶養手当とは、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親)の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。(引用:東京都福祉局)
制度の内容を簡単にまとめると下記の通りになります。
児童扶養手当には、支給に際し「所得制限」があることに注意が必要です。
請求者及び請求者と生計を同じくする扶養義務者等の前年の所得が限度額以上のときは、手当の全部又は一部が支給停止となります。
例えば、毎月上限額の44,140円(児童一人の場合:2023年時点)を受け取れるのは、子どもが1人の場合なら合計所得金額が87万円までの人となり、合計所得金額が230万円を超えると支給が打ち切られます。
(※限度額は年によって変更されることがあります。)
「所得が増えると支給額が少なくなる」と聞くと、なるべく手当てを受け取れる範囲内で働くべきかと悩む方もいるでしょう。
しかし、児童扶養手当だけで母子家庭で生活していくのは厳しいと言わざるを得ません。支給を受けるために仕事を減らすよりも、働ける状態であれば仕事を見つけてキャリアアップしていく方が現実的でしょう。
「児童手当」は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している世帯すべてを対象に支給している助成金です。児童扶養手当と名前は似ていますが異なる制度です。
児童扶養手当と同じく、児童手当も手続きしなければ受け取れないため、対象となる家庭の方は忘れずに自治体の窓口で申請しましょう。
所得制限はあるものの最低でも600万円を超えるほど高めに設定されているので、多くの子持ち家庭は助成金の支給対象となるでしょう。
なお、児童手当の支給対象はひとり親家庭に限定されませんので、婚姻中からすでに受け取っているというご家庭もあるかもしれません。
仮に夫の口座に振り込まれているような場合には、親権を得た側の口座へと振込先を変えておくことが必要です。
【障がいがある子どもへの特別制度】
子どもが精神または身体に障がいを有しているケースや、重度障害児を養育しているケースでは、「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」が利用できます。住所地の市区町村の窓口へ申請する必要があるので、対象となりそうな場合はどちらも受け取ることをお勧めします(併用可能)。
国の制度ではありませんが、各自治体は児童の心身の健やかな成長と児童の福祉の増進のために児童育成手当を実施していることが多いです。
父母が離婚した児童は、申請者(父母又は養育者)の所得が所得制限を超えない限り、月額の手当てを受け取れる・社会保険料などを控除してもらえるでしょう。
例えば、墨田区や新宿区、江戸川区、練馬区などの東京都内の区では、所得制限以内ならば児童1人につき月額13,500円の手当てを受け取ることができます。
ひとり親家庭等医療費助成制度は、医療費の負担を軽減する目的で自治体が主体となって実施している支援サービスです。
18歳に達した日の属する年度の末日(障害がある場合は20歳未満)までの子どもを養育するひとり親家庭等の母・父が対象で、国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担分から一部負担金を差し引いた額を助成してくれます。
(※ひとり親家庭等の所得が限度額以上の方や、生活保護を受けている方は対象外です。)
例えば、令和元年8月診療分からは、住民税課税世帯の子どもが通院した場合の負担割合は1割です(年間上限:144,000円)。一方、住民税非課税世帯の子どもが入院・通院した場合は自己負担なしとなります。
(※負担金や所得制限限度額については市区町村によって異なります。)
また、同じく医療費を軽減する制度として、各自治体がこどもの医療費助成を実施していることもあります。これには根拠となる法律がないため、地域の財政や政策によって詳細の内容はさまざまです。
義務教育修了までを対象とするケースが多く見られる一方で、22歳まで医療費を無料としている自治体もあります。一度住んでいる自治体のホームページをチェックしてみることをおすすめします。
納税者がひとり親であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。
生計を一にする子がいるひとり親で、合計所得金額が500万円以下であることなどの条件を満たせば、所得税が35万円控除されます。
(※寡婦控除(寡夫控除)とひとり親控除は同時に受けることができません。)
毎月の出費の中で多くを占めるのは、やはり「家賃」です。
家賃補助制度(家賃助成)は、国の制度ではないものの、各自治体が独自に様々な制度を提供しています。
例えば、東京都世田谷区では「ひとり親世帯家賃低廉化補助事業対象住宅」というものを案内しています。
これは、「ひとり親世帯の方が、対象の住宅に転居される場合に、区が賃貸人(家主等)に家賃の一部を補助することで、入居者の家賃負担額が減額になる事業を実施」するというものです。
他にも、自治体により公営住宅の入居で優遇措置が受けられる、市が家賃の一部を助成してくれる、などというケースもありますので、一度お住まいの自治体の制度を確認してみると良いでしょう。
今回は、離婚したら場合(ひとり親になった場合)に国や市区町村(自治体)から受け取れるお金、母子家庭(父子家庭)のための補助金・助成金について解説しました。
厚生労働省によると、令和3年のひとり人親世帯数は134.4万世帯を突破しました。
シングルマザーの過半数が非正規雇用というデータもあり、シングルマザーの平均年収は272万円とたいへん厳しい状況です(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要|厚生労働省)。
危機感を募らせた国が自治体が様々な制度を打ち出していますが、これは知った上で申請をしなければ受け取れないお金も多いです。本記事を参考に、受け取れる助成金がないかをご確認ください。
また、先輩シングルマザーが立ち上げた民間団体などの支援団体も増えてきています。一人だけで悩まず、さまざまな支援サービスを賢く利用してみましょう。
なお、離婚時に養育費の取り決めをしても、未払い(滞納)が発生するケースは非常に多いです。
もし、元配偶者からの養育費支払いが滞ってお悩みならば、離婚問題・男女問題に強い弁護士事務所への依頼をお勧めします。
特に、「養育費の未払い問題」を取り扱っている法律事務所ならば、強制執行などの裁判手続きまで活用して養育費の回収をサポートしてくれます。