離婚で父親は親権を取れる?母親が取れない理由・負ける場合を解説

子持ち世帯が離婚する場合、子どもに関する話し合いは難航しがちです。
特に、養育費や面会交流についてだけでなく、親権を巡る争いが生じると、トラブルが泥沼化してしまうケースも多いでしょう。

通常、親権は母親が持つことが優先され、父親が親権を勝ち取るには有利な条件を整えなければ難しいと思われがちです。
知恵袋などでも、「親権が取れない母親はクズなの?」といった過激な質問があります。つまり、よほどのことがない限り、母親が親権を取れるという認識のようです。

しかし、実際には母親が親権を獲得できず、父親が親権を持つことになる場合もあります。

本記事では、Twitter(X)やYahoo!知恵袋などでもよく話題になる「父親が親権を獲得するケース」について、母親が親権を獲得できないケースや、なぜ父親が親権を取りづらいのか?といった点からも解説していきます。

なお、親権獲得には離婚問題に強い弁護士や、親権に特化した弁護士の助けが必要です。
当サイトでもこれらの情報を掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

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そもそも「親権」とは?

「親権」は未成年の子どもを監護したり養育したりする権利・義務です。
親権の具体的な内容は下記のとおりです。この権利・義務を巡り、離婚時には多くの争いが発生します。

  • 子どもの代理人として「財産管理」ができる
  • 子どもの住所を指定する「居所指定権」あり
  • 子どもに対してしつけをする「懲戒権」あり

なお、親権と似た権利に「監護権」というものがあります。
監護権は親権の一部で、「子供と共に生活をして日常の世話や教育を行う権利」を言います。監護権は親権に含まれる権利なので、権利関係的には親権の方が強いと言えるでしょう。

通常は親権を持つ親が子どもを育てます。
しかし、まれに親権を持つ親と、子どもの世話・教育をする監護権を持つ親が異なるケースがあります。親権者が子どもの世話ができないと判断された場合は、親権者と監護者を分けることが多いです。

例えば、ひとつの事例として、財産管理は父親が適しているものの海外赴任をしているため子どもを育てられない、という場合、親権者は父親、子どもを育てる監護者は母親になるケースがあります。

どちらが親権を持つのか?親権者の決まり方

 親権者決定に関する4つの原則

では、親権者決定の際に重視される4つの原則を紹介します。

これらの4つの原則は、一般的に言って子の利益になるであろうと考えられる内容をまとめたものです。
そのため、他に特段の事情がなければ、できる限りこれらの原則が実現される側の親に親権が認められる場合が多いといえます。

継続性の原則

離婚によって生活環境が突然変わってしまうと、子供に対して与える影響が大きいといえます。

離婚が理由で引っ越しをすれば、子供がこれまで築いてきた友人関係がリセットされてしまいます。新しい環境への順応に時間がかかったり、順応がうまくいかなかったりする恐れもあります。

そのため、できる限り子供にとっての現状を維持することを目的として、これまで子供を「監護してきた側の親」に親権を認める傾向にあります。

兄弟姉妹不分離の原則

子供の人格形成の観点から、兄弟や姉妹がいる場合には一緒に生活をした方が望ましいと考えられています。

そのため、子供が複数いる場合には、どちらか一方の親に親権を集中させる傾向にあります。

子供の意思尊重の原則

子供の年齢が高くなればなるほど、自分がどちらの親と一緒に暮らしたいか、どちらの親と一緒にいたほうが良いかということについての判断能力が高まります。
そのため、子供の年齢が高い場合には、子供が選択する方の親に親権が認められる傾向があります。

なお、子供が15歳以上である場合、裁判所が親権や監護権に関する裁判や審判を行う際には、子供の陳述を聞かなければならないものとされています(人事訴訟法32条4項、家事事件手続法152条2項、169条2項)。

母親優先の原則

一般的に、子供の年齢が低いうちは、母親による監護の必要性が高いものと考えられています。
そのため、低年齢の子供については母親が優先され、親権を認める傾向があるとされています。

しかし、授乳中であるなどの事情があればともかく、近年では男女平等の流れが加速しています。
そのため、母親優先の原則の重要度は下がりつつはあります。

離婚で父親が親権が取れない・不利な理由

離婚時の親権争いでは、親権を取るのは母親で、父親は親権が取れないというイメージがある人もいることでしょう。

実際、親権を取れる父親の割合は、全体の10%強といわれています。夫が親権を持つパターンは少なく、ほとんどの場合で母親が親権を獲得するには有利な現状があることは間違いありません。

なぜ父親が親権を取れないケースが多く、交渉でも負けてしまうのかというと「子どもは母親に育てられたほうが良い」という考えが現在においても根強いためです。
その根拠としては、日本では多くの場合子どもが生まれてからある程度育つまで、多くの場合母親が近くで面倒を見ており、父親は大抵仕事で子どもと接する機会が少ないことが挙げられます。

また、子ども自身も、父親よりは共に過ごす時間の多い母親を選びがちです。子どもの意見も尊重されるとなると、やはり父親に不利になるケースは多いのでしょう。

母親が親権を取れない事例・負ける場合

上記のように父親が不利な状況で、それでも父親が親権を獲得することは可能です。父親が親権を取りづらいといっても、親権争いにおいて必ず負けるとは限りません。

特に、以下のような事例では、母親が親権争いで負けることも十分に考えられます。

DV・児童虐待・ネグレクト

母親が虐待・DV・ネグレクトなどをしている場合で、かつ父親側にきちんと子どもを育てられる環境が整っている場合には、父親に親権がいくことが往々にしてあります。

虐待とは、暴力だけではありません。特に多いのは、食事をとらせなかったり、お風呂に入れなかったりするなど、子どもを育てるのに不適当だと考えられる理由すべてです。

父親側に監護実績がある

上記で解説した親権者決定に関する4つの原則にもある通り、離婚する前から子どもをきちんと養育していた「監護実績」はとても重要になります。

監護実績は長ければ長いほうが良いですが、最低でも半年以上は必要だとされています。
よって、男性で親権を獲得したいと考えるならば、半年以上は子どもとよく遊ぶ・よく面倒を見るなどの工夫が必要です。

これは、子どもの意思にも関係してきます。
「父親がよく遊んでくれる」「お父さんといると楽しい」などの認識があれば、仮に十分な監護実績がなくても子どもが望むことで父親が親権を獲得できるケースもあります。

子どもがごく小さいうちは子どもが父親と暮らしたいといっても母親に親権がいくことがありますが、小学校高学年くらいなら子どもの意思が尊重されるのは珍しくありません。
特に子どもが15歳以上であれば、多くの場合子どもが望むほうに親権がいきます。

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母親に重度の精神疾患がある

精神疾患、いわゆる精神病は離婚の原因にもなりがちです。
ただし、母親が「重度の精神病」でない限りは、必ず父親が親権を獲得できるとはいえない状況です。

この場合、素人では判断が難しいケースが多いです。
現在の病気の状況をしっかりとまとめて、親権争いに強い弁護士に相談してみる必要があります。

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妻の不倫・浮気や夫の収入は関係しない

よく誤解されがちですが、妻が不倫・浮気などをして離婚原因を作ったとしても、それと親権の問題はまた別です。

旦那側からしたら理不尽にも思えますが、ただ妻が不倫しただけでは、親権問題で父親が有利になる・母親が不利になるということはありません。

また、「自分は収入が多いから、子どもを幸せにすることができる」と感情的に主張してしまう男性もいらっしゃいます。
しかし、やはり夫が高収入を得ていたとしても、それによって親権問題で有利になるということは残念ながらありません。なぜなら、離婚した際に親権を得られなければ父親は養育費を送る義務があるため、子供の経済的な面ではその収入を期待できるという理由があります。

親権争いで父親が勝つためにするべきこと

育児を丸投げせず、監護実績を作る

父親が「子どもの親権を本気で勝ち取りたい」「親権争いで有利になりたい」と思うなら、やはりまずは監護実績をきちんと積み、子どもを一人でも育てられる知識・環境を整えることが大事です。「普通の父との違い」を見せつけるつもりでいきましょう。

母親に育児を丸投げするという態度では、当然ながら夫が親権を持てる事例からは外れてしまうため、親権を取るのは難しいでしょう。

特に、離婚調停や裁判で親権を争う場合、「子どもとどのくらいの時間一緒にいてあげられるか」「子どもに対する深い愛情はあるか」が考慮されます。

確かに、経済的に余裕があるかどうかも親権獲得のためには大切な要素です。多くの場合で父親は経済的に有利ですが、母親は監護実績的に有利ということです。

母親の場合、離婚をすれば元夫から養育費を得られるため、経済的余裕が多くなくても問題ないとされている事情もあります。ということは、やはり父親が監護実績的に有利な立場を事前に作っておくことが重要となるでしょう。

別居時に連れ去りをしない

少し前までは、親権が欲しければ子供を連れて別居してしまう(既成事実を作ってしまう)ことが、離婚時に有利になった時代もあります。
しかし、現在は夫婦間で合意なく子連れ別居をすることは違法と認められがちです。

とは言え、合意の上で子連れ別居した場合は、やはり子供と一緒に住む親が親権獲得で有利になります。別居する際は黙って連れ去ることはせず、必ず夫婦で話し合うことが必要である点に注意しましょう。

弁護士に相談して調停や裁判へ臨む

家庭裁判所の判断基準は複雑です。親権調停や離婚裁判における戦略を一般の方が考えるのは難しいですし、ご自身で対応しては感情的にもなりがちでしょう。

特に多い調停において、父親が親権を取るには、父親にとって不利となる側面(監護実績など)を補って調停員を納得させる必要があります。離婚する前から有利となる養育環境を整えるなどの準備をしておくことが大切なのです。

このような事前準備に関するアドバイスや、調停・裁判での合理的な主張を行うには、離婚に強い弁護士などの専門家との相談も必ず必要となってきます。一度相談することをご検討ください。

現在の親権制度と共同親権について

現行の日本の民法では、父母が離婚をする場合、いずれか一方を親権者と定めることになっています(民法819条1項、2項)。
しかし、日本でも共同親権の制度が2026年までに施行される予定です。

「共同親権」とは、離婚後に父母の両方が子どもの親権を有することを意味します。

共同親権となると、例えば子どもの進学(学校の選択、進学か就職かの判断)、引っ越し、生命に関わる医療行為、相続財産の取り扱いなど、重大な事項について離婚後も父母の話し合いで決定する必要が生じます。

一方、日常の行為(食事など身の回りの世話、習い事やアルバイトなどの決定、予防接種ワクチンの接種など)、急迫の事情(緊急の手術、迅速な対応が必要な入学手続き、DVや虐待などからの避難のための転居)については、片方の親が単独で親権を行使できます。

なお、共同親権が導入されるとしても、あくまでも単独親権との「併用」となります。
「原則として共同親権」ということではなく、あくまで離婚の際の夫婦の合意により決定されます(折り合いがつかず合意ができない場合は家裁が判断します)。虐待・DV・モラハラなどがある場合には、必ず単独親権になるとされています。
(しかし、家裁がしっかりと事実認定をして判断してくれるのか、という懸念は大きいものでしょう。)

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まとめ

今回は、離婚時にトラブルとなりがちな親権争いについて解説しました。

親権を取得するには、子供の世話をする能力や関心を持っていることが重要です。
これまでの父親が親権を取れなかった事例や、現在の日本の現状を考えると、父親が子供に対して十分な関心を示さない場合、親権を取得することは難しいと思われます。

父親が親権を取りにくい大きな理由としては子どもと一緒にいる時間を確保する難しさというものがありますので、親権を勝ち取りたいと考えるならば、調停委員に「いかに自分のほうが子どもを育てるのに適しているか」をアピールすることが重要です。

そのためにも、法律の専門家、特に親権争いに強い弁護士に一度相談してみましょう。

離婚に強い弁護士が法的に解決いたします

離婚問題でお困りの方は、離婚に強い弁護士にご相談ください。慰謝料、財産分与、親権など離婚を有利に進めることができる可能性があります。

弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 慰謝料がもらえない
  2. 財産分与が妥当でない
  3. 親権がとられそう
  4. 養育費が納得いかない

離婚に強い弁護士に相談・依頼することで、相手との交渉を有利にすすめ、難しい手続きもサポートしてもらえます。

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監修・執筆
阿部由羅(あべ ゆら) 弁護士
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで、各種の法律相談を幅広く取り扱う。webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。
■URL https://abeyura.com/lawyer/

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