共同親権とは|メリット・デメリット・法改正はいつから【2024年最新版】
日本でも、共同親権の制度が2026年までに施行される予定です。この記事では、共同親権についての最新情報のほか、現行の…[続きを読む]
2024年現在の日本では、離婚の際に親権者をどちらの親にするかを決定します。
しかし、親権を獲得できなかった片親が、様々な理由から親権を取り戻したい(子供を取り戻したい)と考えることもあります。極端な場合は真剣の剥奪を目論むケースもあるようです。
もちろん、特殊なケースでないと親権変更自体は難しいです。
しかし、親権を取り戻すのは絶対に不可能というわけではありません。
今回は、離婚後の親権の変更について、父親から母親また母親から父親に親権を移動するためにはどのような手続きが必要なのか、親権を取り戻せる条件などを解説します。
なお、日本でも共同親権の制度が2026年までに施行される予定です。
共同親権となった場合、親権は両親に認められ、子どもと共に暮らす片親には監護権が認められます。
目次
当然ですが、「子どもが恋しくなったから」「子どもが心配だから」という理由だけで親権を取り戻すことはできません。
相手の親権を剥奪してやりたい!などと考えるならば、以下のような具体的な条件を満たしていることが必要です。
親権者となった片親が、育児放棄や虐待をしてしまうケースは実は珍しくありません。
離婚当時は責任を持って育てると主張していても、後から心が不安定になり、「実際に一人で育てるとなったら育児が難しい」「子どもなんていらなかった」「経済的に見て育てられるわけがない」などと責任を放棄してしまうのです。
例えば、離婚後に子どもを引き取った親権者(シングルマザーなど)が、夜の仕事や娯楽などで外出の頻度が高くなると、幼い子どもを家に放置することがあります。
幼い子どもは家に1人で居ると、自分で食事やお風呂などの準備をすることはできません。排泄さえも1人ではままならないこともあります。
このように、子どもの身の回りの世話を親がしない育児放棄の場合は、親権変更して取り戻すことができる可能性があります。
また、親権者による子どもへの虐待でも親権変更が見込めます。
経済的な理由などで育児が重荷となり、その精神的な負担が子どもへの暴力となって現れるケースは少なくありません。親権者が子どもに強制労働をさせている、学校に行かせないなどのケースも虐待の一種です。
親権者が再婚し、再婚相手(新しい配偶者)が虐待をしているようなケースも同様です。
しかし、親権を移すまでは時間がかかることも多いので、上記のようなケースでは子どもの心身のケアをするために児童相談所などに通告することが先決です。
育児放棄(ネグレクト)や虐待がなくても、親権者側にやむを得ない事情があれば親権の移動が許可されることがあります。
例えば、親権者が病気を患い入院するあるいは日常生活を送るのが困難になった場合、親権者が仕事などの都合で海外に滞在することになり育児をするのが難しいと判断された場合、親権者が行方不明になった場合などです。
虐待や子どもの連れ去りなどの恐れがある場合、親権者から面会交流を拒否されることがあります。
しかし、そのような正当な理由なく面会交流を拒否され続けているならば、親権者変更が認められる可能性があります。
親権者側の一方的な都合で片親との面会を妨げることは、子どもの健全な成長に悪影響を及ぼす可能性があると判断されるからです。
なお、離婚の原因が元配偶者へのDVやモラハラであった場合、面会交流が子どもに悪影響を及ぼすかどうかは個別に判断されます。
DV・モラハラ行為により子どもが精神的に大きな傷を負っていると思われるならば、面会交流の制限は妥当であると判断されるため、親権者変更は認められない可能性が高いでしょう。
親権変更は、子ども自身が希望して主張することもできます。
物心がついていない幼い子どもの場合は、自分が不遇な環境に置かれていることについての判断能力がなく、深く考えず「お母さん(お父さん)と暮らす」などと答えている可能性があります。親権変更に関する知識もないために自分で親権変更を訴えることができません。
しかし、子どもがある程度成長して自身の考えが主張できるようになり、「どうしても父親(あるいは母親)と一緒に住みたい」と望んでいるならば、親権が変更されることがあります。
具体的には、子どもが15歳以上であれば自身で家庭裁判所に行き申し出をすることができます。
また、15歳未満であっても主張が考慮されるケースもあり、この場合は取り戻すことが可能かもしれません。
離婚後の親権変更は、元夫・元妻という当事者双方の話し合いだけで行えるものではありません。
子どもの親族にあたる者が家庭裁判所に親権者変更調停の申し立てを行い、話し合いが成立すれば親権者の変更が可能になります。
つまり、法律に沿って調停を成立させ親権変更を認めてもらうことが必要になります。
仮に裁判所を通さずにお互いが親権変更について協議で合意しても、公式に親権変更を成立させるためには家庭裁判所へ申し立てをする必要があります。
家庭裁判所に「親権者変更調停」を申し立てる際には、以下を提示する必要があります。
話し合いは親権者と申立人の間で進められますが、子どもの人権・考えを尊重するため、今までどのような生活環境で過ごしてきたかを子どもから聞き出し、必要に応じて資料を作成・提出する必要もあります(家庭裁判所の調査が入るケースもあります)。
必要書類として提出するものは、申立書が3通、添付書類を含んだ事情説明書、戸籍謄本です。戸籍謄本は、申立人、相手方、子どもの戸籍謄本を揃えなくてはいけません。
また、収入印紙、郵便切手も用意する必要があります。
収入印紙は子ども1人につき1,200円、郵便切手は申し立てする家庭裁判所によって異なります。
どんなに気持ちのこもった言葉を言っても、親権者変更調停では法的な正しさ・事実と子どもの利益が大事とされます。
相手方を下げるのではなく、あくまで子どものためを思って親権の変更を提案していると主張しましょう。
親権問題に限らず、調停では弁護士をつけているとスムーズに主張を通せます。
弁護士が代理人となれば、申立人の主張を法律的に意味のある言い方に代え、過去の事例なども引用してより調停の場に相応しい主張を提案・実施してくれます。
さらに、依頼人に「言ってはいけないこと」を注意し、「とるべき態度」についてもアドバイスしてくれるので、争いから一歩引いて落ち着いて話し合いをすることができます。
このような理由から、弁護士がいると親権調停が有利になると言えます。
親権を取り戻したい・変更したいとお考えならば、調停や親権問題に強い弁護士にご相談ください。
なお、親権変更の話し合いが成立せず調停不成立になった場合は、審判や裁判により親権を決定します。
家庭裁判所の判断基準は複雑です。親権調停や審判・裁判における戦略を一般の方が考えるのは難しいですし、ご自身で対応しては感情的にもなりがちでしょう。
特に、調停において親権を取るには、最初に親権を取れなかった理由(監護実績など不利となる側面)を補って調停委員や調査官を納得させる必要があります。調停の前から、有利となる養育環境を整えるなどの準備をしておくことが大切なのです。
このような事前準備に関するアドバイスや、調停・裁判での合理的な主張を行うには、離婚に強い弁護士などの専門家との相談も必ず必要となってきます。
親権問題でお悩みならば、一度相談することをご検討ください。