DV男・DV旦那の特徴と心理|なぜ暴力を振るうのか?
「DVは許されないこと」という風潮が広まっているにも関わらず、DVをする男性(夫・旦那)は常に一定数存在します。なぜ…[続きを読む]
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、家庭内暴力の略称です。
コロナ禍で夫婦が揃って自宅に居る時間が増えたことを皮切りに、近年はパートナーからの暴力を受けている被害者の女性が増加傾向にあります。
DV夫が原因で離婚を決意する妻も多いですが、中には激しい暴力を受けながらもDV夫となかなか別れられない女性や、離婚したくないという心理を持つ女性も少なくありません。
その理由は様々ですが、DVに苦しんでいるならば離婚に踏み切るべきと言えるケースがほとんどです。
今回は、暴力を振るう(DVをする)夫となぜ別れられないのか、 その心理や理由を考えた後、DV問題から抜け出し離婚する方法を解説します。
目次
そもそも「DV」にはいくつか種類があります。殴る・蹴る・叩くなどといった直接的な暴力だけではなく、以下のような様々な暴力の類型がありますので、「殴られてはいないからDVではない」とは一概には言えません。
これらは単体で行われることもあれば、複数の種類を組み合わせて行われることもあります。
DVと聞いた時、一番に頭に浮かぶと考えられるものは身体的暴力でしょう。
物を投げつける(殴るそぶりをする)、殴る、蹴る、腕を掴んで捻る、突き飛ばす、首を絞める、引き摺り回すなどの行動が挙げられます。
身体的暴力の場合には被害者の身体に傷や痣が残るため、比較的被害を発見しやすい傾向にあります。また、被害者もDVを受けていると自認しているケースが多いでしょう。
しかし、服で隠れる部分を殴られる、後が残らない程度の暴力を振るわれるといった事例もあり、この場合は第三者になかなか気付いてもらえません。
直接的な暴力はないものの精神的に追い詰めるというケースも、れっきとしたDV行為です。
大声で怒鳴る、何をいっても無視をして口をきかない、人前でバカにする、お金を渡さないなどが挙げられます。倫理観を振りかざして相手を侮辱するならば「モラハラ」とも呼ばれます。
精神的暴力の多くは、言葉によって精神的な苦痛を負わせるものです。下記の例は全て精神的暴力に該当します。
精神的暴力は、身体的暴力とは異なり証拠が残りにくいため、第三者にもなかなか気が付いてもらうことができず、被害者は一人苦しむことが多いです。また、「殴られてはいないからDVではないのだろう」と思い、自分を責めて抱え込んでしまう傾向もあります。
「性」に関連する嫌がらせです。
性行為の強要、避妊に協力しない、中絶の強要、見たくないのにポルノビデオを見せるなどが挙げられます。
また、子供が授からないことを妻のせいにする、浮気をしていた当事者が自分の浮気を許すように強要することも該当します。
性的暴力は、精神的暴力同様に証拠が残りにくいため第三者に気が付いてもらうことは難しいです。
更に、「性」に関することであるため、他人に相談することも難しいといった問題点があります。
上記の通り、身体的暴力により怪我をすれば外傷が見えますが、他は第三者からは発見されにくい傾向があります。また、「他の家庭でもこうなのかもしれない」「自分が上手くできないせいだ」と考えてしまい周囲に訴えられないケースが多いほか、プライバシーに関わる性的虐待については親族や親しい友人にも話しづらいものです。
結果として、DV被害を受けても逃げられずに一人で耐えてしまう方が多いのが現状です。
DV被害を受け日々辛い思いをしながらも、なかなか離婚に踏み出すことができずにいる人は少なくありません。中には、別居をしても戻ってしまう人、離れられない人もいます。
DVから逃げるきっかけを作るためにも、まずはDV被害を受けていながら離婚できない(離婚したくない)被害者の心理について見ていきましょう。
どれだけ夫から暴力を受け、心無い言葉を吐かれても、「夫のことが好きだから一緒にいたい」と考える被害者は多いです。
というのも、DV夫は普段は温厚で優しい傾向があります。また、DVも毎日されているわけではない、ということもあります。
そのため、夫の良いところ、優しい場面に触れることも多々あり、なかなか嫌いになることができないのです。
特に、結婚前に付き合っていた頃は暴力がなかったというようなケースでは、「反省して昔のように戻ってくれるのではないか」「自分がしっかりすればまた心から愛してくれるはず」という期待を持っている方も多いです。
「夫には自分が、自分には夫が必要だから離婚しない」と考えている被害者もいます。
このように、お互いに相手に対して自分自身の存在価値を委ね合っている心理状態を「共依存」と呼びます。カップルであっても夫婦であっても「自分がいないとだめだ」と思い込んでしまっているところが特徴です。
DV夫側としては、DVによって妻が自分から離れてしまうかもしれないという恐怖心から、暴力の後に謝ったり優しい態度を取ります。そして、それを受けた妻は「普段は優しい夫がこんなことをしたのは自分が悪いのだ」と感じてしまいます。
そこから「自分が夫を支えなければいけない」「自分がいないとこの人はだめだ」と感じるようになり、そのままDVを受け入れてしまうのです。
こうして妻が自分から離れないと確信した夫は、何らかのきっかけでDVを行い、すぐに謝ったり優しい態度を取ったりする、というループを繰り返すようになります。
共依存になると、周囲がDVを指摘したり別れることを助言しても「自分の存在価値が否定される」と思い込んでしまうことが多々あります。これが共依存の怖さです。
「離婚を切り出したら何をされるかわからない」と、離婚を切り出すことに怯えてしまう被害者の方は多いです。
DVから逃げられない女性に多い心理状況として、「暴力による恐怖に支配されている」状態があります。
そのため、無理に逃げ出すよりも大人しく従っていた方がいい、離婚はせずに黙っている方が安全だと考えてしまいます。暴力による支配で正常な判断力が鈍ってしまっているのです。
自身の収入がない(もしくは少ない)場合、DV夫の収入に依存した生活を送っているため離婚できないということもあります。
特に専業主婦の場合には、離婚する際には新しく就職先を見つけなければなりません。また、離婚に伴う引越しや諸手続きの費用、離婚後の生活費の確保も必要になります。
今後の不安定な生活を考えると、「少し辛くても我慢して、今の生活を続ける方が良い」と感じてしまうのです。
離婚に伴う子どもへの影響を心配して、離婚できないということも多くあります。
どんなに暴力を振るう旦那であっても、子どもにとってはたった1人の父親です。「子どもを片親にしたくない」と、子を優先して我慢することを選ぶDV被害者は多いのです。
また、子どもがいる場合には離婚後の生活に不安を抱えている場合も多いです。子どもを育てる費用を考えると、養育費があったとしても離婚という決断はできないと考えるのは仕方がありません。
しかし、「子どもが成人するまでは…」と我慢を続けることが子どもや自分に悪影響を与えるのは言うまでもありません。
毎日のように暴力や罵声が浴びせられるような家庭で育つと、たとえ子どもに直接的な矛先が向かなかったとしても、以下のような影響が出ることが考えられます。
別居後は婚姻費用、離婚後は養育費を受け取ることができます。我慢をすることが本当に子どものためになるのか?という点は、冷静になってよく考えるべきと言えます。
DVの被害者は、自己評価が低くなる傾向があります。
自分に価値がないと感じると、離婚して夫がいなくなっては本当に誰にも愛されないのでは?という恐怖を抱くことがあります。あるいは、自分が幸せになる権利がないと考え、そもそも離婚を考えることができなくなる場合もあります。
DV被害に遭っているのに逃げられない心理・理由というのは様々ですが、辛い思いをしているならばやはり離婚を決断するべきと言えます。
特に身体的暴力があるDVでは、暴力を振るわれ身体や生命に危険が及ぶケースがあります。
DVやモラハラなどの身体的暴力・精神的暴力を受けているようなケースでは、なるべく早急に別居してから離婚の手続を開始すべきといえます。
DV・モラハラがあるケースでは、同居自体が精神的な負担になります。
同居の上で相手と離婚について話し合いをしようとしても、相手がこれに応じず、却って攻撃を受けてしまう可能性もあります。そのような場合は、やはり何よりもご自身の身の安全が第一です。
とはいえ、「別居後の住所を探し当てられたらどうしよう」「別居をして生活していけるお金なんてない」とお悩みの方がほとんどでしょう。
そこで、DV離婚やそれに先駆けた別居は、専門家である弁護士に相談・依頼するべきです。
弁護士は、まず、慰謝料請求のために必要なDVの証拠の集め方と、安全な別居のための準備をアドバイスしてくれます。そして、弁護士に依頼をすることで別居後の婚姻費用の請求や離婚手続きも代理してもらえますので、それ以降相手方と顔を合わせる必要がなくなります。
なお、DV問題の相談を受け付けている窓口を以下のコラムでご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
DVは許されざる行為です。しかし、DVを受け続けているうちに、精神的なストレスから「自分が悪いんだ」「夫は自分のためにこのようなことをしているんだ」と考えるようになってしまうことも少なくありません。
被害女性は、DVによって精神的に支配・洗脳されてしまっていることも多く、結果的に加害者から逃げられなくなってしまう(逃げようとしても戻ってしまう)こともあるでしょう。
「もしかしてDVを受けているのかもしれない」「DV被害に悩んでいるが、離婚を切り出せない」「離婚後の生活に不安がある、お金をしっかり貰いたい」「リスクのない別居・離婚をサポートしてほしい」などのお悩みがあれば、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。
弁護士は、安全な別居の方法やDVの証拠集めのやり方など、今できる対応方法からアドバイスをしてくれます。離婚の協議や調停についても代理人としてサポートしてくれますので、その後は配偶者と顔を合わせるる必要もなくなります。
また、DVやモラハラに関する慰謝料請求、財産分与の交渉、養育費の取り決めなども行い、被害者の方の離婚後の生活をサポートします。
DV被害にお悩みの方で離婚や慰謝料請求を考えているならば、ぜひ一度弁護士にご相談ください。