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実は、自己破産には2種類の手続きがあります。本記事では、自己破産の中の「同時廃止」について説明していきます。[続きを読む]
自己破産を行う際、債務者に一定以上の財産がある場合や、浪費・ギャンブルなどの重大な「免責不許可事由」がある場合などには、裁判所から「破産管財人」が選任されることがあります。
自己破産を通じて借金をゼロにするためには、破産管財人の役割が非常に重要です。ただし、一般の方にとっては破産管財人についての理解が不足しており、彼らが具体的にどのような役割を果たすのか、どのように協力すれば良いのか、ということがわからないことがあります。
この記事では、自己破産を検討している方にとって重要な「破産管財人」について解説します。破産管財人の役割や業務内容、借金の整理手続きにおける関わり方などを詳しく紹介し、自己破産手続きにおいて円滑に進めるための情報を提供します。個人の状況に合わせて適切なアプローチを理解し、スムーズな手続きを行うための一助となることを願っています。
目次
破産管財人とは、破産事件に関わって、債務者(破産者)の財産を換価(現金化)して債権者に配当したり、債務者を免責させて良いかどうか裁判所に意見を述べたりする人です。
(「免責」とは、借金を0にすることをいいます。)
債務者に一定以上の財産がある場合、限度を超える分はすべて現金に換えて債権者へ公平に配当しなければなりません。そのような職務を実際に行うのが破産管財人です。
また、債務者に重大な浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合、そのまますんなり免責を認めると問題があります。
そこで、破産管財人が状況をチェックし「これなら免責を認めても大丈夫だろう」というケースでのみ裁量免責を認めるとされています。
このように、破産管財人は破産事件において非常に重要な役割を果たすのです。
破産管財人が選任されると、高額な費用がかかることに注意が必要です。
一般の費用に足して「管財人の予納金(破産管財人の人件費)」が必要になるからです。
管財人の予納金の金額は、ケースによって異なります。
弁護士に依頼しなかった(本人申し立てや司法書士申立ての)場合、50万円程度かかる可能性があります。
ただ、弁護士に依頼をした一般の自己破産のケースでは、ほとんどが「少額管財」という手続きになるので、管財予納金は20万円ほどになるでしょう。
管財予納金の金額や支払い方法については各地の裁判所によって異なるので、具体的には現地の弁護士に相談して確認すると確実です。
自己破産したとき、すべてのケースで破産管財人が選ばれるわけではありません。
破産管財人が選任されるケースとされないケースの違いをみていきましょう。
自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。
自己破産は、債権者に債務者の財産を平等に配当するための「破産手続き」と、債務者の免責を認めるかどうかを検討する「免責手続き」の二つの段階を踏みます。
同時廃止とは、債務者に換価の対象になるような財産がない場合、「破産手続き」の開始決定とともにその破産手続きが廃止(終了)するタイプの簡易な破産事件です。
一方、管財事件とは、債務者に一定以上の財産があって、財産の換価や債権者への配当(破産手続き)が必要な事件です。
破産管財人は債務者の財産を換価・配当する職務を行う人なので、同時廃止のように換価・配当が不要なケースでは選任されません。
一方、管財事件では債務者の財産の換価と配当を要するので、破産管財人が選任されます。
なお、管財事件には、原則的な「一般管財」と、手続きを全体的に簡易化した「少額管財」があります(個人が破産する場合はほとんどが少額管財になります)。
一般管財でも少額管財のどちらであっても破産管財人が選任されます。
管財事件になるかどうかは、以下の基準で判断されます。
先述の通り、債務者に一定以上の財産があると、換価と配当が必要なので破産管財人が選任されます。
基準となる財産額は各地の裁判所にもよりますが、預貯金や保険などの個別の財産で20万円を超える場合、現金なら99万円を超える場合に管財事件とされる例などがあります。
債務者に財産がなくても、浪費やギャンブルによる借金、財産隠しや偏頗弁済などの「免責不許可事由」があれば、破産管財人による観察が必要なので管財事件になります。
弁護士や司法書士に依頼せず債務者本人が破産を申し立てていて、資料が不足しているようなケースです。
実態について調査が必要な場合には、破産管財人が選任されることがあります。
破産管財人が選任されると、以下のような職務と権限を持ちます。
破産手続き開始決定があって、破産管財人が決まったら、債務者は速やかに破産管財人に財産を引き渡します。
財産を預かったら破産管財人は、それらを現金化して破産管財人の口座に貯めていきます。
たとえば、売掛金を回収したり不動産を売却したり保険を解約したりして、配当原資となるお金を作るのです。
すべての換価業務が終了したら、破産管財人は裁判所に報告を行い、債権者への配当方法を決定して各債権者へと配当を行う権限を持ちます。
なお、報告漏れの財産がないかなどを調べるため、破産手続き開始決定後は、債務者宛ての郵便がすべて破産管財人の事務所に届くようになります。
その後は定期的に破産管財人の事務所に郵便を受け取りにいく必要があります。
管財事件の手続き中は、裁判所で数度「債権者集会」が開かれます。
破産管財人は債権者集会に出席して、債権者に対し報告と説明を行います。
破産管財人のもう一つの重要な職務と権限が「免責についての意見」です。
重大な免責不許可事由のある事件で破産管財人が選任されると、破産管財人は債務者と月に1回程度面談を行い、家計収支表や反省文を提出させたり生活状況を確認したりします。
その結果問題がなければ「免責相当」という意見を裁判所に出しますし、逆に免責を認めるべきではないと判断されたら「免責不相当」の意見を出されてしまいます。
免責不相当と意見されたら本当に免責を受けられなくなる可能性が高まるので、債務者にとって破産管財人の心証をよくすることは非常に重要です。
では、上記3-3で述べた破産管財人との面談では、どのようなことを聞かれるのでしょうか?
一般的な事案では特に問い詰められるようなことはなく、これまでの経緯や借金額、返済可能性や財産状況などについて淡々と聞かれるだけです。
資料を見てもわかりにくかった部分などを聞かれるケースもあります。
聞かれた内容に対し誠実に、正直に答えていけば、特に問題なく終わります。時間は20~30分程度であるケースが多数です。
一方、免責不許可事由がある場合には、反省状況や現在の生活状況などについて聞かれるかもしれません。
ある程度時間もかかり、反省文を提出させられることもあるでしょう。
いずれにせよ、準備事項としては以下のようなことを行いましょう。
自分一人で判断しにくい場合、申立代理人の弁護士に相談したら、個別の状況に応じてアドバイスをもらえます。
破産管財人がつくと聞くと、「怒られるかもしれない」「免責不許可の意見を出されたらどうしよう」などと不安になる方も多いのですが、実際にそういったケースは少数です。
多くの方は、普通に(誠実に)手続きを進めていけば何事もなく免責を受けられるのでご安心ください。
手続き進行や費用の点で不安があれば、自己破産を依頼している弁護士に遠慮なく質問をしてアドバイスを受けることをお勧めします。