強制執行とは?差し押さえまでの流れと生活への影響
借金滞納による強制執行(差し押さえ)の具体例・生活への影響と、強制執行までの流れ、対処法を解説していきます。法律の専…[続きを読む]
借金と養育費の支払いに苦しんでいる状況は大変辛いことと思います。
「養育費の支払いを免除してもらうことはできないのだろうか?」「せめて養育費を減額してもらいたい」「養育費は借金をしてでも払わないとならないの?」など、様々なお悩みを抱えている方が多いでしょう。
結論から言えば、養育費を免除してもらうことはできません。
養育費は子供のためにも必ず支払う義務があります。
しかし、状況によっては養育費の減額が認められたり、他の借金を減額することで養育費を支払う余裕が生まれたりすることもありますので、お困りならば諦めずに弁護士などに相談してみることをお勧めします。
目次
未成年の子供がいる状態で離婚をすると、親権を得なかった方の親には養育費の支払い義務が生じます。
しかし、借金を抱えていたり、生活が苦しかったりすると「養育費が払えない!」と感じることは多いでしょう。
実際、親権を得た方の親が、「借金があるから養育費を支払えない」と言われてしまっている、と弁護士に相談するケースは少なくありません。
しかし、いくら借金があっても子どもに関する責任は免除されません。養育費は子どもの監護や教育のために必要な費用であり、衣食住に必要な経費、教育費、医療費という意味合いもありますので、子どもが健やかに成長するためにも、例え借金があっても養育費を支払う義務は免除されないのです。
病気などで仕事を辞めざるを得ず、長期間無収入になっているならば、一時的には支払わなくても良いことがありますが、それでも支払義務がなくなるわけではありません。
ですが、現実に借金まみれならば、養育費を支払えないのはどうしようもないでしょう。
養育費は支払義務を免れることはできませんが、借金をしてまで支払う必要はなく、減額交渉や債務整理などの方法で養育費を払えるように模索することになります。
養育費が支払えないからといってそのまま放置していると、遅延損害金がかかるほか、受け取る側である権利者から以下のような対応をとられる可能性があります。
養育費を支払ってもらえない元配偶者は、任意の督促連絡では解決できないと判断した場合や、自身で交渉をしたくない(顔を合わせたくない場合)、まずは養育費請求調停を申し立てるケースが多いでしょう。家庭裁判所に対して調停を申し立てて、改めて養育費についての取り決めを行うことになります。
調停委員により、元夫婦それぞれとの面談が行われ、「それぞれ収入がどれくらいあるのか」「子供の人数や年齢」「子供の学費や医療費はいくらかかるのか」など、さまざまなことを聞かれます。
その中で聞き取った事実を元にして、裁判官や調停委員による助言や解決案(調停案)の提示が行われます。
家庭裁判所は個別の一切の事情を考慮したうえで解決案を提示してくれますが、養育費の相場を理解した上で、しっかりとした証拠を用意することで調停を有利に進めることができます。
養育費の金額について法的に整理して主張をするためにも、調停への対応は離婚問題に強い弁護士に依頼することもご検討ください。弁護士に依頼をすれば、時間的・精神的な負担も大きく軽減できます。
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上記の調停調書や審判調書がある場合、権利者は履行勧告・履行命令を行うことができます。
履行勧告では、家庭裁判所から支払う側(義務者)に対して、「合意の通りに支払うように」という勧告が行われます。一種の督促なのでこの勧告自体に法的拘束力はありませんが、裁判所からの連絡なので驚いてしまう方も多いでしょう。
それでも支払いが行われないならば、履行命令をとられる可能性があります。履行命令では、裁判所が義務者に対して期限までに養育費を支払うようにと命令を発します。
正当な理由なくこれに従わないでいると、10万円以下の過料を科せられます。
これらは手続きの費用がほとんどかからず、手続き自体も簡単なので、既に調停調書・審判調書を持っている権利者は、下記の強制執行の前に試みてくる可能性が高いかもしれません。
養育費の支払いをしないことは、民法上の「債務不履行」(民法415条1項)に該当します。
よって、放置が続けば権利者は法的措置に踏み切り、最終的には「強制執行」が行われ財産を処分されてしまう可能性があります。
強制執行が行われると、給与債権や銀行預金、家などの資産を差し押さえられ、強制的に養育費の弁済に充てられることになります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。
養育費を支払う余裕がないからといって放置すると上記のような不利益が起こりますので、借金があっても放置せず、以下のような対応を取ることが必要です。
まず、養育費を支払う相手(元配偶者)には、現状を正直に伝えましょう。
直接の話し合いで養育費の支払額について合意できるならば、それが最もスピーディに、かつ費用もかけずに解決できる方法です。
以下のような場合は養育費の減免が認められる可能性が高くなりますので、これを交渉の材料にすると良いでしょう。
※「他にも借金があり返済負担が重い」というのは、養育費を減額する理由にはなりません。借金など他の債務を作ったことが原因で養育費を支払えないとしても、それは支払義務者の個人的な事情に過ぎないとされるからです。
収入が減ったなどの事情がある場合には「源泉徴収票」などの証拠を用意しておくと良いでしょう。
現在の収入がこれくらいで、生活に必要な支出(家賃、生活費など)がこのくらいなので、養育費として渡せるのはいくら位になる、と具体的に説明することが大切です。
話し合いが成立した場合には、合意内容を書面の形で残しておきましょう。
口頭での約束で終わらせてしまうと、後々トラブルを招く可能性があるので注意が必要です。
連絡をしても取り合ってもらえない場合や、減額に合意してもらえない場合は、養育費減額調停を申し立てることも考えます。上記のような経済的な事情があるならば、調停や審判で減額が認められる可能性があります。
実際、離婚するにまでもつれ込んだ元夫婦が、養育費について話し合いで解決できるケースは少ないかもしれません。
しかし、弁護士に交渉の代理人を依頼すれば、任意の話し合いで解決ができる可能性もあります。権利者との話し合いでも、調停・審判であっても、一度離婚事件に強い弁護士にご相談ください。
養育費の他に借金があっても、それは個人的な事情であると見做され、養育費の減額事由にはなりません
また、法的な債務整理手続きである個人再生や自己破産としても、養育費は免責の対象外となるため、減免することができません。
しかし、他にも借金があるならば、消費者金融や銀行など、養育費以外の借金を債務整理で減額することで、養育費に充てるお金を確保できる可能性があります。
養育費という事情を抜きにしても、借金問題で苦しむのは精神的にもかなり辛いと思われます。弁護士・司法書士に依頼をして債務整理をすることで根本的な解決が望めますので、借金でお困りの方はぜひ一度債務整理に強い弁護士へ相談してみてください。