銀行口座が差し押さえられる理由と解除する方法・日数を解説
この記事では、突然、銀行口座が差し押さえられてしまった場合、口座が差し押さられた理由は何故か?また、どうすれば差し押…[続きを読む]
新型コロナウイルスの影響への対策として、令和2年11月に、政府により1人当たり10万円の特別定額給付金の支給が決定されました。
10万円をもらえることは非常にありがたいですが、一方で特別定額給付金の財源は税金です。
もし税金を滞納してしまっている場合、特別定額給付金を受け取ることができなかったのではないかと疑問に思うかもしれません。
また、税金を滞納してしまっている場合、滞納処分によって財産が差し押さえられてしまう可能性があります。
せっかく特別定額給付金を受け取っても、それがすぐに差し押さえられてしまっては意味がありません。
特別定額給付金が差し押さえられてしまうことはあったのでしょうか?
この記事では、
などについて解説していきます。
目次
特別定額給付金は、国民一律に給付がされることを最大の特徴としています。
税金を滞納している人についても例外ではなく、特別給付金を受け取ることが可能です。
特別定額給付金の給付対象者は、「令和2年4月27日において、住民基本台帳に記録されている者」です。
特別定額給付金を実際に受給するのは、給付対象者が属する世帯の世帯主です。
たとえば夫・妻・子の3人家族で、夫が世帯主の場合、夫が3人分の30万円をまとめて受給することになります。
特別定額給付金の受給資格には、「税金を納めていること」という要件は設定されていません。
したがって、税金を滞納している場合であっても、特別定額給付金を受け取ることができます。
税金を滞納してしまっている人にとっては、特別定額給付金が差し押さえられてしまう可能性についても心配されるところでしょう。
しかし、特例法によって、特別定額給付金は差し押さえが禁止されています。
【2020年4月30日に差し押さえ禁止法案が可決・成立】
特別定額給付金は、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた家計を支援するために、全国民一律で支給されるものです。このような趣旨からすると、特別定額給付金を差し押さえることは制度趣旨に反すると従来から指摘されてきました。
そこで、超党派の国会議員によって、特別定額給付金の差し押さえ禁止法案が立案されました。
法案は衆議院および参議院で審議され、2020年4月30日に、参議院での可決をもって成立しました。
差し押さえ禁止法案による差し押さえ禁止の対象は、以下の2つです。
いくら税務署であっても、まだ特別定額給付金を受け取っていない段階で受給権を差し押さえて、特別定額給付金が直接税務署に支払われるようにすることはできません。
特別定額給付金の支給を受けた後、その金額を現金で所持しておけば、税務署から差し押さえられることはありません。
しかし、特別定額給付金は銀行口座に振込まれることによって支払われるのが原則です。
特別定額給付金が銀行口座に振り込まれた後、そのままになっている場合に、銀行口座ごと特別定額給付金を差し押さえられてしまう可能性はないのでしょうか。
結論からいうと、法的には銀行口座を差し押さえることは可能です。
「特別定額給付金が振り込まれた銀行口座」は、差し押さえ禁止の対象外だからです。
屁理屈のようにも思われますが、実質的に考えると、このような取り扱いは仕方のない部分もあります。
たとえば、もともと1000万円が預けられている銀行口座へ10万円の特別定額給付金が振り込まれた場合に、銀行口座が丸ごと差し押さえ禁止になるのは不合理でしょう。
また実務上、銀行口座の差し押さえは口座残高の全額を一旦差し押さえ、債権の回収に充当したあとで残金を返還する方法で行われます。
特別定額給付金が一度銀行口座に振り込まれてしまえば、もともと入っていたお金と区別することはできないので、通常どおり口座をまるごと差し押さえるしかありません。
つまり、特別定額給付金が振り込まれた後の銀行口座を差し押さえられたとしても、法的には反論することができないのです。
特別定額給付金の制度趣旨からして、税務署が特別定額給付金が振込まれるのを狙い撃ちすることは考えにくいですが、念のため対策を取っておくことに越したことはないでしょう。
受給後、銀行口座にある特別定額給付金の差し押さえを免れるには、①すぐに引き出すか、②税金の滞納状態を解消するかの2つの方法しかありません。
特別定額給付金を銀行口座から引き出し、現金の状態で持っておけば、差し押さえ禁止の対象になります。
税金の滞納という根本的な問題が解決するわけではありませんが、当面の資金を確保するためには有効な手段です。
しかし、差し押さえの不安が税金の滞納から来ているのであれば、税金の滞納状態を解消することが根本的な解決になります。
どのようにして税金の滞納状態を解消すれば良いかは、次の項目で解説します。
税金の滞納状態を解消するためには、支払い期間を延ばすか、支払いの余力を確保するなどして、コンスタントに税金を支払うことができる態勢を作る必要があります。
どのような方法があるかについて、具体的に解説します。
経済的な理由などにより納税が難しい場合には、納税を一定期間猶予してもらえる場合があります。
まずは税務署の窓口に相談をして、利用可能な納税の猶予などの制度がないか確認してみましょう。
なお、この他にも、国や地方団体は新型コロナに対応した様々な個人向け支援を行っているので、そちらを利用できないか検討してみるのも良いでしょう。
詳しくは関連姉妹サイトZEIMOにて解説しています。
もし、他に借金があり、その返済に精一杯で、税金の支払いにまで手が回らないという場合は、弁護士に依頼をして他の借金を債務整理することが有効です。
債務整理とは、債権者との交渉や、裁判所における法的倒産手続を通じて、債務の減額や支払いスケジュールの延長度を認めてもらう方法です。
債務整理によって借金の返済に余裕ができれば、税金を支払う余力が生まれるでしょう。
なお、税金を支払う債務自体は、債務整理によって減額したり、支払い期限を延長したりすることはできません。
税務署が税金の減額交渉に応じてくれることはありません。
また、自己破産や個人再生の法的倒産手続においても、税金を支払う債務は免除や減額の対象外とされています。
税金の支払い負担自体を軽減したい場合には、先に解説した納税の猶予の制度などを活用しましょう。
税金を滞納している場合でも、特別定額給付金を受け取ることはできます。
また、銀行口座に振り込まれた特別定額給付金を速やかに引き出しておけば、差し押さえの対象となることもありません。
しかし、根本的な問題を解決するためには、税金の滞納状態を解消する必要があります。
まずは税務署の窓口に相談して、納税の猶予の制度が利用できないかを確認しましょう。
それでも税金の滞納状態を解消する見込みが立たないという場合には、弁護士にご相談ください。
弁護士は、債務整理などについての豊富な経験を持っています。
そのため、依頼者の具体的な状況に合わせて、依頼者の借金負担を軽減する最適な方法を一緒に考えてくれます。
税金の滞納にお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。