銀行口座が差し押さえられる理由と解除する方法・日数を解説
この記事では、突然、銀行口座が差し押さえられてしまった場合、口座が差し押さられた理由は何故か?また、どうすれば差し押…[続きを読む]
所得税・住民税などの税金を滞納してしまっている場合、滞納処分によって財産が差し押さえられてしまう可能性があります。
給料や預貯金が差し押さえられてしまっては生活に直接的な影響が及びますので、税金の滞納状態はなるべく早く解決する必要があるでしょう。
しかし、税金は債務整理では解決できないケースが多いです。
税金は任意整理・個人再生・自己破産などで減額・免除できないので、その他の借金を整理して税金の支払いに回すか、税務署や市役所などに個別に相談し減免や猶予を認めてもらうことになるでしょう。
また、物価高騰対策臨時給付金など、低所得者向けの給付金の利用も検討してみるべきです。
「税金を滞納しているのに、その税金から払われる給付金なんて受け取れないのでは?」と不安になる必要はありません。
この記事では、税金を滞納している場合に受け取れる給付金について解説していきます。
目次
コロナ禍では、特別定額給付金など複数の給付金が交付されました。
現在でも、このような税金から支払われる給付金や補助金は複数あり、これらは大抵の場合で税金を現在滞納している方でも受給が可能です(給付金の要綱などをご確認ください)。
以下に代表的な例を紹介しますので、税金の支払いに困っている方は参考にしてみてください。
物価高騰により厳しい状況にある世帯を支援するため、 住民税均等割が課税されていない世帯に支給される給付金です。
支給額や支給条件は市区町村によって異なり、また、市区町村によっては子どもの数に応じた加算などを受けられる可能性があります。
2022年11月より、低所得者(住民税非課税世帯)への給付「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」が支給されましたが、2024年6月現在は令和6年度として申請が始まっている自治体も多いでしょう。
低所得者、高齢者、障害者などが、安定した生活を送れるよう、都道府県の社会福祉協議会が資金の貸付けと必要な相談や支援を行う制度です。
必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」や、障害者手帳などの交付を受けた人がいる「障害者世帯」、65歳以上の高齢者がいる「高齢者世帯」が貸付けの対象となります。
資金の種類としては、生活支援費、住宅入居費、福祉費、教育支援費、就学支度費、緊急小口資金など多くあります。
生活の立て直しを包括的にサポートしてくれるでしょう。
既に様々な貸金業者からお金を借りて多重債務状態になっている場合は利用が難しいですが、「収入が低く生活が苦しい(借金をしようとしていた)」「お金を返すためにまた借入を繰り返そうとしていた」などという場合は、生活福祉資金貸付制度により事態が好転する可能性もあります。
生活福祉資金貸付制度の窓口は自治体の福祉課や社会福祉協議会なので、必要な人は相談に行きましょう。
また、住宅がない人の場合は「生活困窮者自立支援制度」を活用して住居確保給付金を受けられる可能性があります。
これは生活困窮者が住宅を確保するための資金を給付してくれるもので、都道府県又は市区町村の福祉担当部署で受け付けてもらえます。
参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合、一定の要件を満たせば市区町村ごとに定める額を上限に実際の家賃額を原則3ヶ月間(延長は2回まで)支給してもらえます。
支給額はお住まいの市区町村や世帯の人数によって異なります。
税金を滞納してしまっている人にとっては、給付金が差し押さえられてしまう可能性についても心配されるところでしょう。
しかし、総務省定額給付金室は「(定額給付金は)家計への緊急支援を行うことをその第一の趣旨として実施するものであり、(略)差し押さえはその趣旨には合致しない」と答えています。
つまり、定額給付金の差し押さえは原則行われないと考えて良いでしょう。
差し押さえがされないのは、あくまで「給付金の支給を受ける権利(受給権)」と、「給付金として支給を受けた金銭」です。給付金の支給を受けた後、そのお金を現金で所持しておけば、税務署から差し押さえられることはありません。
しかし、給付金は銀行口座に振込まれることによって支払われるのが原則です。
法的には銀行口座を差し押さえることは可能ですので、給付金が銀行口座に振り込まれた後そのままになっている場合、差し押さえを受けてしまう可能性は0ではありません。
たとえば、もともと1000万円が預けられている銀行口座へ10万円の特別定額給付金が振り込まれた場合に、銀行口座が丸ごと差し押さえ禁止になるのは不合理でしょう。
もともと入っていたお金と区別することはできないので、通常どおり口座をまるごと差し押さえるしかありません。口座預金については、念のため対策を取っておくことに越したことはないでしょう。
受給後、銀行口座にある特別定額給付金の差し押さえを免れるには、①すぐに引き出すか、②税金の滞納状態を解消するかの2つの方法しかありません。
給付金を銀行口座から引き出し、現金の状態で持っておけば、差し押さえ禁止の対象になります。
とはいえ、このような差し押さえの原因が税金の滞納から来ているのであれば、税金の滞納状態を解消することが根本的な解決になります。
どのようにして税金の滞納状態を解消すれば良いかは、次の項目で解説します。
税金の滞納状態を解消するためには、給付金を受けるだけでは根本的な解決にはなりません。
支払い期間を延ばす、支払いの余力を確保するなどして、コンスタントに税金を支払うことができる態勢を作る必要があります。
経済的な理由などにより納税が難しい場合には、納税を一定期間猶予してもらえる場合があります。
まずは税務署の窓口に相談をして、利用可能な納税の猶予などの制度がないか確認してみましょう。
市税(固定資産税、個人住民税、軽自動車税、国民健康保険税など)が払えない場合、市役所でも納税に関する相談を行っています。
まずは、以下の課で状況を説明して、解決方法を相談してみることをおすすめします。
税金が払えなくなりそうだということが分かった場合、できるだけ早く窓口に相談に行きましょう。
そこで、自分の状況を訴えた上で、税金を支払う意思があるということをアピールすれば、担当者も親身になって相談に乗ってくれるでしょう。
税金の他に借金があり、その返済に精一杯で税金の支払いにまで手が回らないという場合は、弁護士に依頼をして他の借金を債務整理することが有効です。
債務整理とは、債権者との交渉や、裁判所における法的手続を通じて、債務の減額や支払いスケジュールの延長度を認めてもらう方法です。
債務整理によって借金の返済に余裕ができれば、税金を支払う余力が生まれるでしょう。
【税金自体は債務整理できないことに注意】
税金自体は、債務整理によって減額したり支払い期限を延長したりすることはできません。自己破産や個人再生の法的手続においても、税金を支払う債務は免除や減額の対象外とされているのです。
税金の支払い負担自体を軽減したい場合には、先に解説した納税の猶予の制度などを活用しましょう。
税金を滞納している場合でも、給付金を受け取ることはできます。
また、銀行口座に振り込まれた給付金を速やかに引き出しておけば、差し押さえの対象となることもありません。
しかし、根本的な問題を解決するためには、税金の滞納状態を解消する必要があります。
まずは税務署や市役所の窓口に相談して、納税の猶予の制度が利用できないかを確認しましょう。
それでも税金の滞納状態を解消する見込みが立たないという場合には、弁護士にご相談ください。
弁護士は、債務整理などについての豊富な経験を持っています。
そのため、依頼者の具体的な状況に合わせて、依頼者の借金負担を軽減する最適な方法を一緒に考えてくれます。
税金の滞納にお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。