借金の一本化(おまとめローン)のメリット・デメリット|本当にお得?
借金の一本化(おまとめローン)とは、その名の通り複数の借金を1つにまとめるサービスのことです。「振込手数料が安くなる…[続きを読む]
30歳代を含め、日本においては借金がない世帯が最も多いのは事実です。金融広報中央委員会の令和4年の調査では、30代の単身世帯で借入がある方は20.1%、二人以上の世帯では28.4%でした。
しかし、30代は結婚・出産・車や自宅の購入、転職などのライフイベントが増える時期であり、これらが理由で消費者金融から借り入れたりローンを組んだりすることは決して少なくありません。
一概に「30歳で借金があるなんてやばい!」と思う必要はなく、寧ろ高級車やマイホームをローン(借金)なしで購入する方が難しいと言えるでしょう。
しかし、長期返済が前提となっているローンを除いた借金額が300万円にまで膨らむと、これを自力返済することに不安を感じる方は多いと思います。
300万円というのは、30代の平均収入(年収)に近い数字です。
この記事では、30歳で300万円の借金を抱えてしまい危機感を持っている方に向けて、自力返済のコツや借金問題の解決方法(任意整理)を解説します。
目次
30代の借金の平均額については、住宅ローンの借入があることにより正確な数字を算出しづらくなっているのが実状です。
マイホームをローンで購入すると2,000万円近くの借金をすることになりますから、借金の平均額が跳ね上がることになるのです。
ここで再び金融広報中央委員会の令和4年の調査を見てみると、借金額の平均は単身世帯で629万円・二人以上の世帯で1,852万円でした。また、二人以上の世帯での住宅ローン残高の平均額は1,736万円でした。
よって、30代の借金の平均額は、住宅ローンを差し引くと100万円〜150万円程度になると思われます。
30歳でローン差し引き300万円の借金を抱えているならば、これは比較的多額の借金であると言えるでしょう。
とはいえ、300万円が「ヤバい」と言えるかどうかは、個人の収入や支出などの生活状況により異なります。
例えば、年収が200万円代の方と、年収500万円を超える方とでは、借金300万円に対する危機感は大きく異なるでしょう。
あなたにとって○万円の借金がヤバいと言えるかどうかは、年収から見る判断基準が一般的です。
借金の金額が年収の1/3を超えるならば、その借金は自力返済をするのが難しい金額の借金であると言える可能性が高いでしょう。
例えば、借金が300万円ならば、年収が900万円以上あれば自力返済も現実的です。
これは、貸金業法で定められている「総量規制」による考え方です。
貸金業法では、貸金業者から借りられるお金の総額の上限を規制しており、これが「年収の1/3」となっています。よって、貸金業法という法律から見ても、年収の1/3を超えるお金は「過度な借入」と見なされるのです。
なお、銀行ローンなどはこの規制から除外されますので、住宅ローンや車のローンは年収の1/3を超えても組むことができます。
多額の借金で悩んでいる債務者の場合、その多くが裁量規制の除外貸付でしょう。
上記と同じ金融広報中央委員会の調査によると、30代が借金をする理由は「単身世帯」か「二人以上の世帯」かによって異なってきます。
単身世帯の場合、主な借金の理由は「日常の生活資金」(50.8%)で、これは20代と同じです。
現代社会では薄給で、生活費が足りなくなってしまう方は多いです。30代になってもなかなか給料が上がらず、借入で繋いでいる方は多いようです。
一方、二人以上の世帯で最も多い借入の理由は「住宅の取得または増改築などの資金」(47.6%)で、生活資金は次いで20.5%です。
30代では結婚されてマイホームを購入するケースが増えているため、このような結果になると思われます。
借金が300万円ある場合、1年間の返済期間ではかなり高額な返済が必要となります。
したがって、自分の生活を維持しながら、借金の返済を無理なく進めるためには、3〜5年の返済期間が必要です。ただし、返済期間が長くなるほど、支払う利息も増えていきます。
金利15%で300万円を借入した場合についての返済シミュレーションは以下の通りです。
返済期間 | 毎月の返済額 | 支払利息 | 総返済額 |
---|---|---|---|
2年 | 145,459円 | 491,028円 | 3,491,028円 |
3年 | 103,995円 | 743,842円 | 3,743,842円 |
4年 | 83,492円 | 1,007,600円 | 4,007,600円 |
5年 | 71,369円 | 1,282,167円 | 4,282,167円 |
6年 | 63,435円 | 1,567,266円 | 4,567,266円 |
毎月こんなに返済できない!と思い借金を放置していると、いずれ法的措置に踏み切られ財産の差し押さえを受けてしまうことになります。
給与の差し押さえを受けると、完済までの間手取りの一部が強制的に借金の返済に充てられ、会社にも滞納の事実がバレてしまいます。
預貯金の差し押さえを受けると、ある日突然「サシオサエ」と記帳され、残高が0円になってしまう可能性もあります。
これらの不利益を回避するには、時効が完成しない限りは何とかして借金を返済するしかありません。
とはいえ、ない袖は振れないものですので、自力返済が難しい借金に対しては何かしらの手段を考える必要があります。
副業や単発バイトで収入を増やすことを考える方は多いと思いますが、そのような日雇いで稼ぐことができるのはせいぜい数万円程度です。
これで300万円の借金を完済するのは非常に時間がかかりますので、現実的ではありません。そもそも無理な労働を続けると体を壊してしまう可能性もあり、本末転倒です。
また、不必要な支出の削減・節約をすることも大事ではありますが、やはり日々の節約だけで300万円の借金を完済するのは非現実的です。
これらの追加収入の確保・節約については、単体では考えず、以下の返済方法に付随して行うものとして考えるようにしましょう。
消費者金融やリボ払いの借金は、利息が高く設定されているケースが多く、この利息が借金の完済を難しくしています。
そこで、このような借金を利息の低い一つのローンに統合して、より低い利率で返済することを目指すサービスがあります。これは「おまとめローン」「借金の一本化」などと呼ばれます。
おまとめローンを利用すると、返済先が1社にまとまり、いくつもの借入先に返済する必要がなくなります。振込手数料が安くなる、返済日が月一になって管理しやすくなるなどのメリットがあり、利用を検討する価値はあるでしょう。
しかし、金利が安くなり毎月の返済額が減っても、返済期間が長引くことにより最終的な金利総額は大きくなってしまう可能性が高いです。
おまとめローンを利用するときは、本当に得になるのか?を事前にシミュレーションする必要があるでしょう。
現状の毎月の借金額が高額で返済が厳しいならば、まずは債権者に分割払いのお願いをしてみることが重要です。
債権者としても、滞納を続けられ破産などをされるより、確実に返済をしてもらえそうならば多少の譲歩をすることを選びます。
よって、借金の支払いが厳しい場合には、各債権者の窓口などに連絡をして事情を説明し、借金の返済期限を延ばしてもらえないか・分割払いができないか等を相談してみましょう。
必ずしも交渉に応じてくれるとは限りませんが、事情によっては分割払いや返済期限の延長を認めてくれる可能性もあります。
なお、借入先が複数ある場合におすすめなのは「最も高い利息率の借金を最初に返済する」ことです。
これにより、長期的に支払う利息の総額を減らすことができます。
上記のようないずれの方法でも自力完済が難しいならば、「債務整理」をして借金の減免をすることがお勧めです。これは、専門家である弁護士や司法書士に相談しましょう。
債務整理とは、債権者との任意の交渉や裁判所を通す法的な手続きによって、借金の減額・免除・返済スケジュールの延長を認めてもらう合法的な手続き全般のことをいいます。
中でもお勧めなのは「任意整理」です。
任意整理とは、借金の返済に困っている個人が、債権者(貸し手)と直接交渉して借金の条件を見直す手続きのことです。法的な強制力はありませんが、双方の合意に基づいて行われます。
上述した分割払いの交渉に似ていますが、弁護士や司法書士が介入することで、債務者にとって非常に有利な条件で合意を取り付けることができる可能性が高いです。
任意整理では、将来利息のカット、返済期間の延長を目指し、結果として月々の返済額の負担を軽減します。
任意整理は裁判所を介さず、債務者と債権者間の個別の交渉・合意によって行われますので、「個人再生」「自己破産」に比べて手続きが簡単で、費用も比較的少なく済むのが特徴です。
例えば、300万円の借金を全て任意整理して、5年(60ヶ月)払いで話をまとめた場合、カットされる利息は99.4万円となり、月々の返済額は5万円です。最終的に100万円近く減額できるのです。
任意整理をはじめとする債務整理は、手続きを進めるにあたり法律の専門知識が必要なため、弁護士や司法書士に依頼することになります。
弁護士・司法書士は債権者との交渉や裁判所手続を代行し、あなたの借金を完済可能な範囲にまで減免してくれるでしょう。
特に任意整理は、裁判所を通さない分その後の生活への影響も比較的小さい方法です。
それでも、「本当に債務整理をする必要がある借金なのか?」「任意整理が最適なのか?」長期的な視点で検討する必要がありますので、個々の状況に応じた最善策を考えるためにも、一度専門家に相談することをお勧めします。