妻からの暴力・暴言|逆DV・逆モラハラ妻の特徴と対処法とは

服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
新宿・はっとりFP事務所
  • 妻の暴力が激しすぎて、怖い
  • 妻の暴言でノイローゼになりそうだ。周りにも相談しくい

妻の暴力や暴言の被害にあっていることは、社会的な立場やプライドから考えてもなかなか相談しにくいことです。

また、妻の言動をおかしいと感じているが、DVやモラハラかどうか判断ができずにいるというケースもあります。

そこでこの記事では、逆DV・逆モラハラの特徴と、被害を受けた男性が、どう対処していくべきかについて解説していきます。

逆DV・逆モラハラ

逆DV・逆モラハラとは?ヒステリーとの違い

逆DV・逆モラハラとは、妻が夫に対して行う、暴力や暴言などのDV・モラハラ行為のことです。

世間一般的には、DVというと「夫から妻への暴力」というイメージがあります。そのため、妻からの暴力であることを強調するために「逆」という言葉をつけているのです。

逆DV・逆モラハラでは、直接の身体的暴力よりも、精神的暴力や言葉の暴力の方が多い傾向にあります。

また、リストカットや「もう死んでやる!」という発言を繰り返して相手の行動をコントロールするなど、女性という弱い立場を装った脅し行為を取るという特徴もあります。

逆DVはヒステリーが原因

逆DVは「ヒステリー」が原因である可能性もあります。

ヒステリーとは、一般的には興奮して負の感情がむき出しになった状態を言うこともありますが、れっきとした精神疾患の名称でもあり、「転換性障害」や「解離性障害」を指すこともあります。

精神疾患としてのヒステリーは、記憶喪失や意識障害、けいれんなどの症状があるとされており(※)、多くのケースでは妻の逆DVや逆モラハラは精神疾患のヒステリーではなく、興奮状態にある一般用語としてのヒステリーだと考えられます。
とはいえ、重度の興奮状態の場合は何らかの精神疾患の可能性もありますので、もし妻との生活を続けるのであれば、心療内科などの受診も検討してみましょう。

※『心の臨床家のための必携精神医学ハンドブック』小此木啓吾、大野 裕、 深津千賀子/創元社/1998年

逆DV・逆モラハラの5つの特徴と事例

逆DV・逆モラハラには、大きく分けて5つの種類があります。
ここでは、5つの逆DV・逆モラハラのについて、その特徴と具体的な事例について解説していきます。

身体的DV

1つ目は、身体的暴力、暴行によるものです。

具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 殴る、蹴る
  • ものを投げつける
  • 包丁を振り回す
  • バットを振り回す
  • 引っ掻く、かきむしる
  • 叩く

女性は一般的に男性よりも非力であるため、鈍器や刃物などの道具を使用した逆DVの例が多くなっています。

実際に、夫に重大な怪我や後遺症を負わせることも多く、「顔に引っ掻き傷を作った状態で出社した」「脳震盪を起こして救急搬送された」など悲痛な声があります。

精神的DV

2つ目は、精神的ダメージを増幅させる行為です。
身体的暴力を伴わず、罵詈雑言や嫌がらせで配偶者を精神的に追い詰めます。
リストカット等を伴う脅しも、この精神的DVに含まれます。

具体的には以下のような行為があります。

  • 夫の仕事を馬鹿にする
  • 収入が少ないことを馬鹿にする
  • 他の男性と比べて劣ることを指摘してプライドを傷つける
  • 責任を負う理由がない配偶者を執拗に攻め立てる
  • 配偶者の人格を否定する発言を繰り返す

このような行動を繰り返し、夫としての威厳を失わせ、家に居づらくさせるのです。

また、暴言にも様々なものがあります。

  • 「私より稼ぎが少ないダメ夫」
  • 「仕事も家事育児もろくにこなせないダメなやつ」
  • 「お前なんかと結婚したせいで人生台無し」
  • 「あなたみたいなバカ夫と結婚したから子供がバカになった」
  • 「臭い、汚い」

このように、言葉の暴力でジリジリと精神的に追い詰めていきます。

経済的DV

3つ目は、経済的な虐待行為です。
資力のある妻が、資力のないもしくは乏しい配偶者の金銭的自由を制限することを指します。

具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 生活費を渡さない
  • 夫の給料を全額巻き上げる
  • 小遣いや食事代を渡さない
  • 仕事に必要な交通費や被服費を渡さない

小遣い制をとっている家庭では、このようなことが起きやすい傾向にあります。必要な金銭が与えられず、昼食代にすら事欠くほどの状況は逆DVであると言えるでしょう。経済的な依存関係を利用して相手をコントロールする試みが見受けられることがあります。

実際に、金銭的自由がなく、穴の空いた下着や靴下を履き続けているというケースもあります。

性的DV

4つ目は性的暴力です。
配偶者の同意なく性行為を強要することを指します。

具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 仕事で疲れていても毎日のように強引に性行為を求められる
  • 望まない性的嗜好を強要される

性的暴力は、その性質からなかなか相談しにくい、相談しても信じてもらえないケースが多いです。

社会的隔離DV

5つ目は社会的隔離です。
メールやLINEなどの連絡や外出を制限し、夫を社会的に隔離しようとする行為です。

具体的には、以下のような行動が挙げられます。

  • 実家や友人から隔離する
  • 電話やメールの発信者や内容を執拗に知りたがる
  • 外出を禁止する

実家と会社関係の人以外全て連絡先を削除されたというケースもあります。

逆DV・逆モラハラを受けた時の対処法

では、逆DVや逆モラハラ被害を受けた場合、どのように対処していけばよいのでしょうか。

DVやモラハラは依存性が高く、DVを行っている本人が癖になってしまっている可能性もあります。
以下の方法を参考に、早めに対策を講じるようにしましょう。

逆DVの対処法① 専門機関に相談する

まずは、専門機関に相談しましょう。

男性がDVやモラハラを相談できる窓口には以下のようなものがあります。

相談先 特徴 HP
DV相談ナビ #8008から相談機関を案内するサービス。
発信地の情報から、最寄りの相談機関の窓口の電話が自動転送されて、直接相談することができる。
DV相談ナビ(男女共同参画局)
配偶者暴力相談支援センター 配偶者からの暴力の防止および被害者の保護を図るための機関で、各都道府県に必ず設置されている。
カウンセリングや被害者の一時保護、自立した生活のための情報提供やサポートなどをしてくれる。
配偶者暴力相談支援センター(男女共同参画局)
インターネット人権相談窓口 相談フォームにご自身の基本情報と相談内容を入力して送信すると、最寄りの法務局から後日回答がくる。 法務省インターネット人権相談受付窓口

男性は、プライドが邪魔してDVやモラハラを受けていることを相談しにくい傾向があります。
そのため、男性のDV・モラハラ被害者は表面化しにくいです。

しかし、DVやモラハラはエスカレートしていくことが多く、事件化するケースも少なくありません

身の危険を感じる前に、早めに専門家に相談することをお勧めします。

逆DVの対処法② 弁護士に相談する

DVやモラハラが原因で離婚を考えているような場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。
今後の離婚を見越した中長期的な解決に関して的確なアドバイスをもらうことができます。

弁護士に相談することで、妻から婚姻費用を請求された場合の対応や、親権・面会交流等についても取り決めをすることができます。

また、DVを理由として離婚する場合には、妻に対して慰謝料請求できる場合もあります。
手続きについても、金額の合意等の難しい部分について、弁護士が交渉を代行してくれます。

第三者を挟むことで、スムーズに離婚の手続きを進めることができますし、弁護士であれば感情に流されず、法律の観点から冷静に話し合いを勧めてくれるでしょう。

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逆DVの対処法③ 警察に連絡する

DV加害者に対して、適当な処分を行ってくれるのが警察です。

DVによって生命の危険を感じるなど、緊急の対応を必要としている場合には、連絡するとよいでしょう。

逆DV・逆モラハラを理由に離婚したい場合にすべきこと

証拠を集める

まず大切なことは、DVやモラハラがあったことを証明できるような証拠を集めることです。

協議離婚が成立せず、裁判所に離婚を求める場合には、証拠が必ず必要になります。

逆DVは、民法上の離婚原因(民法770条1項5号)に該当するため、調停でも合意に至らず、裁判で離婚を判断することになった場合でも、離婚は認められやすいです。

一方で、逆モラハラの場合には、モラハラの程度や回数、頻度によって離婚原因に該当するか否かが大きく左右されます。そのため、しっかりと確実な証拠を確保しておく必要があります。

裁判で認められやすい証拠としては、以下のようなものがあります。

  • 医師の診断書、カルテ
  • 怪我をした部位の写真
  • 110番通報の出動記録
  • 暴言や暴行の録音・録画
  • 目撃者の証言・陳述書

ただし、記録を残していることが相手にバレてしまうと、相手を逆上させてしまう恐れがあるため注意が必要です。

まとめ

逆DVや逆モラハラを受けているということは、社会的な体裁や恥ずかしさから、なかなか相談することが難しいです。

しかし、男性だから我慢しなくては、ということは決してありません。

一人で悩みを抱え込まずに、専門機関や弁護士に相談しましょう。

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