消滅時効援用通知書の書き方・書式・ テンプレートは?わかりやすく解説!
ここでは、時効を援用する際に必要な「消滅時効援用通知書」の書き方と、時効の援用の失敗を避けるためのポイントなどについ…[続きを読む]
「10年間放置し、その間一度も返済をしていない借金について消費者金融や債権回収会社から督促があった!」
そんな時、「払わなければいけないの?」「時効は成立していないの?」「踏み倒せないの?」というお悩みは、法律事務所によく寄せられています。
10年以上放置している借金については、時効になっている可能性があります。
しかし、借金の時効は何もしなくても成立するわけではなく、「時効期間が経過しているので、こちらに借金を支払う義務はありません」ということを債権者に告げる「援用」を行わなければなりません。
この記事では、援用のやり方や、10年以上前の借金でも残念ながら援用ができないケースとその対応策などを解説していきます。
目次
借金にも時効は存在します。借金の時効では、最後の支払いから一定の期間が経過することにより債権者が債務を回収する権利を主張できなくなり、債務者は借金を踏み倒すことができます。
日本において、2020年3月31日までに成立した銀行・信用金庫・信販会社・消費者金融などの会社に対する借金は「5年」という時効期間が設定されています。
2020年4月1日以降に成立した借金の場合は、個人・会社の区別なく、すべての借金について債権を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年となるのが原則です。
つまり、10年以上前の借金の請求が来たならば、多くの場合で時効に必要な期間が経過しており、必要な手続きを取ることでその借金を踏み倒すことができます。
とはいえ、その手続き(援用)には失敗のリスクもありますので、借金の時効に詳しい弁護士や司法書士に相談することがお勧めです。
なぜ債権者はすでに時効期間が経過している借金の支払いを請求してくるのでしょうか?
冒頭の通り、借金の時効は自然と成立するわけではありません。例え10年、20年という長い期間が経過していても、債務者が債権者に対し「援用」を行わなければ借金は消滅せず、督促を行うことは法的にも問題ありません。
債権者は、10年以上前の借金について一律で請求を行うことで、時効や援用について知らなかったり、借りたものだからと自主的に返済してくれたりする人からお金を回収することを期待しています。
例え半数以上の債務者が時効を主張しても、数名から10年以上前の借金を回収できれば御の字なのです。
特に、債権の回収を業とする債権回収会社(サービサー)は、時効期間が経過した借金を主債権者から安く買い取っているケースがあります。この場合、一件でも回収すれば利益になるので、借金を買い取った債権回収会社は一斉に昔の借金についての督促を行うことがあります。
端的に言ってしまえば、10年以上前の借金について、債権者は「回収できればラッキー」くらいの気持ちで請求をしているため、時効の援用を主張したところでしつこく食い下がられることもありませんし、時効の借金を踏み倒すことは違法でもありませんのでご安心ください。
時効援用とは、債務者が借金の時効を主張することです。時効の期間が経過した後、債務者がこの時効援用を行わなければ借金は消滅しません。
時効の援用を主張する方法に決まりはありません。極端に言えば、電話で「時効を援用します」と債権者に述べるだけでも有効ではあります。
しかし、時効に必要な期間が経過したことを証明し、言った・言わないという水掛け論を防ぐためにも、実務では内容証明郵便で「消滅時効援用通知書」を作成・送付するのが通常です。
消滅時効援用通知書の書き方やテンプレートについては以下のコラムをご覧ください。
インターネットで調べながらご自分で消滅時効援用通知書を書くことはそれほど難しいことではありません。
しかし、時効援用をする際には以下のような注意点がありますので、弁護士や司法書士の協力を仰ぐことを強くお勧めします。
借金は確かに5年の経過で時効となりますが、問題は「いつから5年と数えるか(起算点)」です。
通常は最後に返済した日の翌日からカウントしますが、未払いの場合は契約書にある返済期日の翌日からのカウントとなります。
しかし、10年以上前の借金となると、これらについてハッキリと覚えていない方が大半なのではないでしょうか。契約書や取引履歴が残っているとは限りませんし、記憶が曖昧になり、実際は期間が経過したと誤認しているだけという可能性も0ではありません。
よって、弁護士や司法書士にしっかりと起算点を確認してもらった上で時効の援用をすることがおすすめです。
例え起算点を違えず、必要な期間が確かに経過していたとしても、時効の中断事由・更新事由があった場合には時効が数え直しになっています。
10年以上前の借金ならば、寧ろこちらの方が懸念点でしょう。
時効の更新事由(民法改正前は中断事由)としては、以下のようなものが該当します。
借金をした記憶があれば、10年以上越しに請求をされて慌ててしまうのは当然です。「借金があることを認め、支払期限を伸ばしてほしい・月末まで待ってほしい等と言ってしまった」「利息を減額すると言われ、1000円だけ支払ってしまった」ということがあると、時効が更新(中断)されて数え直しになってしまいます。
また、裁判上の請求については特に注意が必要です。
時効の援用を知らないまま裁判を無視していると、債権者の主張を認める判決が出て強制執行をされる上に時効まで更新(中断)されてしまいます。
時効の援用をする前に、上記のような時効の更新事由・中断事由が途中で起こっていないかを十分に確認する必要がありますが、これには専門的な知識が必要になります。やはり弁護士や司法書士に相談しましょう。
10年以上前の借金について督促があった場合、時効期間が経過していると考えられます。多くのケースでは時効の援用をすれば借金の支払い義務がなくなるでしょう。
しかし、借金の存在を認めたり、債務を一部支払ったり、返済計画や支払い延長の相談をしたりすると、時効がカウントし直しになってしまいます。
債権者もこれを目的に10年〜20年も前の借金を請求してきている可能性があるので、ご自身で迂闊に対応するのは危険と言えます。かと言って裁判上の請求を無視すれば強制執行となり、時効も更新してしまうでしょう。借金を放置するのは得策ではありません。
時効が成立しないとなると、遅延損害金や利息が積み重なった多額の借金を根本的に解決するには、任意整理、個人再生、自己破産などの「債務整理」をする必要があるかもしれません。
時効の援用であっても、債務整理であっても、借金についてお困りのことがある場合は弁護士・司法書士にご相談ください。
ご自身の状況や法律に基づいて借金解決を最適に解決するためには、専門家に相談することが重要です。弁護士・司法書士はあなたの具体的なケースに応じてアドバイスを提供し、10年以上前の借金についても適切に解決をサポートしてくれるでしょう。