きらぼし債権回収から身に覚えのない請求…無視しない対処法は？

債権回収会社（サービサー）とは、借金（債務）の回収を専門に行う企業を指します。

債権回収会社は、債務者が返済義務を負う借金の回収に苦戦する債権者から、債権回収の委託（あるいは債権の譲渡）を受け、債務者からの債権回収を専門に行います。元の債権者はこれにより借金の督促・回収に手間をかけることなく、通常業務に人員を割くことができますので、債権者にとって貴重なサービスと言えるでしょう。

債務者との交渉や取引の仲介、債務者に対する督促・取り立て、債務者の状況に合わせた返済プランの提案などを行う債権回収会社（サービサー）の一つが「きらぼし債権回収株式会社」です。
（同社は2023年4月にエイチ・エス債権回収を子会社化しました。）

きらぼし債権回収株式会社から督促の手紙やメールが来た時、「知らない会社名だから」「身に覚えのない借金だ」と無視してしまうと、最終的に財産の差し押さえなどに発展してしまう可能性がありますので、ご注意ください。

この記事では、きらぼし債権回収株式会社について、督促や取り立てがくる理由と、どのように対処するべきかを解説していきます。

きらぼし債権回収（エイチエス債権回収）とは？

「きらぼし債権回収株式会社」は、「サービサー法」という法律に基づいて法務大臣から認可を受けた日本の債権回収会社の一つです。
債権者の抱える債権（回収する権利のあるお金）評価した上での譲り受け（買取）業務や、債権の受託・管理回収も行っています。

つまり、きらぼし債権回収株式会社から借金の取り立てがあった場合、元の債権者があなたの借金をきらぼし債権回収に譲渡したか、あるいはきらぼし債権回収が回収業務を受託したということになります。

債権回収会社（サービサー）は、債務者からの支払いを促すために、電話や手紙、メールなどでコンタクトを取ってきます。
ただし、債務者のプライバシーや人権を尊重するために、法律に基づいたルールや手続きを遵守しなければなりません。

闇金のような苛烈な取り立てがないため、「放っておいても大丈夫だろう」と思う方もいるようですが、いつまでも返済しないと、きらぼし債権回収は訴訟や支払督促などで粛々と法的措置を進めていくと考えるべきでしょう。

なお、きらぼし債権回収株式会社は、2023年4月付けでエイチ・エス債権回収を子会社化し、エイチ・エス債権回収の商号は「きらぼし債権回収株式会社」に変更されました。

【きらぼし債権回収が受託・買取する可能性のある債権一覧】
CFJ合同会社（アイク、ディックファイナンス、ユニマット）、株式会社エフエムシー（クラヴィス）、東京スター・ビジネス・ファイナンス、リッチ、セディナ、プロミス、ネオラインキャピタル、クロスシード、バッカーズ　など

きらぼし債権回収の口コミ

Google口コミには厳しい口コミが書き込まれておりますが、数がまだ少ないので、判断するのはまだ難しい状況です。

きらぼし債権回収からの連絡を無視するとどうなる？

そこで、債務者がきらぼし債権回収からの連絡を無視すると、以下のようなリスクが考えられます。

督促・取り立てが厳しくなる

債権回収会社の督促を無視するということは、債権者（債権回収会社）としては、借金がいつまでも返済されないということになります。

債権回収会社は債務者に対してまずは任意の返済を促しますが、これの無視を続けると、督促はより頻繁になり、電話がかかってきたり、法的措置に移行する旨も告知されたりするでしょう。

支払督促・訴訟を起こされる可能性

無視が続くと、債権者は裁判所に申し立てをして支払督促を送付したり、訴訟を起こしたりすることがあります。

簡易裁判所から支払督促が送られると、支払督促を受け取った債務者は督促異議を提出できます。しかし、これも提出せず放置していると、やがて裁判所の書記官は「仮執行宣言付き支払督促」を債務者に送付し、この受領から2週間を過ぎると債務者はもはや督促異議を申し立てることもできなくなります。
最終的に、支払督促は確定判決と同一の効力を持ち、財産の差し押さえが可能となります。

一方、訴訟が起こされた場合、債務者は法的手続きに対応する必要が生じます。無視をして債権者の訴えを認める旨の確定判決文が出ると、債権者はそれを使って強制執行に踏み切ることができます。

強制執行により財産の差し押さえなどが行われると、給与や預貯金が強制的に回収され、借金の弁済に充てられることになるでしょう。

遅延損害金が膨らんでいく

返済できる見込みがないからと言って借金をそのままにしておくと、上記のようなリスクに加え、利息と遅延損害金がどんどん積み重なっていきます。返済が長引けば長引くほど、債務総額は増えていくのです。

 

以上のように、債権回収会社を無視することは、債務者にとってリスクがあることを覚えておきましょう。

債務者としては、返済プランの見直しや時効援用、債務整理などの解決策を検討し、早期の対応を行うことが望ましいです。

きらぼし債権回収への正しい対応方法

では、上記のようなリスク（デメリット）を回避し、借金問題を根本的に解決するには、どのように対処すれば良いのでしょうか。

身に覚えがない場合

これまでご説明したとおり、きらぼし債権回収は債権者の代わりに債権回収業を行っており、これができるのは法務大臣により許可された債権回収会社のみです。
きらぼし債権回収株式会社自体は正規の債権回収会社ですが、近年、類似した社名を使い架空請求を行う詐欺業者も増えているのでご注意ください。

「借金なんてこれまでにした覚えがない」「借金は無事に完済をしたはずで、今回の請求は身に覚えがない」という場合、きらぼし債権回収を騙る詐欺の可能性も０ではないでしょう。

万が一、心当たりのない請求や連絡があれば、届いた請求書ではなくきらぼし債権回収株式会社の公式ページから、「自分に書類を送ったかどうか」を問い合わせてみると良いでしょう。
（この場合、後述する「債務の承認」をしてしまわないよう注意が必要です。）

また、当サイトでは債権回収会社の正規の電話番号を司法書士事務所と連携して登録しているツールも提供しております。こちらも併せてご利用ください。
（※下記の電話番号検索ツールに該当していないからといって詐欺であると断定するものではありませんが、逆に、該当するならば、少なくとも詐欺団体ではない可能性が高いです。）

時効の援用ができるかどうか確認する

借金の時効とは、債務者が借金の返済をしなかった場合、一定期間が経過した後に債権者が返済を請求できなくなることを指します。
日本の民法においては、一般的に5年が借金の時効期間とされています（債権の種類やその成立時期などによって異なる場合があります）。

ただし、時効期間が過ぎただけで借金が帳消しになるわけではありません。
債務者が借金を長期で返済しなかった場合でも、時効期間中に債権者からの裁判上の請求があった場合や、債務者が債務の存在を認めた場合（債務の承認）、時効はそこから数え直しとなり、債務者は引き続き借金を返済する義務を負います（時効の中断・更新）。

借金の消滅時効を有効なものとするためには、時効の中断・更新の前に、債務者が時効の「援用」をする必要があります。
援用とは、債権者に対して、債権が時効によって消滅したことを内容証明郵便などにより主張することです。

「確かに借金があるので、近々払います」と約束してしまった場合や、実際に少額でも借金を支払ってしまった場合には、時効が中断（更新）してしまいます。
時効の成立が考えられる場合は、安易にきらぼし債権回収へ連絡をせず、時効援用について弁護士・司法書士に相談することをお勧めします。

時効が成立しているか確認！時効援用チェッカー

債務整理で借金の減免を図る

債務整理とは、借金や債務が返済不能になった場合に、債務者が弁護士・司法書士などの専門家に依頼して債務（借金）の整理を行う手続きのことを指します。
時効の援用ができない場合、以下のような債務整理手続きを行うことを考えてみましょう。

任意整理：債務者と債権者が直接協議して債務の整理を行う方法です。弁護士が債務者の代理人として、債権者との間で支払い条件などの交渉を行い、合意が成立すると利息・遅延損害金のカットや返済期間のリスケジュールが行えます。

個人再生：裁判所に申し立てて借金を元本から大幅に減額する手続きです。債務者の生活状況や現在の収入・支出を調査した上で、裁判所に再生計画を提出し、この再生計画が認められると負債を圧縮できます。手続き後は残りの借金を３年程度の長期で分割払いしていきます。

自己破産：支払不能になった場合に、裁判所に申し立てて借金を０にしてもらう手続きです。その代わり、生活に必要な最低限の財産を除いた高価な資産（マイホームや車など）は処分され、債権者に配当されます。借金が０になる唯一の債務整理方法です。

債務整理は、借金の返済が困難な場合に、債務者が将来的な生活を安定させるための手続きであり、生活再建のための重要な選択肢の1つとなります。
しかし、個人で行うには難易度が高い手続になりますので、弁護士や司法書士にしっかりと確認した上で、最適な対処方法を選択することが重要です。