法律事務所の業務停止・契約解除でお困りのご依頼者様へ

法律事務所

2017年、最大手の法律事務所(弁護士事務所)が東京弁護士会から2ヶ月の業務停止処分を受けるという事例が発生しました。この出来事により、当該法律事務所に債務整理手続きを依頼していたクライアントは大きな影響を受けました。

法律事務所が業務停止となる事例は稀ではありますが、契約していた法律事務所が業務停止、契約解除、あるいは弁護士が辞任するなどの状況が生じた場合、関係者はどのように対処すべきか悩むことでしょう。

この際、債務整理を依頼していたクライアントに向けて、最適な対処方法についてご説明いたします。法律事務所の業務停止・営業停止によって困惑している方々にとって、適切なアクションを取る手助けとなる内容を提供します。

弁護士事務所が業務停止を受けた場合

虚偽広告・誇大広告などにより「弁護士会(弁護士が構成員の団体)」から業務停止の判断を受けた場合、これまでの例では、該当の法律事務所に「一切の事件受任をすることができない」「受任している事件についても、すべての法律委任契約を解除しないとならない」などの処分が下されました。

この場合、例えば依頼者は、事務所の営業停止に伴い、任意整理で返済中・個人再生の手続き中にも関わらず一方的に委任契約を解除されてしまいます。
そのまま放っておくと債務整理に大きな影響が及ぶため、早急に今後の対応を考えないとならないという問題を抱えることになります。

このまま継続して業務停止期間を待つことはできないのか?という疑問も当然あるかと思いますが、規定により全ての契約を一旦解除しないとならない可能性もあります。こうなると、業務停止期間後の制約はありませんが、契約を維持して業務停止期間を待つことはできず、一旦解約する必要があります。

法律事務所に何らかの事件を依頼している方は、突然「債務整理」や「過払い金返還請求訴訟」などのサービスを途中で受けられなくわけですから、何かしらの対応をしなければなりません。

【契約の解除には申出や通知が必要】
弁護士や弁護士法人が業務停止処分を受けたとしても、当然に依頼者との契約が解除されるわけではありません。この場合、あくまで業務を停止しているだけであり、弁護士法人としての資格が剥奪されたわけではないからです。
そこで、契約を正式に解約するためには、法人側からの契約解除の申出を受けるか、依頼者の方から解約通知を送ることが必要です。
しかし、大手の事務所の場合、連絡書が届くのに時間がかかったり、手違いで連絡書が届かなかったりすることも考えられます。この場合には、依頼者側から法律事務所に解任通知を送って契約関係を終わらせる方が良いでしょう。
解任通知を送るときには、内容証明郵便を利用することをお勧めします。

契約解除後の影響

それでは、法律事務所との契約解除されることにより、依頼者にはどのような影響が及ぶのでしょうか?

事件着手前、着手金支払い前のケース

法律事務所との委任契約はしているけれども、着手金を支払っておらず、まだ事件にも着手されていないという場合には、影響は小さいです。

そのまま契約解除をして、他の弁護士に依頼することになります。

事件着手前、法律事務所に費用を支払い済みのケース

法律事務所との契約後、債務整理にかかる費用を分割払いしていることがあります。
また、着手金を支払ったけれども、事件に着手していないということもあるでしょう。

この場合、待っていても同法律事務所は事件処理を進めてくれませんので、別の弁護士を探す必要があります。
ただ、法律事務所から費用の返金を受けられるのかが問題となります。

事件着手前であれば、ほとんど全額の返金があることが予想されます。待っていれば、法律事務所から案内があることが予想されます。
もしいくら待っても返金が行われないというときには、こちらから郵便などで連絡を入れたり、請求書を送ったりしなければならない事態も考えられます。

債務整理事件に着手後のケース

すでに着手金を支払い、法律事務所が事件に着手しているケースでは、所属弁護士はそのまま事件処理を続けることができないので、いったん辞任することになるのが原則です。
ただし、その弁護士個人が特に処分を受けていない場合、弁護士と個別に契約をすることで、継続して事件を処理してもらえる可能性もあります。

どちらにしても、支払い済みの費用をどうするのかは決定しなければなりません。
事件の進行度合いによって、一部返金をするのか、またはいっさい返金をしないのかなどを決定する必要があります。

分割返済を法律事務所に依頼しているケース

任意整理などの債務整理手続きを終えると、債権者への支払いが必要です。この支払い手続きについて、法律事務所に返済代行を依頼していることがあります。

その場合、該当の事務所は業務停止となってしまったため、継続して返済代行をすることができません。
そこで、今後は依頼者が自分で債権者らに対し返済をしなければなりません。

待っていても弁護士事務所は返済をしてくれないので、放っておくと「未入金」状態となってしまいます。任意整理の場合には、2ヶ月分返済を滞納すると、残金一括払いが必要になってしまうので、注意が必要です。
個人再生の場合にも、支払いをしないと再生計画認可決定を取り消されてしまうおそれもあります。

返済代行を依頼しているならば、早急に債権者に連絡を入れて、入金先の口座を確認し、自分で入金を行うようにしましょう。
もし、弁護士事務所に返済用の原資を預けているのであれば、早めに返還してもらう必要があります。

過払い金返還請求中のケース

法律事務所に過払い金返還請求を依頼して、交渉中あるいは訴訟中だった場合にも、そのままの契約で手続きを進めることはできなくなります。
そこで、弁護士と個別に契約をし直すか、新しい弁護士を探さなければなりません。

裁判をしているときには、弁護士も原告本人も出席しないと、裁判を継続することができず、最終的には棄却されてしまいます。
早めに新しい弁護士に依頼して、裁判所に連絡を入れてもらう必要があります。

過払い金の入金待ちのケース

法律事務所に依頼して過払い金返還請求を行い、すでに合意ができていて、後は過払い金の入金を受けるだけ、というケースがあります。
この場合、法律事務所の預り金口座が、過払い金の入金先として指定されている可能性が高いです。

しかし、業務停止処分を受けると、口座も停止される可能性があり、放っておくと過払い金の入金を受けられなくなるおそれがあります。
そこで、早急に相手業者に連絡を入れて、自分の名義の口座を新たな入金先として伝えておきましょう。

また、既に過払い金が返ってきていて、法律事務所が預かっている状態であるケースもあります。この場合には、法律事務所から過払い金を返してもらう必要があります。

待っていれば同法律事務所から返金の案内があるかと思われますが、連絡がない場合にはこちらから連絡を入れたり、請求書を送付したりしなければなりません。

契約解除後の3つの対応方法

法律事務所が業務停止処分を受けることにより、事務所はこれ以上事件処理を進めることができなくなってしまいます。

この場合、依頼者としては、主に3種類の対応方法があります。

  • 依頼者本人で対応する
  • 他の事務所の弁護士の先生に新たに委任する
  • 業務停止が弁護士法人の場合、所属弁護士に個人として委任契約を締結する

「依頼者本人で対応する」は可能か?

債務整理は、必ずしも弁護士に依頼しないといけない、というものではありません。自分でも対応することは可能です。

そこで、法律事務所との契約解除後、債務者が自分で事件を引き継いで、債務整理を進めていくことはできます。
実際、「弁護士に依頼したことによってこのような酷い目に遭ったなら、もはや弁護士に依頼せず、自力で事件を進めよう」と考える方がいても、当然といえば当然です。

ただ、本人対応はお勧めではありません。債務者が自分で債務整理をすると、いろいろな点で不利になるからです。

たとえば、任意整理であれば、債権者との交渉で劣勢になってしまうため、どうしても不利な条件で和解してしまうことになりやすいです。
また、個人再生や自己破産の場合、法律や裁判所の手続きについてある程度精通していないと、対応することすら難しいです。自分で進めようとしても、手続きが滞ってしまいます。
過払い金返還請求の場合、債務者が自分で対応すると、過払い金返還額を大きく減額されて、結果的に損になりやすいです。

そこで、やはり基本的には新たに弁護士を探して依頼することをお勧めします。

事件がほぼ終結しており、あとはほとんど何もしなくて良い(合意書を返送するだけ、裁判所による許可を待つだけ、入金を待つだけなど)のであれば、自分で進めても良いですが、それ以外の実質的な作業が必要な場合には、弁護士に依頼しましょう。

弁護士依頼には、別の弁護士に依頼する方法と、該当する弁護士事務所の所属弁護士に継続して個人事件として受任してもらう方法があります。

他の事務所の弁護士の先生に新たに委任する

2つ目の対応方法は、業務停止した弁護士事務所とは無関係の別の弁護士に対応を依頼することです。

契約解除されたら、もはや前の事務所とは何の関係もなくなるので、一から弁護士を探して契約をすればよいだけです。
契約が済んだら、新しい弁護士が債権者宛に受任通知を発送し、これまでの続きの流れで、事件処理を進めてくれます。

任意整理、個人再生、自己破産、過払い金返還請求、どのような手続きでも、事件途中の受任(弁護士の交代)は可能です。
ただし、その場合には、新しい弁護士に対する新たな着手金が必要になるので注意が必要です。

以前の事務所からの返金分と、新たな弁護士の着手金の費用を計算しながら、弁護士探しをすると良いでしょう。

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所属弁護士に個人として委任契約を締結する

3つ目の対応方法は、効率面から弁護士を変えずに、業務停止した法律事務所の担当弁護士に個人事件として引き続き事件を受任してもらう方法です。

業務停止などを受けたのが、「弁護士法人」の場合、そこに所属している弁護士全員が業務停止処分を受けたわけではありません(なお、代表弁護士は同じく業務停止となる可能性が高いです)。
そこで、業務停止処分を受けていない、個人の弁護士とであれば、自由に契約を行い事件処理を進めてもらうことができます。これまでお世話になっており、信頼関係もできているのであれば、引き続いてその弁護士に任せることができれば安心です。

弁護士と連絡がとれるのであれば、その弁護士と契約をし直して、引き続き事件処理を進めてもらうのも1つの対処方法です。

ただし、この場合、法律事務所の担当弁護士の側から、継続した事件処理を「勧誘」することは認められていません。
そこで、依頼者の方が自ら求めていないのに、弁護士の方から「是非とも私に継続してご依頼下さい」と言われた場合には、注意が必要です。

その弁護士に依頼したからといって依頼者が処罰されることはありませんが、弁護士が不適切な言動を行っているということは理解しておく必要があります。

良い弁護士の探し方

法律事務所の弁護士との契約を解除されて大きな迷惑を被った依頼者の方なら、「もう二度と弁護士選びで失敗したくない」と考えることでしょう。
新たな弁護士を選ぶときには、誠実に対応してくれて、本当の意味で依頼者のために親身になってくれる弁護士を探すべきです。

弁護士探しの方法として、やはり、今の時代に役に立つのはホームページの情報です。
債務整理に力を入れている事務所、これまで多くの事件を解決している事務所、また、当然のことながら、懲戒処分を受けたことがない事務所、長年の実績のある事務所などが安心でしょう。

また、実際に弁護士と会って、その人となりを確かめることも重要です。丁寧に説明をしてくれて誠実に対応してくれる、信頼できる人に事件を依頼しましょう。

相手が弁護士と言えども、大げさな広告や巧みな話術に惑わされない「賢い消費者目線」が必要です。親身な姿勢で、誠実・実直に対応している弁護士を探しましょう。

【途中で弁護士が変わることに弊害はないか】
債務整理の途中で新たに弁護士を探すとしても、「弁護士を変えると、手続きに不利になるのではないか?」と不安に感じる方がおられるかもしれません。
しかし、この点は基本的に心配要りません。
まず、裁判所は弁護士を変えることに対して何の偏見も持っていません。実際に業務停止などという問題が発生しなくても、弁護士が変わること自体はよくあるからです。
個人再生や自己破産をしているなら、何も気にせず、ビジネスライクに新たな弁護士に引き継いでもらえば良いだけです。
任意整理や過払い金返還請求の場合にも、基本的には何も心配要りません。
債権者も、弁護士が変わったからと言って態度が変わることはありません。
ただ、前の弁護士の方が交渉がうまかったという場合には、不利な状況になってしまう可能性もあります。反対に、新しい弁護士の方が交渉に長けている場合には、前より有利に解決することも可能となります。
「途中で弁護士が変わることで不利になるかも」という心配をするよりも「良い弁護士を探して引き継いでもらう」ことが重要です。

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まとめ

今回は、法律事務所が業務停止処分を受けた場合、債務整理の依頼者の方がどのように対応すべきかについて解説しました。

同じ弁護士法人の弁護士に引きつづき依頼するにせよ、新たに弁護士を探すにせよ、もう二度と同じような目に遭わないように、「信頼できる弁護士」に対応を依頼することが重要です。
この記事を参考にして、依頼者として受ける不利益を最小限にとどめていただければと思います。

尚、業務停止などではなく、契約していた弁護士から「辞任通知」が送られてきてしまったという場合には、以下の記事をご覧ください。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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