財産分与の対象にならないもの|結婚前の貯金や親からの贈与はどうなる?

結婚手続きにおいて、しばしば紛争の元となるのが財産分与の方法です。

特に、「財産分与にならないもの」という点を適切に考慮しないと、後々トラブルの原因になることがあります。

離婚時において、夫婦の共通の貯金は基本的には半分ずつ分けることが通例とされています。

しかしながら、「本当にすべての財産を平等に分割しなければならないのだろうか?」という疑問が浮かぶこともあるかもしれません。親からの贈与や結婚前からの財産、家を建てるための頭金や親からの車の贈与などについてはどうなるのでしょうか。

この記事では、離婚時の財産分与を具体例を挙げて、ギャンブルでの借金や結婚前からの所有物などを通じて、実際の財産分与について、親に出してもらった家の頭金はどうなるのか、詳しく解説していきます。

財産分与の対象にならないもの|ギャンブル・浪費による借金は論外

ギャンブルの借金は論外

ギャンブルなどでできた借金は財産分与においては論外となります。

ギャンブルでの借金は家や車のローンなどとは異なり、結婚生活とは無関係であるため、離婚しても借金をした本人だけがそれを引き継ぐことになります。

浪費も論外

同様に、服や宝石を買いあさるなど、収入に見合わない個人的な買い物で作った借金も財産分与をせず「買い物をした本人だけ」が責任を負うことになります。

このあたりは揉めがちでもありますが、しっかりと丁寧に協議離婚をすすめていけば円満に解決することができます。

財産分与は本当にすべて折半か

本題に入る前に、財産分与を考える上でまず、大前提として「共有財産」と「特有財産」という概念を理解しておく必要があります。

共有財産とは

共有財産というのは文字通り夫婦が共有している財産なので離婚時には折半して半分ずつに分けなければなりません。

特有財産とは

しかし、それに対して、特有財産というのは夫あるいは妻の個人的財産であるため、離婚しても分ける必要がないというわけです。

「どちらか一方の財産が多くなったり少なくなったりするのは不公平ではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこのような一見公平ではない分け方には大きな理由があります。

まずは財産分与の話になった場合、必ず行わなければならない「どれが共有財産で、どれが特有財産なのか」といった仕分け作業を通して、その理由を考えてみましょう。

共有財産を具体例で考えてみる

貯金は特有財産ではない

実際によくありがちな具体例で解説致します。

仮に、夫の名義で800万円、妻の名義で200万円の「貯金」が各銀行に預金されていたとします。

これらは個人名義のお金なので、それぞれの特有財産だと思う人がいるかもしれません。

しかし、実際は、貯金や保険金といったものは名義に関わらず、夫婦の共有財産とみなされます。

そのため、先の例では両方の貯金の額を足して500万円ずつわけあうのが原則となります。

カードローンから車のローン、年金なども共有財産

その他にも

  • 土地や建物などの不動産
  • 家財道具や電化品
  • 年金や退職金
  • 自動車
  • 美術品
  • 貴金属類

といったものはすべて夫婦の共有財産です。ちなみに、カードローン、家や車のローンなどの借金も負の共有財産として折半されることになります。

先述した「ギャンブルによる借金」とは扱いが全然違います。

要するに、結婚生活中に得た財産の多くは共有財産とみなされるわけです。

もちろんそれが折半になるかどうかの点については、例外もありますので注意してください。

特有財産にあたるものは何か

結婚前の貯金は財産分与の対象にならない

先述のとおり、結婚前から所有しているものは「特有財産」に分類されます。

例えば、以下のようなものが財産分与の対象にはならないものということです。

  • 婚姻前からあった貯金や借金
  • 結婚前に購入した個人の所有物

結婚後に購入したものでも財産分与の対象にならないものがある

また、結婚後に購入したとしても「日常的に使用する衣類やバッグ」などは個人の財産として認められます。

つまり、共有財産には含めないのが一般的で、財産分与の対象にはなりません。

別居中に購入したものも財産分与の対象にならないもの

離婚はしていなくても「別居状態」になってから購入したものに関しては特有財産として認められます。

相続・親からの遺産なども財産分与の対象にならないもの

さらに、相続や贈与、親からの遺産はたとえ結婚後に得たものだとしても特有財産に分類されます。

共有財産というものはあくまでも夫婦の協力によって得た財産というのが建前です。

そのため、結婚生活の有無と関係なく得た親の遺産などに関してはカウントされない、財産分与の対象にならないのです。

離婚する時、親に出してもらった家の頭金はどうなる

結婚後に購入した不動産は基本的には夫婦の共有財産です。

しかし、若い夫婦の場合だとどちらかの親がその「頭金」を出してくれるという親からの贈与のケースも少なくありません。

親に出してもらった家の頭金はどうなのでしょう。

たとえば、3,000万円のマンションを購入する際に妻の父親から頭金500万円を贈与で出してもらったとします。つまり、マンションの購入費の内「6分の1」を妻側が出しているわけです。

そして、離婚時に住宅ローンは完済しており、マンションの評価額が1,500万円になっていたとします。この場合、評価額の「6分の1」である250万円分が妻の特有財産となります。

500万円のうち250万円が戻ってくる計算となります。

そして、残りの1500万円から250万円をひいた「1,250万円」が共有財産とみなして、2人で折半することになります。

これは、家だけではなく、親に買ってもらった車なども同様です。これが、親に出してもらった家の頭金の実情です。

証拠の保管が大切!結婚前の貯金・財産を証明するには

証明できないと水掛け論になる

「しかし共有財産と特有財産の見分け方が分かったとしても、どうやって証明するの?」と思う方もいらっしゃると思います。

全くそのとおりで、問題はそれをいかにして証明するかです。

いくら「これは入籍前に購入したものだから私の特有財産だ」と主張してもそれを証明するものがなければ水掛け論になるだけです。その結果、離婚調停や離婚裁判ではこちらの主張が認められずに共有財産だと認定されるケースも少なくありません。

夫婦財産契約はダメ?

それを防ぐには確固とした証拠を用意する必要があります。その方法として最も確実なのが「夫婦財産契約」を結ぶことです。

これを締結すれば離婚してもどの財産が誰のものであるかを証明することができます。実際、海外では多くの人がこの制度を利用しています。

ただ、この契約は「結婚前にしか結ぶことができない」うえに、結婚前から財産分与の話をすると相手への愛情が疑われかねません。そのため、日本ではほとんど利用者がいないというのが実情です。

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少ない証拠をかき集めるしかないか

現実的にはできることといえば以下のことぐらいです。

たとえば貯金が自分の特有財産だと証明するには結婚前の貯金通帳を引っ張り出してくることです。

銀行から取引履歴を出してもらうことも可能ですが、費用がかかるうえに5年を超える顧客データーは原則として保管されないことになっています。

また贈与や相続によって財産を得た場合はそれを証明する書類を作成しておくことが重要です。ただ、書面があればよいというわけではなく、法的にも効力を持つためには署名、日付、金額の記載など、いくつかの条件が必要になってきます。

まとめ:弁護士相談がおすすめ

結婚前の貯金や財産が莫大であったり、納得いかないことが多い場合は、離婚に強い弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

特に、特有財産の証明は婚姻生活が長くなるほど困難になるものです。

いざ離婚となったときに財産分与でもめないためにも特有財産の証拠となるものは大切に保管しておくようにしましょう。

離婚に強い弁護士が法的に解決いたします

離婚問題でお困りの方は、離婚に強い弁護士にご相談ください。慰謝料、財産分与、親権など離婚を有利に進めることができる可能性があります。

弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 慰謝料がもらえない
  2. 財産分与が妥当でない
  3. 親権がとられそう
  4. 養育費が納得いかない

離婚に強い弁護士に相談・依頼することで、相手との交渉を有利にすすめ、難しい手続きもサポートしてもらえます。

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執筆・監修
服部 貞昭 ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
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