借金取り立ての電話が会社にかかってくることはある?
個人携帯への借金督促・取り立ての電話を無視・放置すると、勤務先(会社)にも電話がかかってくる可能性が高くなります。後…[続きを読む]
急な出費に対応をしたり、生活費の足しにしたりするために、アコム・アイフル・プロミスなどの消費者金融からお金を借りるケースは少なくありません。
中には、娯楽やギャンブル(パチンコなど)のために消費者金融を利用する方もいるでしょう。
日本貸金業協会の調査によると、2024年現在、日本人の約10人に1人は消費者金融からお金を借りていると思われ、「完済したものの過去に借りたことがある」というケースを含めると約60%もの人に借入経験があると言われています。
このように、消費者金融でお金を借りること自体は「悪」ではありません。
お金を借りた上で、しっかりと計画を立てて返済をすれば何も問題はないのです。
大変なのは、消費者金融の借金を返せなくなってしまったケースです。
この場合、正しく対処をしなければ様々なリスク・デメリットが発生します。
はたして、消費者金融の借金が返せない場合はどうなるのでしょうか?
また、返せずに困っている場合はどのように対処をすれば良いのでしょうか?
目次
借入先の消費者金融にもよりますが、金融機関は「毎月○日」「35日ごと」などと返済日(返済期間)を定めています。
この期日に返済を行わないと、以下のようなリスク・デメリットが発生します。
ほとんどの消費者金融は、返済期日を1日過ぎた時点で遅延損害金(延滞金)が発生します。消費者金融が定める延滞利率は多くのケースで年20%です。
例えば、50万円の借金を1ヶ月(30日)滞納したら、遅延損害金は「50万円×20.0%÷365日×30日=8,219円」となります。
※遅延損害金=残高×遅延損害金年率(20.0%)÷365日×経過日数
これは、通常の利息(消費者金融の場合、年15~20%ほど)とは別に加算されますので、滞納するとすぐに借金総額が膨れ上がってしまいます。
当然ですが、返済期日に入金がないと消費者金融は返済の督促を行います。
最初は電話で「入金が確認できませんが、お忘れではないですか?」などと確認する調子で連絡があります。うっかり払い忘れていただけならば、この時点で返済をすればそれ以上問題にはなりません。
電話の連絡を無視したり、改めて決めた支払日にも払わなかったりすると、郵便で督促状が届くでしょう。滞納が長引くほど、電話・郵便の頻度は多くなっていきます。
家族に借金を内緒にしている方の場合、郵便物などで借金の存在がバレてしまうこともあります。
なお、携帯電話への連絡を無視し続けて音信不通でいると、自宅や勤務先にも確認の電話がかかってくるケースがあります。
タイミングは各消費者金融によって異なりますが、借金を滞納すればカードローンやキャッシングは利用できなくなります(利用停止)。返済をしてくれない利用客に対してお金を貸し続けることは、消費者金融にとって利益がないと判断されるからです。
利用停止は、早ければ返済期日の翌日〜数日の間に行われます。
滞納料金の支払いをすれば再度利用できるようになりますが、2ヶ月ほど継続して滞納すれば、いずれは契約を強制解約されてしまうでしょう。また、短期の滞納を何度も繰り返している場合も強制解約となるケースがあります。
滞納が2ヶ月ほど続くと、消費者金融は債務者(お金を借りている利用者)との契約を強制解約した上で、信用情報機関という組織に「この人は借金を長期で滞納しています」という情報を共有します。
このように、信用情報機関に個人に関する金融情報のマイナス情報(事故情報)が登録されることを、俗に「ブラックリスト入りする」などと言います。
ブラックリスト状態になると、借金の完済から5年ほどはあらゆる「審査」に通らなくなることが考えられます。
よって、他の貸金業者、消費者金融、銀行からお金を借りようとしたり、ローンを組もうとしたり、クレジットカードを作ろうとしたりしても、審査落ちとなってしまうのです。
「債務整理をするとブラック状態になる」という認識を持っている方は多いかもしれませんが、借金の長期滞納であっても同じような状況になってしまいますので覚えておきましょう。
契約の強制解約や、保証会社による代位弁済が行われた時点で、債権者は滞納している残務の一括請求をすることがほとんどです。
代位弁済とは、債務者本人以外の人が、債務者の債務を代理で弁済することです。消費者金融の場合、同グループ内の会社や債権回収会社(サービサー)が代位弁済をすることが多いです。
代位弁済をされた後、債務者は代位弁済をした新しい債権者に対して借金を返済することになります。
消費者金融の主な業務はあくまでお金を貸すことで、返済がなされない借金について回収のノウハウが豊富にあるわけではありません。そこで、自社での回収が難しいと考えられる場合、消費者金融は債権(借金の返済を受ける権利)を第三者である債権回収会社(サービサー)や弁護士事務所に委任・売却することがあるのです。
しかし、これまで分割払いでも支払えずに滞納していたのですから、突然一括返済を求められてもこれに応じられないケースがほとんどでしょう。
よって、一括請求予告通知書などを受け取っても、多くの方がこれを放置してしまうのが通常です。
一括請求も無視して、滞納から3ヶ月以上が経過すると、消費者金融や代位弁済をした新しい債権者は借金を回収するために法的措置に移行すると考えられます。
消費者金融の借金滞納で考えられる法的措置は「訴訟」「支払督促」の2つです。
訴訟や支払督促も無視していると、最終的には債権者が強制執行を行い、給料や預貯金を差し押さえられてしまう可能性があります(後述)。
債権者が訴訟を提起すると、裁判所から債務者に対して訴状と呼び出し状が送達され、裁判所への出廷が求められます。
裁判所からの呼び出しを無視していると、自動的に敗訴となり、債権者側の請求が全面的に認められます。
勝訴判決は「債務名義」となり、これにより債権者は強制執行(給与の差し押さえ)が可能となるのです。
なお、裁判には多大な労力がかかるため、債権者の多くは訴訟の提起ではなく支払督促の送付を行うでしょう。
支払督促は、裁判所が(債権者からの申し立てを受けて)債務者に債務の返済を命令している書類です。つまり、簡易裁判所から届く督促状で、訴状と同じく債権者が本格的な法的措置を取った証拠と言えます。
支払督促に対して異議申し立てをせず2週間放置していると、債権者は「仮執行宣言の申し立て」を行います。これを受けた裁判所は「仮執行宣言付き支払督促」という書類を債権者と債務者の双方に送ります。
「仮執行宣言付き支払督促」は債務名義となり、これが債務者に到達することにより、債権者は強制執行(給与の差し押さえ)を行うことができるようになります。
上記の訴訟や支払督促を行った債権者は、獲得した「債務名義」を用いて裁判所に強制執行の申立を行います。
強制執行は、その名の通り強制的に債権の回収を執行することです。
消費者金融の借金滞納ならば、多くのケースで行われるのが給料や預貯金の差し押さえでしょう。
特に、給与の差し押さえをされたら一大事です。
給与の差し押さえを受けると、完済まで継続して手取り賃金が減ってしまい、生活に直接的な悪影響が及びます。職場はもちろん、収入が減ることで同居家族にも滞納がバレてしまうことになるでしょう。
上記から、消費者金融の借金を滞納した場合のデメリット・リスクは以下のようにまとめることができます。
このような悪影響を回避するには、借金を返済できない状態になった時点で早めに消費者金融と話し合いをしたり、弁護士・司法書士などの専門家に相談をしたりして解決策の検討を行うことが重要です。
上記のようなリスク・デメリットを回避するために、消費者金融の借金が返せないならば以下のような対処法をとる必要があります。
「毎月の返済は苦しいが、今はなんとか払えている」「一度、二度滞納してしまったが、工夫をすれば返済していけそう」という状況ならば「借金の総額」「どこからいくら借りているのか」「返済期限」「利息・遅延損害金の合計」などを把握した上で、収入と支出を見直し、無駄遣いを削減することで返済が実現する可能性があります。
可能ならば、家族・親族に援助のお願いをしてみることも検討しましょう。
借金問題は家族にも打ち明けにくいことですが、親などが立替払いをしてくれた場合、その後の返済は利息をつけないで済むことがほとんどですので、援助を受けることは大きなメリットになるでしょう。
消費者金融の借金は、銀行などと比べると金利が高く設定されています。
利息の支払いが厳しいならば、おまとめローンや借金の一本化、借り換えを検討してみるのも良いかもしれません。
「おまとめローン」「借金の一本化」は、利息が高い借金が複数あり、この返済が苦しい場合、これらを利息の低い一つのローンに統合して、より低い利率で返済することを目指すサービスです。
「ローン借換(借換ローン)」はこれに似ていますが、借金が単数でも金利の低いローンで返済してしまうことです。
特におまとめローンを利用すると、返済先が1社にまとまり、いくつもの借入先に返済する必要がなくなります。振込手数料が安くなる、返済日が月一になって管理しやすくなるなどのメリットがあり、利用を検討する価値はあるでしょう。
しかし、金利が安くなり毎月の返済額が減っても、返済期間が長引くことにより最終的な金利総額は大きくなってしまう可能性が高いです。
おまとめローンや借換ローンを利用するときは、本当に得になるのか?を事前にシミュレーションする必要があるでしょう。
現状のままではどうしても支払いが難しいものの「分割払いならば払えそう」「来月まで支払いを待ってほしい」という場合は、消費者金融の窓口やコールセンターに連絡をして返済の意思と返済計画について説明し、返済方法の変更(分割返済など)をお願いしてみましょう。
既に長期滞納をしているケースや一括請求をされているケースでは難しいですが、現実的に支払い可能なプランを説明すれば、新しい返済計画を認めてもらえる可能性もあります。
債権者によっては、返済額についてアプリなどから簡単に返済プランを設定できるケースもあります。
なお、債権回収会社や弁護士事務所から分割払い(和解案)の提案があった場合は、時効援用をするに相応の期間が経過していないかどうかを確認した方が良いかもしれません。
時効のカウントは、「借りていることは間違いないので、○日までに支払います」「返す意思はあるので、分割払いをしたいです」などと言って借金の存在を認めたり、1円でもお金を支払ってしまったりすると、また1から数え直しになってしまいます。
最後に支払ったのがいつか覚えていないほど昔の借金ならば、一度弁護士や司法書士に相談して時効の確認をしてみることをお勧めします(詳しくは後述)。
窓口での交渉も難しく、どうしても自力で借金問題を解決できないならば、弁護士や司法書士に相談して「債務整理」を行うことが推奨されます。
債務整理とは、簡単に言えば借金減額をできる合法的な制度のことです。
生活費や医療費などの支出、勤務先の変化(減給や解雇など)、ギャンブルなどあらゆる理由で借金が膨らんでしまった場合、この制度を活用することで借金を減額できる可能性があります。
債務整理は法的な知識や裁判所の知識、債権者との高度な交渉術が必要となりますので、一般の個人が自力で完遂するのは不可能とも言えます。
必ず弁護士・司法書士などの専門家に依頼をしましょう。
個人の借金問題に利用されている債務整理には、次の3つの種類があります。
借入をしている消費者金融と個別に交渉をして、借金(将来利息)の一部カットや分割払いなどについて合意することで、新たな返済計画で和解する手続きのことをいいます。
つまり、「今のままではどうしても返済を継続することができませんので、なんとか借金を減額してもらえないでしょうか」と債権者に直接お願いするのです。
債権者側としては、そのまま滞納を続けられて全く返してもらえなかったり、最終的に破産をされて踏み倒されたりする結果になるよりは、任意整理に応じて多少の減額をし、できるだけ多くの返済を受けておいた方がいいと考えます。
よって、借金の理由や今後の返済計画について丁寧に説明をすれば、比較的多くの貸金業者が任意整理に応じてくれます。
ただし、任意整理では元金の減額を受けられないのが通常ですので、借金額が多額だと根本的な解決にはならないケースもあります。
個人再生は、裁判所に申立をして借金を元本から大幅に減額してもらう手続きです。
正確には、借金の一部だけを原則3年かけて返済し、これを完済できた場合、残りの減額した借金について返済義務が免除されるという仕組みです。
裁判所に再生計画案(返済の計画・スケジュール)の見込みがあると判断してもらう必要がありますが、これについては弁護士が作成をサポートしてくれますのでご安心ください。
また、「住宅ローン特則」という特例を利用することで、ローン支払い中のマイホームを手元に残したまま債務の大幅な圧縮が可能です。
裁判所に申請して借金を全額「免除」してもらう手続きです。借金を0にできる唯一債務整理方法です(税金や健康保険料、養育費など一部の債権を除く)。
特徴的なのは、債権者(破産者)が多額の現金や預貯金、不動産、査定額の高い車やブランド品などのめぼしい財産を所持している場合、それが裁判所によって処分されることです。
没収した財産を売却してお金に換え、債権者へ平等に配当した上で、残った借金が0になります。
自己破産は「手持ちの財産で最大限の返済をしたので、残りの借金については免除となる」という仕組みなのです。
とはいえ、生活必需品や差し押さえ禁止の財産、99万円以下の現金などは手元に残せますので、自己破産後の生活に困ることはありませんのでご安心ください。
また、自己破産により結婚や選挙権に影響が出ることもありません。
不安なことがある場合は、弁護士や司法書士に何でも質問をしてみることをお勧めします。
「これまで音沙汰がなかったのに、5年以上延滞した消費者金融から突然督促が来た!」という事態は起こり得ます。
そんな時、下の条件を満たす借金は、債務者が債権者に対し「時効の利益を主張する(=時効の援用をする)」ことにより消滅します。
新民法施行前の2020年3月31日以前に成立した借金(銀行・信用金庫・信販会社・消費者金融など、会社に対する借金)は、「債権を行使することができる時から5年」を経過すると消滅時効が完成します。
債権を行使することができる時とは、「定められた借金の返済期日」あるいは「債務者が最後に返済した時」と考えて良いでしょう。
ただし、時効期間が経過したからといって、それだけで債務を返済する義務が完全に消滅するわけではありません。
時効が成立した場合でも、債務者が「援用」をしない限り、債権者は債務の存在を主張し返済を受けることができます。
債務者(お金を借りた人)としては、時効の期間が経過したと思ったら早急に弁護士・司法書士などに依頼をして、本当に時効が成立するのかどうかをしっかりと確認した上で、「消滅時効援用通知書」を内容証明郵便で作成・送付することが大切です。
「お金がなくてどうせ返せないから」と思って督促・取り立てを無視してしまう方は非常に多いのですが、これは絶対にしてはいけません。
返済の督促電話に出ることが気まずいのは分かりますが、無視していると督促状・催告書が届いたり、自宅・勤務先にも電話がかかってきたりして、周囲に借金の滞納がバレてしまうリスクが高くなります。
滞納の初期段階ならば分割払いや返済猶予についても受け入れてもらえる可能性があるので、消費者金融からの電話は無視しないようにしましょう。
早く返さなければならないと焦り、借金を返すために借金をする「自転車操業」の状態は非常に危険です。これは借金問題の根本的な解決にならず、借金が雪だるま式に膨らみ、最終的にはどこからも借りられなくなって途方に暮れてしまうことになるでしょう。
また、ブラックリスト状態になるなどした際に「闇金」に手を出してしまう方もいますが、これも絶対にいけません。
闇金は違法な高利貸しを行う業者です。
一度関わってしまえばあらゆる手口でお金を搾り取ろうとしてくるだけでなく、過剰な取り立てや脅迫を行い無理矢理返済させようとしてくるでしょう。
なお、仮に闇金からお金を借りてしまった場合の対応も、弁護士や司法書士にお任せできます。