給与を差し押さえられた!どうすれば解除できるの?

借金や奨学金などの支払いを長期で滞納していると、債権者から支払督促や訴状が届き、最終的には給与(給料)を差し押さえられてしまう場合があります。

給与は、会社で働く方にとっては唯一の収入源であるケースがほとんどでしょう。
給与の差し押さえを放置していると、完済まで生活が圧迫された状態が続いてしまうことになりますので、一刻も早い対処が必要です(解除までの決まった日数というものはありません)

この記事では、借金や料金などの滞納により、給与債権の差し押さえを受けてしまった場合の対処方法・解除方法について解説します。

なお、まだ給料を差し押さえられていない・これから差し押さえられるかもしれない・差押調書謄本が届いた・強制執行をされそうだからそれを回避したいという方は、以下の記事をご覧ください。

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1.給与を差し押さえられてしまった場合の対処法

早速ですが、実際に給与を差し押さえられてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

1-1.残債務を完済したら差し押さえは解除

もっとも望ましいのは、滞納している借金や料金などを一括返済で完済してしまうことです。そうすれば、給与差し押さえは解除されます。

しかし、債務者に資力の問題があって完済できないからこそ、差し押さえの状態に陥ってしまっていることがほとんどでしょう。

そのため、現実的には滞納している借金や料金などを完済することは難しいといえます。

1-2.「差押禁止債権の範囲の変更」を申し立てる

給与差し押さえにより大きく生活が圧迫されてしまっているという場合には、裁判所に対して「差押禁止債権の範囲の変更」(民事執行法153条1項)を申し立てましょう。

申立てを受けた裁判所は、債務者・債権者それぞれの生活状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部または一部を取り消すことができます。

民事執行法第153条
執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。

差し押さえの影響で債務者が生活できないほど苦しくなっている場合には、申立てが受け入れられ、給与の差し押さえが一部解除される可能性が高いです。

1-3.生活保護を受ける

給与債権が差し押さえられた結果、受け取ることができる給料があまりにも少なくなってしまった場合には、生活保護の受給も検討しましょう。

ご自身が生活保護を受給できる要件を満たしているかどうかは、お住まいの地域の役所窓口に相談して確認してみてください。

なお、生活保護費を借金の返済に充てることは禁止されています。

1-4.債務整理をする

借金や料金を滞納してしまっている場合、もっとも効果的な対処方法は、「債務整理」をすることです。

債務整理とは、債権者との交渉や、裁判所における手続きを通じて、適法に借金の減免・返済スケジュールの猶予を認めてもらうことをいいます。

債務整理を行うことにより、債務者の借金の負担を大きく減らせるだけでなく、給与の差し押さえも解除することができます。
債務整理についての詳細は、2.で解説します。

1-5.転職・退職は有用?

現勤務先から支払われている給与が差し押さえられているとして、別の会社に転職した場合には、転職先から受け取る給与は差し押さえの対象ではありません。
債権者に新たな勤務先を知られないように注意していれば、再び給与を差し押さえられることもないでしょう(※市町村・年金機構・共済組合等は、債務者の勤務先情報を調べることができます)。

ただし、転職して給与債権の差し押さえを逃れたとしても、依然として債務は残った状態のままです。
別の財産(預貯金や土地など)を所有していれば、その財産に対して口座や不動産の差し押さえが行われるかもしれません。債務支払いの督促も引き続き行われることになります。

転職は、確かに一時的に給与債権の差し押さえを逃れる方法にはなり得ますが、債務を根本的に解決するものではなく、給与額の変動・職業の不安定化のリスクを考えても、おすすめすることはできません

【退職金も差し押さえられるおそれ】
なお、給料の差し押さえ中に今の仕事を辞める(転職する)と、現在の勤務先の退職金も差し押さえの対象となってしまいます。差し押さえができる金額は、退職金の25%(4分の1)です。
ただし、勤務先が加盟している共済の関係で、債権者が差し押さえできるかどうか異なります。

2.給与差し押さえは債務整理による解除がおすすめ

このように、給与を差し押さえられた場合の対処法にはさまざまなものがありますが、その中でも債務整理をすることがもっともおすすめの方法になります。

債務整理の大きなメリットは、借金が減額または免除される・月々の返済額が減るなど、債務者の借金返済負担が確実に軽減されるという点にあります。

また、債務整理は法律上認められた手続きであるため、後ろ暗い点を残すことなく、根本的に借金問題を解決することが可能になります。

債務整理には、大きく分けて①任意整理、②個人再生、③自己破産の3種類があります。
それぞれの手続きにはメリット・デメリットがあり、債務者の抱える事情によって、どの手続きを利用すべきかが変わります。

また、差し押さえられた給与債権の取り扱いについても、各手続きによって異なります。

以下では、各債務整理手続きの特徴や、差し押さえられた給与債権の取り扱いなどについて解説します。

2-1.任意整理

任意整理とは、債権者と直接交渉することによって、借金の減額や返済スケジュールの延長を認めてもらう(和解する)方法です。

任意整理は、裁判所への申立てが必要な個人再生や自己破産と比較して、準備や手続きの手間が少ない・債権者との話し合いにより柔軟な返済スケジュールを設定できる・第三者に知られにくいなどのメリットがあります。

その反面、あくまでも債権者との個別交渉であるという性質上、借金の大幅な減額は認められにくく、債権者が複数の場合には一人ひとりと交渉が必要です。

なお、任意整理の場合、給与債権の差し押さえが自動的に解除されるということはありません

そのため、給与債権の差し押さえを解除してほしい場合は、任意整理の交渉の際に、併せて差し押さえをしている債権者に解除を依頼する必要があります。

2-2.個人再生

個人再生とは、裁判所における個人再生手続きにより、借金の減額および返済スケジュールの延長を認めてもらう方法です。
借金を1/5~1/10程度に減額し、減額された後の借金を個人再生計画に従い一定期間返済していくことになります。

個人再生手続開始の決定が行われると、給与差し押さえを含めた債務者に対する強制執行は「中止」されます(民事再生法39条1項)。

(※個人再生手続き開始の申立てから開始決定までに時間がかかるような場合は、裁判所に対して、個人再生手続開始決定前であっても強制執行を中止するよう申し立てることができます(民事再生法26条1項2号)。)

この「中止」の意味としては、勤務先から債権者に対して直接差し押さえ対象の給与が支払われることはなくなるものの、直ちに債務者が給与全額を受け取ることができるようになるわけではありません。

中止というのは、「今後強制執行が継続するかどうかわからないので一旦停止」という状態です。
そのため、勤務先は差し押さえ対象の給与を手元で一旦プールしておくことになります。

そして、個人再生計画認可の決定が確定した時点で差し押さえは効力を失い、債務者に対してプール金を含めた給与満額が支払われるようになります(民事再生法184条)。

もし個人再生計画認可の決定が確定する前に給与全額を受け取りたいという場合には、裁判所に対して強制執行の取り消し命令を申立てましょう(民事再生法39条2項、26条3項)。

強制執行の取り消し命令が出されれば、その段階で給与債権の差し押さえは「失効」し、債務者は給与全額を受け取ることができるようになります。

2-3.自己破産

自己破産とは、裁判所における破産手続きを通じて、債務者の目ぼしい資産を処分・換価・債権者へ配当する代わりに、債務(税金などの公租公課を除く)を全額免除してもらう方法です。

破産手続きにおける給与差し押さえの取り扱いは、同時廃止事件管財事件かで異なります。

同時廃止事件の場合、破産手続開始決定(+廃止決定)の時点で、強制執行は「中止」され(破産法249条1項)、免責許可の決定が確定した段階で「失効」します(同条2項)。

つまり同時廃止事件では、個人再生と同様で、債務者は手続開始決定の段階ではまだ給与全額を受け取ることができず、免責許可の決定が確定した段階ではじめて全額を受け取ることができます。

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一方管財事件の場合、破産手続開始決定の時点で、強制執行は「失効」します(破産法42条2項)。

したがって管財事件では、破産手続開始決定の時点から、債務者は給与全額を受け取ることが可能です。

自己破産は裁判所で行う「債務整理」です。 成功して「免責」の許可を受けることができれば、借金をゼロにすることができま…[続きを読む]

3.給与を差し押さえられたら弁護士に相談を

借金や料金の滞納が原因で給与を差し押さえられてしまった場合、一刻も早い対処が必要です。
給与差し押さえへの対処方法はさまざまですが、債務整理をすることがもっともおすすめの方法です。

どの債務整理手続きが適しているかは債務者によって異なりますので、弁護士に相談してどのように債務整理を進めるかを決めることをおすすめします。

借金問題でお困りの方、差し押さえを止めるにはどうしたら良いか分からず悩んでいる方は、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、行政書士資格者、FP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、今までに、債務整理に関する記事を1,000以上作成、監修。
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