裁判所の特別送達・郵便物は受け取り拒否・無視できる?不在の場合は?

消費者金融や銀行からの借入、クレジットカードや携帯料金などを滞納すると、当然ながら返済の督促を受けることになります。
そして、未払いが3ヶ月以上の長期に及ぶと、裁判所から訴状支払督促などの公文書が特別送達で自宅に届くことがあります。

「地方裁判所からの特別送達の不在票が入っていた!」などという場合、不安やストレスを感じて内容を確認せずに無視してしまう方もいらっしゃいます。特に、借金の支払い滞納が原因で送られてきたものである場合、「どうせ払えないのだから」と放置したくなるのも無理はないかもしれません。

しかし、これらの特別送達を受け取らず拒否した場合や、受け取ったとしても中身を確認せず放置した場合、最終的には財産を差し押さえられるなど大きな不利益を受けることになります。
裁判所からの郵便物は無視せず、しっかりと対応することが大事です。

この記事では、裁判所からの特別送達・郵送物を無視して受け取らないことのリスクや、訴状・支払督促への正しい対処法について詳しくご紹介していきます。

裁判所から届く特別送達とは?

特別送達の封筒

特別送達とは、裁判所から関係者に訴状などの書類を送達し、その送達の事実を証明する郵便物です。
特別送達郵便は郵便局員から手渡しされ、受け取りに際しては印鑑またはサインが求められます。

裁判所からの郵便物は原則として特別送達で送られてくると覚えておきましょう(逆に言えば、特別送達ではない普通郵便で届いた書類は、裁判所を騙る詐欺である可能性もあります)。

特別送達では、文書が送付された時点と受け取られた時点の記録が残るため、「受け取っていない」という虚偽や郵送事故を防ぐことができます。

特別送達が行われる場合、送られた封筒には「特別送達」と明記されており、容易に確認することができます。
借金問題については裁判所から特別送達が送られることが多いですが、公証役場や特許庁などからも特別送達が送られてくることがあります。

特別送達の受け取り拒否・無視はできる?

特別送達は、法律上受け取りを拒否することができません。
裁判所からの郵便物(送達証明書)は原則として特別送達になるので、裁判所からの書類は受け取り拒否できないと覚えておきましょう。

そもそも受け取りを拒否することができない特別送達ですが、それでも断固受け取らない姿勢を示すような場合は、郵便配達員がその場に郵便物を置いていくことで送達したものとみなされます
これは「差置送達」と言い、民事訴訟法第106条によって認められています。

また、本人以外の同居人などの関係者に渡すことでも、特別送達は配達されたとみなされます。これを「補充送達」と言います。
基本的に分別のある年齢の人であれば補充送達は可能なので、誰かしらが家にいたら特別送達は受け取られることになるでしょう。

不在・居留守で特別送達を受け取らないとどうなる?

裁判所からの郵便物は平日に届くことが多いので、受取人が外で働いている場合、受け取れずに不在票が置かれるケースは多いです。

受取拒否ができないとはいえ、家に誰もいない場合や、居留守を使った場合はどうなるのでしょうか。

不在票→再送達(再配達)

特別送達の配達の時間に不在の場合や居留守を使った場合、普通の郵便物と同様にポストに不在票が入れられます。
不在票は一目で裁判所からの書類であることが分かるようになっています。

通常郵便局での郵便物の保管期間は1週間なので、不在票を放置してその期間が経過すると、特別送達による郵便物は裁判所へ返送されます。

もし裁判所に特別送達の書類が送り返されてしまうと、その後債権者側は裁判所に再送達を申し立てることになります。
その際、曜日や送り先を指定され、再配達されます。

平日家にいないようであれば休日、自宅に届かない場合は職場に送られることもあります。
勤務先であれば高確率で本人がいるので、特別送達が職場宛てに送られる可能性は高いでしょう。

職場に裁判所からの郵便物が届いた場合、周囲の人に借金の存在がバレてしまう可能性があります。それは困るという場合は、受け取り拒否や居留守はせず、きちんと受け取りましょう。不在票が入っていたら、速やかに連絡して受け取ることをおすすめします。

なお、特別送達は、転居届が受理されていれば転送することが可能です。

再配達をしても受け取らない場合

付郵便送達

自宅や職場に再配達をしても受け取らなかった場合は、住まいを調査され、居住が確認できれば「付郵便送達」という方法が利用されます。
付郵便送達とは、発送された時点で相手に送達されたものとみなす郵便方法です。

居住の確認には、電気・ガスのメーターや表札、大家さんへの聞き取りなどによって特定されます。
既にそこに住んでいない場合は、住民票や戸籍から転居先が特定されてしまうでしょう。

公示送達

新住所も分からない場合は、「公示送達」と言って、裁判所の掲示板に一定期間、書類の受け渡しについて公示することで、書類を送達したものとする制度が使われます。

公示送達で掲示される文面には、借金の督促や強制執行するといった内容は記載されず、あくまで「裁判所で書類を保管しているので取りに来てください」といったことが書かれているだけです。

公示送達から個人情報が漏れることはありません。
しかし、公示送達による掲示から2週間経過すると、送達があったと見なされてしまうことになります。

そのまま訴訟の手続きが進めば、最終的には給料や口座預金が差し押さえられたり、自宅自体が競売にかけられたりするという最悪の事態にもなりかねません。

そうならないためにも、身に憶えがある場合は、裁判所からの郵便物は怖くてもきちんと受け取った上で、弁護士に相談して解決を模索することをおすすめします。

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受け取り拒否・放置を続けた場合の末路(財産の差し押さえ)

裁判所から郵便物が届いたということは、既に債権者(お金を貸した側)は本格的にお金を回収するために裁判所に働きかけているということです。
裁判所からの郵便物(訴状・支払督促)を無視していると、間も無くして強制執行によって財産を失ってしまうという末路が待っています。

強制執行とは、繰り返しの督促にも関わらず借金の返済がない場合、債権者が裁判所で手続きをすることで国家権力が債務者の財産を差し押さえ、強制的に支払いを実行させることです。

「差し押さえ」では、財産を取り上げたり売却したりすることによって債務を強制的に回収することができます。

例えば、給料を差し押さえられると、債権者は債務者の給与から毎月強制的に一定額を徴収します。
預金口座(預貯金)を差し押さえられると、預金が徴収されて残高が0円となり、通帳には「サシオサエ」と記載されるようになります。

担保としていた不動産屋動産が差し押さえられた場合、それらの財産は競売などの手続きで処分され、売却代金が債務の支払いに回されます。

このように、特別送達を無視して財産の差し押さえを受けると、ご自身や家族の生活に直接的な影響が及ぶようになります。

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裁判所から郵便物が届いたら弁護士に相談

「東京簡易裁判所」「簡易裁判所」「地方裁判所」などと記載されている裁判所からの郵便物は「受け取りたくない」「受け取り拒否したい」といったネガティブな気持ちになるかもしれませんが、そこで受け取らないと大変なことになります。

受け取らなかったとしても法的手続きは進行していき、長時間放っておくと強制執行で財産を差し押さえられてしまいます
自宅や会社に裁判所からの郵便物が届き、周囲に借金滞納がバレてしまことにもなりかねません。

そうならないためにも、裁判所から特別送達が届いたら必ず受け取るようにして、中身を確認しましょう。

「多額の借金を抱えて困っている」「督促が止まらない」「裁判所から特別送達が来た」という場合は、1人で悩まずに弁護士・司法書士へご相談ください。

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裁判所からの郵便物に関するよくある質問

裁判所からの郵便物を無視するとどうなる?

裁判所からの郵便物(特別送達)は受け取り拒否できません
特別送達」によって送達された送達証明書は、法律上受け取りを拒否することができないのです。

断固として受け取らない場合は、郵便配達員がその場に郵便物を置いていくことで送達したものとみなされます差置送達)。
また、本人以外の同居人などの関係者に渡すことでも、特別送達は配達されたとみなされます(補充送達)。

基本的に分別のある年齢の人であれば補充送達は可能なので、誰かしらが家にいたら特別送達は受け取られることになるでしょう。

不在(居留守)で特別送達を受け取らないとどうなる?

不在票を放置して一定期間が経過すると、特別送達による郵便物は裁判所へ返送されます。
裁判所に特別送達の書類が送り返されてしまうと、その後債権者側は裁判所に再送達を申し立てることになります。

再配達では曜日や送り先を指定されます。
平日家にいないようであれば休日、自宅に届かない場合は職場に送られることもあります(※勤務先であれば高確率で本人がいるので、特別送達が職場宛てに送られる可能性は高いでしょう)。

再配達も受け取らない場合はどうなる?

自宅や職場に再配達をしても受け取らなかった場合は、住まいを調査され、居住が確認できれば「付郵便送達」という方法が利用されます。
付郵便送達とは、発送された時点で相手に送達されたものとみなす郵便方法です。

居住が確認できない場合は、「公示送達」と言って、裁判所の掲示板に一定期間、書類の受け渡しについて公示することで、2週間後には書類を送達したものとする制度が使われます。

このように、裁判所からの書類を受け取らなかったとしても結局法的手続が進んで行ってしまい、最終的には強制執行されてしまいます。

東京簡易裁判所から特別送達が届いたらどうするべき?

東京簡易裁判所からの郵便物について、訴状・呼び出し状は東京簡易裁判所・民事(東京都千代田区霞が関)、支払督促は東京簡易裁判所・墨田庁舎(東京都墨田区錦糸)と記載された封筒で、特別送達で郵送されてきます。

訴訟

東京簡易裁判所から訴状が送られると、裁判所が決めた日に口頭弁論による裁判が行われます。
裁判所から訴状と期日呼出状が届いたにもかかわらず、債務者がそれを無視して口頭弁論期日を欠席すると、債務者不在の状況で審理が進められます

実務上は、債務者(被告)が初回から2回連続で口頭弁論期日を欠席すると「擬制自白」が成立し、債権者(原告)の主張を全面的に認める判決が言い渡されます(民事訴訟法159条3項)。

判決が言い渡された後、被告には判決書または口頭弁論期日の調書が送達されます(同法255条)。送達を受けた日から2週間の控訴期間が経過すると、債権者勝訴の判決が確定します(同法285条)。

確定判決は債務名義となり、これを得た債権者は、裁判所に強制執行を申し立てることができます(民事執行法22条1号)。

これを避けるために、東京簡易裁判所からの特別送達は無視せず、受け取って答弁書を提出することが重要です。
このような対応には弁護士のサポートが必要となるので、訴状が届いたら早めに相談をするようにしましょう。

支払督促

債権者が裁判所に申立てることにより、簡易裁判所から債務者に督促状(支払督促)を発行してもらう制度です。
支払督促に対して反論がある場合、債務者は異議申し立てが可能です。

支払督促に対して異議申し立てをしない場合、支払督促が債務者に送達されてから2週間が経過すると、債権者は裁判所に対して、支払督促に「仮執行宣言」を付すことを申し立てることができます。この時の仮執行宣言付支払督促は、改めて債務者に対して送達されます。

仮執行宣言付支払督促が債務者に到着した後であれば、債務者は仮執行宣言付支払督促を「債務名義(=強制執行をするために必要になる裁判所の許可書)」として、裁判所に対する強制執行の申立てが可能となります(民事執行法22条4号)。

前者の「訴訟」よりも簡易的に債務名義を取得できるので、債権者の多くは債務名義の取得に際して支払督促を採用するでしょう。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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