強制執行とは?差し押さえまでの流れと生活への影響
借金滞納による強制執行(差し押さえ)の具体例・生活への影響と、強制執行までの流れ、対処法を解説していきます。法律の専…[続きを読む]
借金の返済を3ヶ月以上滞納すると、債権者(お金を貸した側)から「訴訟予告通知書(訴訟予告書)」という書面が届くことがあります。
訴訟予告通知書とは、訴訟を起こす前に送付される文書です。内容としては、一定の紛争(ここでは金銭消費貸借契約の違反)に関して、このまま任意での解決ができないならば法的手段を取ることを予告する旨が記載されています。つまり、「このまま滞納している借金の支払いをしないならば、裁判を起こしますよ」という、債権者からの通告文書と言えます。
これが届いたからといって、すぐに裁判となり借金を強制的に回収されるということはありません。
しかし、そのまま放置をしてしまえば、程なくして本当に訴訟を提起され、強制執行に踏み出される可能性が高いです。
「訴訟を避けるために、なんとか返済をしなければ!」と考えて、慌てて債権者に連絡してはいけません。
訴訟予告通知書が届くまで借金問題に追い詰められてしまっている方は、これ以上のリスクを回避するために、本記事を参考の上で弁護士や司法書士にご相談ください。
目次
実際に債務者(お金を借りた側)に届く訴訟予告通知書(訴訟予告書)には、以下のような文言が書かれています。
「再三の請求にもかかわらず、未だお支払い頂いておりません。このままの状況が続きますと、〇〇地方裁判所(〇〇簡易裁判所)への訴訟申立等の手続きの検討をせざるを得ません。つきましては、〇年〇月〇日までに下記金額をお支払いください。また、期日までにご返済が困難な場合、返済計画のご相談を承りますので、弊社窓口までにご連絡願います。」
「当社は話し合いによる解決を図るべく請求書及び相談通知書の送付等をしてまいりましたが、未だに解決に至っておりません。こうした状況から誠に不本意ですが、裁判所へ訴訟を申し立てて法的手続きによる回収を行うほかありません。任意でお支払いする意思があり、支払いが困難な事情のあるお客様は、下記期日までに必ずご連絡ください。」
「貴殿からご連絡がない現状に鑑み、法的手続きによる回収の準備に着手せざるを得ないと判断いたしましたので、その旨通知します。上記以外の解決方法を希望される場合は、当社担当者まで速やかにご相談下さい。」
「ご返済の請求を行ってまいりましたが、今日に至るまで責任ある回答をいただいておりません。弊社では、今回のご通知をもってなお、ご返済またはご相談がいただけない場合は、訴訟等の申し立てを検討しております。」
上記を見れば分かる通り、債権者は訴訟予告通知書で「もし期限までに解決しなければ、法的手段を取ることを予告」しているほか、「借金の詳細」と「訴訟を回避するための提案やその期限」についても記載しています。
訴訟予告通知書は、裁判所への訴訟を起こす前の段階で、相手方に最後の交渉の機会を与える目的で送付されることが多いです。
裁判は訴訟予告通知書がなくても申し立てができますが、債権者としても裁判は手間がかかることですので、できれば債務者に任意で(自主的に)借金を支払ってもらい解決することを望んでいると言えます。
訴訟予告通知書が届いたからといって必ず訴訟を起こされるわけではありませんが、放置を続けると本当に訴えられてしまう可能性もありますので、債務者としては無視をせずに何かしらの対応をするべきでしょう。
訴訟予告通知書(訴訟予告書)では、これまで滞納した借金(元本+利息+遅延損害金)を一括で支払うように記載されているかと思います。
これは、借金の長期滞納により、債務者の「債務をこの日まで支払わなくて良い」という「期限の利益」が喪失しているのが理由です。
しかし、これまで長く滞納を続けていた債務者が、今更残金を一括で支払うことは不可能であるのが通常です。
もちろん「どうせ支払えないから」といって無視をしてはいけません。
本当に訴訟を申し立てられてしまう前に、以下の点を確認して対応するようにしましょう。
訴訟予告通知書には、先述の通り「借金の詳細」と「訴訟を回避するための提案やその期限」についても記載されています。
そこで、訴訟予告通知書が届いたならば、債権者の名前の他、「借金は合計でいくらなのか」「最後に支払いをしたのはいつなのか」「いつまでに対応をすれば良いのか(期限)」を確認しましょう。
もし、身に覚えのない名前の債権者からの請求である場合は、元の債権者が借金を譲渡したり回収を委託したりしているケースもありますので、元々はどこから借りたお金なのかをよく確認することをお勧めします。
自力では返済ができない借金問題について訴訟予告通知書が届いたら、ともかく弁護士や司法書士にご相談ください。
「訴訟を避けるために、なんとか返済をしなければ!」と考えて、慌てて債権者に連絡してはいけません。安易に債権者に連絡をすると、せっかくの成立しかけていた時効が数え直しになってしまう可能性もあります。
借金には消滅時効というものが存在し、支払期限や最後の返済から一定の期間が経過することによって、債権者が借金を返してもらう権利(=債権)が消滅します。
訴訟予告通知書は滞納から3ヶ月以上経過すると届くケースが多いですが、もし、これが「身に覚えがない」「いつ返済したか覚えていない」と思うほどに長期の滞納の場合、借金の時効が成立する可能性があります。
現状の日本においては、「債権を行使することができる時から5年」で消滅時効が完成します。
(過去に民法の改正がありましたが、2020年4月1日以降に成立した借金についても実質的に5年が時効期間と言えます。)
しかし、時効により自動的に借金が消滅することはありません。時効の成立を知った債務者が、「この借金は時効が成立しています」と主張する(=時効の援用をする)ことで初めて効力を発揮します。
よって、5年以上前の借金について債権者が債務者に対して返済を迫るのは違法ではありません。
寧ろ、援用の前に債務者が借金の存在を認めたり、少額でも返済をしたり、債権者が裁判上の請求をしたりすると、時効は中断(更新)され、再び最初からカウントとなります。
訴訟予告通知書は、このような時効の中断(更新)を狙って送付されているという節もあるでしょう。
借金に関して時効が成立したかどうかを確認し、失敗なく援用まで行うには、具体的な契約内容や交渉・督促の記録などを詳しく調査する必要があります。
うっかり時効の中断(更新)をしてしまわないように、時効の可能性がある借金については弁護士や司法書士にご相談ください。
残念ながら時効が成立しない場合でも、弁護士・司法書士は長期滞納している借金問題を解決できます。
その手段が「債務整理」です。債権者と直接交渉をしても完済できないような多額の借金については、弁護士や司法書士が「債務整理」のサポートをすることで根本的な対策ができるでしょう。
債務整理とは、多額の借金・返済が困難となった借金を、法的な手続きや債権者との個別交渉を通じて整理する手続きです。
個人ができる債務整理には主に3つの方法があり、それぞれの手続きには特徴(メリット・デメリット)や適用条件があります。
債務者と債権者が直接交渉し、返済計画について合意し直します。債務者側は代理人として弁護士や司法書士が交渉の席につくことになるでしょう。
合意内容は債権者により異なりますが、主に将来利息の減額や返済期間の延長(3〜5年程度)などです。裁判所を介することなく行われるため手続きが比較的スピーディーですが、双方が合意した条件でなければ成立しません。
裁判所を通じて、借金を元本から大幅に圧縮します。減額率は借金の総額や債務者の資産などにより異なりますが、最大で1/5まで借金を減らせることもあります。
財産の処分を強要されないため、主に住宅ローンを含む債務を持つ人や、高価な資産(車など)を所持している方にとってメリットが大きいでしょう(しかし、所持資産が大きいと、その分手続き後の返済額も大きくなります)。
債務者が所有している目ぼしい資産(不動産や高価な車、99万円以上の現金など)を処分・換価し、そのお金で債権者に最低限の返済をした後、残りの債務を免除してもらう手続きです。今後の生活に必要な最低限の資産は手元に残すことができます。
自己破産は借金を「減額」ではなく「免除」する唯一の債務整理方法なので、多額の借金から一挙に解放されます。しかし、先述の財産処分がデメリットになるケースもありますので、一人で決断する前に弁護士などに相談しましょう。
このように、債務整理を選択する際は、借金総額、自身の資産状況・収入、返済能力、今後の生活設計などを考慮する必要があります。
何より債務整理のような法的手続きを完遂するには、専門家(弁護士や司法書士など)のサポートが必要不可欠になります。一度、無料相談などでアドバイスを受けることがお勧めです。
訴訟予告通知書を受け取った場合、可能な限り早く弁護士や司法書士にご相談ください。対応が早ければ早いほど、借金の内容や状況に応じて最善の対応を取るための選択肢を増やすことができます。
弁護士は特に裁判上の手続きに慣れていますので、訴訟の可能性やそれに伴うリスクを検討し、どのような対応が最適かアドバイスしてくれるでしょう。
時効が援用できるのか、どのような和解交渉を望めるのか、あるいはどの債務整理手続きをするべきなのか、借金についての疑問点がある場合は何でもご相談ください。
訴訟予告通知書は、裁判所への訴訟を起こす前の段階で、相手方に最後の交渉の機会を与える目的で送付されることが多いです。
裁判は訴訟予告通知書がなくても申し立てができますが、債権者としても裁判は手間がかかることですので、できれば債務者に任意で(自主的に)借金を支払ってもらい解決することを望んでいると言えます。
債権者は訴訟予告通知書で「もし期限までに解決しなければ、法的手段を取ることを予告」しているほか、「借金の詳細」と「訴訟を回避するための提案やその期限」についても記載しています。
訴訟予告通知書が届いたからといって必ず訴訟を起こされるわけではありませんが、放置を続けると本当に訴えられてしまう可能性もありますので、債務者としては無視をせずに何かしらの対応をするべきでしょう。
新民法施行前の2020年3月31日までに成立した借金は、訴訟予告通知書など裁判外での催告(内容証明郵便などによる催告)があると、これを送った時点で一時的に時効の進行はストップします(この後6ヶ月以内に裁判上の請求をしなければなりません)。
そして、裁判により給与や預貯金の差押え、仮差押えまたは仮処分があった場合、時効は中断し再カウントとなります。
借金に関して時効が成立したかどうかを確認し、失敗なく援用まで行うには、具体的な契約内容や交渉・督促の記録などを詳しく調査する必要があります。
うっかり時効の中断(更新)をしてしまわないように、時効の可能性がある借金については弁護士や司法書士にご相談ください。