離婚の財産分与とは|夫婦の割合、税金、共働きの場合などを解説
夫婦が離婚をする際に生ずる大きな問題の一つである財産分与。では、財産分与とはいったいどのようなものなのでしょうか?財…[続きを読む]
協議離婚は、夫婦間で離婚の条件などについて話し合い、合意に至ることで成立する離婚の形態です。
裁判所を介さずに離婚が可能で、時間とコストを抑えられるため日本においてはほとんどのケースで協議離婚が行われています。
しかし、協議離婚では夫婦が直接対話をすることになるため、協議中に更なるトラブルが発生してしまうケースもあります。
互いの希望する条件について折り合いがつかなければ、話し合いがなかなか進まずに難航化することでしょう。
もちろん、家庭の状態によっては、裁判所を通す調停や裁判に比べて穏やかかつ建設的な議論ができることもあります。
今回は、協議離婚の進め方や、協議離婚で弁護士に代理してもらうメリットなどについて解説します。
目次
協議離婚とは、簡単に言うと「離婚について夫婦間でよく話し合い、条件面などを双方の合意によって決定すること」を言います。
つまり、裁判所を使わずに離婚について取り決める進め方は、すべて協議離婚となるのです。
協議離婚では条件面での折り合いがつかない場合は、離婚調停や離婚裁判に発展することになるでしょう。
しかし、協議離婚においても、いわゆる「円満離婚」が実現するというケースはほんの一握りにすぎません。
後に説明する離婚条件に関する話し合いが、当事者だけでスムーズに進むことはほとんどないのです。
また、相手に言われるがまま離婚の条件を決めてしまうと、将来的に大きな損をしてしまうことも考えられます。
そのため、裁判所を通さない協議離婚であっても、話し合いの最初の段階から弁護士に相談して、弁護士に代理人として相手方と直接交渉してもらうと良いでしょう。
協議離婚において具体的に交渉するべき(決めるべき・話し合うべき)ことは、以下のとおりです。
これ以外にも、夫婦の婚姻生活によっては様々な問題が生じるケースもありますが、代表的なものは上記の5つとなります。以下で詳しく見ていきましょう。
財産分与とは、夫婦が共同で築いた「財産」を分けることです。
ただ、離婚に伴って行なう財産分与はなにも現金や預貯金に限ったわけではなく、不動産(マイホーム)、有価証券や投資信託、家具家財、自動車、宝飾類、ブランド品、保険の解約返戻金など全てにわたります。そのため、双方が納得できるような分け方を話し合って進めていく必要があります。
なお、夫に収入があり妻が専業主婦の場合でも原則的には平等に2分割します。しかし、この割合については夫婦間の話し合いで調整することが可能です。
特に注意が必要なのが不動産関係です。
住宅ローンが残っている家庭も多いと思いますが、家を売却して売上金を分割しようと思っても、「売却価格がローン残債を下回ってしまう(=オーバーローン)」ケースもあります。
オーバーローンの場合、残ったローン債務が借金となるわけですが、このマイナス財産は財産分与の範囲外です。
よって、夫妻はローンの名義人や保証人がそのまま責任を負うことになります。
また、マイホームを売らずに片方が住み続けるという判断をした場合も、共有名義のままでは何かと不都合が生じます。
住宅ローン問題については複雑なため、詳しくは別途コラムに譲ります。分割財産に不動産がある方はご参考ください。
婚姻期間中の厚生年金や婚姻期間中に積み立てられた退職金の財産分与の対象となる可能性があります。
年金の財産分与のことを「年金分割」と呼びますが、これは離婚した際に、元夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれを自分の年金とすることができる制度です。
年金分割をしないと婚姻期間中の厚生年金の分割金(上乗せ分)をもらえなくなりますので、離婚後高齢になってからの生活費に窮するリスクがあります。
退職金については、実際に退職するときに支給額が確定するものであり離婚する時点ではまだ未確定です。そのため、あまりに先の予定の退職金は「離婚時点にある財産」とはみなされず、財産分与の対象にならないケースも多くあります。
しかし、年金が近い将来もらえることが確実視されていると、財産分与の対象になることがあります。
慰謝料は、離婚に伴って必ず発生するものではありません。
例えば、性格の不一致や子育ての方針の違いなどで離婚をする場合は、片方に慰謝料を請求することはできないでしょう。
一方、「不貞行為(不倫・浮気)」や「DV」「モラハラ」などの離婚原因がある場合については、慰謝料を請求することができます。
この際の慰謝料の金額についても、(一定の相場はあるものの、基本的には)当事者間での話し合いで決まります。
不倫の期間が長い場合や回数が多い場合、DV・モラハラにより通院を余儀なくされるなど心身への被害が大きい場合などには慰謝料は増額されます。
不倫やDVなどについて慰謝料を請求するならば、その事実があったという証拠が必要です。
弁護士に相談をすれば、有力な証拠の種類や証拠の集め方に関してアドバイスをもらえるでしょう。
養育費とは、未成熟子が社会人として独立し生活することができるようになるまでに必要とされる費用のことをいいます。
養育費は、子どもの親であれば当然に負担をしなければならない費用であり、この負担義務は離婚をして親権者にならなかったとしても変わりありません。通常は、子どもを監護する親から、子どもを監護していない親に対して養育費の請求がなされます。
養育費の請求を受けた親としては、子どもが生活できる最低限の費用ではなく、自分自身の生活を保持するのと同程度の費用を支払わなければなりません。
離婚の協議では、以下のようなことも事前に取り決めておくべきです。これらをあやふやなまま離婚してしまうと、親権者があとで苦労することになります。
なお、後ほど少し説明致しますが、養育費については「再婚した場合」や「支払う側の収入が減った場合」「(受け取る側の収入が増えた場合」などに減額が認められる場合もあります。
「親権」は未成年の子どもを監護したり養育したりする権利・義務です。
親権と似た権利に「監護権」というものがあります。監護権は親権の一部で、「子供と共に生活をして日常の世話や教育を行う権利」を言います。
離婚をする際には、親権を持つ親が同時に監護権を持つことになるでしょう。
基本的には、子どもへの愛情だけでなく、収入状況や現在の生活環境、周りの協力状況など、さまざまな条件を考慮して、より子どもの成長にとってメリットが大きい方に親権がいくことになるでしょう。
なお、現行の日本の民法では、父母が離婚をする場合、いずれか一方を親権者と定めることになっています(民法819条1項、2項)。
しかし、日本でも共同親権の制度が2026年までに施行される予定です。
面会交流とは、子を養育していない方の親が、定期的に子どもと面会を行うことです。
これについても、離婚する前に「いつ」「どこで」「どのくらいの頻度」で子供と面会するのか、細かく取り決めることが大切です。
子どもに危険が及ぶ可能性がある場合や、連れ去りのリスクがあるような場合を覗き、親権者が面会交流を拒否することはできません。
そこで、離婚後にできる限り相手方と話したくない、連絡をとりたくないと思っている場合は、この面会交流についてあらかじめ細かく取り決めておくことが重要となります。
例えば、連絡手段としてはメールと電話どちらを指定するのか、誕生日やクリスマスに子供にプレゼントを渡す場合の詳細の手順など、細かすぎると思うことまで決めておくことをおすすめします。
このあたりをうやむやにしていると、やがて意見の食い違いが出てきて非常にストレスを感じることになるでしょう。
協議離婚で揉めることが予測できる場合や、話し合いを進めていたものの平行線で話がまとまらないという場合は、弁護士に代理交渉してもらうことをお勧めします。
直接相手方と顔を合わせたくないという場合は、弁護士本人にあなたの代理人となってもらい、協議離婚の交渉を全てお任せしてしまうことができます(あなたは弁護士に自分の希望する離婚条件を伝えます)。
相手方は代理人弁護士を立てられてしまうと、以降はその代理人弁護士を介して離婚協議を進めるしかありません。
専門家による交渉は流れもスムーズであるため、話し合いが早期にまとまる可能性が高いです。
あるいは、離婚条件に関する法的知識や金額の相場観、さらには話し合いにおいての注意点やコツなど、離婚協議に関するあらゆることを弁護士にアドバイスしてもらい、ご自身で交渉に臨むこともできるでしょう。
協議離婚がまとまりかけている段階で、最後のチェックのために弁護士に依頼することも可能です。
離婚問題に強い弁護士であれば、例えば以下のようなことについても精通しているため、離婚条件の見通しを立てることができます。
さらに、離婚協議書など法的な書類関係の作成についても弁護士に依頼できます。
無事に離婚協議の話し合いが進み合意内容がまとまったら、離婚の合意書「離婚協議書」を作成します。
どういう条件で離婚をするのか、協議離婚で話し合った内容をもれなく記載し双方で署名捺印を行ないます。
口頭の約束だけでは、後で「言った・言わない」のトラブルが発生するものです。
そこで、離婚協議書は必ず作成し、できれば「公正証書」で作るようにすることをおすすめします。
内容としては、大雑把に書くのではなく、例えば財産分与で不動産がある場合については、その不動産の所在地や地番、家屋番号などまで細かく記載します。
とにかく離婚した後に離婚協議書を見て一切の疑義が生じないようにする必要があるため、その精度は非常に重要となるのです。
このような理由から、離婚協議書は内容次第では非常に長い条文となります。そこで、通常は弁護士に依頼をして作成してもらいます。
ネット上にはサンプルやテンプレートがありますのである程度自分で作成することも可能ですが、できれば専門家の目からチェックをしてもらうようにしましょう。
当ポータルサイトでは、ご自身の状況を選択すれば自動で離婚協議書のテンプレートを生成できるツールを用意していますので、一度利用してみてください。
(※以下のサンプルメーカーもあくまで簡易的なものであるということを忘れずに、最終的には法律の専門家に相談をして作成をしたほうが良いでしょう。)
協議離婚の平均期間ですが、これについてはその夫婦によってピンキリと言えます。
協議離婚はあくまで裁判外の手続のため、公判のような期日が指定されません。そのため、双方が多少でも歩み寄りの姿勢を見せなければ、1年や2年も協議中のまま…ということもあります。
離婚の協議が長引くと、精神的にも肉体的にも疲弊したしまうものです。
よって、当然ですが離婚協議はできる限り早期に決着させることが当事者双方にとってプラスとなります。
離婚を弁護士に相談すると、この協議離婚にかける時間は非常に短くなる傾向にあります。
弁護士によっては、相手と一度接触して「いくら説得しても話し合いに応じそうもない」と感じたら、すぐにでも次のステップである調停離婚に移行する手続をとる場合もあります。
離婚に強い弁護士ならば、本件の離婚が協議離婚で解決可能なケースなのか、あるいは協議に時間をかけるだけ無駄なケースなのかがすぐに判断できるでしょう。
協議離婚を早期に決着つけたいと考えた場合は、できる限り弁護士に依頼をして相手方と直接交渉してもらうと良いでしょう。
今回は、協議離婚で相手方と交渉をする場合において、決めるべきことや押さえておきたいポイント、弁護士に代理人をお願いするメリットをご紹介しました。
協議離婚は当事者間で話し合いを行うため、弁護士に依頼することは必須ではありません。
しかし、協議がうまくまとまらない場合は、なるべく早く弁護士に代理人となってもらうことがおすすめです。
夫婦関係が修復不可能なほどに壊れてしまっていても、弁護士が代理人となれば相手方と顔を合わせることなく協議を進めることができます。
条件面についてこちらに有利に話を進めてくれるだけでなく、どうしてもまとまらない場合の調停・裁判まで一貫してサポートをしてくれるでしょう。
離婚問題でお悩みならば、ぜひ一度離婚に強い弁護士にご相談ください。