給与差し押さえを回避|借金が会社・家族にバレないために
債務者が長期に渡り借金を滞納し続けている場合、債権者に給与を差し押さえられることがあります。 給与の差し押さえとは、…[続きを読む]
借金を返さないでいると、見覚えのない会社から郵便等で連絡が来ることがあります。
多くの場合、そこには借金の支払に関することが書かれています。
「こんな会社からお金を借りたことはないのに…」と戸惑う人も多いでしょう。
中には「これは特殊詐欺に違いない」「連絡を返したらお金を騙し取られるに決まっている」と考えて、郵便物を捨ててしまう人もいるかもしれません。
しかし、そういった連絡に対して無視を決め込むと、大変なことになるおそれがあります。
それらはサービサーと呼ばれる債権回収会社からの連絡かもしれません。
ここでは債権回収会社(サービサー)から連絡が来た場合の対処法について解説していきます。
心当たりのある連絡を受けた人、または現在借金を滞納している方はぜひお読みください。
目次
債権回収会社とは、その名の通り債権(借金)を回収する会社のことで、全国に75社以上あります(2022年4月現在)。
「サービサー法」という法律に基づいて法務大臣から認可を受けており、合法的に借金の取り立てを行います。
債権回収会社は債権者から依頼を受け代理をするか、債権を譲渡された(債権回収会社自身が新たな債権者となった)うえで借金の取り立てを行います。
債権回収会社からの連絡があったら、相手が本腰を入れて債権の回収を始めたということです。
法的措置が実行される可能性が高いので、すぐにでも対策を考えて、速やかに行動に移す必要があります。
債権回収会社は取り立てのプロであり、連絡を無視していれば引き下がることはありません。
法律に基づいて様々な方法で取り立てを行います。
取り立ての流れとしては、以下のようになるでしょう。
まず、債権者から依頼を受けた債権回収会社は、通常の郵便や圧着はがき、電話等で借金を返済するように債務者へ督促します。
郵便を無視していると、会社によっては自宅訪問があるかもしれません。
内容証明郵便とは、差出人が同じ内容の郵便を3通制作し、1通は自分で保存、1通は債務者に送付、最後の1通は郵便局で保存するものです。
郵便局で3通の内容が同じかチェックされて保存され、配達記録も残るので、郵送した証拠として裁判でも活用されています。
上記の督促を無視していると、この内容証明郵便が届くでしょう。法的措置が実行されるカウントダウンが始まったと思うべきです。
内容証明郵便が届いても無視していると、債権回収会社は裁判所に訴訟を提起する・債務者へ支払督促を送るなどの法的手段を行使します。
訴状が届いたのに無視していると欠席裁判となって、債権回収会社が望むとおりの判決(借金を支払うという判決)が出るでしょう。
また、支払督促では、簡易裁判所から債務者に督促状が送られます。これに異議申し立てをしないでいると、勝訴判決と同じ効果を債権者は得られます(訴訟よりも簡易的な手段です)。
この段階まで放置を続けた場合、残念ながら債務者にとって良い結果が出る可能性は高くありません。
ただ、裁判となっても分割払いなどの和解に応じてもらうことはできるかもしれないので、無視をせずに話し合いを進めるべきです。
訴訟や支払督促で和解ができないと、強制執行が行われます。
具体的には、財産や給与の差し押さえです。
特に給与の差し押さえは給与の一部が強制的に借金の返済に回されるため、生活に直接の悪影響があります。
また、勤務先等に差し押さえの事実がわかってしまうのもデメリットです。借金が原因で解雇されることはありませんが、社会人としての信用が失墜してしまうかもしれません。
給与の差し押さえについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
では、債権回収業者から取り立てが来たら、どう解決すれば良いのでしょうか?
借金は、長期間請求を受けなければ時効を主張して消滅させることができます。
この場合の請求とは「裁判上の請求」なので、郵便や電話による請求は当てはまりません。
裁判所から届く訴状等が「裁判上の請求」の一例です。
貸金業者等からの借金は多くの場合「最後に返済した日の翌日から数えて5年」で消滅時効を迎えます。
しかし、消滅時効というものは、期間の経過で借金が自動的に消滅するものではありません。
「時効の援用」という手続を踏まなければならないのです。
もし消滅時効の期間が経過しているにもかかわらず、「援用」を行わない場合は、借金が消滅せず返済義務が残ってしまいます。
仮にこの状態で裁判上の請求を受けると時効の進行が更新されてしまいます(消滅時効の援用ができるまで再び5年待たなければなりません)。
債権回収会社は更新の中断を狙って様々な策を講じます。
借金を少しでも支払ってしまうと、時効の援用ができなくなります。
また、「確かに借りています」「近々払います」など、債務があることを承認しても同じく時効の援用ができません。
消滅時効の確認がまだ済んでいない場合は、債権回収会社から連絡があっても「確認してから連絡します」等の対応をすることが正解です。
うかつな返事をしてしまうとせっかくの時効が使えなくなってしまいます。
債権回収会社からの連絡を無視してはいけませんが、連絡に応対する場合でも十分に注意してください。
残念ながら消滅時効の援用ができない場合は、当然ですが返済義務があります。
債権回収会社は一括払いで返済を求めてくることも多くあります。
そういった場合は、分割払いができないか相談してみましょう。
現実的に無理のない返済プランであり、債権回収会社が債権の回収が確実だと考えれば、分割払いに応じてくれるかもしれません。
債務整理は、借金を合法的に減額または免除する手続です。
債権回収会社が請け負うような、消費者金融・銀行などからの借金は全て減免の対象になります。
債務整理には様々な方法があるので、どれを行うかは弁護士に相談して決めることをおすすめします。
個別のケースに合わせて最適のものを提案してくれるはずです。
債務整理について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
最後に、大手の債権回収会社を一部紹介します。
借金を長期間滞納している方で、これらの会社から連絡があったら注意が必要です。
・パルティール債権回収
・ニッテレ債権回収
・SMBC債権回収
・アイアール債権回収
・オリンポス債権回収
・エー・シー・エス債権回収
・エム・テー・ケー債権回収
なお、上記の会社を名乗って詐欺を企む団体がいるかもしれません。
郵便等があったら各会社の名前で検索して公式サイトを見つけ、そこに書いてある住所や連絡先と郵便物に記載されている内容が一致しているか確かめてみましょう。
どうしても不安な場合は、公式サイトにある電話番号に電話をして「自分に書類を送りましたか?」と確認するのも良いかもしれません。
債権回収会社から連絡が来た場合、最も良い対応方法は弁護士に相談することです。
弁護士なら、連絡をしてきた会社が本物かどうかも確認してくれます。
時効の成立の有無についても調査が可能で、時効が成立していた場合、援用の手続きまでを任せることもできます。
また、時効が成立していなかった場合でも、分割払いの交渉をしたり、数種類ある債務整理方法の中からあなたに最も良い解決方法を考えてくれたりするでしょう。
弁護士はあなたの強い味方です。債権回収会社から連絡あったら、すぐにでも弁護士に相談することをおすすめします。