闇金の取り立ての手口・ひどい嫌がらせ・怖さの実態と具体例を解説!
闇金の怖さについて、取り立ての手口や嫌がらせの具体例を交えながら解説します。闇金は悪質な手口を使って取り立てを、精神…[続きを読む]
高利貸しとは違法な高金利で融資を行う業者のことで、一部は闇金業者とも呼ばれています。
合法的な金融機関とは異なり、極端に高い利息を課すほか、借金の返済が滞ると取り立てが厳しくなるなど、多くの問題を抱えています。
高利貸しと闇金の違いや、一旦借りてしまった場合の適切な対処法について解説します。
目次
高利貸し(こうりがし)とは、一般的な基準よりも高い金利・利息を設定して融資を行う業者・個人のことです。
ただし、「年利何パーセント以上の業者=高利貸し」などという定義があるわけではありません。「高利」の感じ方は人によって差があるため、一概には定められていないのです。
ですが、法的な金利の上限は決められています。
2010年6月に貸金業法と出資法が改正されて以降、日本において利息の上限は年15~20%とされています(上限は借入総額によって変動します)。
よって、現代において「高利貸し」と言えば、この法定金利を超える法外の利息を設定してお金を貸し出している業者と言えるでしょう。
日本では、お金を貸し付ける業者は平安味代には存在していたと言われています。
平産時代には、国が官僚に対して月13~15%程度でお金を貸していました。これは「トイチ(10日で10%)」に相当する金額で、これが初期の高利貸しと言えるでしょう。
時代が進み、鎌倉時代・室町時代には、担保によってお金を貸す業者が現れました。
また、江戸時代には個人を相手にする高利貸しが横行し、江戸幕府が高利貸し業者を取り締まることを試みるようになりました(しかし、あまり効果はなかったようです)。
明治時代になると、お金の貸し借りの際の利息の割合などが法律で定められます。
平成になっても、出資法は長い間、刑事罰の対象となる金利の上限を29.2%と定めていました。よって、ほんの最近までは正規の貸金業者でも年利が30%近かったのです。
しかし、2010年6月に貸金業法と出資法が改正されて以降、日本において利息の上限は年15~20%とされています。
現在の利息制限法では、以下のように、元本の額に比例して利息額の上限を15~20%としています。
借り入れ金額 | 上限金利 |
---|---|
元本が10万円以内 | 年20% |
元本が10万円~100万円未満 | 年18% |
元本が100万円以上 | 年15% |
例えば、年18%の金利で30万円を借りると、1ヶ月後の支払いでかかる金利は1,470円です。
一方、高額な利息を請求してくる「闇金」などの違法業者は、年利換算で1,000%を超える金利でお金を貸すこともあります
例えば、10日で30%(トサン)で借りてしまった場合、同じく1ヶ月後(30日後)の利息金額は359,100円にもなります。30日の段階で、すでに元金を超えた利息がついていることになるのです。
この場合、法的金利を超えているので高利と言え、違法となります。
高利貸し=闇金とは限りません。
例えば、比較的金利が高いと言われる消費者金融を考えてみましょう(通常は、消費者金融よりも銀行系カードローンの方が利率は低いです)。
個人の感覚では、「消費者金融の年20%や年18%も高い金利だ(高利貸しだ)」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、消費者金融は貸金業法に基づいて内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受けている正規の貸金業者で、その利息も法定の上限金利の範囲内です。
一方、闇金は法外に高い金利を設定し、貸金業法の登録もしていない違法業者です。
同じお金を貸す企業とはいえ、消費者金融と闇金ではまったく違うのです。
すなわち、あなたが高利貸しだと感じたからといって、それが必ずしも闇金であるとは限らないのです。
とはいえ、先述の通り、現代において「高利貸し」と言えば法定金利を超える法外の利息を設定してお金を貸し出している業者を指すことがほとんどです。
よって、高利貸しは闇金であると考えても差し支えはありません。
いずれにせよ、金利が高いから闇金だ!と考えるのではなく、貸金業法に基づいた登録をしている正規の貸金業者なのか・法定金利を守っているのか等で、闇金かどうかを判断するようにしましょう。
以下では、高利=法定金利を超える金利として、高利貸し=闇金という前提で解説を進めます。
上記のように、高利貸し(闇金)が定める利息は法外に高額であるため、少額の借金でも数日で返済額が大きく膨れ上がってしまいます。
こうなると、「返済ができなくなって生活が立ち行かなくなる」ということはもちろん、以下のようなリスクが発生します。
闇金は悪質な取り立て等を行い、精神的に追い詰めながら返済を要求してきます
貸金業法では、取り立てにおいて脅迫や暴行を用いることや、私生活の平穏を害する督促(深夜・早朝の連絡や、過度な電話催促など)を禁止しています。
年利15~20%を遵守している正規の貸金業者は、当然このような督促を行いません。
しかし、高利貸しである闇金の取り立て方法は非常に過激です。
深夜・早朝を問わず家庭電話や職場に繰り返し迷惑電話をかけてきたり、時には自宅に押しかけてきたり、暴言を吐いて返済を迫ったりすることもあります。
最近は、お金を借りる際は親切・丁寧であっても、返済時期になると態度が豹変することが多いです。このような闇金は「ソフト闇金」とも呼ばれます。
日々苛烈な督促に遭うことで、精神的に追い詰められてしまっても無理がありません。
高利貸しは、借主に返せない借金を長期間背負わせることで、継続的に金銭を供給してくれることに期待しています。
よって、利息だけを返済する「ジャンプ」を勧めてきたり、担当者不在を装ってお金を受け取らなかったりして、返済を長期化させる傾向があります。
なんとか完済をしても、「この客は支払いをする良い客だ」「簡単にお金を取れる客だ」と判断され、更なる借金を強制される可能性があります。
例えば、闇金に知られた口座があると「押し貸し」のターゲットになり、知らぬ間に振り込まれた金銭に対して法外な利息を請求されてしまう可能性があります。
また、言われた通りお金を返済しても、「お金が振り込まれていない」「慰謝料を追加で払え」など、何かしらの理由をつけて取り立てを止めてくれないケースもあります。
利用者の個人情報や、勤務先・親族などの連絡先が高利貸しに知られていると、これが流出・悪用される可能性があります。
闇金の間では、住所・氏名・電話番号・口座情報など、利用者の個人情報が売買されることがあるのです。
闇金・高利貸しのような悪質業者に個人情報を売られた場合、例えば、他の闇金から突然融資の勧誘をされる、押し貸し・カラ貸しをされる、利用者名義で様々な買い物をされる、名義を利用して知らないうちに何かしらの契約(携帯電話契約・口座契約など)を結ばれる、といった被害が考えられます。
高利貸し業者との契約時に「連帯保証人が必要」などと言われて勤務先や家族の情報を教えていると、家族・友人・知人が次のターゲットとして巻き込まれてしまう可能性もあります。
具体的には、自分が払えない場合に家族や友人に督促されたり、職場に電話がかかってきて返済を要求されたりする可能性が高いでしょう。
「そんなに危険な高利貸しからわざわざお金を借りることはない」と思う方がほとんどかと思いますが、最近は闇金などの高利貸しの手口も巧妙になっていて、「借りるまで闇金だと気づかなかった」というケースも多いです。
例えば、年利で言われたら法定利息と比較ができますが、「10日で○割」「1ヶ月で○割」などと言われると、その場で年利に換算して判断することは難しいです。
また、「利率○%〜」などのように、敢えて上限を書かずに油断させておき、契約後に莫大な利率で請求をしてくるようなケースもあります。
さらに、近年は「ソフト闇金」と呼ばれる対応が丁寧な高利貸しも存在しています。融資の相談時や取り立て・督促の際にも対応が優しく、「闇金とは思わなかった」と言われるソフト闇金ですが、これも法外な金利で貸付をする高利貸しです。
このように、思いもよらないところで高利貸しの被害に遭ってしまうことは誰にでも考えられます。
この場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
いくら「金利が高い!」と思っていても、それが法定利息の範囲内ならば借りた元本と利息を返済しなければなりません。
しかし、法外な利息をとる高利貸しからお金を借りた場合には、借りたお金を返済する義務はないとされています。
利息制限法によると、利息制限法を超える利息の部分は無効となります(1条)。
また、年利109.5%を超える場合には、消費貸借契約自体が無効となります(貸金業法42条1項)。
高利貸しは、年利数百%という設定をしていることもありますので、多くの場合にその契約自体が無効になります。この場合には、利息部分・元本部分の返済が不要となると考えられています。
※利息制限法の定める20%を超えるが、109.5%を超えない利息を定めていた場合、20%を超える利息の部分は無効となる一方で、それ以外の利息部分と元本部分の返済義務については、事案により結論が異なると複数の裁判例により考えられています。
しかし、法的に返済義務がないと言っても、それを主張したところで高利貸しが大人しく引き下がることはありません。
場合によっては、督促・嫌がらせがエスカレートしてしまうでしょう。
そこで、高利貸しとのトラブルは、弁護士・司法書士などの専門家に対応を任せることがおすすめです。
いくら債務者に対して強気な高利貸しでも、違法業者である限り裁判になった場合に勝てる見込みはありません。すなわち、裁判による解決を仄めかす法律の専門家には太刀打ちできないのです。
そのため、闇金などの高利貸しは、弁護士・司法書士が債務者の味方になることを嫌います。
専門家が介入した途端、高利貸しにとっては、その債務者との関係を維持するデメリットが大きくなり、すぐに手を引くケースも多いです。
もし、事件の解決後に再び同じ高利貸しから連絡があっても、違法業者への対応に強い弁護士・司法書士ならば、アフターフォローまでしっかりと行い、トラブルを根本的に解決してくれるでしょう。
高利貸しや闇金は、常に相手に借金がある状態を作り出し、真綿で首をじわじわ絞めるような手法を好んで使います。
一度関わりを持ってしまった場合、高金利の借金を継続的に要求され、長期間付きまとわれる可能性が高いです。
法外な利息は、本来返済義務がありません。
無理に完済しようとせず、弁護士や司法書士にご相談ください。