給与差し押さえを受ければ、借金や滞納の事実が会社にバレてしまいます。差し押さえは拒否できませんので、適切な対処を行い…[続きを読む]
借金滞納で強制執行されたら家族の財産・私物も差し押さえられる?
債権者(お金を貸した側)が債務者(お金を借りた側)から返済を受けることができない場合、債権者は裁判所に申し立てをして財産の差し押さえに踏み切ることがあります。
債権者は、督促・取り立てを長期に渡り無視されていると「任意で返済を受けることは難しいだろう」と判断し、裁判所の手を借りて強制的に債権(借金)を回収するのです。
差し押さえの対象は、給料債権、預貯金、不動産(家や土地)、66万円以上の現金、有価証券、車・ブランド品・貴金属などの高価な動産など多岐に渡ります。
そこで気になるのは、「家族の私物は差し押さえの対象になるのか?」でしょう。
結論から言うと、家族名義の財産が差し押さえられることはありませんが、差し押さえにより家族に間接的な影響が及ぶ可能性はあります。
目次
借金滞納による「差し押さえ」とは?
借金を滞納すると、最初は債権者(消費者金融や銀行)から電話がかかってきたり督促状が送られてきたりします。
「どうせ支払えないから」「お金を払えなくて気まずいから」などといって督促を無視していると、おおよそ3ヶ月ほど経過後に債権者が裁判所に訴訟を提起する(あるいは支払督促を送付してもらう)ことがあります。
訴訟や支払督促に対して異議申し立てをせず放置していれば、やがて債権者は裁判所に対して強制執行の申立ができるようになります。
申立が認められると、裁判所は債務者の財産を「差し押さえ」するという強制執行を行うでしょう。
差し押さえられた資産は、給与や預金、現金ならば直接債務の返済に充てられます。
不動産や動産ならば、公売などを通じて売却され、その収益が返済に充てられます。
強制執行(差し押さえ)は、借金の滞納を長期で続けた場合に債権者が取り得る最終手段とも言えます。債務者にとっては大きな負担となる手続きですので、実際に差し押さえをされる前に専門家(弁護士・司法書士)に相談して借金問題を解決するべきでしょう。
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家族の私物は差し押さえの対象外!
預金や現金、動産などが差し押さえられるとなると、多くの方は「家族の私物も差し押さえられたらどうしよう!」と不安になるかと思います。
しかし、日本において、借金は基本的に債務者個人の責任とされます。よって、家族の私物を直接的に差し押さえることは原則としてできませんのでご安心ください。
差押対象財産の一覧
借金の滞納が原因で差し押さえられる財産の代表例は以下のとおりです。
(これらのうち、債務者本人の名義のものが差し押さえ対象になります。)
- 給料
- 預貯金
- 不動産(家や土地)
- 66万円以上の現金
- 有価証券、株式
- 生命保険(解約金)
- 車・ブランド品・貴金属などの高価な動産
高価なものでなければ私物を差し押さえられることはありませんが、過去には人気のゲーム機が差し押さえられたケースがあるようです。
預金は口座名義が債務者本人のものが差し押さえ対象となりますので、家族名義の口座残高が差し押さえられることはありません。
生命保険も家族名義のものは解約させられることはありませんし、車の名義についても同様です。
ただし、「口座開設をしたのは家族(夫)だが、債務者本人(妻)が利用していた」「家族(親)名義で車を買ったが、メンテナンスなどを含め常日頃利用していたのは債務者本人(子)であった」など、家族名義でも実質本人の財産であると認められれば差し押さえの対象となります。
また、共有名義にしている自宅や不動産、所有者が不明の貴金属などは差し押さえの対象となる可能性が高いでしょう。
所有者が曖昧になりやすいブランド品や貴金属などの物は、債務者本人の持ち物ではない(家族のものである)ということを証明する必要があります。
【差し押さえを免れようと名義を変更するのは犯罪行為】
家族名義のものならば差し押さえられないと知って、差し押さえの直前に銀行口座や車の名義を家族のものに変えてしまおうと考える方がいらっしゃるようです。
しかし、このような名義変更は絶対に行ってはなりません。
差し押さえを免れる目的で名義変更をすることは、詐害行為や強制執行妨害として刑事犯罪に問われる可能性があります。裁判所もしっかり調査をした上で差し押さえますので、直前の名義変更は裁判所により無効にされると考えて良いでしょう。
差押禁止財産の一覧
一方、以下のような財産は差し押さえが禁止されています。
- 給与の一部
- 生活必需品(衣類、家具、家電、電化製品など)
- 生活に必要な食料や燃料
- 66万円までの現金
- 仕事・業務に使用する器具・道具等
- 仏像、位牌など、礼拝や祭祀に必要な財産
- 国民年金・厚生年金、生活保護費など(口座に入金されれば差し押さえは可能)
生活に必要なものや、高価でない私物(漫画やDVDなどの娯楽品)は差し押さえられないでしょう。
差し押さえによる家族への間接的な影響
家族名義の財産や家族の私物は差し押さえられないといっても、差し押さえにより家族に間接的な影響が及ぶ可能性はあります。
給料が差し押さえられて生活が逼迫する
給与は借金の滞納で最も差し押さえられる可能性がある財産です。しかし、給与の全てが差し押さえられると債務者やその家族が生活出来なくなってしまうので、その全額について差し押さえることは禁止されています。
原則として、毎月支払われる手取り額の4分の1(25%)のみ差し押さえが出来ることになっています。
しかし、給与の額は人によって差があります。債務者が高額所得者であれば、「まだ回収にまわせる余裕があるのではないか」と、債権者も納得がいかないでしょう。
このような矛盾を調整するために、法律では「月額の(税金等の控除後の)手取り給料が44万円以上であれば、33万円を超える額については、全額差し押さえが可能」となっています。
例えば、手取り50万円の人が給与の差し押さえを受けると、その人が受け取れるお金は33万円となり、「50万円-33万円=17万円」が差し押さえられて返済に充てられます。
このように、給与を差し押さえられると受け取れるお金が目減りするため、日々の生活がより厳しいものになります。家計のやりくりが難しくなり、同居家族の生活にも多大な影響を及ぼすおそれがあるでしょう。
なお、税金滞納による給与の差し押さえ金額の上限については違いがあります。詳しくは弁護士等にお尋ねください。
マイホームなどの不動産が差し押さえられて退去を余儀なくされる
不動産は競売手続きに時間と手間がかかるため、差し押さえされるケースは少ないと言えます。
しかし、高価な土地や不動産、マンションを所持しているならば、これを差し押さえられる可能性は0ではありません。
仮に居住している不動産を差し押さえられ、購入者が見つかれば、退去を余儀なくされることになります。家族と共に引っ越す必要があるので、その影響は大きなものになります。
その他、生活が不便になるおそれ
この他、私生活で使用している車を差し押さえられれば移動が不便になりますし、口座預金が差し押さえられては貯金がなくなってしまいます。
家族の財産が直接的に差し押さえられることはないとはいえ、上記のように少なからず影響は生じることになりますので、差し押さえは事前に回避するよう動くに越したことはないでしょう。
差し押さえを回避するための方法
借金の滞納を続けてしまい差し押さえを受けそうだという場合は、お早めに以下の対策を行っていきましょう。
なお、すでに差し押さえを受けていてこれを解除したい場合は、以下のコラムをご覧ください。
債権者と交渉して借金返済の目処を立てる
まず、「分割ならば支払っていけそう」「一時的な経済的困難なので、猶予をもらえればお金を工面できる」という比較的軽微な滞納状況ならば、貸金業者と借金に関して相談することができます。
債権者からしても、できれば任意の返済を受けたいと思っていますので、具体的かつ現実的な返済方法の提案がされたならばこれを受け入れてくれるケースはあるでしょう。
連絡を無視・放置し続けるのはいけません。滞納が3ヶ月以上に及ぶと債権者が差し押さえに動く可能性が高くなるので、まずは債権者に連絡を入れましょう。
なお、最後の返済から5年以上経過しているような昔の借金については時効が成立する可能性があります。
この場合、債権者に連絡を取らず「援用」という手続きを取ることが必要になりますので、一度弁護士や司法書士にご相談ください。
弁護士・司法書士に依頼して債務整理する
負債が大きく膨らんで今のままでは返済が難しい場合や、貸金業者との交渉が難航する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを検討してください。
弁護士や司法書士が案内する「債務整理」は、多大な借金を抱えた債務者が、その返済負担を軽減するために採ることができる合法的な手続きです。
債務整理の方法にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴(メリット・デメリット)が異なりますので、あなたの状況に合わせたぴったりの債務整理方法をアドバイスしてもらう必要があります。
- 任意整理
債務者が弁護士や司法書士を代理人として債権者と直接交渉し、利息のカットや返済計画の再編成について合意する手続きです。裁判所を通さないため、手続きが比較的スムーズで安価に終わります。将来利息をカットできる可能性が高いので、「借金がなかなか減らない」とお悩みの方にとって有効な解決策となるでしょう。 - 自己破産
裁判所を通じてすべての債務を免除してもらう手続きです。税金や国民保険料などは免除できませんが、貸金業者からの債務は原則として帳消しとなります。しかし、不動産など高価な資産は処分して債権者に配当する必要が生じるかもしれません。 - 個人再生
債務者の資産を残しつつ、元金から借金を大幅に減額して返済計画を再編成する手続きです。裁判所に再生計画案を提出し、それに沿って原則3年間は継続的に返済を続ける必要があります。住宅ローンが残っているマイホームを手元に残せるのが大きな特徴です。
最適な債務整理方法は、債務者の経済的状況(収入・支出)、債務の総額や借入先の数などによって異なります。
また、専門的な手続きである債務整理は、いずれの方法であっても個人の方が自力で完遂することが不可能と言えます。
したがって、債務整理を選択する際は、弁護士や司法書士などの専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。