離婚で住宅ローンのある家に妻が住む方法|借り換えの審査の流れやメリットを解説
今回は離婚時の住宅ローンの借り換え、特に夫が出ていき、妻が住むケースのメリットや審査の流れ、注意点を解説いたします。…[続きを読む]
離婚は、多くの方にとって複雑な問題を抱える大きな変化ですが、その中で住宅ローンの問題も懸念材料となることがあります。
住宅ローンを抱えた状態での離婚においては、どのような対策をとるべきか、ケース別に詳しく解説します。住宅ローンあるけど、離婚したい方、離婚後の支払い義務があるのか、養育費と相殺できないか、そもそも離婚できないのかとお考えの方はぜひ参考下さい。
目次
例えば、住宅ローンがあるけど、離婚できないのではないかと考える人もいるようです。
また、住宅ローンがある場合に、妻がそのまますみ続ける場合、妻に支払い義務があるのではないかと思う人もいます。
ただ、両方間違いであり、住宅ローンがあるけど離婚したいなら可能ですし、妻に必ずしも支払い義務があるわけでもありません。
パターン別に、以下解説します。
住宅ローンがあるけど離婚したいと考えた場合、離婚後に主債務者には夫がなることが一般的です。
夫がそのまま住宅に住み続けて住宅ローンを返済していく場合、特に名義変更などの手続きなども必要なく、一番シンプルなケースとなるでしょう。
共働きでなければ、それまでも夫ひとりで住宅ローンを返済していたはずなので、基本的にはローンの返済で変わることはなく、苦しむこともありません。
しかし、子どもがいる場合には養育費の支払いなどもありますので、しっかりとシミュレーションをしておかなくてはなりません。
お互いの同意があるならば折半ではなく夫が7割、妻が3割というように考慮して分割することもできます。住宅ローンの頭金として夫が1,000万円を出していた場合などには、その事情も考慮され相殺できる可能性もあります。例えば、現在の家の価値が3,000万円、住宅ローン残高が2,500万円という場合には、500万円のプラスの財産があるとみなされるのです。
また、もう一つの例として、家以外その他に共有財産がなく、夫が頭金を1,000万円出していたという事情がある場合には、夫の取り分は家と住宅ローン、妻の取り分はゼロとするのが公平でしょう。
実際にはこのような場合でもしばらくの生活費を考慮し妻に200万円程度を渡すという夫もいます。
上記のように住宅ローンがあっても、離婚できないなんてことはありません。
また、「住宅ローンあるけど、夫と妻双方で支払いながら、妻が住む」パターンも多いケースです。
夫側からすると、実際にその家に住んでいない元夫が住宅ローンを返済していくことになります。
夫側からすると、妻が住宅ローンを滞納して家が強制的に売却されてしまったとしても本人は大きなデメリットを受けません。
離婚前に夫側が「住宅ローンをしっかりと返済する」という約束をしていたのに、別れた夫が住宅ローンを滞納して家が強制的に売られてしまったというトラブルも起きているので、このパターンは注意することが多いです。
夫が家に住みつづける場合は「ローンを返済しなければ家を追い出されてしまう」という心理的要因が働き、一生懸命になってローンを返済することが期待できます。しかし、別れて暮らしている場合にはこの心理的要因がなく、住宅ローン返済の優先順位が低くなってしまうこともあるようです。
離婚したいと思った場合、離婚後に妻がすみ続けるパターンについては、下記のページが詳しいのであわせてご参照ください。
妻が家をもらって夫が住宅ローンの返済を続けて妻が住む場合に、家の保有名義人を妻に変更するかどうかが問題となります。
「住宅ローンの契約者がその家に住んでいる」ということが条件となっている場合には注意が必要です。
契約者である夫が家を出て行き、妻が家の名義人になっているという状況は契約違反であるとみなされるため、金融機関から契約解除され一括返済を請求されてしまう可能性があります。
この解決策として、ローンを完済するまでは家の保有名義人を「夫のままにしておく」ということが1つにあげられます。
その時する約束を履行引受といいますが、妻がローンを完済するまで20年以上が経過し、その後に夫が名義変更するという形です。
ただし20年先に夫が応じてくれる保証がありませんし、勝手に住宅を売却されるおそれもありますので、離婚協議書や公正証書にしっかりと記載しておくことが重要になります。
他には、妻に十分な収入があるのならば、妻が住宅ローンの名義人となるという方法もあります。
通常は金融機関はローンが残っている場合名義変更を承諾いたしませんが、金融機関が「返済能力に問題なし」と判断して審査に通れば、住宅ローンの名義人を妻に変更することも可能でしょう(これを免責的債務引受と言います)。
「離婚したい、早く売却してしまいたい」という夫婦も多いはずです。
しかし、残高が「オーバーローン」となっている場合には、持ち家を売るという選択肢はとりにくくなります。そのため、離婚できないのではないかと考えがちなのです。
任意売却をするという方法もありますが、任意売却は住宅ローンの返済が困難となった人向けの制度です。離婚や転勤が原因で家を売りたいという人が任意売却を利用できないというわけではありませんが、ブラックリストにのってしまうなどのデメリットが大きいといえます。
ローンを返済できないという事情がないならば、夫もしくは妻が引き続き持ち家に住み続けて、住宅ローンの返済を進めるのがよいでしょう。
オーバーローンの状態が解除された後になってから、あらためて家を売るかどうかを検討するのが賢明です。
離婚時に住宅ローン付きのマイホームを残したままにしておくと、後々のトラブルにつながる可能性が高いです。
特に離婚したい場合で、オーバーローンとなっていないならば、家を売ってしまうことが一番の方法でしょう。また、住宅ローンの残高が2,000万円だったとして、家が2,200万円で売却できたなら200万円の現金が残ります。その現金を財産分与の対象として、夫と妻で公平に分割するというのがよいでしょう。
しかし、住宅ローンの残高が2,000万円なのに、家の査定をしたら1,800万円にしかならなかったという場合には、そのままでは家は売れません。この場合、そのままローンの返済を続けてオーバーローンの状態が解除されてから家の売却を検討しましょう。ブラックリストにのってしまうといったデメリットを考慮してもなおメリットのほうが大きくなりそうな場合には、任意売却も1つの手となります。
妻が連帯保証人もしくは連帯債務者となっている場合で、離婚をするのでその立場から逃れたいという事例について考えてみます。
その場合、金融機関が同意をしてくれるのならば妻は連帯保証人などの立場から外してもらうことが可能です。しかし、金融機関としては主債務者が返済してくれなくなったときの保証はできるだけ多く残しておきたいので、無条件で連帯保証人などの立場から外してもらうことは難しいでしょう。
代わりの連帯保証人を連れてくることができるのならば同意してもらえる可能性は上がりますが、その連帯保証人に返済能力があるということが条件です。一度連帯保証人や連帯債務者となってしまうとその立場から外してもらうことは難しくなるので、ペアローンや収入合算を利用するときは慎重に検討しましょう。
不動産会社によって査定金額は変わるので、以下の対応をしっかりしましょう。
家がいくらで売れるのかがわかったら、「そのタイミングで売ってしまうのか」「それともローンの返済を続けたほうがよいのか」メリットの判断がしやすくなるはずです。
財産分与が争いに発展してしまいそうな時、住宅ローンあるけど離婚したい場合、離婚できないのではないかとお考えの場合、支払い義務はあるのかどうか気になる方などは、「離婚に強い弁護士」にご依頼ください。