共同親権とは|メリット・デメリット・法改正はいつから【2024年最新版】
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離婚する際、「養育費の金額」はトラブルになりがちな要件の一つです。
受け取る側が「もっと多く貰わなければ生活が苦しい」「子どものために最大限の支払いをしてほしい」と望む一方、支払う側は「子どものためになるべく払いたいが、これ以上は自分に生活が苦しいから増額できない」「養育費を減額してほしい」と望むため、金額について折り合いがつかず争いになってしまうのです。
このような疑問を抱えながら手探りで頑張っている方に向けて、この記事では、離婚時の養育費の決め方・金額相場について解説します。養育費の決め方が分からないとお悩みの方は、ぜひご覧ください。
目次
養育費とは、子供の監護・教育のために必要な費用のことです。
親が離婚する際には、親権者を決めます。
親権者は、子どもの監護と教育を行う権利と義務を負います(民法820条)。要は、一人前に育てる権利と責任があるということです。
しかし、子供が成長して、経済的・社会的に自立するまでには、衣食住、教育、医療などたくさんの費用がかかります。
そこで民法では、親権者ではない者にも、この費用を分担する義務を課しています。
そもそも、親子は血のつながった直系血族として、互いに扶養する義務が課されています(第877条)。扶養とは、経済的な生活支援を意味します。
この義務は、婚姻中であろうと離婚後であろうと変わりはありませんから、離婚後も親は子供を扶養する義務があります。
そして、この扶養義務は、親の生活に余力がなくても、自分と同じ水準の生活を子どもに保証する義務と理解されています。
これを「生活保持義務」と言います。
なお、将来的には共同親権が認められますが、それでも生活を共にしない片親が養育費を支払う義務を負うことは変わりありません。
養育費の金額の決め方として、基本的にはまず父母の「話し合い」で決めます。
つまり、極端に言うと、養育費の金額自体はお互い納得しさえすればいくらでも良いのです。
ただ、話し合いですんなりと決まらないケースが多いのが実情で、この場合には「調停」「審判」の手続きで裁判所のサポートを受けることもあります。
調停や審判でも合意ができなければ、裁判となるケースもあります。
家庭裁判所での手続については、以下の記事をご覧ください。
では、具体的に養育費の金額はいくら程度が相場なのでしょうか。また、計算方法はあるのでしょうか。
先述の「親と同じ生活水準を保てる額」というだけでは具体的な基準となり得ません。
そこで、毎月支払うべき養育費の金額は計算式ではなく、裁判所が公表している「養育費算定表」に基づいて相場が決められています。
算定表は、以下の4項目さえわかれば、これを表に当てはめるだけで養育費の概算がわかるというものです。統計数値を用いて、養育費をめぐる紛争の効率的な処理を図ることを目的として作成されました(算定表による迅速な金額決定は子どもの福祉のためという重要な意味もあります)。
つまり、養育費の算定では手取りではなく年収(税金が引かれる前の金額)が参照され、子供の年齢や人数も関係してきます。
表の見方は簡単で、子供の人数と年齢(0歳~14歳か、15歳~19歳)に応じて適切な表を開き、収入に応じた部分を見るだけです。
下の表は、「14歳以下の子供が1人いる場合」のものです。
【参考】裁判所:養育費算定表
とはいえ、この養育費算定表はあくまでも一つの目安で、法的な効力はありませんから、これに拘束されるわけではありません。
特に離婚する当事者同士は、話合いでどのようにでも養育費の内容を決めることができますから、算定表は参考にとどめて、互いが納得し、大切な子どもの幸福が損なわれないようしっかりと話し合うことが必要です。
当サイトでは、簡単に養育費の目安額を計算できるツールをご用意しています。
当サイトでは、養育費算定表の元となった標準算定方式で養育費を試算できるツールをご用意しました。
今回のコラムでは切りの良い数字で相場を掲載していますが、計算ツールの場合、年収250万円・350万円などでも相場を出すことが可能です。
ご自分の状況で養育費がどうなるのか、目安を知るのにご活用ください。
養育費は、通常は月々の分割支払いとなります。
ただし、養育費を一括払いしてはいけないわけではありません。実際に相当な資産家の場合には一括払いというのもあり得ます。
しかし、支払い者にそのような資力があるケースは稀ですので、ほとんどのケースで分割払いとなると思われます。
このような時は、養育費の支払いの始期と終期を決める必要があります。
支払の始期は、合意の翌月からと決めることが多いでしょう。
もちろん、合意した月の月末からでもかまいません。基本的には合意すれば自由に定めることができます。
原則、支払期間について定めはありません。
両親の合意で決める限り、18歳まででも20歳まででも良いですし、大学卒業・22歳の就職までと定めることもできます。
一般的には、子どもが精神的・経済的に自立可能とみなされる成年(20歳)に達するまでもらえるとされることが多いようです。
詳しくは、下記ページをご参考ください。
養育費の支払期間で争いとなることが多いのは、「過去の養育費は請求できないのか」という点です。
例えば、別居して時間を経てからの離婚で、別居時からの養育費を請求したいと希望する方は少なくありません。
また、離婚から時間を経ているものの、離婚時には養育費について決めていなかったので、改めて離婚時からの養育費を請求したいという方も多くいらっしゃいます。
父母の協議で決める場合は、合意できれば過去の養育費を支払うことに問題はありません。
(別居時の養育費は「婚姻費用」に含めて請求することになります。)
家庭裁判所の調停・審判でも、過去の養育費を請求すること自体は認められています(婚姻費用の例で最高裁昭和40年6月30日決定)。
なお、過去のいつの時点からの養育費を請求できるのかという肝心の点について、裁判例は大きく分けて次の4パターンに判断が分かれています。
このように裁判例が分かれるのは、夫婦の個別事情に応じて、当事者の公平などの実際の妥当性に配慮した結果だとされています。
例えば、別居から数年経って別居時を含めて養育費を一括請求されたら、負担が大きく、義務者にとって過酷な結果になることもあります。
逆に、別居して間を置かずに専業主婦だった妻から養育費を請求したというケースであれば、別居時からの養育費を認めることが妥当でしょう。
裁判所では、このような事案に応じた配慮のもとに、どの時点からの養育費を認めるかを判断しています。
ただ、その中でも「相手に養育費の請求をした時点」から養育費を認める裁判例が多いとされており、これを原則として運用している家庭裁判所もあるようです。
なお、この場合の「養育費の請求」は調停や審判を申し立てた時点に限らず、請求する意思を相手に伝えた時点と理解されています。
したがって、養育費を受け取る側からすれば、できるだけ早い時期に内容証明郵便などで請求し、その証拠を残しておくことが重要ということになります。
養育費の内容について合意できたなら、口約束で終わらせてはいけません。必ず「合意書」を作成して、双方が署名・捺印してください。これにより後の争いが生じにくくなりますし、仮に争いになったとしても合意書が確固たる証拠になります。
合意書の内容のポイントは、①支払の始期と終期、②金額、③支払方法、④支払費用の負担者を明確にすることです。
以下のような例文を盛り込むようにしましょう。
離婚太郎(以下、甲とする)は、離婚花子(以下、乙とする)に対し、長男 離婚太郎(令和元年6月15日生)の養育費として、令和2年11月から令和21年6月まで、毎月末日限り、金10万円を、乙名義の銀行口座(○○銀行××支店・普通預金・口座番号1234567)に振り込む方法で支払う。
振込費用は甲の負担とする。
支払の終期については、例えば子供が20歳となるまで支払うという約束であれば、子供の生年月日を明記したうえで、「満20歳となるまで」と記載してもよいでしょう。このとき「満20歳」の「満」の記載を忘れないようにしてください。
これに対し、例えば子供が大学を卒業するまで支払うという約束のときに、「大学を卒業するまで」と記載すると、浪人や留年した場合に支払義務の有無や時期で争いとなる危険があります。
そこで、「大学を卒業するまで」とは、子供の年齢がいくつになろうとも卒業できた月まで支払うという趣旨なのか、それとも子供が22歳になった後の3月末までという趣旨なのかを明記しておく必要があります。
同様に、「就職するまで支払う」という約束のときには、いつまでも就職しない、できない場合にどうするのかという点まできちんと話合い、その点を明記しておくべきでしょう。
例えば、「大学を卒業して、就職した月まで」支払うとし、「ただし、就職ができない場合は、丙が大学を卒業した年の翌年の3月末までとする」などの書き方が良いです。
当事者が協議して決めた内容を合意書に記載しただけでは、直ちに強制執行手続をとることができず、合意書を証拠として養育費の支払請求訴訟を提起し、判決を得ることが必要です。
しかし、訴訟には費用も時間もかかります。
そこで、養育費の合意書は、公証役場で「強制執行認諾文付き公正証書」という書面にしてもらうことをお勧めします。
この書面を作成しておくと、調停調書や判決書と同様に、訴訟を提起しなくとも強制執行が可能です。
また、養育費を家庭裁判所の調停で決めた場合には、その内容を記載した「調停調書」を裁判所が作成してくれます。
審判で決まった場合には、「審判書」という一種の判決書のようなものが作られます。
これらは法的に非常に強力で、義務者が養育費を支払わないときには、給与を差し押さえるなどの強制執行手続を行う根拠となります。
トラブルが多く発生しがちな養育費については、弁護士を代理人として解決を依頼することがお勧めです。
離婚関連についての経験・知識が豊富な弁護士は、養育費に関しても多くの解決実績があり、あなたの個別のケースに合わせた最適な解決策を提案してくれるでしょう。
「養育費をいくらにするのか」「どれくらいの期間払うのか」などという事項に関して両親の意見が対立している時には、弁護士が専門家としての視点から養育費の金額の相場をアドバイスできます。
また、弁護士は依頼者の代理人として、あなたの利益を最大限確保できるよう相手方と交渉してくれます。
現実的に受け取れる、かつ依頼者の方が納得できる金額で交渉がまとまるよう、相手方と粘り強く交渉をします。
仮に「相手と顔も合わせたくない」という状況も場合でも、弁護士に交渉を全て任せられるので安心です。
さらに、離婚後に相手方の住所が分からない場合や、年収がはっきりしない場合でも、弁護士ならば調査することが可能です。
協議では話がまとまらず家庭裁判所の調停・審判手続を利用する際にも、弁護士を代理人とした方が良いでしょう。
調停では、裁判所の調停委員が仲介役となって話し合いを進めますが、その際には養育費算定表に基づいて金額が算定されます。
先ほど、養育費算定表は目安であり個別の事情に応じて金額は増減されるとご説明しましたが、実はなかなか金額を変えてもらえないことも多くあります。
裁判所の算定表の説明には次のような一文があります。
つまり、個別の事情と言っても、算定表の金額では「著しく不公平となる特別な事情」でない限りは、考慮しないというのです。
このため、家庭裁判所の調停でも、算定表と異なる金額を求める主張に聞く耳を持ってくれない調停委員や裁判官もいます。
家庭の事情を細かく説明しても、「この算定表で金額は決まってますから」などと返されたという声は少なくありません。
しかし、弁護士を代理人として調停に臨めば、調停委員・裁判官の対応も変えやすいです。
弁護士は、まず「そもそも算定表には法的拘束力はないのだから、この算定表を使うかどうか自体、個別の事案ごとに自由に判断されるべき事項だ」という点を強く主張して、安易な算定表まかせの判断がされないようにします。
その上で、仮に算定表を目安とするにしても、依頼者の利益となる個別の事情が「特別な事情」に該当することを丁寧に主張し、その事実を立証します。
これにより、算定表の枠に囚われない金額を実現できる可能性が高くなるのです。
養育費を決める際は、算定表で機械的に計算された金額を押しつけられないよう、弁護士の助力を受けることが大切です。
改めて記事の内容をまとめると、次のようになります。
もし、養育費について「養育費算定表の金額を受け取るだけでは足りない」「算定表の金額を支払うのは負担が重すぎる」などお悩みをお持ちならばご自分だけで頑張ろうとせず、まずは一度離婚問題に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
また、養育費の支払いが滞っている(未払金を回収したい)という場合も、弁護士に依頼することが最善と言えます。