裁判所の郵便物(特別送達)は受け取り拒否できる?不在の場合は?
借金に関する訴状・支払督促・差し押さえ命令といった裁判所からの通知は、基本的に自宅へと郵送されてきます。 裁判所から…[続きを読む]
「いきなり知らない法律事務所から電話がかかってきた」
「留守番電話で法律事務所と名乗られ、至急折り返すようにという内容だった」
こんなことが起こった場合、借金の滞納に関する督促の可能性があります。
法律事務所からの借金の督促を一切気に留めずに放置していると、後で訴訟や強制執行に発展し、大変なことになる可能性もあります。
今回は、知らない法律事務所から電話があった場合に注意すべき点や、対処方法などについて解説します。
目次
法律事務所を名乗る者から電話がかかってきた場合、まずはなぜそのような電話がかかってきたのかを考える必要があります。
もし、借金の返済を遅滞していたり、携帯電話などの料金の支払いを滞納していたりする場合には、法律事務所が債権者である業者から債権回収の委託を受けてあなたに連絡してきている可能性が高いです。
この場合、法律事務所からの電話は債権者の正当な権利に基づくものですので、無視せずに適切に対応する必要があります。
債権者が法律事務所に債権回収を依頼した場合、強制執行までを見据えて本格的に債権回収を行う態勢に入ったことを意味します。そのため、迅速な対応が求められます。
借金の返済遅滞や料金の滞納に心当たりがない場合には、法律事務所の名前を騙る詐欺の可能性が疑われます。
世の中には、特に債権回収の実績が豊富な法律事務所の名前を騙って偽の督促電話やメール・郵便物などを送り、受け取った人を怖がらせて不当にお金を支払わせるという架空請求詐欺の手口が横行しています。
このような架空請求詐欺に対しては、絶対にお金を支払ってはいけません。
詐欺かどうかを確認するための有効な一つの方法としては、不在着信のあった電話番号をインターネットで検索してみることが考えられます。
もし本当にその法律事務所から連絡が来ているのであれば、法律事務所の公式ホームページにその電話番号が掲載されている可能性が高いです。
逆に、法律事務所の名前を騙った詐欺の場合には、当然法律事務所の公式ホームページにその電話番号が掲載されていることはありません。
また、同じ電話番号から詐欺の電話がかかってきたというケースについて、インターネット上で口コミとして紹介されている場合もあります。
このような口コミが多い場合には、詐欺の可能性が高いと言えるでしょう。
法律事務所からの電話などが正当な督促であった場合、これを無視し続けると取り返しのつかない事態になってしまいます。
「怖くてどうしていいかわからない」「無視していればそのうち止むだろう」などと考えて放置せずに、速やかに専門家である弁護士に相談するなどの対応を取る必要があります。
実際に法律事務所からの正当な督促を放置した場合に、どのような事態が発生するのかについて解説します。
法律事務所が債権回収を受任した場合、通常は債務者に対して何度か督促の連絡を続けることになります。
連絡の手段は、電話、ハガキ、内容証明郵便、ショートメール(SMS)などさまざまです。
連絡の内容・文面はだんだん厳しいトーンのものになっていき、最終的には最後通告という形で、これ以上履行遅滞・滞納が続くようであれば訴訟などの法的な手段に移行するという内容の連絡が来ます。
法律事務所から正当な債権回収の連絡を受けた場合には、この法律事務所からの督促の段階で何らかの対処をする必要があります。
法律事務所からの督促に債務者が応じない場合には、債権者と法律事務所は、裁判所を通じた法的手段に訴えることになります。
債権者が取り得る法的手段は、①裁判所による支払督促の申立て、②訴訟提起の2つです。
債権者の申立てにより、裁判所は債務者に対して、債務を支払うよう督促を行います。
裁判所からの支払い督促を債務者が受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、債権者からの申立てにより、支払督促に仮執行宣言というものが付されます。
仮執行宣言が付された支払督促に基づいて、債権者は強制執行の申立てをすることができます。
債権者が債権回収に関して訴訟を提起した場合、裁判所から債務者に対して訴状が送られてきて、同時に裁判ヘの出頭が要請されます。
債務者が出頭要請を無視したとしても、裁判は予定の期日に行われます。
そして、債務者欠席のまま、債権者の言い分を全面的に認める判決が出されてしまいます。
判決が確定したら、債権者はその確定判決を用いて強制執行の申立てをすることができます。
仮執行宣言付きの支払い督促や、債権者勝訴の確定判決を根拠として、債権者は債務者の財産に対する強制執行の申立てを行うことになります。
強制執行が行われる場合、債務者の意に反して突然財産が処分されてしまいます。
そのため、いきなり生活に困窮したり、直近で支払うべき料金が支払えなくなってしまったりといった事態が発生する可能性があります。
また、給与債権が差し押さえられた場合には、借金や料金を滞納していたという事態が職場にも発覚してしまうので注意が必要です。
このように、法律事務所からの正当な督促を無視していると、最終的には債務者の財産に対する強制執行が行われてしまいます。
法律事務所に債権回収を依頼している段階で、債権者としては本気で債権を回収しに来ているので、強制執行の段階まで一気に進んでしまう可能性が極めて高いと言えます。
そのため、できる限り早めに弁護士に相談して、対処方法を検討する必要があります。
以上で解説したところを踏まえて、知らない法律事務所から電話があった場合の対処方法についてまとめました。
借金の返済や料金の滞納の心当たりがある場合には、法律事務所がこれらの債権者から債権回収の委託を受けて連絡してきている可能性が高いと言えます。
まずは、こうした滞納の心当たりがないかを確認しましょう。
銀行口座からの自動引き落としを利用している場合には、残高不足などの理由により引き落としがストップしていないかも確認してみましょう。
なお、友人などの借金の連帯保証人になっている場合は、その借金が債務不履行となり、連帯保証人であるあなたに対して請求が行われているという可能性があります。
こうした心当たりがある場合には、主たる債務者であるその友人などに、債務不履行の事実がないかを確認しましょう。
架空請求詐欺なのか、正当な請求なのかを見分けるためには、電話番号をインターネット上で検索するのが有効です。
債権回収を得意としている法律事務所の公式ホームページには、債権回収業務に使用している電話番号の一覧が掲載されていることがあります。
もしそのようなページがあれば、着信のあった電話番号がその一覧の中に含まれていないかを確認しましょう。
また、Google検索などを利用して、着信のあった電話番号を用いた詐欺の事例が報告されていないかを確認することも大切です。
なお、借金や料金の滞納について心当たりがある場合であっても、正当な請求ではなく架空請求詐欺であるという可能性もありますので、電話番号の検索は必ず行うようにしましょう。
法律事務所が債権回収業務を受託した場合、電話の連絡だけではなく、必ず書面を郵送する形での督促を併せて行います。
よって、法律事務所から債権回収の電話があった場合には、同時に「受任通知」や「督促状」といった内容の郵便物が同じ法律事務所から届いているかどうかを確認しましょう。
法律事務所から正当な督促の連絡を受けた場合、放置していると最終的には強制執行が行われ、取り返しのつかないことになってしまいます。
また、架空請求詐欺の電話が続く場合についても、放置しているとだんだん精神的につらくなってしまうでしょう。
いずれにしても、早めに弁護士に相談してみることがおすすめです。
特に、法律事務所から正当な督促の連絡を受けた場合については、一刻も早く弁護士に相談しましょう。
弁護士は、こうした督促に対処し、強制執行を回避するためのノウハウや専門知識を有していますので、債務者としては安心して依頼をすることができます。
債務をすぐに支払う余裕はないが、強制執行は回避したいという場合には、弁護士に依頼して債務整理を行うのも一つの手段です。
債務整理とは、裁判所を通じた手続きや、債権者との話し合いを通じて、債務の弁済スケジュールを変更してもらったり、債務を減免してもらったりする手続きの事です。
債務整理を弁護士に依頼した段階で、こちら側の弁護士と督促元の法律事務所との間で交渉が開始するため、法律事務所からの督促はストップします。
また、債務整理の結果弁済スケジュールが変更されたり、債務の減免が認められたりすれば、その内容に従って債務を支払っていくことにより、強制執行を回避することができます。
弁護士に依頼する際には、債務整理を行うという可能性も視野に入れておきましょう。
債権回収を得意とする主な法律事務所は以下のとおりです。
今回は、知らない法律事務所から電話があった場合に注意すべき点や、対処方法などについて解説してきました。
法律事務所から債務の支払い督促の電話や郵便物が届いたという場合には、手遅れになる前に弁護士にご相談ください。
弁護士は法律のプロです。相談者の具体的な状況を聞いたうえで、相談者にとって最も良い解決が得られるように適切な対応をしてくれるでしょう。
自分一人で抱え込まずに、ぜひ弁護士を頼ってみてはいかがでしょうか。