自己破産での裁判所手続きと面接内容・服装
この記事では、自己破産をする際に裁判所へと債務者本人が出廷する時期・回数・心構え・注意点などについて解説します。[続きを読む]
自己破産をするときには「債権者集会」が開かれるケースがあります。
債権者集会とは、裁判所で債権者に告知して招集し、破産事件の進捗状況を報告する手続きです。
「債権者集会」というと、テレビなどでは債権者らが債務者へ罵声を浴びせたり詰問したりしているケースが多いので、債務者の方は恐怖を感じるのではないでしょうか?
しかし、実際の債権者集会では、ドラマのように「荒れる」ケースはほとんどなく、粛々と手続きが進んで5分程度で終わるケースも多々あります。
この記事では、債権者集会とは何か?債権者集会の流れ、債権者集会を開く上で注意点や持ち物などの基本的な事項をご説明していきます。
目次
債権者集会とは、自己破産手続きにおいて各債権者へ破産事件の進捗状況を報告し、意見を聞くための集会です。
財産の換価状況や配当などについて債権者に報告を行い、質問や意見を述べる機会を与えます。裁判所に債権者を呼んで期日が開かれるので「債権者集会」と言います。
債権者集会に出席するのは、以下のような人です。
弁護士に代理人を依頼したら弁護士が破産者とともに出席し、破産者が質問を受けた際などに代わりに応答してくれます。
なお、司法書士に破産申立を依頼した場合、司法書士には代理権がないので債権者集会に一緒に出席してもらうことはできません。
自己破産しても、債権者集会が必ず開かれるわけではありません。
自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件(異時廃止)」があります。
同時廃止は財産がほとんどない人や重大な免責不許可事由が無い人が破産するときの簡易な手続きです。
同時廃止の場合、債権者集会は開かれません。破産手続き開始決定と同時に破産手続きが廃止(終了)されて、後は免責審尋だけが開かれて免責が決定されます。免責審尋の日には債権者は出席しません。
一方管財事件になると、破産管財人がついて財産の換価や配当を行いますから、その進捗状況や結果を報告するために債権者集会が開かれます。
債権者集会は一回で終わらないケースもあります。基本的に管財人がすべての財産について換価と配当を終えるまでは債権者集会が続きます。
「何回まで」などの回数に関する決まりはありませんが、だいたい3~4回までであるケースが多数です。開催頻度は月1回程度です。
1回の時間は非常に短く、5分~10分程度です。
テレビなどのイメージとは異なり非常にアッサリとした手続きなので、緊張して出席した破産者の方が拍子抜けするケースも少なくありません。
【債権者集会は傍聴できない】
一般的に、裁判所で行われる手続きは傍聴できます。
しかし、債権者集会は非公開なので、傍聴は不可能です。そこで、全く知らない人に自分の破産の案件を見られたり知られたりする心配はありません。プライバシーは守られるので、安心しましょう。
債権者集会の一般的な流れをみてみましょう。
まずは破産管財人から出席した債権者へ対し、財産状況の説明があります。現在どこまで換価が進んでいてどのような資産が明らかになっているかなど、必要に応じて表などの資料も配付しながら説明が行われます。
財産が不足しているので破産手続きを廃止する場合、出席している債権者に廃止させても良いか、意見を聞きます。
債権者集会が終わる前、債権者には質問の機会が与えられます。聞きたいことがあれば、破産管財人や破産者に対して質問を投げかけることが可能です。
破産管財人が換価を終了した際、その計算結果と各債権者へどの程度配当を行うかについて、報告します。すべての換価と配当を終えて任務を終了したら、その結果を債権者へ報告します。
債権者集会の手続きとしては上記で終わるのですが、破産手続きが廃止されるとそのまま引き続いて免責についての判断が行われます。
管財事件の場合、裁判所は管財人の意見にもとづいて免責させるかどうかを判断します。
管財人が「免責相当」と意見を出していれば、通常はそのまま免責してもらえます。
免責を受けられればすべての借金や負債が帳消しになり、自己破産のすべての手続きも終了します。
債権者集会について、注意すべき点を以下で挙げます。
破産者は債権者集会に出席しなければなりません。弁護士に申立を依頼していても、本人の出頭が必要です。欠席した場合は免責を認めてもらえない可能性もあります。
必ず時間に遅れないように裁判所に行きましょう。
また、債権者集会は裁判所で開かれます。申立代理人から事前にどの棟のどの部屋で行われるか聞いて、間違えないように行きましょう。
特に持ち物の指定はありません。念のために身分証明書と印鑑、筆記用具くらいは持っていくと良いでしょう。
服装も何でも良いのですが、あまりにラフな格好だと債権者などに何を思われるか分からないので、ある程度きちんとした格好(シャツとズボン、女性ならワンピースなども可)をしていくことをお勧めします。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
債権者集会が荒れるのは、大会社の倒産事件のような大きな破産事件で多数の債権者が大損害を受けた場合、個人の債権者が多い場合、債務者側が不正をしていた可能性がある場合などです。
上記のようなケースでは、債権者は債務者の破産についてまったく納得できず、強い口調で会社側へ説明を求めますし、詰問したり怒声を浴びせたりするケースもあります。
2018年に横浜にある振袖会社が突然店舗閉鎖し、はれのひ株式会社の債権者集会では社長が不在のまま開催されました。社長の説明責任が果たされず、直接的な謝罪が行われなかったため、参加者の中には、憤る声が聞こえました。
一般的な個人の「カードローン破産」などとは全くもって状況が異なります。
普通に破産するときには怒声を浴びせられるケースは少数です。たまに個人の債権者が強い口調で詰問してくることもありますが、あまりに酷ければ弁護士や裁判所も制止するので大きな問題にはなりません。
債権者集会を実際に参加した人の体験談も、ブログ等にまとめられています。参考にしてみるとよいでしょう。
「【体験談】債権者集会に出席しました!流れについて詳細に説明」(外部サイト:note)
債権者集会が荒れると思う方も多いのですが、実際に参加した方の感想は、
終わってみると5分程度だったので、意外とあっさりすぎて「これでいいの?」と思ってしまいました
とありますので、個人破産の場合、必要以上に心配する必要はありません。
債権者に会いたくない破産者の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、債権者集会はこれまで見た通り怖いものではありません。
また、弁護士に破産手続きを依頼すれば、債権者集会について助言してくれるだけでなく、債権者集会に同行もしてくれます。
債権者集会や自己破産で悩んでいる方は、ぜひ一度弁護士にご相談してください。