債務整理とは?メリット・デメリットと3種類の手続き方法をFPが解説
「誠実に借金の返済を続けているのに元金がほとんど減らず完済の目途が立たない」「毎月の返済ができず、借金を返すためにま…[続きを読む]
X(旧Twitter)などのSNSで「#ひととき」「#ひととき融資」などのハッシュタグワードを見たことはありませんか?
ひととき融資とは、個人間融資の一種であり、お金を借りた代償として、利息の代わりに相手に体を要求する融資方法です。貧困の女性がターゲットにされ、「性行為をすれば利息なしで融資する」「お金を貸す前にわいせつな画像を要求する」「完済までの継続的な性行為・体の関係で毎月の返済を減らす」など、言葉巧みに女性の弱みにつけ込むケースが多く、劣悪な融資方法と言えます。
収入が少なかったり、ブラックリストに登録されていたりして通常の金融機関(銀行・消費者金融)の審査に通らない場合、ひととき融資でお金を借りることを考えてしまう女性もいらっしゃると思いますが、ひととき融資は通常犯罪行為であるだけでなく、借り手に多くのリスクが伴う大変危険な融資方法です。
「お金がなくひととき融資で借りようか迷ってしまう」「藁にもすがる思いで借りてしまった」という方は、本記事を参考に、弁護士に相談するなどして、借金問題の根本的な解決を目指しましょう。
【ニュース】ご注意ください"個人間融資""ひととき融資"|あさイチ(NHK)
目次
ひととき融資とは、主に女性をターゲットにした融資方法で、主に性行為を条件にお金を貸し付ける行為です。
担保として身分証の写真と共に下着姿や裸の写真、性行為の動画を撮影されることも多く、女性側が後悔してすぐに利用をやめたいと思っても、恐怖心などから貸し手(男性)からの連絡を断れないケースが散見されます。
ひととき融資はネット掲示板やTwitter(X)などのSNSが温床となっており、女性側からも男性側からも相手が募られています。
「#お金貸してください」「#お金に困っています」「#お金貸します」などというハッシュタグと共に、女性側ならばいつまでにいくら必要か、男性側ならば年齢や居住地、いくらから貸せるかなどの条件を提示しているケースが多いです。
お金を貸す方法やタイミングは人それぞれですが、多くの場合は融資時には性交渉はなく、顔写真付きの身分証明書や裸の写真を送らせるようです。
そして、融資の後の返済時などに性行為を要求され、「性行為をしないと返済額が追加」「性行為をすれば利息をまける」などという条件が付される場合もあります。
もちろん、体を要求する引き換えに融資をするケースもあり、この場合は多くのケースで写真や動画を撮影されてしまいます。これを担保に融資が行われ、「完済すれば写真や動画は消す」と言われることが多いようです。
上記の説明からも感じられると思いますが、ひととき融資は悪質な行為であり、倫理的にも誉められたものではありません。
しかし、「個人間で同意した上での行為と融資ならば違法ではないのでは?」「個人間の約束さえ守れば合法的と言えるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
確かに、お互いの同意のもとに融資が行われている場合、強制わいせつ罪や強制性交等罪には当てはまらず、立件することは不可能です。
また、売春は「対償を受け、又は受ける約束で不特定の相手方と性交をすること」ですが、ひととき融資の相手は特定できる間柄(貸主・買主)であり、売春禁止法にも違反していません(そもそも売春禁止法で罰せられる対象は売買春を提供・管理などして支援していた者です)。
さらに、相手が未成年であれば児童買春禁止法違反になりますが、この罪状は非常に重いため、ひととき融資の貸し手は年齢制限をかけて抵触しないようにしているケースが多いです。
では、ひととき融資が具体的になぜ犯罪行為となるのかというと、それは「無登録で貸金業を運営」しており、「高金利で融資」をしているからです。
ひととき融資など、個人で条件を決めてお金を貸し借りする「個人間融資」自体は特に違法というわけではありません。
しかし、近年増えている、SNSやインターネット掲示板などで知り合った面識のない個人との間でお金の貸し借りをするケースでは、以下のように法律に違反している可能性が高いです。
違法な個人間融資に手を出すと、違法な取り立てや、個人情報の流出、詐欺などの被害が発生する可能性があります。
さらに、ひととき融資は妊娠や性病、暴行の危険、写真や動画を撮影されるリスクなどもありますので、利用するべきではないと言えるでしょう。
法外の利息に設定された借金や、性行為を強要されたことなどによる貸し付けは「不法原因給付」で、返還請求権はないと法律で言われています。(民法708条)。
つまり、闇金やひととき融資から借りた方は、利息だけでなく元金も返済する義務はありません。
しかし、借りパク・借り逃げしようとしても、相手方は性行為や裸の写真・動画を担保にしているケースや、あらかじめ個人情報を渡しているケースが多く、女性の方が安全に逃げ切るのは非常に難しいです。
そこで、法律のプロである、弁護士・司法書士に介入してもらい解決する必要があります。
貸金行為を反復継続する者は、貸金業法第3条による登録を受けなければなりません。
これに違反した場合には、10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金刑に処されます。
個人でのお金の貸し借り(個人間融資)でも、複数の相手に融資を繰り返していれば貸金業者として登録が必要です。すなわち、SNSで不特定多数を相手にしている場合は貸金業法に違反しているのです。
また、出資法と利息制限法で定められている年20%を超える金利は違法であり、年利20%を超える金利を設定した場合は5年以下の懲役刑若しくは1000万円以下の罰金刑又はこれの併科、年利109.5%を超える金利を設定した場合は10年以下の懲役刑若しくは3000万円以下の罰金刑又はこれの併科が科せられます。
法外に高い利息は出資法違反となり逮捕となる可能性があるのです。
このような実態は「闇金」と同じであり、金融庁も注意を呼びかけています。
金融庁では、Twitterにおいて金融庁個人間融資対策アカウント(@fsa_P2PL)を開設し、個人間融資の勧誘を行っている書込みに対して、注意喚起を実施しています。貸す側も、借りる側も、「個人間融資」にご注意ください! https://t.co/1B1R5AILyN#個人間融資 #個人融資 #お金貸します #ひととき融資 pic.twitter.com/8yGbJsvKcv
— 金融庁個人間融資対策 (@fsa_P2PL) November 8, 2019
もちろん、融資時や返済時に性行為が嫌になり逃げようとした女性を脅し性交を強制した場合は、不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)、不同意性交等罪(旧強制性交等罪)、暴行罪などにあたりますし、「周囲にバラすぞ」「顔写真や免許証を晒すぞ」などと言われたら脅迫罪となる可能性もあります。
さらに、未成年がひととき融資の被害に遭った場合、児童買春禁止法違反となり、5年以下の懲役刑、または300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
【ひととき融資での逮捕事例】
・性的関係を条件に「ひととき融資」元村職員に有罪判決|朝日新聞デジタル
・性交渉を条件に貸し付け 神奈川県警、「ひととき融資」初摘発|神奈川新聞
・融資の見返りに性交渉を求める「ひととき融資」で現金を貸し付けた疑い 51歳の経営コンサルタントを書類送検|東京新聞
性的行為でお金を貸すヤミ金融「ひととき融資」が北海道初の摘発
札幌市東区の無職の男性(45)は、インターネットの掲示板で融資を希望する女性と接触し、メールでやりとりをして、2022年3月~2023年2月までの間で4人の女性に対し9回に渡り合計58万円(1回に5000円~20万円)を貸し付け、お金を貸す代わりに性的行為やわいせつな画像を要求していました。
男は無登録で、貸金業法違反の疑いがもたれています。また、少なくともほかに6人の女性に同様の手口で金を貸し付けていた可能性があると見られています。(2023年5月 北海道文化放送ウェブサイト)
このように、ひととき融資は違反であり、借り手(多くの場合女性側)に多くの危険・リスクが伴います。
例えば、ひととき融資を利用することで以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
仮に避妊されずに子供ができてしまえば、精神的に大きな負担となるだけでなく、出産や中絶にさらにお金がかかってしまいます。
また、ひととき融資で撮影された動画や写真と個人情報を悪用され、更なる性行為を強要されたり暴行・脅迫を受けたりする可能性もあります。
お金が足りない時、ひととき融資の融資額は魅力を感じるかもしれません。
しかし、「闇金から借りるよりはマシだろう」などと思わず、その危険性をしっかりと理解して、ひととき融資に手を出さないようにしましょう。
ひととき融資の危険性は分かっても、とはいえ困窮していて生活がままならないという方はいらっしゃるでしょう。
また、実際にひととき融資を利用してしまい、後悔してやめようとしているもののどうすれば良いか分からないと迷っている方も多いと思います。
雇い止めなどで収入が減少し生活に困窮しているならば、まずは国の補償制度の利用を考えてみてください。貸金業者の審査に通らなくても、失業保険・生活福祉資金貸付制度・住宅確保給付金、生活保護など、国の制度を利用することができる可能性があります。
もし、上記の制度を利用しても返済が難しい場合は、債務整理を行うことで借金を合法的に減免することできる可能性もあります。
ひととき融資で「連絡は取り始めたがまだ実際に借りていない」「性交渉をしていない」という段階ならば、上記の解決方法を検討して早急に手を引くべきです。「契約違反だ」と言われても気にする必要はありません。法外の利息を設定しているような違法な契約は無効となりますし、仮に裁判となっても相手方に勝ち目はありません。
あまりにしつこいならば脅迫罪なども成立する可能性があるため、警察や弁護士に相談することを仄めかして断り続けましょう。
既にひととき融資を利用してしまっている場合、ひととき融資のような案件は他人に相談しづらいことだと思います。
しかし、大事なのはすぐに利用をやめ、弁護士などの専門家に相談をすることです。
悪質な貸金業者(闇金など)からの借金問題を解決してくれる弁護士は増えてきています。
法律の専門家は、当該貸付行為が違法であることを法的に示した上で、返済の必要がないことなどを主張してくれます。これによりひととき融資との関係を断つことができるでしょう。
お金のために体の関係を持ってしまった自分を責めてしまうのは当然のことですが、悪いのは女性の弱みにつけ込んできた相手方の行為です。決して自分を責める必要はありませんので、お悩みの方は一度弁護士にご相談ください。
もちろん、弁護士には守秘義務がありませんので、ひととき融資の利用が外部に漏れることもありません。
なお、つきまとい行為(ストーカー行為)や脅迫行為などで困っているなら、証拠を持った上で警察に行くことも一案です。警察から警告を行うことで、つきまといがストップするケースが多いでしょう。