闇金からの借金で口座凍結される原因と解除方法
闇金から借金し、口座振込で返済していると、稀に自分の銀行口座が凍結されてしまうことがあります。
これは、警察・捜査機関・金融機関から、あなたの銀行口座が闇金に不正利用されていると疑われている可能性があります。
闇金の利用が原因で銀行口座が凍結されてしまうと日常生活に多大な影響とデメリットを与えるので、直ちに凍結解除に向けた対応しなければなりません。
この記事では、闇金からの借金で口座凍結される原因と、凍結の解除方法について解説します。
目次
闇金からの借金で口座凍結される理由
口座凍結の原因としては、以下のものが考えられます。
- 名義人の死亡(相続開始)
- 債務整理の開始
- 不正利用の疑い
闇金が関わる場合、三つ目の「不正利用の疑い」で口座が凍結されたと考えて良いでしょう。
不正利用の疑い(客振りの疑い)
闇金からお金を借りた場合に口座が凍結されるのは、その口座が犯罪行為に利用されたことが疑われているためです。
詐欺罪等の犯罪行為に利用される口座を、「犯罪利用預金口座」と言います。金融機関は、捜査機関や消費者庁、弁護士会等から情報提供があるなどして、口座が犯罪利用預金口座にあたる疑いがあると認めた場合、その口座の取引停止等の措置を講じます(振り込め詐欺救済法=犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項)。
これは、当該口座による犯罪被害を増やさないための措置です。
金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
闇金からお金を借りただけでは、その口座は犯罪利用預金口座とはなりません。
しかし、闇金の貸付が客振りにより行われた場合、不正利用と認定され銀行口座が凍結される可能性があります。
「客振り」とは、貸付金の入金を、他の闇金利用者に振り込ませることをいいます。
例えば、闇金業者がAさんに貸付をしている場合、Aさんは後日闇金に弁済をするでしょう。この弁済金をそのまま他の利用者Bさんの講座に振り込ませ、これをもってBさんに貸し付けたこととするのです。
この手口を用いることで、闇金は、貸付と貸付金の回収を同時に行うことができます。
上の例でAさんが他の利用者(Bさん)に振り込みを行った場合、振り込み先のBさんの口座は「Aさんが闇金からの借入を返済した口座」ということになり、金融機関に「闇金による犯罪利用に用いられた口座」と認識されてしまう可能性があります。
結果、銀行口座が凍結されてしまうのです。
口座を闇金に渡してしまった
闇金は、違法に入手した他人の口座を利用してお金のやり取りを行います。自分の口座を使って貸付をしたり返済をさせたりすると、足がついて逮捕される可能性があるからです。
そこで、闇金への返済ができない時、利子の代わりとして利用者に「銀行口座」を引き渡すように要求する闇金業者も多いです。
脅されるがまま自分名義の口座を渡してしまい、後に闇金業者が摘発されると、その渡していた口座は凍結されてしまいます。
闇金利用で口座が凍結されるとどうなる?
入金・出金ができなくなる
銀行口座が凍結されると、名義人は口座からお金を引き出すこと(出金)ができなくなります。
また、銀行にもよりますが、凍結した口座に入金もできなくなることがあります。
これにより、以下のようなデメリットが生じます。
- お金が引き出せなくなり生活が困窮する
- クレジットカードや公共料金の自動引き落としができなくなる(=滞納扱いになる)
- 給料・年金などの振り込みがされなくなる
他行の銀行口座も凍結される
「A銀行の口座が凍結されても、B銀行の口座があるから平気だ」と考えてはいけません。
というのも、A銀行の口座が犯罪利用で凍結された場合、A銀行は他の金融機関に情報提供することとなっているからです(振り込め詐欺救済法3条2項)。
金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。
その結果、情報提供を受けた他銀行の口座も凍結される可能性がでてきます。
口座の新規開設ができなくなる
上記と同じ理由で、新たな銀行口座の開設ができなくなる可能性も高くなります。
口座凍結を受けてどこか新しい銀行で口座を新規開設しようと思っても、あなたの名義の口座が犯罪行為に使われた(不正利用された)というデータがあるならば、いずれの銀行も新規開設を断るでしょう。
闇金関係者と疑われる
客振りによる振込先として自分の口座が利用されていると、闇金関係者だと捜査機関に疑われる可能性があります。
闇金関係者とされた場合、任意の事情聴取を受けるだけでなく、貸金業法違反等の容疑で逮捕される可能性もあります。
預金が闇金被害者に分配されてしまう
犯罪利用預金口座として口座が凍結されてしばらくすると、口座内の預金は被害者に分配されてしまいます。口座の凍結は、犯罪被害の拡大を防止するとともに、口座内の預金をもって被害を回復するためでもあるからです。
そのため、闇金利用が理由の口座凍結を放置してしまうと、自分の預金が無くなってしまう可能性があります。
闇金による口座凍結を解除する方法
まず、闇金が理由で口座凍結をされたと思われるならば、公共料金や携帯代金などの引き落とし先を変更すると共に、給料や年金の振込先も変更する必要があります。
引き落としはコンビニ払いにする、給料の振り込みは一時的に手渡しをお願いするなどの対応が考えられるでしょう。
その上で、いち早く口座凍結の解除に向けた行動を取る必要があります。
金融機関に権利行使の届出をして解除を要請する
口座をこれまで通り利用できるようにするためには、金融機関に口座凍結を解除してもらう必要があります。
そこで、まずは「権利行使の届出」をして金融機関に口座凍結の解除を直接要請しましょう。
しかし、金融機関は警察などの捜査機関から情報提供を受けて口座凍結を行っている可能性が高く、この場合は警察の情報の方が信憑性が高いと考えて解除に応じてくれないケースもあります。
そのため、金融機関に直接届け出るのでは解決しないならば、情報提供元(警察)に対して口座が不正利用によるものではないことを主張する必要があります。
この場合は、「闇金とグルではない」「闇金に協力して口座を売るなどしていない」ということを示せる証拠を用意して訴えていくことが大事です。例えば、これまでの取引履歴がわかる明細や、闇金業者とのやり取りのデータ、預金通帳やキャッシュカード、印鑑などです。
弁護士や司法書士に相談する
口座凍結を確実に解除するためには、闇金問題に強い弁護士や司法書士に相談するべきです。
闇金問題に精通した専門家なら、口座凍結の解除のために必要な手続きや準備書類・証拠を把握しています。口座名義人本人がいくら主張しても取り合ってもらえないようなケースでも、弁護士・司法書士が味方につけば心強いでしょう。
弁護士・司法書士は、依頼を受けたらすぐに口座凍結解除のために行動してくれます。
口座凍結による日常生活への影響は計り知れませんので、口座凍結に気づいたら直ちに弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。
【参考】闇金金利シミュレーター
まとめ
いかがだったでしょうか?この記事では、闇金からの借金で口座凍結される原因と、凍結の解除方法について解説しました。口座凍結に気づいたら直ちに弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。