自己破産のリスク5つ解説|破産後の家族・仕事・生活への影響

自己破産のリスク5つ解説|破産後の家族・仕事・生活への影響

経済的な問題に直面して借金(債務)の返済ができない場合、個人が法的手続きを通じて借金を免除してもらう方法が「自己破産」です。

自己破産は借金が0になる唯一の債務整理方法であり、減額率だけ見れば最も効率が良い手続きです。しかし、債務整理方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、自己破産をするにも当然いくつかのデメリット(リスク)が伴います。

例えば、以下のようなリスクが考えられますので、あなたにとって自己破産が本当に最適なのかどうか、弁護士や司法書士から具体的な法的助言を受けることをお勧めします。

  • 財産の一部処分
  • ブラックリストへの掲載(信用評価の低下)
  • 職業や引っ越し、旅行などの一時的な影響
  • 官報への掲載
  • 連帯保証人への一括請求

上記のようなリスクについては、人によってさほど大きな影響とならないケースもあります。

この記事では、これらの自己破産のリスクについて詳しく解説します

自己破産のリスク(デメリット)

早速ですが、自己破産手続きをした場合に考えられるリスクを解説します。

財産の一部処分

自己破産手続きでは、借金整理の一環として財産の処分が行われる場合があります。
これは、債権者に対する債務をできる限り解消するためです。債務者(破産者)の資産を売却して現金化し、これで借金の一部を返済することで債権者の利益を確保した上で、残りの借金を免除してもらうのが自己破産手続きのシステムなのです。

このような財産の処分により、マイホームなどの不動産や車、ブランド品などの資産は処分される可能性があります。
ただし、生活や仕事に必要な最低限の財産は保護されますので、無一文になるわけではありません。

とはいえ、自己破産をするほど追い詰められている方は、目ぼしい財産を持っていないことがほとんどです。もし、あなたが土地・建物や高価な財産を持っていないならば、この財産処分のリスクについて心配する必要ないでしょう。

ブラックリストへの掲載(信用評価の低下)

自己破産手続きを行うと、信用情報機関にあなたが自己破産したという情報が記録されます。消費者金融や銀行、クレジットカード会社は、新規の申し込みや途上与信の際に信用情報機関へとあなたの信用情報を照会し、審査に通すかどうかの判断をします。

つまり、自己破産をすると、数年間は「返済能力に問題がある」というデータが残るため、新たに融資を受けようとしたり、クレカを作ろうとしたり、信販会社系の会社が賃貸保証会社となっている家を借りたりする際に、審査に通らなくなってしまうのです。
これを、俗に「ブラックリストに載る」といいます。

しかし、ブラックリストは一生続くものではありません。自己破産をしたならば、手続き終了から5〜10年で登録は抹消されるでしょう。
また、将来的に借金ができない状態になると思えば、借入に頼る生活から脱却するチャンスにもなり得ますので、これについても悲観的になりすぎる必要はありません。

なお、信用情報機関は個人単位での信用情報を管理しています。よって、あなたが自己破産をしたとしても、家族や親族が直接ブラックリストの影響を受けることはありませんのでご安心ください。
(ブラックリスト掲載中は誰かの保証人になれませんので、家族のローンの保証人になれないなどの間接的な影響は考えられます。)

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職業や引っ越し、旅行などの一時的な影響

自己破産のうち、「管財事件」となると、一部の雇用や引っ越し、旅行に一時的な影響を与えることになります。

普通の会社員などに影響はありませんが、弁護士や司法書士・行政書士・税理士などの法律に関わる仕事(士業)やお金に関する仕事、警備員などに就いている方は、自己破産を始めた時から免責を許可される(借金が0になる)まで、一時的に登録できなくなります

なお、自己破産を理由とした解雇は不当解雇にあたりますので、「自己破産で仕事を失う」ということはありません。一時的に休職や異動が必要となるケースはあるかもしれませんが、自己破産手続きが終われば、資格制限・職業制限はなくなり再度登録をすることもできます。

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引っ越しや旅行の制限については、手続き中に債務者と連絡が取れなくなることを防ぐための措置です。
裁判所の許可があれば問題ありませんので「出張・転勤のため」「友人の結婚式のため」など、正当な理由があれば不自由を受けることはないでしょう。

官報への掲載

「官報」とは、政府が休日をのぞいて毎日発行している新聞のような機関誌です。
自己破産をすると、官報に債務者の情報と手続きに関連する情報が掲載されます。債務者の氏名や住所の他、破産申立が受理されたこと、破産手続きの開始日や債権者集会の日時・場所、管財人の連絡先などの情報が主です。

このように自己破産の情報が官報に公示されることにより、債権者や関係者が手続きに参加する機会が与えられます。債務者が失念して届け出ていない債権者がいる可能性を懸念し、全員に広く知らせるというのが目的となっています。

なお、官報の掲載には費用がかかり、これは債務者が負担することになっています。
費用については裁判所によって異なりますが、1〜2万円程度でしょう。

費用支払いのデメリットはありますが、官報を毎日チェックしているような方は稀ですので、官報から自己破産がバレたり、就職に影響が出たりすることはないでしょう

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連帯保証人への一括請求

自己破産をする場合、連帯保証人への影響も考えなければなりません。
債務者が返済不能になった場合、連帯保証人がその債務を引き継ぐことになります。自己破産はあくまで債務者の借金問題を解消する手続きであり、連帯保証人の責任は解消されません。
したがって、連帯保証人は引き続き債務の返済を求められます。

多くの場合、自己破産をされた債権者は連帯保証人に一括の返済を求めてくるでしょう。
交渉次第では分割払いを受け入れてもらえるケースもありますが、保証人を驚かせないように、自己破産をすることは予め保証人に伝えておくべきです。

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自己破産のリスクを回避する方法はある?

上記のようなリスクをなんとかして回避したい!と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、結論から言えば、上記のようなリスク・デメリットを進んで回避するのは難しいと言わざるを得ません。

しかし、上記のうち、財産の処分と職業、引っ越し、旅行などへの一時的な影響は「管財事件」手続きでないと発生しません。

管財事件とは、裁判所が選任した「破産管財人」という人が、財産の調査や処分、そして債権者への配当などの手続きを進めるものです。
手持ちの資産が少なかったり、免責不許可事由がなかったりするならば、破産管財人が選任されない「同時廃止」という手続きで処理されます。

つまり、同時廃止で自己破産手続きを進めることができれば、財産の処分はなく、職業、引っ越し、旅行などに影響もありません。

しかし、同時廃止になるか管財事件になるかは、自己破産の申立てを受けた裁判所が決定します。申立人が自分で選択する・希望をすることはできません。
また、ブラックリスト入りや官報への掲載、連帯保証人への影響については、管財事件でも同時廃止でも発生するリスクです。

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リスクを回避しようとするよりも、起こり得るリスクについてしっかり理解し、周囲の理解も得ながら借金生活を改善していことが大切でしょう。

リスクを考えても自己破産をするメリットは?

自己破産をするとどうしても避けられないリスクが存在するのは確かです。
しかし、自己破産にはそのリスクを考えても手続きを行う大きなメリットがあります。

  • 弁護士に依頼後は督促・取り立てがなくなる
  • 全ての借金の返済義務がなくなる
  • 給与差し押さえを回避・解除できる
  • 一部財産は手元に残せるため生活に支障はない

自己破産をすれば税金などの公租公課を除いた負債を免除できますので、これにより経済的な再出発の機会が与えられます。
さらに、債権者との交渉は弁護士や司法書士に一任することができ、給与差し押さえなどの強制執行も避けることができるため、現在借金問題に悩んでいる方にとっては非常にメリットが大きな手続きと言えるでしょう。

リスクを恐れて借金を放置することはお勧めできません。今以上に負債が増えてしまう前に、弁護士や司法書士にご相談することをお勧めします。

自己破産のリスクに関するよくある質問

自己破産のリスク・欠点は何?

自己破産に限ったことではありませんが、債務整理をするにはいくつかのデメリット(リスク)が伴います。
例えば、自己破産では以下のようなリスクが考えられます。

  • 財産の一部処分
  • ブラックリストへの掲載(信用評価の低下)
  • 職業や引っ越し、旅行などの一時的な影響
  • 官報への掲載
  • 連帯保証人への一括請求

とはいえ、生活に必要な最低限の資産は残せますし、ブラックリストへの掲載も永続ではありません。

職業や引っ越し、旅行などへの影響は一時的で、官報についても掲載されることで大きなデメリットになることはほとんどないでしょう。

あなたにとって自己破産をすることで具体的にどんな影響が生じ得るのか、本当に自己破産が最適なのかどうかは、弁護士や司法書士から具体的な法的助言を受けることをお勧めします。

自己破産をしたら何を失う?

自己破産をすると、債権者に最低限の返済をするため、手持ちの目ぼしい財産を処分されます。マイホームなどの不動産や車、ブランド品などの資産は処分される可能性があります。
ただし、生活や仕事に必要な最低限の財産は保護されますので、無一文になるわけではありません。

また、お金の借り入れに関する信用を失ってしまいます。
自己破産手続きを行うと、信用情報機関にあなたが自己破産したという情報が記録されます。消費者金融や銀行、クレジットカード会社は、新規の申し込みや途上与信の際に信用情報機関にあなたの信用情報を照会し、審査に通すかどうかの判断をします。

つまり、自己破産をすると、数年間は「返済能力に問題がある」というデータが残るため、新たに融資を受けようとしたり、クレカを作ろうとしたり、信販会社系の会社が賃貸保証会社となっている家を借りたりする際に、審査に通らなくなってしまうのです。
これを、俗に「ブラックリストに載る」といいます。

自己破産をすると家族はどうなる?

自己破産をすることによるあなたの家族への直接的な影響はありません
財産の処分は自己破産をする債務者本人名義のものに限られますし、家族がブラックリストに掲載されることもないのでご安心ください。

とはいえ、以下のような間接的な影響が生じる可能性はありません。

  • 財産の処分により貯金が目減りする
  • 職業制限・資格制限の影響で収入が一時途絶える
  • ブラックリストにより家族の借入やローンの保証人になれない
  • 家族が連帯保証人なら一括で請求をされる

自己破産のリスクでよくある誤解は?

自己破産にはいくつかのリスクがありますが、逆にデメリットだと思われがちなだけで実は誤解である事実も多くあります。

例えば、以下のようなリスク・デメリットは自己破産で生じませんのでご安心ください。

  • 自己破産しても職場に破産は知られない
    自己破産が職場・勤務先に知らされることはありません。しかし、給与差し押さえを受けている場合や職業制限を受ける場合にはこの限りではなく、職場に自己破産がバレるリスクがあります(自己破産を理由に解雇されることはありません。)
  • 自己破産しても選挙権や被選挙権の制限はない
  • 自己破産しても結婚は制限されない
  • 自己破産で必ず生命保険が解約されるわけではない
    自己破産をすると、生命保険や学資保険など、将来受け取れる保険の解約返戻金も財産とみなされ、この合計額が20万円を超える場合に解約が必要となる可能性があります。しかし、解約返戻金が少額な場合や掛け捨て保険の場合には、そのまま解約しなくても済むでしょう。
  • 親が自己破産をしても子供の将来に影響はない

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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