知っておくべき養育費の決め方|年収や支払期間は?合意書は必要?

養育費の決め方がわからない・・・!離婚する際、養育費の決め方というのは非常に難しく、実際に悩んでいる方も多い問題です。

  • 養育費の相場金額はいくらか、年収や手取りで決まるのか
  • どうやって養育費の金額を決めればいいのか
  • いつからいつまで支払うことになるのか
  • 養育費を決める場合の注意点は

など、すべて手探りで頑張る方も少なくないでしょう。

この記事では、離婚時の養育費の決め方についてお悩みの方に、これらの養育費をめぐる疑問点、計算式はあるのか、年収や手取りで決まるのかなどを分かりやすく解説します。

離婚の養育費とは

養育費と法律

養育費とは、子供の監護・教育のために必要な費用のことです。

親が離婚する際には親権者を決めます。親権者は、子どもの監護と教育を行う権利と義務を負います(民法820条)。要は一人前に育てる権利と責任があるということです。

しかし、子供が成長して、経済的・社会的に自立するまでには、衣食住、教育、医療などたくさんの費用がかかります

そこで民法では、親権者ではない者にも、この費用を分担する義務を課しています。

民法766条
1項「父母が協議上の離婚をするときは、(中略)子の監護に要する費用の分担(中略)は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
2項「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。」

養育費の理念|生活保持義務

この養育費を考える上で、念頭に置くべきとされる「生活保持義務」という原則があります。

そもそも、親子は血のつながった直系血族として、互いに扶養する義務が課されています(第877条)。扶養とは経済的な生活支援を意味します。
この義務は、婚姻中であろうと離婚後であろうと変わりはありませんから、離婚後も、親は子供を扶養する義務があります。

そして、この扶養義務は、親の生活に余力がなくても、自分と同じ水準の生活を子どもに保証する義務と理解されています。
これが「生活保持義務」です。

どうやって養育費を決めるか|方法・手続き

どうやって決めるのかは簡単で。養育費の金額の決め方として、基本的にはまず父母の「話し合い」で決めます。

つまり、極端に言うと、養育費の金額自体はお互い納得しさえすればいくらでも良いのです。

ただ、話し合いで決まらない場合には「調停」「審判」の手続きで決めてもらうこともあります。

家庭裁判所での手続については、以下の記事をご覧ください。

養育費について離婚後に取り決めるという場合には、家庭裁判所で行われる「養育費請求調停」の手続きを利用しましょう。この…[続きを読む]

養育費の相場金額はどのくらい?

養育費の金額に計算式はあるのか

では、具体的に養育費の金額はいくら程度に決め、内訳などを出すのかなど考えつつ、どのように計算すればいいのでしょうか。

「親と同じ生活水準を保てる額」というだけでは具体的な基準となり得ません。

そこで、どうやって決めるのかは計算式ではなく、家庭裁判所の調停・審判では、裁判所が公表している「養育費算定表」に基づいて、毎月支払うべき養育費の金額を決めています。

【参考】裁判所:養育費算定表

養育費算定表とは|年収や手取りで決まるの?

算定表は、以下の4項目さえわかれば、これを表に当てはめるだけで養育費の概算がわかるというものです(2万円きざみ)。統計数値を用いて、養育費をめぐる紛争の効率的な処理を図ることを目的(※)として作成されました。

※事件処理の効率化というのは裁判所の負担を軽くする点もありますが、養育費をめぐる争いが長引くことは、何より子どもの生活を脅かす現実的な危険があるので、算定表による迅速な金額決定は子どもの福祉のためという重要な意味もあります。

  1. 子どもの年齢(14歳以下か、15歳以上か)
  2. 子どもの人数
  3. 支払う者(義務者)の収入と就業形態(給与所得者か自営業か)
  4. 受け取る者(権利者)の収入と就業形態

つまり、年収や手取りだけではなく、子供の年齢や人数も関係してきます。

この養育費算定表はあくまでも一つの目安で、法的な効力はありませんから、建前上はこれに拘束されるわけではありません。

特に離婚する当事者同士は、話合いでどのようにでも養育費の内容を決めることができますから、算定表は参考にとどめて、互いが納得し、大切な子どもの幸福が損なわれないよう、しっかりと話し合うことが必要です。

表の見方は簡単で、子供の人数と年齢(0歳~14歳か、15歳~19歳)で適切な表を開き、収入に応じた部分を見れば分かります。

養育費計算ツール

当サイトでは、簡単に養育費の目安額を計算できるツールをご用意しています。

ぜひ参考にご活用ください。

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養育費の支払い期間は?(支払の始期と終期)

養育費の支払いはいつから?

養育費は、通常は月々の支払ですから、支払いの始期と終期を決める必要があります。

ただし、養育費を一括払いしてはいけないわけではありません。
実際に相当な資産家の場合には一括払いというのもある例です。

支払の始期は、合意の翌月からと決めることが多いでしょう。
もちろん、合意した月の月末からでもかまいません。基本的には合意すれば自由に定めることができます。

過去分の支払い請求については、少しあとの「過去の養育費を請求できる?」でご説明します。

養育費の支払いはいつまで?

原則、支払期間について定めはありません。

詳しくは、下記ページをご参考ください。

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過去の養育費を請求できる?

過去の養育費は請求できるか

養育費の支払期間で争いとなることが多いのは、「過去の養育費」は請求できないのか、という点です。

例えば、別居して時間を経てからの離婚で、別居時からの養育費を請求したいと希望する方は少なくありません(この場合、養育費は婚姻費用に含めて請求することになります)。

また、離婚から時間を経ているものの、離婚時には養育費について決めていなかったので、改めて離婚時からの養育費を請求したいという方も多くいらっしゃいます。

父母の協議で決める場合は、合意できれば過去の養育費を支払うことに問題はありません。

家庭裁判所の調停・審判でも、過去の養育費を請求すること自体は認められています(婚姻費用の例で最高裁昭和40年6月30日決定)。

裁判所がいつの時点から養育費を認めるか

過去のいつの時点からの養育費を請求できるのかという肝心の点について、裁判例は大きく分けて次の4パターンに判断が分かれています。

  1. 養育費が必要となった時点から
  2. 別居時から
  3. 相手に養育費を請求した時点から
  4. 裁判所へ申立てをした時点から

このように裁判例が分かれるのは、夫婦の個別事情に応じて、当事者の公平などの実際の妥当性に配慮した結果だとされています。

例えば、別居から数年経って別居時を含めて養育費を一括請求されたら、負担が大きく、義務者にとって過酷な結果になることもあります。
逆に、別居して間を置かずに、専業主婦だった妻から養育費を請求したというケースであれば、別居時からの養育費を認めることが妥当でしょう。

裁判所では、このような事案に応じた配慮のもとに、どの時点からの養育費を認めるかを判断しています。

ただ、その中でも「相手に養育費の請求をした時点」から養育費を認める裁判例が多いとされており、これを原則として運用している家庭裁判所もあるようです。

なお、この場合の「養育費の請求」は調停や審判を申し立てた時点に限らず、請求する意思を相手に伝えた時点と理解されています。
したがって、養育費を受け取る側からすれば、できるだけ早い時期に内容証明郵便などで請求し、その証拠を残しておくことが重要ということになります。

また、離婚前に養育費を決めておらず、後から養育費を回収したいとなった場合は、着手金0円、成功報酬制の養育費の未払金回収に強い弁護士にご依頼ください。連絡先がわからなくても対応可能、元配偶者に会う必要もないなどのメリットがあります。

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離婚の養育費の決め方の注意点

養育費の取り決めは必ず書面に残す

養育費の内容を合意できたなら、口約束で終わらせてはいけません。必ず「合意書」を作成して、双方が署名・捺印してください。後の争いが生じにくくなりますし、争いになったとしても証拠になります。

合意書の内容は、例えば次のようになります。ポイントは、①支払の始期と終期、②金額、③支払方法、④支払費用の負担者を明確にすることです。

離婚太郎(以下、甲とする)は、離婚花子(以下、乙とする)に対し、長男 離婚太郎(令和元年6月15日生)の養育費として、令和2年11月から令和21年6月まで、毎月末日限り、金10万円を、乙名義の銀行口座(○○銀行××支店・普通預金・口座番号1234567)に振り込む方法で支払う。
振込費用は甲の負担とする。

支払の終期については、例えば子供が20歳となるまで支払うという約束であれば、子供の生年月日を明記したうえで、「満20歳となるまで」と記載してもよいでしょう。このとき「満20歳」の「満」の記載を忘れないようにしてください。

これに対し、例えば子供が大学を卒業するまで支払うという約束のときに、「大学を卒業するまで」と記載すると、浪人や留年した場合に支払義務の有無や時期で争いとなる危険があります。

そこで、「大学を卒業するまで」とは、子供の年齢がいくつになろうとも卒業できた月まで支払うという趣旨なのか、それとも子供が22歳になった後の3月末までという趣旨なのかを明記しておく必要があります。

同様に、就職するまで支払うという約束のときには、いつまでも就職しない、できない場合にどうするのかという点まできちんと話合い、その点を明記しておくべきでしょう。
例えば、「大学を卒業して、就職した月まで」支払うとし、「ただし、就職ができない場合は、丙が大学を卒業した年の翌年の3月末までとする」などの書き方です。

合意した養育費の内容は、公正証書にすることがおすすめ

調停・審判で決まった場合は強制執行できる

養育費を家庭裁判所の調停で決めた場合には、その内容を記載した「調停調書」を裁判所が作成してくれます。
審判で決まった場合には、「審判書」という一種の判決書のようなものが作られます。

これらは法的に非常に強力で、義務者が養育費を支払わないときには、給与を差し押さえるなどの強制執行手続を行う根拠となります。

合意書は公正証書にしないと強制執行できない

他方、当事者が協議して決めた内容を合意書に記載しただけでは、直ちに強制執行手続をとることができず、合意書を証拠として養育費の支払請求訴訟を提起し、判決を得ることが必要です。

しかし、訴訟には費用も時間もかかります。

そこで、養育費の合意書は、公証役場で「強制執行認諾文付き公正証書」という書面にしてもらうことをお勧めします。
この書面を作成しておくと、調停調書や判決書と同様に、訴訟を提起しなくとも強制執行が可能です。

養育費の問題を弁護士に依頼するメリット

弁護士を通じて協議するメリット

養育費の問題は、弁護士を代理人として解決を依頼することがお勧めです。

離婚関連について経験豊富な弁護士は、養育費に関する豊富な法的知識、経験を持っています。
両親の意見が対立しているとき、知識不足で困っているときに、専門家としての視点から法的アドバイスを行うことができます。

また、弁護士はあくまでも依頼者の味方であり、代理人として、あなたの利益を最大限確保できるよう交渉してくれます。

弁護士を調停・審判手続の代理人とするメリット

家庭裁判所の調停・審判手続を利用する際にも、弁護士を代理人としたほうがいいでしょう。

調停では、裁判所の調停委員が仲介役となって話合いを進め、その際、養育費算定表に基づいて金額が算定されます。

記事前半で、養育費算定表は目安であり、個別の事情に応じて金額は増減されるとご説明しましたが、実はなかなか金額を変えてもらえないことも多くあります。
裁判所の算定表の説明には次のような一文があります。

最終的な金額については、いろいろな事情を考慮して定まることになります。(中略)いろいろな事情といっても、通常の範囲のものは標準化するに当たって算定表の金額の幅の中で既に考慮されていますので、この幅を超えるような金額の算定を要するのは、算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合に限られることになると考えられます。

つまり、個別の事情と言っても、算定表の金額では「著しく不公平となる特別な事情」でない限りは、考慮しないというのです。
算定表は、事件処理の効率化を目的としているので、当然と言えば当然です。

このため、家庭裁判所の調停でも、算定表と異なる金額を求める主張に聞く耳を持ってくれない調停委員や裁判官もいます。
家庭の事情を細かく説明しても、「この算定表で金額は決まってますから無理です」という、けんもほろろに対応されたという声は少なくありません。

しかし、弁護士を代理人として調停に臨めば、調停委員、裁判官の対応も変えやすいです。

弁護士は、まず、そもそも算定表には法的拘束力はないのだから、この算定表を使うかどうか自体、個別の事案ごとに自由に判断されるべき事項だという点を強く主張して、安易な算定表まかせの判断がされないようにします。

その上で、仮に算定表を目安とするにしても、依頼者の利益となる個別の事情が「特別な事情」に該当することを丁寧に主張し、その事実を立証します。
これにより、算定表の枠に囚われない金額を実現できる可能性が高くなるのです。

養育費を決める際は、算定表で機械的に計算された金額を押しつけられないよう、弁護士の力がとても大切です。

まとめ

養育費の決め方、どうやって決めて、どうやってもらうのかについてご説明してきました。

改めて記事の概要をまとめると次のようになります。

  • 養育費は父母の話し合いか、家庭裁判所の調停・審判で決められる
  • 養育費の相場は「養育費算定表」から分かる
  • 養育費の金額、いつからいつまで支払うかは、話し合いで合意すれば自由に決められる
  • 過去の養育費の請求は難しい
  • 養育費の話し合い結果は、公正証書にするか、少なくとも合意書に残す

もし、養育費について
「養育費算定表の金額を受け取るだけでは足りない」
「算定表の金額を支払うのは負担が重すぎる」
などお悩みの方は、ご自分だけで頑張ろうとせず、まずは一度離婚問題に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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執筆・監修
服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了
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