自己破産したらどこまで調べられる?財産隠しは絶対にNG

自己破産をする時、財産などはどこまで調べられる?

自己破産をするとき、裁判所から「破産管財人」が選任されることがあります。

破産管財人は、自己破産手続きにおいて、債務者(破産者)の財産を換価して債権者(お金を貸した側)に配当したり、債務者を免責(=借金を0にすること)させて良いかどうか裁判所に意見を述べたりします。
この業務や判断ため、破産管財人は債務者に関する様々な情報を調査してチェックします。

ほとんどの方にとって、自己破産は「できる限り内緒で行いたい」手続きでしょう。例え破産管財人であっても、どこまで自分に関する事情が調べられるのかと不安になる方は多いと思います。

この記事では、知恵袋でも話題の、自己破産をする際、破産管財人や裁判所に何を・どこまで調べられるのかを解説していきます。

なお、破産管財人の詳しい役割や業務内容については以下をご覧ください。

この記事では、自己破産を検討している方に是非とも知っておいていただきたい「破産管財人」について解説をしていきます。[続きを読む]

調べられる債務者の情報とは?

まず、自己破産をする債務者の情報について、何を調べられるのかを解説していきます。

財産(資産)

自己破産の進め方には「同時廃止」と「管財事件」の二種類があり、破産申立てを受けた裁判所が、債務者の状況(一定以上の財産があるかどうかなど)を見た上でどちらの手続きで進めるかを決定します。

管財事件」となった場合は、債務者の財産の換価・配当を要するので、破産管財人が選任されます。破産管財人は、債権者への配当方法を決定して、各債権者へと実際に配当を行う権限を持つのです。

破産管財人が決まったら、債務者は速やかに破産管財人に財産や資産情報を引き渡すことになります。

その後、破産管財人は銀行口座や保険の契約内容などを精査し、不動産の価値や高価な動産(車や骨董品など)の価値、現金の所在まで調べ上げます。

借金の額・債権者の情報

破産管財人は、債務者から引き渡された財産を売却してお金に換え、破産申立人の債権者へ平等に配当します(※全ての財産が処分されるわけではありません)。

平等に配当するということは、各債権者から借りている借金の金額や、債権者の数を正確に把握しなければなりません。
(例えば、A社から300万円、B社から200万円、C社から100万円を借りている場合、配当できる資産をA:B:C=3:2:1で割り振ることになります。)

自己破産では、債権者の漏れがないように、債務者が「債権者一覧表」を裁判所に提出することになります。破産管財人は、上記の財産と併せて、提出された債権者一覧表から漏れている債権者がないかどうか・借金の総額が正しいかどうかなどを調査します。

ちなみに、故意に債権者を隠す(債権者一覧表に載せない)と、下記の免責不許可事由に該当します。

借金の原因など(免責に関する内容)

債務者に免責不許可事由(免責を許可するべきではないとされている事柄)がある場合、そのまますんなり免責を認めると問題があります。
そこで、免責不許可事由がある場合には、破産管財人や裁判所が債務者の個別の状況をチェックし「免責を認めても大丈夫だろう」というケースでのみ免責を認めるとされています。

免責不許可事由の中でも代表的なものが、ギャンブルなどが借金の理由である場合です。パチンコ、パチスロ、競馬などの公営ギャンブルなどで作った借金は免責しないとされています。株式投資やFX、先物取引などで借金を作った場合も同様です。
また、収入に見合わない高額な買い物や旅行は浪費とされ、こちらも免責不許可事由に該当します。

この他にも、手持ちの財産や債権者の数を偽ったり、隠したりした場合にも免責不許可事由となります。
破産管財人が財産や借金額、債権者などを調査するのは、免責不許可事由の有無を確認するためでもあるのです。

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自己破産すると財産はどこまで調べられるのか?

では、具体的に財産はどこまで調べられるのでしょうか。

現金・口座預金、不動産、車、保険など

「財産」と言えば、現金や貯金を想像する方も多いでしょう。
しかし破産管財人は、他にも、マイホームや土地建物などの不動産、車やバイク、保険(解約返戻金)、有価証券、価値の高い動産(貴金属や芸術品・骨董品)、他人に貸しているお金(債権)などを査定し、資産として扱います。

これほど多くの財産をどう調べるのかというと、自己破産の申立を行う場合に債務者が裁判所に提出する「財産目録」が活用されます。
この財産目録には、現金・預貯金の金額だけでなく、不動産、自動車、株式、生命保険、貸付金等も記載することになります。

さらに、財産目録だけでなく、通帳の写し、給与明細の写し、課税証明書なども併せて提出しなければなりません。また、破産手続き中、債務者宛の郵便物(請求書や納税通知書等)は破産管財人に転送されます。

これらの書類を照らし合わせることにより、購入したもの、課税対象となったもの、払われている税金が把握できるため、仮に財産目録に漏れがあったとしても、債務者の財産はしっかりと精査されるのです。

携帯はどこまで調べられる?

自己破産しても、携帯を滞納していない限り調べられることもなく、そのまま使えることが一般的です。

家族の財産は対象外

上記のような調査される財産は、債務者本人名義のものに限られます。
例えば、同居の家族であっても、名義が破産者本人のものでなければ預貯金や不動産、保険について報告をする必要はありません。

かといって、ご自身の財産を処分されないように慌てて名義人を変更すると、後述の通り免責不許可事由に該当すると判断されることがあります。

財産隠しは絶対にNGな理由

「どうしても残しておきたい財産がある」という方もいらっしゃると思います。

しかし、換価される財産を隠すのは、配当を受ける債権者にとって大きな不利益となります。
ご自身の財産を処分されないように隠したり、名義人を変更したり、偽装離婚して財産分与したりすると、免責不許可事由に該当すると判断されることがあります。

公正な清算を実現する必要がある自己破産において、このような財産隠しの行為は許されないことです。虚偽の財産目録を作成したことが発覚した場合などには、詐欺破産罪が適用されてしまう可能性もあります(破産法265条1項1号)。
この場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科せられることとなり、免責後であれば免責も取消しとなります。

どうしても手放したくない財産がある場合、弁護士・司法書士に事情を説明すれば、あなたの希望を叶える借金解決方法を提案してくれるかもしれません。
財産を隠してしまおうとは考えず、まずは弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

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まとめ

このように、自己破産の破産手続では、債務者(申立人)の財産が破産管財人によって調べられる上、一部を残して処分されます。

財産隠しはほぼ確実にバレてしまいますので、自己破産をする際にそのような行為をしても何もメリットはありません。財産を隠すことは絶対にせず、弁護士などと協力して、誠実な態度で破産手続きを進めていくようにしましょう。

また、財産目録や債権者一覧表をはじめとした書類の不備は、自己破産失敗の原因になります。スムーズに手続きを進めるためにも、申立準備の段階から弁護士にお任せするのがお勧めです。

自己破産に関するQ&A

自己破産をした後も手元に残せる財産は何ですか?

すべての財産を処分する必要はなく以下のような「自由財産」は処分しなくて済みます。

  • 99万円以下の現金
  • 新得財産(破産手続き開始後に破産者が新たに取得した財産)
  • 差押禁止財産(生活保護や児童手当、国民年金や厚生年金などの年金受給権)
  • 破産財団から放棄された財産
  • 20万円以下の現金や預貯金、査定額が20万円以下の動産(※裁判所により異なる)

他にも、日常生活に必要なものとして、冷蔵庫やテレビなどの家電、寝具、パソコンなどは処分されません
また、自由財産だけでは破産後の生活がままならないという事態が生じる場合、自由財産の拡張が認められる場合もあります。

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自己破産で換価・処分・配当される財産の種類は?

上記の自由財産に含まれない持ち家などの不動産や高価な自動車、その他査定額が一定額以上の財産は失ってしまいます。

破産管財人は、没収した財産を売却してお金に換え、破産申立人の債権者へ平等に配当します。

自己破産後の生活はどうなる?

先述のように、自己破産をしても全ての財産が処分されてしまうわけではありません

債務者は、当然ながら自己破産手続きが終わった後も生活していかなければいけません。
仮に全ての財産を没収してしまうと生活もままならなくなってしまい、債務者の経済的更生という目的が達成できなくなってしまうため、自由財産が認められているのです。

自己破産後の生活について過度に心配する必要はありません。より詳しくは以下のコラムをご覧ください。

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執筆・監修
服部 貞昭(CFP・日本FP協会認定)
ファイナンシャル・プランナー(CFP・日本FP協会認定)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
東京大学大学院 電子工学専攻修士課程修了

新宿・はっとりFP事務所
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