家族・親族が借金を返せない場合、代わりに返済する義務はある?

家族・親族が借金を返せない場合、代わりに返済する義務はある?

家族が借金を隠しておりこれが判明した場合、怒りや悲しみのほかにも、「家族にどのような影響が出るのか」と不安に思ってしまうのは当然のことです。

また、家族に内緒にせずとも、「生活費が足りずに消費者金融からお金を借りているが返せない状況になってしまい、家族に何らかの影響が生じないか不安だ」というケースもあるでしょう。

家族や親族の返せない借金について、どう対処すべきかは難しい問題です。
しかし、「借金を相続した」「借金の保証人になっている」などのケースを除き、家族が借金を肩代わりしなければならないという義務はありませんので、この点はご安心ください。

家族の借金は、家族・家計の状況や借金の内容に応じて最適な解決策を見つけていくことが大事です。必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家の助けを借りることも有効ですので、本記事を参考にぜひ相談・依頼をご検討ください。

家族に借金を肩代わりする義務はない

家族が返せなくなった借金について多くの方が不安に思うことから先に結論を述べますが、実は、家族のものであっても、その借金を肩代わりしなければならないという法的な義務はありません

闇金などの違法業者は「子どもの借金は親が責任を持つべき」「子どもなら親の借金を返済しろ」「妻(夫)の借金を代わりに支払うのは当然」などと脅してくることがありますが、このような代理返済の強制は貸金業法によって禁止されています(貸金業法21条)。

もし上記のような取り立て・脅迫を受けた場合、これは違法行為になりますので、弁護士などの法律の専門家に相談をすることをお勧めします。

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家族が返せない借金の支払義務が生じるケース

とはいえ、全てのケースで例外なく家族が責任を免れるわけではありません。
冒頭に述べた通り、「借金を相続した」「借金の保証人になっている」などのケースでは、家族や親族に借金支払いの義務が生じる可能性があります。

借金は相続の対象になる

親族が死亡して相続が発生すると、被相続人のすべての財産・権利・義務を配偶者や子供などの相続人が引き継ぐことになります(一身専属権を除く)。
そして、これには現金・預貯金や株式・保険などプラスの財産だけでなく、借金・ローンなどのマイナスの財産も含まれます

プラスの財産がマイナスの財産より多ければ、借金を返済しても遺産は残ります。しかし、マイナスの財産のほうがプラスの財産より多ければ、子供には、親の債権者に親が遺した借金を返済しなければならない義務が発生します。

借金を相続してしまうことを防ぐには、期限内に「相続放棄」や「限定承認」をする必要があります。

相続放棄には「プラスの財産も含め遺産を全く受け取れなくなる」などのデメリットがあるため、相続に強い弁護士に相談し、慎重に検討する必要があります。
また、相続放棄の手続きの期限は「自分のために相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内」と、意外と短いです。

「限定承認」は、プラスの財産の範囲内で借金を背負うというものですが、相続人全員での手続きが必要です。一人でも参加しなかったり、連絡がとれない相続人がいたりすると成立しません。

相続問題をお一人で解決することは難しいので、遺産に借金があるようなケースでは、弁護士に対応を依頼することをお勧めします。

【相続財産に借金があるかどうかを確認する方法】
借金問題はデリケートなものですので、被相続人が借金のことを誰にも話さず、「借金があったのかどうかそもそも分からない」というケースも多いです。後から借金が発覚することのないように、被相続人が亡くなったら、きちんと財産調査を行うことが大事です。
信用情報機関に対する照会をすれば、金融機関からの借入や、カードローンなどがわかります。被相続人の書類や郵便物を調べれば、借用書が見つかるかもしれません。預貯金口座の取引履歴を調べて、定期的に振り込んでいるところがあれば、借金の返済の可能性もあります。

自分が借金の連帯保証人になっている

保証人」「連帯保証人」とは、お金を借りた人が何らかの理由でそのお金を返せなくなった時に、代わりにそのお金を返す義務を負う人です。

保証人がつくことで、債権者は返済を受けられなくなるリスクを軽減できます。よって、借金の契約(金銭消費貸借契約)をする際は保証人の指定が必須となるケースもあります(もっとも、最近は保証人に代わって保証会社の利用を求められることも多いです)。

この保証人・連帯保証人に指定されているケースでは、例え家族であってもそうでなくても、本債務者が返せない借金について支払義務が生じます

いくら親しい間柄であっても、保証人・連帯保証人となることは、本人(主債務者)と同じだけの法律上の義務を負うことになるので、十分な注意が必要です。

なお、連帯保証人の契約は、当事者同士が意思表示することにより行わなければなりません。連帯保証人となってしまった人の知らないところで、債務者と債権者が保証契約を結んだとしても、その契約は無効になります(民法113条)。

したがって、連帯保証人自身が知らない保証契約については、契約が無効であるが故に支払う必要がありません。

このような「保証人に確認を取らず勝手に保証人にする」というケースは通常あり得ませんが、相手が闇金である場合はこの限りではありませんので要注意です。

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家族が返せない借金を放置するリスク

原則として家族に借金の返済義務がないとはいえ、家族の借金を放置すると何らかのリスクが生じる可能性があります。

家族の私物が差し押さえられることはない

借金を滞納すると、おおよそ3ヶ月ほど経過後に債権者が裁判所に訴訟を提起する(あるいは支払督促を送付してもらう)ことがあります。

訴訟や支払督促を放置していれば、やがて債権者は裁判所に対して強制執行の申立ができるようになります。
申立が認められると、裁判所は債務者の財産を「差し押さえ」するという強制執行をするでしょう。

差し押さえられた資産は、給与や預金、現金ならば直接債務の返済に充てられます。
不動産や動産ならば、公売などを通じて売却され、その収益が返済に充てられます。

こうきくと、「家族の私物も差し押さえられたらどうしよう!」と不安になるかと思いますが、日本の法律では家族の私物を直接的に差し押さえることは原則としてできません。
差し押さえ対象になるのは、債務者本人の名義のものだけです。

ただし、「口座開設をしたのは家族(夫)だが、債務者本人(妻)が利用していた」「家族(親)名義で車を買ったが、メンテナンスなどを含め常日頃利用していたのは債務者本人(子)であった」など、家族名義でも実質本人の財産であると認められれば差し押さえの対象となります。

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差し押さえによる間接的な影響

家族名義の財産が差し押さえられることはありませんが、差し押さえにより家族に間接的な影響が及ぶ可能性はあります。

給料の差し押さえ

「給与」は借金の滞納で最も差し押さえられる可能性がある財産です。
原則として、毎月支払われる手取り額の4分の1(25%)のみ差し押さえが出来ることになっています。

給与を差し押さえられると受け取れるお金が目減りするため、日々の生活がより厳しいものになります。家計のやりくりが難しくなり、同居家族の生活にも多大な影響を及ぼすおそれがあるでしょう。

マイホームなど不動産の差し押さえ

不動産は競売手続きに時間と手間がかかるため、差し押さえされるケースは少ないと言えます。
しかし、高価な土地や不動産、マンションを所持しているならば、これを差し押さえられる可能性は0ではありません。

仮に居住している不動産を差し押さえられ、購入者が見つかれば、退去を余儀なくされることになります。家族と共に引っ越す必要があるので、その影響は大きなものになります。

その他の影響

この他、私生活で使用している車を差し押さえられれば移動が不便になりますし、口座預金が差し押さえられては貯金がなくなってしまいます。

家族の財産が直接的に差し押さえられることはないとはいえ、上記のように少なからず影響は生じることになりますので、差し押さえは事前に回避するよう動くに越したことはないでしょう。

家族・親族の借金を解決する方法

借金の現状を把握し、共に新たな返済計画を立てる

家族の借金が返せないと判明したならば、まずは借金の全体像を理解することが重要です。借金の総額、どこからいくら借りているのか、返済期限や利息・遅延損害金の合計などを把握しましょう。

また、どのようにして借金が発生したのか、家族で協力すれば返済の目処は立つのか等を相談し、理解することが重要です。

家族で協力することで現実的な返済計画が立つならば、収入と支出を見直し、無駄遣いを削減するなどして実現していくことが大切です。

この他、借金の理由が病気ならば精神的なサポートも重要ですし、ギャンブルならば再発を防ぐための策を講じることも必要です。

家族を説得して債務整理をしてもらう

債務整理は、債権者(お金を貸した側)との交渉や裁判所を介した手続きなどにより、借金問題の解決を目指す合法的な手続きの総称です。
債務整理には、大きく分けて「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの方法があります。

もし家族・親族が借金を返せないで悩んでいるならば、債務整理により借金問題の根本的解決を目指すことを勧めると良いでしょう。

とはいえ、債務整理(特に自己破産)についてネガティブな印象を持っている方も多く、本人が「債務整理はしない」「自力で返済する」と頑なに言い張るケースもあり、強制すると関係に亀裂が入る可能性もあります。
「まずは一緒に無料相談を受けてみよう」などとうまく誘導する必要があるかもしれません。

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家族の借金の肩代わりはしない方が良い

家族や親族の資金で借金が完済できる場合、確かに家族が援助をして完済することで利息・遅延損害金の負担もなくなるというメリットがあります。督促や差し押さえの危険もなくなりますので、「家族として肩代わりしよう」と考えるケースも少なくないようです。
しかし、家族が借金を肩代わりすることはあまりおすすめができません。

というのも、ギャンブルやショッピング(浪費)による借金を家族が肩代わりしても、借金を作った原因から改善しなければ、また借金を繰り返してしまう可能性が高いです。
生活費が借金の理由であっても、その生活自体を改善しなければ再び困窮状態に陥ってしまうでしょう。

特に、ギャンブル依存症や買い物依存症の可能性がある場合、依存症の治療をしなければ根本的な解決は望めません。

安易な援助は本人のためにならず、却って「また借金をしても家族が肩代わりしてくれる」などと思ってしまう可能性すらあります。
援助については、借金の原因を含め「もう二度と繰り返さないかどうか」を見極めることが大切です。

家族・親族の借金が返せないトラブルは弁護士に相談を

家族、特に配偶者が借金を隠していた場合、「離婚」が頭をよぎる方もいるかもしれません。
しかし、法律的には借金があるという理由だけでは離婚はできず、「借金で家計が破綻し婚姻生活に支障が出ている」「仕事をせずギャンブルばかりで生活費を入れない、家族が困窮している」など、「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」が必要です。

家族として借金問題に直面したならば、まずは借金状況を詳しく・正しく把握して、「どう解決するか」を一緒に考えていくことをお勧めします。家族が借金を肩代わりしなければならないという義務はありません。

また、膨れ上がってしまった借金を解決するには、弁護士や司法書士に相談して債務整理をするのが一番です。
放置していると借金は増える一方なので、早めの相談が大切です。

家族・親族が借金でお困りならば、ぜひ弁護士・司法書士への無料相談を勧めていただければと思います。

債務整理に強い弁護士・司法書士に無料相談

借金返済ができず、滞納・督促でお困りの方は、債務整理に強い弁護士事務所・司法書士事務所にご相談ください。

弁護士事務所・司法書士事務所に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 毎月の借金の返済が苦しい/借金が一向に減らない
  2. 債務整理したいが自宅だけは手放したくない
  3. 連日の督促・取り立てで精神的につらい

債務整理の実績豊富な弁護士事務所・司法書士事務所に相談・依頼することで、厳しい督促が止まり、難しい手続きもサポートしてもらえます。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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