時効の更新・中断とは?民法改正前後の違いをわかりやすく解説
消滅時効のために必要な期間が経過していても、時効の更新事由(民法改正前は中断事由)があった場合は援用が失敗するケース…[続きを読む]
アコム、アイフル、プロミスなどの消費者金融は非常に有名ですので、街中の看板やテレビCMを見たことがある方がほとんどでしょう。
中には、急な出費でお金が必要となり、これらの消費者金融(サラ金)から実際にお金を借りたことがある方もいらっしゃるかと思います。
消費者金融は、銀行や信用組合とは異なり、個人や家庭への短期融資を特徴としており、手続きがシンプルで迅速な対応が可能です。「急な家族の入院に伴う出費」や「友人の結婚式が続く」などの突発的な支出に、即座の資金供給として役立つことが多いです。
しかし、消費者金融はあくまでお金を「貸している」だけで、当然ながら債務者は借りた資金の適切な返済が求められるため、借り過ぎには注意が必要です。
審査が比較的短時間で行われるために借金のハードルが低いことと、融資金利がやや高く設定されていることもあり、消費者金融の借金を返せなくなる方も少なくありません。
そんな時、「消費者金融の借金の時効5年・10年まで放置して支払わずに済むのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
では、消費者金融からの借金を時効で踏み倒すことは本当に可能なのでしょうか?
目次
日本を含めた多くの国では、一定の期間が経過することで債権者(借金を貸した人)が返済を求める権利=債権を失います。これが、借金の「消滅時効」です。
消費者金融など企業からの借金についても、例外なく消滅時効が適用されます。
日本における消費者金融からの債務の時効期間は、債権を行使することができる時から「5年」とされています(2020年3月31日までに成立した借金の場合)。
債権を行使することができる時とは、「定められた借金の返済期日」あるいは「債務者が最後に返済した時」と考えて良いでしょう。
ただし、時効期間が経過したからといって、それだけで債務を返済する義務が完全に消滅するわけではありません。
時効が成立した場合でも、債務者が「援用」という主張をしない限り、債権者は債務の存在を主張し返済を受けることができます。
「援用」とは、債権者に対して「消滅時効が完成した」と主張することです。
債務者(お金を借りた人)としては、時効の期間が経過したと思ったら早急に弁護士・司法書士などに依頼をして、本当に時効が成立するのかどうかをしっかりと確認した上で、「消滅時効援用通知書」を内容証明郵便で作成・送付することが大切です。
自分ではもう5年経過していると思っても、実は、様々な事情により消費者金融からの借金が時効で消えないケースがあります。
5年も借金を滞納していれば、「返済期日はいつか」「最後に返済したのはいつか」を正確に覚えていないケースも多いでしょう。
消費者金融からの借金は5年で時効期間が成立しますが、「いつから時効をカウントするか(起算点)」について正確にわからず、相当期間が経過したと誤認したまま時効の援用をしてしまうケースがあります。
この場合、援用をしても時効は成立せず、ただ借金の存在を認めて債権者に自ら連絡先を提示しただけになってしまいます。
督促・取り立てが止んでいる時に援用手続きをして失敗すれば、債権者はその後の督促・取り立てを再開すると考えられます。
時効を援用するまでの間に、債務者が債権者との間で返済計画や支払い延長の合意に至ったり、債務者が借金の存在を認めたり、債務を一部支払ったりすると、仮に時効期間が経過していても時効が成立しないケースがあります。
また、債務者が裁判上の請求(訴訟の提起や支払督促など)を受けて判決を受けた場合も同様です。
こうなると、時効はゼロから再びカウントし直すことになりますので、時効の完成を狙うのはほとんど不可能となるでしょう。
債権者は、このような時効の中断(更新)を狙って様々なアクションを起こしてきますので、安易に対応せず一度弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。
上記は「進んでいた時効期間がリセットされて数え直しになる」事由ですが、一方で、何かしらの要素が発生している間は、一時的に進行がストップすることもあります。これが、時効の停止事由(改正後民法では完成猶予事由)です。
2020年3月31日までに成立した借金の場合、自然災害により裁判所の業務が止まってしまった場合や、債権者から内容証明郵便などによる裁判外での催告がされたりした場合に時効が停止します。
特に後者は時たま用いられる手段で、債権者は、時効期間が満了する直前に履行の催告をすることで時効を停止させ、その間(6ヶ月以内)に裁判上の請求をして時効の中断を狙ってくることがあります。
なお、2020年4月1日以降に成立した借金の場合、完成猶予事由はかなり細かく規定されています。
現状、改正後に成立した借金について時効となることはありませんが、完成猶予については債務者のデメリットになる事柄なので、借金問題は早めに解決するようにしましょう。
上記のように、借金には中断事由(更新事由)や完成猶予(停止)があるため、実際に消費者金融の消滅時効が完成するケースは少ないです。
債権者は当然ながら消滅時効について知識がありますので、援用されるまで放置する可能性は低いのです。
とはいえ、時効の援用で借金が0になるケースももちろん存在しますので、「最後に支払いをしたのがずいぶん昔の借金について請求が来た」という場合は、時効が中断(更新)してしまわないよう、お早めに弁護士・司法書士・行政書士に相談することがおすすめです。
弁護士や司法書士ならば、仮に時効の援用ができないようなケースでも、「債務整理」で借金の負担を軽減する方が現実的な選択肢を提示してくれるでしょう。
消費者金融の時効は、以下の通りです。
後者は①=②になることがほとんどですので、消費者金融の時効は、ほとんどのケースで借金の弁済期が到来した日(借金を返すとした期限)あるいは最後の返済日から5年ということになります。
借金の時効をカウントする場合、消滅時効の起算点は「最終返済日の次の日」です。
数え間違えにより時効の援用に失敗してしまわないよう、これまで債務者宛に送付された郵便物(請求書・通知書・督促上など)や取引履歴を見て、最終返済日をしっかりと確認するようにしましょう(この作業は弁護士や司法書士にお任せすることをオススメします)。
なお、債権者に対して直接電話をすることでも上記は判明しますが、時効の更新事由・中断事由とならないように十分注意することが必要です。