競売とは?回避方法はあるのか
「競売」という言葉自体は、おそらく多くの方が知っていることでしょう。 住宅ローンを滞納し続けたり、自己破産をしたりし…[続きを読む]
せっかくローンを組んでまで持ち家を購入したものの、病気や怪我や失職など、何らかのアクシデントで住宅ローンの支払いができなくなってしまったとします。
こういった場合、マイホームを売却してローンの返済に充てることを検討する人もいるでしょう。
原則的に、住宅ローンが残っている不動産を売ることはできません。
しかし「任意売却」というものを利用することで、住宅ローンのある不動産でも売却が可能となります。
では、任意売却とはどういった手続きなのでしょうか?
ここでは任意売却について説明していきます。
住宅ローンが支払えない、借金のせいで住宅を手放さざるを得ないなどの事情がある人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
住宅ローンを利用してお金を借りた場合、購入する住宅や土地には基本的に「抵当権」が設定されます。
抵当権とは、債務者がローンの返済をできなくなった場合に、抵当権を設定した債権者が住宅や土地を競売にかけて、優先して弁済を受ける権利のことです。
見方を変えれば、住宅ローンを利用するときには購入する住宅等を担保にしてお金を借りていることになります。
原則的に、売却したい不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権を設定した債権者に借金を全て返済して、抵当権を抹消してもらう必要があります。
しかし「任意売却」を利用すれば、ローンが残っている不動産の売却が可能となります。
任意売却では、抵当権を設定した金融機関に抵当権の抹消を承諾してもらって抵当権を抹消し、それによってローンが残った不動産を売却できるように手続きをします。
任意売却は略して「ニンバイ」とも言われ、競売を避けて住宅を売りたい人にとっては非常に役立つ制度です。
抵当権の設定された不動産を売却するには、任意売却の他に「競売」という手段があります。
では、任意売却と競売には、どのような違いがあるのでしょうか?
競売と比較した場合、任意売却には様々なメリットとデメリットがあります。
メリットとデメリットを理解して、任意売却と競売の違いを学んでいきましょう。
任意売却のメリットは主に3つあります。
競売になった場合、その物件は相場の約60~70%程度の価格で落札されることが多いです。
また、競売の費用には遅延損害金などが上乗せされるため、落札者はお金を出したがらず、結果として相場よりもかなり低額で落札されてしまう傾向があります。
これに比べると任意売却は相場に近い価格で売れやすいので、売却する側にとっては競売よりも利益を得やすくなります。
なお、債権者は住宅の売却金額から債権の回収を図っているため、ローンの残額よりも売却予定価格が大幅に下回る見込みの場合、債権者の同意が得られない可能性があります。
債権者の同意がなければ任意売却ができないので、競売せざるを得なくなります。
競売の決定が行われると、その事実が裁判所で公告されてしまいます。
インターネットなどでも競売情報が公開されてしまうので、競売していることが周囲の人にバレてしまうおそれがあります。
また、競売では物件の内覧ができないため、購入希望者が近隣で事情の聞き込みをしたり、近隣情報(駅徒歩何分程度なのか、近所にコンビニやスーパーはあるのか)などを調べに訪問したりするなどして、そこから「あの人は借金のせいで家を売るのだな」バレてしまうかもしれません。
一方、任意売却は一般的な不動産売却と同じ手続きで行われます。
そのため、近所の人に借金のことがバレる可能性がほとんどありません。
競売で住宅が売られてしまった場合、引っ越し費用や仲介手数料は自己負担となってしまいます。
任意売却をした場合、引っ越し費用などは売却額の中から捻出できるので、自己負担を少なくすることができます。
また、引っ越しのタイミングもある程度は自分で決めることができます。
一方で、任意売却のデメリットは以下の通りです。
住宅ローンに連帯保証人がいる場合、任意売却をするためには連帯保証人の同意が必要です。
一方、競売の場合は連帯保証人の意向に関係なく行われるため、同意は不要となります。
ただし競売された場合でも、連帯保証人の返済義務が消えるわけではありません。
競売によって得られたお金を使ってもローンを完済できない場合、債権者は連帯保証人にローンの支払いを請求することができます。
トラブルを防ぐためには、競売になる場合でも連帯保証人への事前説明は不可欠だと考えてください。
競売は手続きが多く、実際に物件が売れるまで時間がかかりますが、その分長く持ち家に住み続けることができます。
一方、任意売却は早く住宅を売却できるため、早くお金を手に入れてローンの返済を早めることができます。
しかしその反面、引っ越しが早まる傾向があります。
競売と比べると3~6ヶ月程度は退去までの期間が短くなるため、次の住まいを早く見つけなければなりません。
できるだけ長く持ち家を使いたい、または退去までの時間が短くなると困るという人にとっては、早く引っ越しをしなければならない点はデメリットとなります。
任意売却すれば借金が必ず解決できるわけではありません。
多くのケースでは、任意売却によって得たお金に自己資金を足して、ローンの残額を完済することになります。
しかし、住宅が思った価格で売れず、自己資金もない場合もあるはずです。
任意売却をしても借金を解決できない場合、「債務整理」を検討するべきです。
債務整理は借金を解決する方法の総称です。
任意売却のときは必ずしも弁護士が必要なわけでなく、専門の業者に依頼すれば事足ります。
しかし債務整理をする場合は、弁護士のサポートが不可欠と言っても過言ではありません。
できるだけ早く弁護士に相談することを強くおすすめします。
債務整理は、合法的に借金を減らすための手続きです。
主に3パターンありますが、本記事では簡単な紹介のみいたします。
詳細はリンク先をお読みください。
債権者と個別に交渉して、将来発生する予定の利息や遅延損害金をカットしてもらいます。
その後、残った借金を毎月少しずつ返済していきます。
減額効果が低いのが難点で、住宅ローンは元々金利が低いことが多いため、減額効率は更に悪くなります。
裁判所に申立てをして、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
資産や借金の状態によりますが、最大で借金が10分の1になることもあるので、任意整理よりも圧倒的に減額率が高いです。
今回紹介した債務整理の中では最も手続きが複雑なので、弁護士に依頼して手続きをしてもある必要があります。
裁判所に申立てをして、借金をゼロにしてもらう手続きです。
その代わり、ある程度以上の財産は処分されてしまいます。
生活必需品などは手元に残せますが、不動産や自動車を含めた一定以上の高額な財産は処分の対象になります。
何を手元に残せるのかは、前もって弁護士に確認しておくといいでしょう。
住宅を売りに出すのであれば、競売よりも任意売却の方が家の持ち主にとってメリットが大きい場合が多いです。
特に売却金額が大幅に違うため、基本的には任意売却をした方が得になるケースが多いでしょう。
しかし、借金苦で住宅を手放す場合、家を売っても借金の完済ができない可能性があります。
そういった場合は、弁護士に相談して債務整理をするのが効果的です。
債務整理をすることで多くの借金問題を解決できますが、債務整理の手続きは複雑なので、弁護士に依頼することが一般的です。
返済できない額の借金がある場合は、迷うことなく弁護士に相談して、適切なアドバイスをもらってください。