給料の差し押さえは拒否できない!会社にバレる前に回避する方法
給与差し押さえを受ければ、借金や滞納の事実が会社にバレてしまいます。差し押さえは拒否できませんので、適切な対処を行い…[続きを読む]
厚生労働省によると、2021年に国民年金保険料を納付した人は約73.9%ということです。この数字は10年連続で前年度を上回っており、納付率は年々改善しているのですが、それでも約3割の人が国民年金を支払っていないことになります。
※一方で、2021年は新型コロナの影響で納付を全額免除または猶予された人も多く、特例措置の利用者は昭和61年度以降最多となっています。
国民年金が払えずに滞納を続けていると、比較的早い段階で「特別催告状」という書面が届きます。
この書面が届いた時点では、差し押さえなどの大きな問題がすぐに発生するわけではありません。しかし、これを放置していると、そのうち強制徴収となり、個人の財産の差し押さえを受けることになります。
この記事では、年金特別催告状にどう対応すべきかを解説していきます。
国民年金を滞納すると、将来年金を受け取れなくなったり、受け取れる金額が減ったりします。また、老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れなくなってしまう可能性もありますので、現在滞納中の方は何かしらの対処法をお考えください。
目次
国民年金未納保険料納付勧奨通知書を無視すると、しばらくして「年金特別催告状」が届きます。
これは三度届くと説明しましたが、納付者がわかりやすいように、信号と同じ封筒の色で危険度を表しています。
最初に来る封筒は青です。青の場合は「納付し忘れ」等を想定しています。
次は、黄色の封筒です。黄色の場合、強制徴収が近づいていることを指しています。
最後に届くのが、赤い封筒です。ここまで来ると、書面の内容も変わってきます。
未納があることを通知する内容だけではなく、差し押さえの準備に入ることが書かれています。
年金の未納が続く場合には、以下のような措置が取られます。
年金の未納が1ヶ月でもあると、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書」が届きます。
このとき、納付書も同封されているため、それを使って支払えば問題ありません。しかし、期限までに支払わなかった場合には、電話や訪問で「支払ってください」という督促を受ける可能性はあります。
それでも支払わない場合(滞納から半年以上経過した場合)には、年金特別催告状が送付されます。これは合計で三度送られてきます。
「特別催告状」は封筒に入っていて、最初は青色ですが、無視していると封筒の色が黄色や赤(ピンク)色に変わり、警告の度合いが高くなったことが分かるようになっています。
これにも従わない場合には、「最終催告状」が届きます。「期日までに支払わないと、今後は遅延損害金もかかってきますよ」という内容の書面です。
その次に「督促状」が届きます。延滞金も含めた納付額が書かれており、支払い期日までに納付すべきことが書かれています。
最後に、差押予告通知が送付されます。これは最終通告書であり、指定された期日までに対処しなければ差し押さえが実行に移されます。
差し押さえされる個人の財産の例としては、給与、預金、自動車、自宅、有価証券などが挙げられるでしょう。
最近では強制徴収が強化されていますので、未納がある場合は早めに納付することが大事です。
なお、督促状で指定されている納付期限までに納付しなかった場合には、延滞金も課されます。
出典:国民年金保険料の延滞金|日本年金機構
以下のように、国民年金保険料利率は最大で14.6%となります(2023年8月現在)。
期間 | 納期限の翌日から3ヶ月間 | 納期限の翌日から3ヶ月経過後 |
---|---|---|
平成26年12月31日以前 | 年4.3% | 年14.6% |
平成27年1月1日から 平成28年12月31日まで |
年2.8% | 年9.1% |
平成29年1月1日から 平成29年12月31日まで |
年2.7% | 年9.0% |
平成30年1月1日から 令和2年12月31日まで |
年2.6% | 年8.9% |
令和3年1月1日から 令和3年12月31日 |
年2.5% | 年8.8% |
令和4年1月1日から 令和4年12月31日 |
年2.4% | 年8.7% |
令和5年1月1日から 令和5年12月31日 |
年2.4% | 年8.7% |
これまでに特別催告状を受け取ったことがある方もいらっしゃるでしょう。
未納のまま放置していたが「差し押さえを受ける気配はない」という方もいます。
しかし、平成30年度以降は差し押さえや強制徴収は強化されていますし、納付状況が改善しなければ今後も基準が厳しくなることは想定できます。現段階で何も起きていないからといって、今後も同じだとは限らないということです。
その後の最終催告状が届くタイミングも一律ではなく、忘れた頃に届く可能性もあります。
実際に特別催告状が届いたという人は、現段階で何も起きていなかったとしても、今後強制徴収される可能性はあると理解しておくべきです。
では、実際に特別催告状が届いた場合、どう対応すればいいのでしょうか。
収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な方のために、日本年金機構は以下のような制度を用意しています。
本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下だったり、失業したりした場合など、納付が経済的な困難な場合に利用できる制度です。申請書を提出することで、承認されると納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり、前年所得の金額を基準に審査されます。
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合には、承認されると保険料の納付が猶予されます。
参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
他にも、家庭内暴力(DV被害)を受けており加害者と住居が異なっている方の取得が一定以下である場合や、産前産後期間については、一部免除などを受けられる制度もあります。
学生の場合は、「学生納付特例制度」を利用できるでしょう。
なお、将来受給する年金額を増やすには、保険料免除や納付猶予になった保険料を後から納める(追納する)必要があります。
上記の制度を利用で着ない場合でも、年金事務所・ねんきんダイヤルに相談することで、分納(分割払い)を受け入れてもらえる可能性があります。
差し押さえ前の段階でしたら交渉の余地もありますので、下記の窓口でしっかりと理由を添えて相談してみてください。
参考:電話での年金相談窓口|日本年金機構
年金以外にも借金を抱えていて返済できない等の問題がある場合には、債務整理を検討することをおすすめします。
債務整理は、消費者金融や銀行などからの借金を合法的に減額・免除できる手続きです。
国民年金保険料は債務整理により減免することができないのですが、他の借金を整理することで、年金を支払う経済的な余裕が生まれるかもしれません。
債務整理を検討したい場合は、専門家である弁護士に相談してみましょう。
【時効での消滅は難しい】
国民年金保険料の納付義務にも時効は存在します。納付義務が発生した時から2年が経過すると、債務は時効により消滅します(国民年金法102条4項)。しかし、この消滅時効は督促状により更新されてしまい、更新後はそこからまた2年カウントしなければなりません。
確かに、国民年金の未納者が多数であった頃には、時効期間内に強制徴収が行われない例もしばしば見受けられました。しかし、先述の通り最近は強制徴収が強化されており、督促状は確実に送付されると考えられます。さらに、仮に消滅時効が完成した場合でも、国民年金保険料を追納することができなくなります。将来受け取ることのできる老齢基礎年金の金額が減ってしまうのです。
よって、年金債務の時効を狙うのは得策ではないでしょう。
特別催告状を放置していると、ゆくゆくは財産を差し押さえられ、強制的に保険料を徴収されてしまう可能性が高いです。そうなる前に何らかの対処をする必要があるでしょう。
もし、年金以外に滞納している借金があり、支払えずに困っているという場合は、債務整理に強い弁護士へ一度ご相談ください。
あなたが悩んでいる借金についてそれぞれどのように対処すれば良いか、法律的な視点からアドバイスした上で根本的な解決に導いてくれます。
年金の未納が続く場合には、書面や電話、訪問による督促が続いた後、最終的に強制徴収で財産の差し押さえが行われます。
差し押さえされる個人の財産の例としては、給与、預金、自動車、自宅、有価証券などが挙げられるでしょう。
また、将来年金を受け取れなくなったり、受け取れる金額が減ったりします。
老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れなくなってしまう可能性もあります。
経済的に納付が難しい場合、免除制度・納付猶予制度の利用を検討することができます。
参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
家庭内暴力(DV被害)を受けており加害者と住居が異なっている方の取得が一定以下である場合や、産前産後期間については、一部免除などを受けられる制度もあります。
学生の場合は、「学生納付特例制度」を利用できるでしょう。
残念ながら、年金や健康保険料・税金などは債務整理の対象外です。
上記のような公租公課は、役場などの担当窓口で直接分納の相談をすることになります。
しかし、仮に年金以外にも借金を抱えていて返済できない等の問題がある場合には、債務整理をおすすめします。他の借金を整理することで、年金を支払う経済的な余裕が生まれるかもしれません。