経営陣の意見がまとまらない!法人の準自己破産とは?

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弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、行政書士資格者、FP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、今までに、債務整理に関する記事を1,000以上作成、監修。
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借金が過大になった場合、法人も個人も「破産」により問題を解決することができます。

しかし、個人と法人には大きな違いがあります。
例えば個人の場合、債務者は自分の判断で自己破産に踏み切ることができます。
それに対して法人は、ときとして複数人から成る経営陣などが相談の上で、破産するかどうかを判断しなければなりません。

法人破産は重い決断です。経営陣の意見がまとまらないこともあるでしょう。
実は、そういった場合のために「法人の準自己破産」という手段があります。

では、法人の「準自己破産」とは、一体どういったものなのでしょうか?

1.準自己破産の概要

(1) 準自己破産とは?

準自己破産は、「準債務者」という立場の人が単独で決断して行える破産です。

通常、会社が破産する場合は、取締役会の決議を経る必要があります。破産申立ての際は、決議をしたときの取締役会議事録を添付して、裁判所に提出しなければなりません。

取締役会を設置していない会社の場合でも、破産申立ての際に取締役の過半数の同意書を提出する必要があります(※取締役が1人の会社は同意書の添付は不要です)。

しかし、取締役同士で意見が合わない、そもそも連絡がつかないなどの事情もあるでしょう。

そういった場合は、取締役の1人が単独で裁判所に法人の破産を申立てできます。これが「準自己破産」です。

破産の効果に関しては、準自己破産でも通常の法人破産と同じ効果が得られます。
手続が完結すると、法人の債務は0になり、法人格が消滅します。

なお、準自己破産の申立ては誰でも可能なわけではありません。以下の人に限られています。

法人の種類 準自己破産の申立てができる準債務者
株式会社の場合 取締役
一般社団法人
一般財団法人
理事
相互会社
(保険業法で規定された会社)
取締役
合名会社
合資会社
合同会社
業務を執行する社員

(2) 準自己破産が有効なケース

準自己破産を検討すべきなのは以下のような場合です。

取締役会を開催できない

「代表取締役が逃げてしまった」「取締役と連絡がつかない」などのケースです。

既に経営を立て直せないことが明らかな状態にも関わらず、取締役会を開けないままぐずぐずしていると、利息や遅延損害金などで負債が膨らんで事態が悪化します。それに応じて関係各所にかける迷惑も大きくなるはずです。

この場合は取締役単独の判断で弁護士に相談し、破産しか解決策がないようであれば、準自己破産を検討すべきと考えられます。

破産すべき状態なのに意見が合わない

どう考えても破産すべきなのに、世間体などを気にして破産に反対する取締役などがいるケースもあります。同意書の作成を断られるケースもあるでしょう。

そういった場合、冷静な判断ができる準債務者が弁護士から客観的な意見を聞いて、準自己破産に踏み切った方が良い可能性があります。

2.準自己破産手続の流れ

準自己破産の手続は、通常の破産手続とほぼ同じです。大きな違いはありません。

ただし、通常の破産手続では署名押印などをする人が法人の代表者なのに対して、準自己破産では申立てをした準債務者になるなどの違いがあります。
裁判所や破産管財人の調査に応じるのも準債務者などになるため、この辺りも通常の破産手続きとは若干異なってきます。

以下で簡単に説明していきますが、更に詳しい流れの解説は以下の記事をご覧ください。

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(1) 弁護士に依頼、申立ての準備

準自己破産でも通常の破産でも、債務者が個人で準備を進めるのは現実的ではありません。
弁護士に「準自己破産を考えている」と相談し、本当に他の方法がないのかも含めて検討してもらいましょう。

準自己破産が決まったら、申立てをするための書類を作成したり、添付資料を収集したりします。疎明の資料も必要です。

【疎明とは?】
中には、法人への嫌がらせを目的として準自己破産の申立てをする人もいるかもしれません。それを防ぐために、準自己破産の申立て時には「疎明」のための資料が必要とされています。
疎明の資料とは、裁判所に「この申立てにちゃんとした理由があるのは確からしい」と信じてもらうための説得材料のことです。「証明」のような厳密性は必要ありません。基本的には「債権の存在」や「破産手続開始の原因となる事実」に関する資料があれば十分です。

(2) 破産申立と破産審尋、破産手続開始決定

用意した資料を裁判所に提出して、破産申立てを行います。

その後「破産審尋」が行われます。要は裁判官との面談です。
場合によっては申立人本人が裁判官と話すのではなく、代理人である弁護士が裁判官と面談するケースもあります。

提出書類や面談の結果に問題がなければ、破産手続開始決定が行われ、実際の手続きがスタートします。

(3) 管財人と面談

裁判所が選任した「破産管財人」という、破産手続の実務を担当する人と面談します。

代理人弁護士とともに破産管財人の事務所へ行き、質問に答えることになります。

(4) 会社財産の調査、財産の保全手続

破産管財人が会社の財産を調査します。
また、会社の財産が勝手に持ち出されないように、財産を保全するための手続きが行われます。

申立人はこの調査や手続きに協力する義務を負います。

(5) 換価処分

破産管財人が会社の財産を売却して、現金化していきます。これを「換価処分」と言います。

個人の自己破産では一定の財産のみ処分されますが、法人破産では会社の資産が全て処分されます。

(6) 債権者集会

破産管財人が換価処分の進捗や、後に行われる配当の金額などを関係者に報告する集会です。
申立人は必ず出席しなければなりませんが、債権者に出席義務はありません。

出席しない債権者も多いため、10分前後で集会が終わることも多いです。

また、債権者集会は複数回行われることもあります。

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(7) 配当を実施

換価処分で得られた現金を、各債権者に配当します。

これによって債権者は最低限の弁済を受けます。

(8) 破産手続終結・法人の消滅

破産手続が終了すると、会社の法人格が消滅します。

借金の返済義務はなくなり、借金問題は解決に至ります。

4.費用

負債額などにもよりますが、法人破産にかかる費用は高額で、数十万円から多い時には数百万円かかります。

特に準自己破産の場合は、申し立ての費用を一旦は個人が負担する必要があります。
(通常の法人破産では、弁護士費用も裁判所への予納金も法人が負担します。)

申立て代理人が負担した費用は、会社の財産から後の配当時に弁済を受けることができますが、破産法人に目ぼしい資産がない場合は満足な弁済を受けることができず、結局は申立て人の自腹となることも珍しくありません

また、準自己破産が「少額管財」として扱われるかどうかはケースバイケースなので、費用についても明確にするためにも、法人破産はお早めに弁護士までご相談ください。

5.法人の破産は弁護士へ相談を

法人破産の手続き全てを個人行うのは非常に難しいです。
弁護士に相談して、本当に準自己破産を行うのか、行うならどのように進めればいいのかなどを冷静に判断してもらいましょう。

もし準自己破産に踏み切るのであれば、弁護士に依頼して書類作成からその後の手続きまで、全てを代理してもらった方が安心です。

自分で行い不備が発生すると結果的に破産が失敗に終わるかもしれません。
会社経営が苦しくなったら、どうぞ弁護士までご相談ください。

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