強制執行とは?差し押さえまでの流れと生活への影響
借金滞納による強制執行(差し押さえ)の具体例・生活への影響と、強制執行までの流れ、対処法を解説していきます。法律の専…[続きを読む]
株式取引の一種である「信用取引」では、証券会社からお金や株式を借りることで、手持ち資金以上の取引が可能となります。
証券会社には、担保として現金や有価証券(現物株など)を信用取引する額の30%以上差し入れる必要があります(委託保証金)。
しかし、仮に株の値動きで損失が発生し、差し入れた委託保証金が最低の委託保証金維持率を割ってしまうと、不足分の保証金が追加で必要となります。
これを、「追加証拠金(追証・おいしょう)」といい、多くの場合、翌営業日または翌々営業日までに入金することが求められます。
信用取引やFXを行う際には、この追証の支払いリスクが常に付き纏いますので、注意が必要です。
実際に、追証が払えないという事態が発生するケースは少なくありません。
この記事では、信用取引・FXの追加証拠金(追証・おいしょう)を払えずに過大な債務を背負ってしまったケースでは、どのように対応すれば良いのか?解説します。
目次
信用取引で発生した追加証拠金は自然には解消されず、発生した時点で入金が必要となってしまいます。
追証を入金せずに入金期限を過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?
まず、あなたの同意なく強制的に建玉の決済・代用有価証券の売却などが行われます(強制決済)。不本意なタイミングで、最悪の場合は全建玉が決済されてしまうのです。
なお、その際、手数料も通常通り請求されます。
保有建玉を維持したい場合には、期限までに追証の入金を行わなければなりません。
証券会社から追証を請求された段階で、自主的に保有中の建玉を決済すれば、強制決済されずに建玉を維持できます。返済した額の30%が追証金額から差し引かれると、追証の一部または全額が解消されます。
強制決済の前に建玉を決済すると「損切り」になってしまうかもしれませんが、無理ない運用を心掛け、冷静な判断に努めましょう。
強制決済の結果、証拠金がマイナスになってしまうこともあります。
証拠金のマイナス分は、いわば証券会社に対する「借金」となります。
証拠金がマイナスとなる事態は、証券会社としても回収できないリスクを負うことになり、できる限り避けたいところです。
そこで、各証券会社の取引システム上で証拠金がマイナスにならない工夫がなされていますが、「相場の急激な変動によりロスカットが間に合わない」など、通常想定される範囲を超える事態が発生した場合、証拠金がマイナスとなってしまうケースもあるのです。
マイナスの証拠金=借金であり、証券会社はこれを回収するため投資家(債務者)に督促を行います。メールやSMSなどの督促を始め、電話がかかって来ることもあります。
取引している証券会社によっては遅延損害金を請求されることがある点にも注意が必要です。
なお、強制決済の前に追証金額の入金を求める請求が金融機関から来る可能性もあります。
お金を払わずに督促を無視し続けた場合、証券会社は法的措置に移る可能性が高いです。裁判所を通して訴訟を提起したり、裁判所から支払督促を送ったりして、投資家に対してマイナスの証拠金を補填するよう求めるのです。
送達された訴状を無視したり、裁判に欠席したり、支払督促を放置したりした場合には、証券会社側の請求が認められ、証券会社は「強制執行」の手続きができるようになります。
強制執行をされると、預貯金・給与等が差し押さえられてしまうので、放置をせずにしっかりと対応する必要があります。
上記のようなリスクを避けるために、取引内で追証を早期で解消する方法や、強制決済を防ぐ方法はあるのでしょうか?
そもそも追証を回避するための基本的な対策方法としては、「多めに委託保証金を入れておく」ことが重要です。保証金限度枠にゆとりをもった取引をするのです。
さらに、委託保証金に現金ではなく代用有価証券を入れてしまうと、それらの含み損も考慮しないといけなくなり、加えて、株価が下落した際に追証ラインを割ってしまう可能性が高くなります。最初は安定性を考え、ある程度現金を入れておくことがお勧めです。
強制決済を防ぐために考えられる最も有効な方法は、追証の入金期日(翌営業日・翌翌営業日などは、証券会社によって異なります)までに銀行口座などから現金を差し入れ、保証金維持率を30%まで回復することです。
もしくは、先述の通り、損切りを覚悟で証券会社から追証を請求された段階で自主的に保有中の建玉を決済すれば、強制決済されずに建玉を維持できます。返済した額の30%が追証金額から差し引かれると、追証の一部または全額が解消されます。
入金ができない状況で、強制決済がされた後でも不足金があると、証拠金がマイナスになり借金を抱えることになります。
このような場合、どう対応すれば良いのでしょうか。
証券会社は、追証解消の請求の際「一括で入金してください」というケースがほとんどです。しかし、一括ですぐに入金することが難しいケースがあります。
このような場合、証券会社に「分割払い」を相談してみましょう。
交渉が認められないケースももちろんありますが、 証券会社が「全く回収できないよりも、分割で支払いを受けた方が利益になる」と考えた場合、これを受け入れてもらえるケースもあります。
証券会社が納得できるよう、支払いスケジュールの見込みなどを具体的に明示し、交渉に臨みましょう。
手持ちの資金・資産では入金ができないならば、消費者金融などからお金を借り入れて払うことも視野に入れます。
特に、今後も信用取引やFXを続けたい場合は強制決済を避けるべきでしょう。
しかし、「追証が発生したらお金を借りて支払う」が定例化してはいけません。
株取引を続けているうちにどんどん借金が膨れ上がってしまう可能性もありますので、金融機関からの借り入れは最低限にし、計画的に返済をしていくようにしましょう。
なお、追証の入金の期限は1〜2日程度と短いため、審査に時間がかかる銀行ローンを待っていたら遅延損害金がかかってしまう可能性があります。検討するならば即日融資を謳う消費者金融が有力な候補でしょう。
消費者金融などからお金を借りるより前に、まずはブランド品(バッグ・時計)など手持ちの資産からお金を調達することがお勧めです。
即日お金が手に入る質屋などに持ち込めば現金を得ることができるので、入金に間に合わせられるでしょう。
手放したくない資産であることは当然ですが、借金をするよりもリスクが低い解決方法と言えます。
もし、強制決済となり借金を抱えてしまったならば、このような信用取引やFXによる借金は、自己破産・個人再生によって解決できます。
証拠金のマイナスがどうしても返済できず、分割払いも難しい場合は、これらの債務整理手続きを検討してみましょう。
「株などの信用取引、FX、ギャンブル等によって借金を背負った場合は自己破産ができない」という噂もよく目にしますが、弁護士に協力を仰いだ上で、裁判所に対して反省の態度、経済的更生の見込みを示すことにより、自己破産を認めてもらえることも多いです。
このようなケースの債務整理を成功させるには、専門家によるサポートが必要不可欠となります。自己破産・個人再生を検討する場合、債務整理に強い弁護士・司法書士までどうぞご相談ください。
信用取引で発生した追証は自然には解消されず、発生した時点で入金が必要となります。
追証の入金期日(翌営業日・翌翌営業日などは、証券会社によって異なります)までに銀行口座などから現金を差し入れ、保証金維持率を30%まで回復しましょう。
もしくは、証券会社から追証を請求された段階で、自主的に保有中の建玉を決済することも有効です。
これをしないと、同意なく強制的に建玉の決済・代用有価証券の売却などが行われます(強制決済)。
そして、この強制決済の結果、証拠金がマイナスになってしまうこともあります。
証拠金のマイナス分は、いわば証券会社に対する「借金」となります。
証券会社からの督促を無視し続けた場合、証券会社は法的措置に移る可能性が高いです。裁判所を通して訴訟を提起し、投資家に対してマイナスの証拠金を補填するよう求めるのです。
証券会社側の請求が認められ、証券会社は「強制執行」の手続きができるようになります。
強制執行をされると、預貯金・給与等が差し押さえられてしまいます。
まず、証券会社に「分割払い」を相談してみましょう。
証券会社が「全く回収できないよりも、分割で支払いを受けた方が利益になる」と考えた場合、これを受け入れてもらえるケースもあります。
これが難しい場合、質屋にバッグや時計などのブランド品を持ち込んで現金を得たり、即日融資可能な消費者金融から借入をしたりすることが考えられます。
なお、信用取引やFXによる借金は、自己破産・個人再生により解決できます。
「株などの信用取引、FX、ギャンブル等によって借金を背負った場合は自己破産ができない」という噂もよく目にしますが、弁護士に協力を仰いだ上で、裁判所に対して反省の態度、経済的更生の見込みを示すことにより、自己破産を認めてもらえることも多いです。