勤めていた会社が突然倒産したら未払いの給料はどうなるの?

「ある日、いつも通りに出勤したら、会社の玄関に倒産報告の張り紙があり、建物にすら入れない」「ある日の朝会で、突然倒産を言い渡された」

このようなことは現実にも起り得ます。
東京商工リサーチによると、2021年の倒産件数は6,015件です。前年比では減少していますが、単純計算で1ヶ月に約500件の企業が倒産していることになります。

会社が倒産(破産)したら、経営者は自己破産も余儀なくされるケースが多く、また、社員は解雇されます。
社員(従業員)の立場として、その後の生活と並んで心配になるのは未払い賃金の行方でしょう。

今回は、会社が倒産したときの未払い賃金の取り扱いについて詳しく解説します。併せて、次の仕事が決まるまでの手当・保険についても言及します。

1.会社が潰れた場合の社員への配当

未払い賃金の話をする前知識として、まず、倒産について少し解説します。

「会社が倒産した」と聞けば、「経営が破たんして潰れる」というイメージを持つ人が多いと思いますが、それだけが正解ではありません。
「倒産」は正式な法律用語ではなく、企業が支払い不能に陥り経済活動が続けられなくなった状態を広く表している言葉です。

「倒産」の手続きは二通りあります。事業を停止して会社を清算する「清算型(=破産)」と、その後も事業を継続する「再生型」です。
一口に倒産と言っても、未払い賃金は上記のいずれの手続きをとるかで取り扱いが異なるのです。

しかし、実際には、倒産する企業の大半が「清算型」と言われています。

会社が破産すると、法人に残っている資産が債権者に分配されます。
基本的には平等に弁済されますが、完全に公平に配分される訳ではありません。

債権には大きく分けて「財団債権」と「破産債権」があり、財団債権のほうが優先的に支払うことになります。
そして未払い賃金のうち、「破産手続開始前3ヶ月分の未払い給料、退職前3ヶ月間の給料の総額に相当する退職金」は「財団債権」として認められています。

(※3ヶ月前というタイミングは、裁判所から「破産手続開始決定」が出されたときからで、社員が解雇された日から3ヶ月前ということではありません。)

よって、破産手続きが行われると、給料と退職金は優先的に支払われます。
上記の期間以前の給料や退職金については「破産債権」の中の「優先的破産債権」とされ、財団債権の次に優先して支払われることになります。

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しかし、給料や退職金が優先的に支払われるのは、いずれも会社に資産が残っているときの話です。
会社の財産から破産手続の費用を差し引いたときに残額がなかったり、会社の資産を全てお金に変えても足りなかったりするときは、全額受け取れないことも多いでしょう。

2.給料が貰えないときの救済制度

以上のように、倒産後でも未払い賃金は支払われますが、会社に支払うだけの財産がないときは全額貰えないこともあります。

また、未払い賃金の確保の後は、身の振り方を考えなくてはなりません。 解雇されれば次の仕事が決まるまでの収入確保が問題となります。

そんな万が一のときに備えて、以下のような救済制度が用意されています。

2-1.未払賃金立替払制度

会社が倒産した後、未払い賃金を支払ってくれなかったとき、労働者に対してその一部を政府が立替払いしてくれる「未払賃金立替払制度」があります。

実施しているのは「独立行政法人・労働者健康福祉機構」で、支払いの対象は定期賃金(毎月の給料)と退職金です。ボーナスや解雇予告手当については対象外とされています。
立替払いは、未払い賃金の8割とされ、支払い金額は退職時の年齢によって上限が設けられています。

立替払い制度の適用は法律で細かく決まっており、要件に当てはまらないときには制度の適用を受けられないこともありますので注意が必要です。

参考:未払賃金立替払制度の概要と実績|厚生労働省

2-2.失業保険(ハローワーク)

会社で雇用保険に入っていた人は、解雇後は失業保険を受給することができます。
手続きはハローワークで行われ、所定の手続きを終えると失業手当が振り込まれます。

失業保険の受給方法は一律ではなく、会社都合による解雇の場合は支給時期の優遇措置があります。
倒産や解雇など、会社都合で辞めるケースでは、「特定受給資格者」とされ、失業保険の支給が早くなります(過去1年間で6ヶ月以上雇用保険に加入していることが必要)。

自己都合退職者の場合は、待機期間(ハローワークに離職票の提出および求職の申し込みをした日から起算した7日間)の後、さらに3ヶ月の給付制限期間が設けられています。
一方、特定受給資格者の場合は7日間の待機期間のみとなっており、自己都合退職に比べればずっと早く支給されるのです。

また、会社都合の退職の場合は、自己都合に比べて受給日数も長くなるので、倒産で解雇された場合は受給期間の面でも有利になります。

失業保険でもらえる金額

失業保険の受給金額は、過去6ヶ月間の給与、年齢、勤続年数、退社理由(自己都合または会社都合)で決まります。

実際の支給金額は過去6ヶ月間の給与の50~80%程度で、給与の低い人ほど支給のパーセンテージが高くなります。なお、退社理由で支給金額に差はでません。

【離職票がなければハローワークで相談】
会社を退職してハローワークに行く際には、離職票を持っていく必要があります。しかし、倒産による解雇で、社長が夜逃げをしてしまって行方不明などというときには、離職票を受け取れないケースもあります。
その場合は、ハローワークで相談をしてください。会社が倒産した事実と、事業主との連絡がとれないことを確認したあとに、職権で離職票を発行してもらえます。

参考:雇用保険手続きのご案内|ハローワーク

3.勤め先が倒産したら早めの対応を

勤務先の会社が倒産しても、未払いの給料や退職金については優先的に支払われます。
万が一会社のお金が足りずに未払い賃金がもらえないときでも、「未払賃金立替制度」があるので、賃金の一部は保証されるでしょう。

しかし、実際に未払い賃金を手にするまでの手続きは複雑で、条件によっては受け取れないこともあります

また、会社が倒産しても雇用保険に加入していれば失業保険がもらえるので、当面の生活費は一部でも確保できます。解雇が決まったら、速やかにハローワークで相談しましょう。

なお、会社の経営側の立場にある人は、倒産について法的責任はないものの、会社の連帯保証人になっている場合は負債の責任を負うことになります。
その際には、一刻も早く弁護士に相談をしてください。

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弁護士ライター、行政書士資格者、FP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、今までに、債務整理に関する記事を1,000以上作成、監修。
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