消滅時効援用通知書の書き方・書式・ テンプレートは?わかりやすく解説!
ここでは、時効を援用する際に必要な「消滅時効援用通知書」の書き方と、時効の援用の失敗を避けるためのポイントなどについ…[続きを読む]
携帯電話は、現代社会の必需品とも言えるものです。携帯電話料金を滞納すると私生活に大きな支障が出るため、どれだけ経済的に苦しくても「携帯料金だけは頑張って支払い続けている」という方も多いでしょう。
一方で、様々な機能を揃えたスマートフォン本体の価格は高騰しており、通信量+本体料金の分割払いの毎月の出費は大きな痛手となるのも事実です。
携帯料金をどうしても払えずに滞納し、督促状が送られてきているという方もいらっしゃることでしょう。
そんな時、「時効が成立するまで待てば、携帯電話料金も踏み倒せるのでは?」と考える方は少なくないようです。
しかし、実際に携帯電話料金を時効で踏み倒すことはできるのでしょうか?
目次
借金の返済を求める権利がある場合、一定の期間(時効期間)内にその権利を行使しなければ、時効によって返済を求める権利が消滅する可能性があります(消滅時効)。
携帯料金の滞納も、消費者金融(サラ金)やクレジットカード、銀行などの借入と同じ「借金」です。よって、携帯料金の時効はこれらと同じく5年というのが原則です。
正確には、2020年の民法改正前後で以下のような時効期間の違いはありますが、「原則5年」ということには変わりありません。
携帯料金で言えば、料金の支払日(借金を返すとした期限)あるいは最後の返済日の次の日から5年が時効です。
時効のカウントの起算日は間違えやすいため、一度弁護士・司法書士などに確認してもらうことをお勧めします。
携帯料金の支払義務を時効で無くすには、ただ5年待つだけではいけません。弁護士・司法書士などの専門家に時効を「援用」してもらう必要があります(援用について詳しくは後述します)。
この時効援用の手続きを受け付けている司法書士事務所のデータによると、携帯電話会社に対する時効援用の受任数は1ヶ月の割合で以下のようになっています。
【司法書士事務所A】
株式会社NTTドコモ:3.94%
ソフトバンク株式会社:3.15%
KDDI株式会社:1.57%
ニッテレ債権回収株式会社:1.57%【司法書士事務所B】
KDDI株式会社:2.70%
ソフトバンク株式会社:2.70%
株式会社NTTドコモ:2.70%
ニッテレ債権回収株式会社:1.35%
NTS総合弁護士法人:1.35%※滞納が長期に渡ると、携帯電話会社が借金の回収を債権回収会社や弁護士事務所などの債権回収業務を請け負っている企業・弁護士に委託するケースがあります。その結果、ニッテレ債権回収・NTS総合弁護士法人など、携帯電話会社の債権回収を代理・受託することが多い企業(法人)が借金の督促・請求をしてくるケースも多いです。
このように、1ヶ月の時効援用のうち合計8.5%ほどが携帯電話会社という事務所もあり、携帯料金の時効援用の依頼は意外と多いようです。
先ほど、携帯料金の支払義務を時効で無くすにはただ5年待つだけではNGで、時効を「援用」する必要があると言いました。
上記の司法書士事務所も、この「援用」の依頼を受けています。
「時効の援用」とは、一定期間内に権利行使がなされなかった場合、法律上の権利が消滅することを債権者(お金を貸した側)に主張することをいいます。
この主張は法的には口頭であっても有効なのですが、通常は「言った・言わない」の水掛け論を防ぐため、「消滅時効援用通知書」を内容証明郵便の形式で作成し、債権者に郵送します。
消滅時効援用通知書は、テンプレート(ひな形)を用いてご自身で作成することも不可能ではありません。
しかし、「起算点を間違えていた」などの理由で万が一時効の援用に失敗してしまったら、本来ならば時効が完成していた債務の「承認」となり、時効が再度数え直しになってしまうリスクもあります。
失敗がないよう、時効援用は専門家に依頼して行ってもらうことをお勧めします。
これまで述べたとおり、携帯料金についても5年の経過で時効となりますが、実際には携帯会社が5年間何もアクションをしないことは稀です。
携帯会社や債権回収会社は、時効の成立前に、時効を「中断」「更新」しようと動くことでしょう。
新民法施行前の2020年3月31日までに成立した借金について時効の「中断」が起こると、時効期間がリセットされ、その時点から新たに時効期間が計算され直します。
中断の原因には以下のようなものがあります。
なお、裁判上の請求があっても訴えの却下又は取下げがあった場合には中断の効力を生じないとされています。
また、裁判外での催告(内容証明郵便などによる催告)については、送った時点で一時的に時効の進行はストップします(時効の停止)が、この後6ヶ月以内に裁判上の請求をしなければなりません。
いずれにせよ、法的手続が進行することで給与や預貯金の差押え、仮差押えまたは仮処分が発生しますから、これにより時効は中断し再カウントとなります。
新民法施行後の2020年4月1日以降に成立した借金については、時効が数え直しとなる事由を「更新事由」としています。
時効の更新は、時効期間が終了する前に特定の行動が取られることにより、新たな時効期間が始まることを意味します。
改正前民法は、「中断」という用語に関して、「時効の完成を一時的にストップする」という意味と、「進行してきた時効期間が効力を失い新たな時効でカウントする」という意味の両方で用いており、分かりにくい運用になっていたため、民放改正によりこれが改められたのです。
(一方、一時的に進行がストップすることを、完成猶予事由といいます。)
具体的に、以下のようなものが更新事由にあたります。
携帯料金の滞納について、これまでに中断・更新にあたる事項が発生していると、時効の成立は難しいです。
不安がある方は一度専門家にご相談ください。
これまでに述べたとおり、携帯料金について時効が成立するケースは珍しいです。ほとんどの携帯会社は、時効の成立を阻止するために時効の中断・更新を狙ってくるでしょう。
また、携帯料金を滞納していると、やがて使っている携帯電話が利用停止・強制解約となるため、私生活に大きな影響が出ます。
携帯料金が不払いのままでは携帯ブラックとなり、どこのキャリアとも回線契約を結べません。
携帯料金の滞納を長期で放置するデメリットは大きいですので、借金でお困りならば一度弁護士や司法書士に相談し「債務整理」を検討することをお勧めします。
債務整理をすれば借金問題が根本から解決できますし、仮に債務整理によって携帯電話の利用契約が解約となったとしても、手続き終了後に新たに携帯電話を契約することは可能です(しかし、一定期間は端末料金の分割払いは利用できない可能性が高いことに注意が必要です)。
また、時効の援用はもちろん、援用ができない場合の債務整理も、弁護士等ならば適切に対応してくれます。