免責不許可事由とは?自己破産できない場合
借金が膨らんで現実的に返済が出来なくなった人は、借金問題を解決するために「債務整理」をすることが有効です。 債務整理…[続きを読む]
債務整理をする際には、弁護士に対応を依頼するケースがほとんどです。
弁護士は依頼人の味方で、依頼人の法律行為を代理してくれる専門家です。
しかし、依頼者側の問題によって、弁護士は致し方なく依頼者と関係を断つ(つまり辞任してしまう)ことがあります。
債務整理において弁護士が辞任してしまう場合とは、いったいどんなケースなのでしょうか。また、辞任されないためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
今回は、債務整理における弁護士辞任とは何か、そのリスクと辞任回避のためにすべきことについて解説していきます。
目次
弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士は依頼人の「代理人」となります。
弁護士辞任とは、弁護士がその代理人をやめてしまうことです。
弁護士は、依頼人の代わりに様々な法的な行動を取ってくれます。例えば、任意整理なら債権者との交渉の代理人になりますし、個人再生や自己破産であれば裁判所への申立の代理人になってくれるのです。
弁護士がその職務を果たすためには、依頼者と連絡がしっかり取り、信頼関係が維持していることが重要になります。
しかし、もし依頼者が不義理な行動をしてしまった場合、弁護士も責任を持って仕事ができないとして辞任してしまう可能性があります。
依頼を受けた弁護士は、そんなに簡単には辞任しません。依頼者に何か問題があったからといってすぐに辞任、というわけではなく、何とか改善できないか手を尽くしてくれます。
しかし、それでもどうにもならない場合は辞任されてしまいます。
弁護士が辞任してしまうケースとしては、以下のようなものがあるでしょう。
弁護士も、債務整理をする人の資産が少ないことはわかっています。
分割払いを認めてくれる弁護士も多いため、そのような場合、弁護士費用についてはそこまで心配しなくて大丈夫です。しっかり払っていけるだけの分割方法を考えてくれるでしょう。
しかし、それでも払わない場合は、報酬が受け取れないなどの理由で辞任してしまうことはありえます。
もし急病などやむを得ない事情が起こって費用を払えなくなった場合は、事情を説明し、いつなら払えるのかきちんと相談することが大事です。
弁護士に嘘をついたり、書類を集めなかったり、突然連絡を取らなくなったりすると、依頼者と弁護士の信頼関係はなくなってしまいます。
そういった依頼者の不誠実な行動があまりにも酷いと、弁護士は対処しきれないとして見限ることがありえます。
不誠実な態度を取ってしまったと思ったならば、きちんと謝罪し、今後依頼を引き受け続けてくれるような対応を取ることが大事です。
次に、上記のような理由で弁護士に辞任されたときの影響を説明していきます。
任意整理での債権者との交渉中や、個人再生・自己破産の途中に辞任されてしまった場合、その後の手続きを自分で進めていかなければいけません。
(なお、既に着手金を支払っているならば、それは返金されません。)
代理人である弁護士がいなくなったことで、債権者と直接交渉しなければいけなくい状態に陥ってしまいます。
その結果、交渉がまとまらなければ任意整理には失敗してしまいます。
弁護士は、任意整理によってできる減額できる金額の相場を理解した上で交渉をしますから、任意整理が成功する可能性は高いです。
しかし、素人一人での交渉では、そもそも貸金業者相手に門前払いをされてしまうでしょう。
そうでなくても、弁護士に依頼せずに任意整理をした場合、債権者にうまく言い包められてしまい、適切な相場で任意整理はできないと考えるべきでしょう。
個人再生・自己破産は裁判所を通した手続きなので、裁判所や破産管財人とのやり取りをしなければいけません。
弁護士に依頼していれば、それらの手続きが弁護士が代理してくれますので、債務者はほとんど何もしなくていいのが通常です。
しかし、弁護士が辞任してしまうと、裁判所手続きを債務者本人が進めていかざるを得ません。
自己破産や個人再生の手続きは非常に難解です。裁判所によっては「必ず弁護士をつけること」と言われることもあるほどです。
それを素人が一人でやるというのはほぼ不可能といっても過言ではないです。
きちんと規定通りの手続きを踏めなければ、個人再生や自己破産にも失敗してしまいます。
貸金業法では「債権者は弁護士に依頼した債務者に直接督促ができない」と定められています。
しかし、弁護士が辞任すると、債権者は債務者への直接の督促を再開することができます。債務者にとって不利な状況に逆戻りしてしまうだけでなく、精神的な負担も大きくなるでしょう。
督促を放置していると法的措置に持ち込まれ、差し押さえ・強制執行まで発展するおそれがあります。
【債務整理後に辞任をされると債権者から連絡が来る可能性】
債務整理後に弁護士が辞任しても、債務整理した事実が無効になることはありません。
しかし、任意整理や個人再生など、債務整理後も返済を続けていて、弁護士が弁済金の代理送付を行っている場合は、完済するまで弁護士との契約が続くことになります。その最中に弁護士に辞任されてしまうと、滞納した時に大変なことになります。
通常、弁護士が代理送付をしている場合は、返済を滞納していると弁護士に連絡がいき、そこから債務者本人に連絡が届きます(債務者本人に直接の連絡はいかないことになっています)。ただし、債務整理後に弁護士が辞任すると、代理人の仲介がなくなるということで、債権者が債務者に直接請求してくることになります。
そうなると、もし滞納してしまった場合は、督促が本人に直接くるようになるため、家族や周囲の人に借金の存在がバレてしまう危険性があります。
弁護士辞任の危険性は分かってもらえたと思いますが、どうすれば弁護士に辞任されないで済むのでしょうか。
まず、弁護士と綿密にコミュニケーションを取っておくことが大事です。特に、弁護士から電話があったときは、その場では出れなくとも、気づいたらなるべく早く(時間ができた時にすぐに)折り返すべきです。
直接電話が難しいのであれば、メールでも良いので返信をいれましょう。
無視は「連絡がとれない」と判断され、弁護士から不信感を持たれてしまいます。自分では無視しているつもりはなくとも、「後で連絡しよう」と思って数日連絡をしなかったら、それは「連絡がつかない」と弁護士は思います。
そうならないためにも、連絡は常に早め早めを意識するようにしましょう。
債務整理手続きはとても複雑で、行うにはたくさんの書類が必要です。そして、その書類の一部は自力で集める必要があります。
書類系はなるべく早く集めることが大事です。書類が揃わなければ、個人再生や自己破産を裁判所に申し立てることもできません。
弁護士は、必要な書類がどこで収集できるのかもしっかりと教えてくれます。それを聞いて、なるべく早く書類を集めれば問題ありません。
もし収集が遅れて記事までに書類が揃わない場合には、きちんと謝罪したうえで、いつ頃持っていけそうかをきちんと説明するようにしましょう。
弁護士には絶対に嘘をついてはいけません。
特によく考えられるのが、財産や債権者の一部を隠してしまうことや、ギャンブルなどの借金の原因を隠してしまうことですが、これらは絶対にしてはいけません。
それらの行動は債務整理の失敗に直結してしまいます。
具体的には、財産や債権者の隠匿をすると、自己破産の場合、「免責不許可事由」というものに該当してしまい、免責(借金をゼロにしてもらうこと)を受けることに失敗してしまう可能性があるのです。
当然ですが、最低限の社会的マナーは守る必要があります。
例えば、面談の約束を破る、裁判所に出頭すべき日に来ない、などの行動をしてはいけません。
もし、仕事などで都合がどうしてもつかなくなってしまったのなら、誠意を尽くして事前にその事を連絡すべきです。
今回は、弁護士の辞任の原因について解説していきました。
誠意を持って債務整理に臨めば、弁護士が辞任してしまうということはありません。きちんと対応することで、債務整理は成功するはずです。
もし、費用の支払いや返済が難しくなってしまった場合でも、放置せずに必ず弁護士に相談するようにしてください。打開策となる適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
なお、万が一「債務整理費用を払えず辞任された」「弁護士への連絡を怠っていたら辞任通知が届いた」などという場合は、新しい弁護士を探して再依頼する必要があります。
辞任されたことを反省し、新しい弁護士にもしっかりと理由を説明すれば、依頼を受けてくれる弁護士は見つかるはずです。